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« 遺伝子組換えダイズにまつわるエトセトラ #GMOj | トップページ | ”ラウンドアップ”は大豆の栽培に使えないのか? »

2011年1月18日 (火)

遺伝子組換えダイズにまつわるエトセトラ2 #GMOj

 "食の安全情報blog"の"遺伝子組換えダイズのパブリックコメントへ意見を出す前に"というエントリーに次のような記述があります。

輸入された遺伝子組換え大豆は国内で栽培されるか?

 話は変わって、それでは認可された遺伝子組換え大豆は国内で栽培されるのか?ということになると、そういうわけではありません。一般ほ場での認可をとってしまえば、カルタヘナ法上は栽培可能ですが、各都道府県が条例や指針によって遺伝子組換え作物の栽培を制限しているケースがあります。そういう場合には栽培できません。また、非常に重要なことなのですが、国内で大豆を栽培する際にグリホサートなどの除草剤を使用することはできません。除草剤耐性の遺伝子組換え大豆は除草剤とセットでなければそのメリットが生かせません。それなのにわざわざ割高な種を国内の農家が買うでしょうか?また、売れもしないものを種苗会社が売るでしょうか?

 また、先ほど確認したように国内の農地は世界的に見ると猫の額ほどの広さしかありません。仮に遺伝子組換え作物が栽培できるとしても日本は栽培用の種の市場としては魅力がありません。しかし、穀物の市場としては魅力的な国です。ですから、きちんと手続きをとって遺伝子組換え作物を輸入してもらおうとしているのです。

※ boldは筆者。

 これは少し見方を変えると、「モンサント、バイエル・クロップサイエンス、BASF、シンジェンタなど、除草剤耐性ダイズを開発している海外の企業は、除草剤耐性ダイズの種子を日本で販売する気があるのだろうか?」という問いになるでしょう。

 日本では、シダやキノコを含む農林水産植物の種苗には、種苗法という法律で"育成者権"という知的財産権が設定されています。法律の主な目的は、育成者が種苗を開発する際の投資を回収させ農業を振興することにあります。

 種苗法やそれに類する法律は多くの国にあって、国際的には”植物の新品種の保護に関する国際条約”(UPOV条約)という条約の下に、植物新品種保護国際同盟(UPOV)という国際機関が設けられ、加盟国(同盟国)は一定のルールの下で、相互に他の同盟国で開発された新品種についての育成者権を保護するようになっています。現在、68カ国が加盟しており、日本やアメリカも1991年にこの条約に加盟しています。

 UPOV条約では、加盟国Aの国民あるいは法人は、他の加盟国Bにおいても、そのB国の国民と同様に育成者権を保護されます。ただし、A国で品種が当局に登録され、育成者権が保護される状況であっても、B国で自動的にその権利が保障される訳ではなく、育成者はB国でも品種を当局に登録をしなければなりません。

 この仕組みは特許権や著作権の保護の仕組みと似ていて、育成者は発明家や作家、作曲家と同じように、生活のための”業”として行った創意工夫の努力が報われるようになっています。

 さて、ここまでが長い前置きです。日本では国内で種苗法で保護されている品種はデータベースに登録され、誰が開発した品種が登録されているか、誰でも調べられるようになっています。もし、モンサント、バイエル・クロップサイエンス、BASF、シンジェンタなどの外国の企業が日本で除草剤耐性ダイズを種苗として販売するつもりがあるのであれば、大抵は、品種登録をするはずです。

 品種登録を調べることのできるデータベースは、農林水産省生産局知的財産課が運用しています。リンク先はこちら(品種登録データ検索をクリック)

 このデータベースで、品種登録のボタンをチェックして、例えば”農林水産植物の種類”に”大豆”(漢字で!)を入力すると141品種(2011/01/18現在)が登録され、育成者(育成者権者)が誰かも一覧表として表示されます。

 今のところ、モンサント、バイエル・クロップサイエンス、BASF、シンジェンタはダイズの品種を登録していません。だからと言って、今後ともこれらの会社が遺伝子組換えダイズの品種登録をしない、という根拠には必ずしもならないのですが、もう一つ知っていていただきたいことがあります。

 それは、日本モンサントが第1世代のグリホサート耐性大豆 40-3-2系統の栽培・輸入許可を取得した時期です。現在、遺伝子組換え生物の使用を規制しているカルタヘナ法は2004年の施行ですが、40-3-2系統の栽培・輸入許可はそれ以前の1996年、今から15年も前です(参考、日本モンサント)。以来、モンサントは、2005年、2008年にカルタヘナ法に基づくダイズの栽培・輸入の許可を取得していますが、品種登録はしていません

 これらの状況証拠と"食の安全情報blog"でも指摘されている、ラウンドアップなど非選択性除草剤がダイズの生育期用の除草剤(注)として認可されていないことを勘案すると(注2)、私にはこれらの企業が日本の農業者を遺伝子組換えダイズの品種を売り込む市場と考えている可能性は、非常に低いとしか思えません。

 一方、種苗法による育成者権の確保とは別に、モンサントがアメリカやカナダで一部の農家に対して行っているように、導入した遺伝子の権利を特許法で確保する方法もあることはありますが、そのためにはそれなりの組織も必要になり、コストがかさみます。人件費が高く、耕地面積の小さな日本で、そこまでして種子を売り込む意味が果たしてあるのでしょうか。

 私は、頭書の問いに対するクリアカットな答えは出せませんが、皆さんはどう思いますか?

(注) グリホサートは比較的分解が早いので、ダイズの播種前、播種後の除草剤としては認可されています。ただし、生育期には・・・ラウンドアップ耐性ダイズでなければ枯れちゃいますので、この用途には登録されていません。

(注2) 平成16年時点での国会での質問注意書がこちらにあります。回答はこちら。では、現在ダイズの生育期間にグリホサートが全く使えないのかというとさんご指摘のように「収穫前日まで(雑草生育期:畦間処理)」という処理方法であれば使えます。この辺の記述を整理・改訂します。

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