2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

最近のトラックバック

どこからきたの?

  • なかのひと

Google Analytics

« 2010年5月16日 - 2010年5月22日 | トップページ | 2010年5月30日 - 2010年6月5日 »

2010年5月23日 - 2010年5月29日の記事

2010年5月28日 (金)

パブコメの順序

 最近、所属学会関係のメーリングリストなどで総合科学技術会議の意見募集に意見を寄せて欲しいというリクエストが相次いでいる。今日の正午締め切りだったのが、

  • 科学・技術予算編成プロセス改革「アクション・プラン」(案)に関する意見募集

で、昨日から意見募集が始められたのが、

  • 「科学技術基本政策策定の基本方針(案)」に関するご意見募集について

 これ、関係資料を見ると、どう考えても「科学技術基本政策策定の基本方針」があって、それに沿って具体を決めるための手続き(プロセス)の一部としての「アクション・プラン」があるようにしか見えません。であれば、意見募集の順番が逆じゃ無いでしょうかね。私、「基本方針(案)」の概要を見るまで、「アクション・プラン」&「グリーン・イノベーション、ライフ・イノベーション」の位置づけがわかりませんでした。なんだかつまらない意見を書いてしまってがっかりしている。

 今回、意見募集で意見を寄せた多くの人が誤解してるんじゃないでしょうかね。

人気blogランキングへ←クリックして いただけますと筆者が喜びます!

2010年5月27日 (木)

改良普及員さんに”ケシ”の鑑別を依頼するべきではありません

 色々な間違いが重なった結果がこれですね。毎日新聞より。神奈川県職員の方も、このblogを見ているかもしれませんが、あへん法規制対象のケシの栽培は毎年のようにあちこちで起きているので採り上げます。

ケシ栽培:神奈川県が「問題なし」と誤指導 藤沢の農家に

 あへん法で無許可栽培が禁じられているケシについて、神奈川県農業技術センターが藤沢市の農家に「栽培に問題はない」と誤った指導をしていたこと が分かった。県が26日明らかにした。この農家は観賞用に722株を栽培し、うち約400株を7都県に出荷したという。県や厚生労働省などが回収と調査を 進めている。

 県によると、農家はセンターに栽培が可能か相談。普及指導員が葉の形などから「栽培できないケシではない」と判断。しかし東京都から「花が法に抵触する可能性が高い」との情報が寄せられ、ソムニフェルム種と判明した。【木村健二】

 記事の書きぶりは別として、本質的には以下のような問題点だろうと思います。

  1. まず、アヘン原料になるケシの栽培についての規制は、厚生労働大臣所管の”あへん法”で行われているので、栽培に問題ないかどうか農家が照会するべき窓口は保健所。農業技術センターに問い合わせたのは間違い。
  2. 次に、普及員も、規制法がある植物なので(その確認のために農家は照会した)、県の担当部署に自らつなぐのが筋。県職員も処理する責任能力を持たない分野について独断で対応してはいけない。
  3. その上、種の同定をし損なった。どの種か判断できない場合は率直に”わからない”と言うべき。科学的には、情報が足りなくて判断できない場合や自分の判断する能力に確信が持てない場合には、結論を保留するべき。

 他社の報道によれば、対応した県職員は「厚生労働省ホームページを参考にした」とのことなので、1.,2.の間違いは避けられたはずなのですが・・・。今後公表されるであろう神奈川県の再発防止策に期待しましょう。

 なお、報道各社から、職員が栽培を禁止されているケシだと見抜けなかったとか、県が判断を誤って指導したという論調のニュースが報道されています。ですが、普通の改良普及員はケシの種の同定はできません。そのためのトレーニングを積んでいないのですから当たり前です。また、農学や植物科学系の研究者でも普通はケシの種の同定はできませんし、その鑑別結果に責任を負える立場でもありません。

 また、NHKニュースによれば、

けし栽培 再発防止策を検討へ

神奈川県の農業技術センターが農家に誤った指導を行い、麻薬の原料になるとして栽培が禁止されているけしを農家が栽培して出荷していた問題で、神奈川県は、大学の研究者などの専門家に違法なけしがどうかチェックしてもらうなどの再発防止策を検討することになりました。

 え?保健所で判断するんじゃないの?「大学の研究者などの専門家」って農学系ではなく、薬学系だよね?専門家の意見を参考にするのは良いけれど、最終的な判断は県の責任で行うんだよね?・・・等々疑問山積。

