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2010/06/13

グリーン・イノベーション関係のアクションプラン改定の見込み

 5月末のエントリーで触れた、総合科学技術会議の平成23年度科学・技術重要施策アクションプランに対する意見募集が先頃締め切られました。寄せられた意見に基づき、グリーンイノベーション関係の課題では”バイオマスによる再生可能エネルギーへの転換の促進”が重点化されることになる見通しです。資料はこちら

 方策としては次の通り

(2-2) 方策「バイオマスによる再生可能エネルギーへの転換の促進」
(ⅰ)推進方針と期待される効果
 バイオマスは、自然循環系の中で森林や樹木などの形でCO2 を吸収・貯留する重要な役割を果たすと共に、熱利用、発電、バイオ燃料など多様な利用技術の開発と普及がなされており、カーボンニュートラルの特徴から再生可能エネルギーの一つとして重要である。バイオマス利用技術の世界市場は大きいが、原材料の収集・運搬コストの低減や、食料と競合しない非食料バイオマスの転換技術などの課題がある。これらの解決に向けて、我が国が強みを有する植物科学、バイオテクノロジーを活かし、バイオマス利用技術の研究開発によるブレークスルー創出、イノベーション創出、さらに、地産・地消型エネルギー需給システムの確立など普及拡大に向けた各種施策を総合的に展開する必要がある。

 課題の設定された領域は、

  • 原材料の収集・運搬コストの低減: エネルギーの地産地消という感じ?
  • 食料と競合しない非食料バイオマスの転換技術: 耕地以外でのバイオマス生産?
  • など: その他少々

 対応する研究分野は、

  • 植物科学
  • バイオテクノロジー
  • バイオマス利用技術の研究開発
  • 地産・地消型エネルギー需給システム

とのことですので、遺伝子組換え+植物科学+発酵技術+プラント製造技術の分野の実用化につながる研究開発に向こう10年間、重点的に研究資金を配分する見込み。

 同じ植物科学でもバイオマス実用化以外の分野は先細りになる模様。私はそちら方面に行く予定はないので先の見通しは明るくない。

 ともあれ、こういう未来予想もある。毎日新聞より。

文科省:「未来予測図」 2031年に宇宙観光、24年にマイカー消える

 文部科学省科学技術政策研究所は10日、今後30年間に実現しそうな新技術を発表した。大学や企業など専門家の意見を踏まえたもので、環境技術や宇宙分野での進展が期待されているのが特徴だ。
 調査は71年から5年おきに行われ、今回で9回目。分野の異なる専門家135人が12分科会をつくり、解決すべき技術課題として計832項目を列挙。2040年までの実現性などを有識者にアンケート調査し、延べ2900人が回答した。
 地球温暖化問題を受け、環境・エネルギーや情報通信の技術に関心が集中。また、「自動車の大部分はリースか共有」(24年)となりマイカーは消えるなど、人々の価値観も変わると予測している。しかし、温暖化の国際交渉で25年に「温室効果ガス半減に向け、途上国を含めた計画策定が実現」と悲観的な結論になった。
 宇宙開発では、31年に宇宙旅行が広まり、40年には有人月面基地が現れる。
 技術発展のため「関係を強化すべき国」には、従来の欧米に加えて中国を挙げる意見が増え、ここでも環境問題などで中国の存在感の大きさが反映した。
 予測には「政策提言や制度設計の際に社会的重要性や国内外での影響などを詳しく分析し、問題点を把握する技術」が33年に実現するという結論も。 「政治を科学する」と訴えた鳩山由紀夫前首相の登場は20年以上早かったようだ。
 一方で、5年前の前回調査に比べ、原子力発電の解体技術や地震予知分野で数年ずつ実現が遅れるという予測になった。【山田大輔】

 この種の予想が当たることはあまりないと思うので、あと14年で”「自動車の大部分はリースか共有」(24年)となりマイカーは消える”ということはないだろうけど・・・まあ都市住民は良いけど地方では日常の足が無くなるという意味なので、これは無理でしょうから。ともあれ、自家用車の台数は多分減るだろうし、電気自動車に転換されるとなると、”バイオマス”をどう利用するのかも考えておかなくてはいけない。

 エネルギー源を分散させるという意味では電気自動車が最も有利だろうから、バイオマス燃料の開発ターゲットも、いずれ電気自動車に代替されてしまう乗用車向けのガソリン代替燃料よりは、物流を支えるディーゼルエンジン向けの軽油代替燃料や、ジェットエンジン向けのケロシン代替燃料を指向する方が良いだろう。となると、植物に蓄積する物質も、アルコール発酵させてから燃料を得るデンプンやセルロースよりも脂質の方がよいことになるだろう。たとえばジャトロファやナタネ、ダイズ、ある種の藻類といったところ。イネ科作物の出番はなさそうだ。

 油量作物の多くは乾燥帯に適応している。ジャトロファは日本で栽培するのに向いた植物ではなさそうだし、ダイズも雨の多い日本の気候にはあまり向いていない。となるとあとはナタネくらいだろうか。しかし、ナタネの研究は日本ではあまり進んでいるとは言えない。さてどうしたものか。

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