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2010年1月3日 - 2010年1月9日の記事

2010年1月 7日 (木)

RNAウイルスの遺伝子がヒトゲノムに取り込まれて機能していた。

 遺伝子治療などヒトの形質転換に使われるウイルスベクターは、染色体に組み込まれるレトロウイルス型のベクターが使われる。これに対して、一過性の発現ベクターとしては神経細胞指向性のヘルペスウイルス(HHV)やアデノウイルス(AdV)などDNAウイルスや、RNAウイルスであるセンダイウイルス(SeV)が使われる。
 レトロウイルス型のベクターは染色体組み込みの際にゲノムの遺伝子を破壊するなどの悪さをして、時に細胞をがん化させることがあるので、最近はそれよりも安全性の高いHHVやAdVに注目が集まっている。一方SeVなどのRNAウイルスはゲノムがRNAであることから、逆転写されない限りヒト・ゲノムに組み込まれることはないと考えられている。
 もともと、RNAウイルスや内在性のmRNAの逆転写自体が、内在性のレトロウイルス由来の逆転写酵素活性がある場合くらいにしか起きないので、RNAウイルスがヒトゲノムに取り込まれ、生殖系列を経由して遺伝し、しかもヒト集団内に拡散していく現象は非常に希なイベントであると考えられる。今日のニュースは、そんな希な現象。

ヒトゲノムにRNAウイルス発見=4000万年前に感染か-大阪大

 ヒトの全遺伝情報(ゲノム)の中に、RNAウイルスの遺伝子が取り込まれていることを大阪大の朝長啓造准教授らが発見した。4000万年以上前に感染した痕跡とみられ、ウイルスと人類が互いに関連しながら進化してきた謎を解明する手掛かりになるという。7日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
 生物は感染したレトロウイルスの遺伝子を取り込み、自らのゲノムを多様化させてきた。現在まで残ったこれらの遺伝子は「ウイルス化石」と呼ばれるが、レトロウイルス以外は見つかっていなかった。
  朝長准教授らは、RNAウイルスの一種で脳神経細胞に感染しやすいボルナウイルスの遺伝子の一部が、ヒトやアフリカゾウ、マウスなど哺乳(ほにゅう)類のゲノムに存在することを新たに発見。ヒトの祖先が枝分かれした4000万年前までにこのウイルスに感染し、ゲノムに取り込まれた可能性が高いことが分かった。
 朝長准教授は「ボルナウイルスの感染の仕組みが分かれば、遺伝子治療に応用できる。神経細胞に外部から遺伝子を導入する際の運搬役など、新しい利用法の開発につながるのではないか」と話している。(2010/01/07-06:56)

 オリジナルの論文はこちら。

Masayuki Horie et al., “Endogenous non-retroviral RNA virus elements in mammalian genomes,” Nature 463, no. 7277 (January 7, 2010): 84-87, doi:10.1038/nature08695.

 しかし、HHV6がヒトのゲノムに組み込まれている希なイベントもあるようなので(PMID: 10477678)、「レトロウイルスではない」というのがこの研究の特徴ではなく、やはりRNAウイルスの遺伝子が組み込まれているというところが特徴なのでしょう。

 植物ウイルスにはRNAウイルスが多いのと、生殖系列の細胞の分化が動物よりもずっと遅いので、同じような現象はより見つかりやすい条件が揃っています。
# たしかイネ・ゲノムにはツングロ・ウイルスの化石が埋まっていたと記憶しております。

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