 ともあれ、今回の件も種の同定がどうの、と言う視点よりは、「あへんの成分を含むケシ」の種子が各国では規制対象とされずにヨーロッパを中心に世界中で普通に流通しているという現状をどう考えるか?と言うところから発想した方が良いように思います。私は、あへんが入手できるように誰でも自由にケシを栽培できるようにするべきだとは決して思いません。しかし、もしかすると、日本では世界的なケシの栽培規制と比べて、あへん法の規制するケシの範囲を幅広くとりすぎているのではないだろうか?という疑問はあります。

 植物から薬効成分を抽出する場合、最終製品の価格を考えると、原材料となる植物に含まれる成分の含有量がある程度高くなければ抽出・精製のコストがまかなえません。ケシの場合は、最終製品はあへん(阿片)かモルヒネですが、悪用される恐れがあるのはあへんかモルヒネの加工品であるヘロインでしょう。あへんは、ケシの実(ケシ坊主)の表面に傷をつけて出てきた滲出液を風乾しただけのものなので、精製のコストはかかりませんから、そこに含まれるモルヒネ含有量が低水準でも採算がとれてしまう恐れはなきにしもあらず。

 でも、規制対象となっている園芸種についても、本当に問題とされるほど高品位のモルヒネが含まれているのでしょうか?法律で規制されているケシを栽培してはいけないという点には私は全面的に同意します。しかし、規制対象の選定の基準を種で限定するのが科学的に妥当かどうか、という点については少々疑問があります。

 もっと、繊維製品の原材料になるアサ=大麻の場合、陶酔成分を含まない品種であっても、その栽培はそれ以外の品種と同様に大麻取締法で規制されています(許可制)ので、麻薬成分を含む可能性が排除できないケシについてはデフォルトで規制対象とするのが行政的には妥当なのでしょうね、多分。

人気blogランキングへ←クリックして いただけますと筆者が喜びます!

2010年5月26日 (水)

ここは「死の谷」はたまた「ダーウィンの海」?

1プラス1はいくつになりますか?という質問。

「1プラス1はいくつか」と聞けば、その人の職業が分かる。
「2に決まっている」と答えたら、技術者である。
「2になると言う人が多いです」と答えたら、セールスマンである。
「2以上でないと意味がない」と答えたら、経営者である。
「いくつをお望みですか」と答えたら、経営コンサルタントである。
天使と悪魔のビジネス用語辞典より)

コンピュータ技術者によれば10になります(2進法では)。

 ともあれ、今日、初めて”ダーウィンの海”というビジネス用語を知りました。英語では"Darwinian sea"と言うらしいのですが、その意味は、

研究開発を経てようやくそれが実用化に至って(死の谷)も、その技術・製品・事業には市場での競争が待っています。既存製品との競争です。

おまけに新製品は、販路や生産設備がまだ確立されていません。それに資金や時間などのコストを費やすことになります。

この様に、新たな技術・製品・事業が市場で生き残っていく難しさを表現した言葉が、「ダーウィンの海」です。

イノベーションを実現しようとするベンチャー企業に多く見られる関門です。

転がるビジネス社会の基礎知識:: ビジネス用語辞典

 うーん、生存競争にさらされている状態という意味であれば、「ダーウィンの海」というのは誤訳ですね。だって"Darwinian (ダーウイン主義者、進化論者)"だし。直訳でも、「ダーウイン主義者の海」か「進化論者の海」、意訳すれば「生存競争の海」か「弱肉強食の海」といったところでしょう。

# 進化論を支持する人たちがウヨウヨ居て、海のようになっている状態では無いと思います。多分。

 ともあれ、「死の谷」の谷底でも住み着いてしまえばそれなりの過ごし方があるようですけどね。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

2010年5月24日 (月)

ブロッコリには普通、黄色い花が咲く

 家庭菜園用のブロッコリの種子をどのように入手したのか興味が持たれる記事。読売新聞より。

遺伝子組み換えナタネ、伊勢湾周辺に自生・交雑

 国内では栽培されていない遺伝子組み換えナタネ(GMナタネ)が、愛知県知多市から三重県松阪市にかけて、伊勢湾を取り囲むように自生していることが、「遺伝子組み換え食品を考える中部の会」の調査で分かった。

 名古屋、四日市港に輸入され、トラックで運ばれる途中にこぼれ落ちて発芽したとみられる。在来種との交雑種も見つかっており、同会は「交雑によって生態系がかく乱される危険性が高い」と指摘している。遺伝子組み換え植物の生態系への影響は、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)でも話し合われる。

 同会は2004年からGMナタネの調査をしており、三重県四日市市から松阪市にかけて国道23号などの沿線に点々と自生しているのを確認した。今年4月に調査範囲を愛知県にも広げたところ、知多市から飛島村までの国道、県道沿いで数十メートルおきに数株ずつ生えているのを見つけた。

