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2012年6月11日 (月)

今日は文科省の「カルタヘナ法とABS名古屋議定書説明会」に参加した。

 まだ発効していない議定書の説明会を何故するのか? しかもカルタヘナ法との組合せで? という、もやもやした疑問については、6/8(金)の文科省と神戸大学のプレスリリースで氷解した。

概要

1.    平成24年4月26日、国立大学法人神戸大学から、平成21年に「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(平成15年法律第97号)に基づく手続きを執らずに、遺伝子組換え実験が行われていた疑いがあるとの連絡を受け、同27日に同大学に対し現地調査を 実施し、さらに、5月23日、同法第30条に基づき事実関係等の報告を求めたところ、6月6日、同大学より報告がありました。

同大学からの報告の概要は以下のとおりです(詳細別添)。
  1)平成21年4月から8月にかけて、同法に基づき、予め文部科学大臣に拡散防止措置の確認を受けなければならない遺伝子組換え実験について、この確認を受けずに実施していた。
  2)原因は、大学における実験管理が不十分であったこと、及び、実験従事者に対する同法等に関する教育研修が不十分であったことによるもの。
  3)なお、当該実験については必要な拡散防止措置が執られており、生物多様性への影響等はなかった。
  4)今後、同大学において、実験関係者への再教育、実験室ごとの管理体制の見直し、定期的な実験内容の実地調査等の再発防止策を実施する。

2.    同大学からの報告を受け、本日、文部科学省は、同大学に対して、再発防止のための措置を徹底するよう厳重注意を行うとともに、今後の同大学における再発防止策の実施状況について報告を求めました。

3.    文部科学省としては、このような事態の発生防止のために、引き続き、法令の理解及び遵守について周知徹底を図っていきます。

(カルタヘナ法違反については特に争点になりそうなところは見られないので、以下ではCBD関連にトピックを限定します)

 神戸大学の発表によると、2008年にインドネシアの国内規制に反して、H5N1インフルエンザウイルスの遺伝子及び感染疑いのある動物の鼻腔拭い液等(「等」にはH5N1インフルエンザウイルスの遺伝子も含まれる)の持ち出しも行われたとされている。ABS名古屋議定書はまだ発効していないが、生物多様性条約(CBD)は1993年から発効しており、我が国(1993年批准)もインドネシア(1994年批准)も締約国である。従って、条約を守る義務を負っている。

 CBDでは遺伝資源提供国の中央政府、地方政府等国内法で定める遺伝資源の権利者からPrior Informed Consent (PIC、事前の情報に基づく同意)を得た上で、Mutually Agreed Terms (MAT、相互に合意する条件) に従って遺伝資源にアクセスし、その利用から生じる利益を配分することになっている。資源提供国の国内法に規定が無い場合は、何を以てPIC、MATであると言えるのか難しい部分はある。インドネシアの場合も国内法や規則で遺伝資源にアクセスするための手続きが明示的に決められていない(JBAの情報による)。
 従って、神戸大学の一件は、

  • CBDのレベルでは、遺伝資源提供国政府等の同意のない状態で遺伝素材(遺伝資源とまで言えるかどうかは微妙)の国外への持ち出しが行われたことから、条約に違反している疑いは否定できない。
  • インドネシアのCDB関連国内法との関係で言えば、PIC-MATに関わる実際の手続きを決めた法律がないので、遺伝素材の持ち出しに限って言えば、明らかに違法とまでは言えない。
  • ただし、遺伝資源へのアクセスに関する明示的な規制が無い場合は遺伝資源提供国の研究者との共同研究を通じて遺伝資源を利用させて頂くケースが多いのだ が、インドネシアでは1993年大統領令第100号で外国の提携相手との共同研究を規制している。この点について、インドネシアの国内規則に違反している 可能性が高い。

と考えられる。結局、曖昧な点が非常に多いまま。

 ところで、説明会ではABS名古屋議定書を批准した5カ国(Gabon、Jordan、Mexico、Rwanda、Seychelles)について渡辺生命倫理・安全対策室安全対策官から紹介があった。「おそらく、ABS国内法も整備されているでしょう」と。

 条約の批准あるいは受諾という手続きは、日本では国内法の整備が必要な場合には国会決議が必要で、今のような混沌とした国会情勢ではなかなか批准できない。一方、国によっては行政府と議会の長を兼ねる大統領が大統領令を一発出すだけで批准できる国もある。ただし、大統領令には細かな行政手続きに関する規定がない場合が少なくないので、批准はしてもABS国内法や関連する手続きは未整備と言うケースもある。日本の行政官の感覚では、法的拘束力のある条約に加盟したのに国内制度が未整備というのは信じられないかもしれないけれども、海外の色々な事例を見ると法律はあるけれど具体を決めた省令がないケースや、省令だけあって法律がないケースも少なくない模様。

 さて、実体は如何?国内法を調べるのは結構大変なので、具体的に遺伝資源を貰いたい場合まで保留することにします。(Mexicoは関係してきそうだけれど、あと4カ国はまず関係ないかな)

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