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2011年7月11日 (月)

遺伝子組換え技術を応用したF1の採種 -Intermezzo-

 育成者権の確保に関連した話題は一休み。今日はDuPontの開発した新しいF1品種の採種システムについて。

 F1品種の採種効率は種苗会社の収益を向上する上で非常に重要な問題であるばかりではなく、自殖種子の混入を避け製品の品質を維持する上でも重要である。

 Seed Production Technologyと呼ばれるこの新技術は、仕組みがちょっと入り組んでいるので、以下のPDFの参考資料を見て欲しい。

  1.  核支配の雄性不稔系統に遺伝子組換え技術で稔性回復遺伝子を導入。
  2.  同じ発現カセットに35S-DsRedと、花粉特異的に発現するデンプン粒移行ペプチド融合アミラーゼ発現カセットを持たせる。
  3.  この発現カセットを持つ花粉は不稔になる
  4.  この発現カセットを持たない配偶子同士の自殖個体は雄性不稔になる。→雌親
  5.  雌性配偶子由来でこの発現カセットを持つ自殖種子はヘテロ型になり、DsRedを発現するのでカラーソーターで機械的に分離できる。→ 維持系統

と言う具合に、導入遺伝子についてはヘテロ型を維持しながら、核遺伝子支配の雄性不稔雌親も安定に増殖できる技術である。この技術には、他にも特徴がある。つまり、

  • 遺伝子組換えの親植物に由来する子孫であるにもかかわらず、外来遺伝子を持たない非組み換え種子が生産できる。
  • 生産された種子は、外来遺伝子を持たないので、農家は種苗会社の特許技術の使用者にはならない。(シュマイザー事件の再来はない)
  • 生産された外来遺伝子を持たない非組換え種子は科学的・技術的にも遺伝子組換え技術を使用していないものと区別が付かないので、”原理的には”カルタヘナ法の規制対象にはならない。

という特徴がある。
 ただ、開発企業のDuPontとPioneer Hi-bredは、念のため食品安全性の評価を受けている。恐らく、事故などで親系統が混入した場合の製品回収リスクをヘッジするためだろう。

まだ実験段階ではあるが、各種の規制を着実にクリアしていることがわかる。誰だって、これまで訴訟になったり反対派団体から指摘されてきたような面倒な問題は、わざわざ起こしたくはないのである。種苗会社も例外ではなく、そういった問題を避けるような技術開発を行っているということだ。

# 企業は悪の秘密結社ではないのだよ。

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コメント

DuPont の SPT は非常に興味深い技術だと思います。「”原理的には”カルタヘナ法の規制対象にはならない」とダブルクォーテーションで囲まれた真意は?単に、事故などで親系統が混入するリスクを考えてのことでしょうか。事故でなくても、DsRed の発現の安定性などもリスクかもしれない。それとも、カルタヘナ法のスコープに入るという意見が”当然”出てくるだろうという推測でしょうか。

 概ね、ご推察の通りです。
 ”原理的には”、の意味ですが、カルタヘナ法が何を遺伝子組換え生物と見なすかという、法律の原理に照らせば、という意味です。カルタヘナ法は、外来の組換え核酸を持つ生物をプロダクトベースで区別して、規制する法律ですので、科学的・技術的にも遺伝子組換え技術を使用していないものと区別が付かないのであれば、規制対象にはならないはずです。
 一方で、製造プロセスにおいて、何らかの理由で組換え生物が混入する可能性があると推定される場合には、その生産物は例外的にカルタヘナ法のスコープに入ってくる可能性があります。

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