 GMナタネは除草剤に耐性があり、カナダを中心に外国では主流。財務省貿易統計によると、昨年、植物油の原料として輸入されたナタネは約207万トン。名古屋、四日市港には計33万トンが運びこまれた。

 同会や国立環境研究所の調査では、ナタネと同じアブラナ科のカラシナやブロッコリーなどとの交雑種も見つかった。津市内では家庭菜園のブロッコリーにナタネのような黄色い花が咲き、遺伝子検査でGMナタネと同じ除草剤耐性を持つことが分かった。

 同会は河川敷などに繁殖しているセイヨウカラシナとの交雑を懸念する。すでに愛知県内で交雑のセイヨウカラシナが見つかっており、GMナタネを調査、研究している四日市大非常勤講師の河田昌東さんは、「生命力の強いセイヨウカラシナが交雑で除草剤耐性を持てば、一気に広がって在来の植物を駆逐してしまう。GMナタネの抜き取りなど、行政が対策を取る必要がある」と指摘する。

 同会は22日、名古屋市中村区の愛知県産業労働センターで調査結果を公表し、シンポジウムを実施する。

(2010年5月23日13時21分  読売新聞)
 日本に搾油用原料として輸入される遺伝子組換えナタネは、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)に基づき、農林水産省と環境省の合同の生物多様性影響評価検討会によって、生物多様性への影響が評価されています。開発者から提供された科学的な情報に基づいて、日本の生態系に遺伝子組換え生物が定着した場合であっても、生物多様性のレベルでは生態系への影響が無いと推定された遺伝子組換え生物のみが輸入を許可される制度になっています。

 遺伝子組換えナタネについては、こちらでどのような評価が行われてきたのかが概観できます。組換えセイヨウナタネと近縁種との交雑の可能性や、交雑後代が優先的に繁殖して他の野生植物を駆逐する可能性についての開発者の評価に対する専門家の意見も、こちらの文書で公表されております。

 そして、評価結果を公表する際には、毎回必ずパブリックコメントの募集が行われており、誰でも評価結果に対して意見を述べることができます。もちろん、意見募集の結果も公表されますので、自分たちの述べた意見に対する官庁の対応も見ることができます。

 また、国立環境研究所では毎年、遺伝子組換えナタネの自生に関するモニタリング調査を実施しており、こちらで調査結果を公表しております。例えば昨年度の報告書はこちら。この報告書によると、遺伝子組換えセイヨウナタネがいわゆる雑草として日本に定着していると考えられますが、それは評価の段階で既に予想されたことです。ともあれ、報告書は一つの結論として次のように述べています。

除草剤耐性ナタネの商業栽培が盛んなカナダでは、栽培地の周辺等の自然条件において、西洋ナタネ由来の除草剤耐性遺伝子が在来ナタネに流動することが既に報告されている9)。今回、我が国での除草剤耐性遺伝子の在来ナタネへの流動が示唆される結果が得られたことから、今後は、雑種の生じる頻度や雑種の定着可能性などにも留意して調査・分析を行っていくこととする。なお、在来ナタネは、西洋ナタネより古くから日本で栽培されてきたナタネで、ヨーロッパ、ロシア、中央アジア及び中近東に自生し、ヨーロッパが起源の1つといわれている外来植物であり(OECD Consensus Document,1997)、日本産の野生植物ではない。

 すこし視野を広げてみると、国連の生物多様性条約事務局のカナダでは、遺伝子組換えナタネの大規模栽培が行われており、「西洋ナタネ由来の除草剤耐性遺伝子が在来ナタネに流動することが既に報告されている」とのことなので、もし市民団体の懸念する通りであれば、カナダではすでに「一気に広がって在来の植物を駆逐して」いても良さそうなものですが、カナダ政府も生物多様性条約事務局も特段、あわてている様子はありません。

 遺伝子組換え作物が交雑すると言うことと、在来の植物を駆逐するということは一緒ではありません。規制当局の判断としては、交雑による外来遺伝子の拡散があっても、それが大規模な生物多様性影響につながるものでなければ、遺伝子組換え作物を上手く利用して産業振興した方が国民の利益にかなうと考えるのが合理的なのですから。

 ともあれ、「家庭菜園のブロッコリーにナタネのような黄色い花が」・・・という一節には何の意味があるのでしょうか。ブロッコリには普通、ナタネと同じような黄色い花が咲くものですがね。

人気blogランキングへ←クリックして いただけますと筆者が喜びます!

« 2010年5月16日 - 2010年5月22日 | トップページ | 2010年5月30日 - 2010年6月5日 »

twitter

  • Bernard_Domon

Ranking

  • にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ
    日本ブログ村
無料ブログはココログ