可動的生態系としてのヒト
以前、ヒトの体表の細菌叢には性差があるらしいと言うエントリーを書いた際に論文を紹介し損なっていたので改めて紹介します。
この論文では「体表」の細菌叢を、rRNA遺伝子の塩基配列を手がかりに分析していましたが、今日のトピックスは手法的にはもっとUp to dateです。
これはNIHのファンドでウイルスや真核生物も含めた"human microbes"のゲノム全体対象にしたメタゲノム解析。Roscheの454とIlluminaのSolexaを使用しています。標準的な微生物腫は178種(547,968ポリペプチド相当)とのこと。
一方、腸内細菌に特化した研究も。
サンプルはヒト(ヨーロッパ人)の排泄物、124人分。576.7 Gbpを解読。解析プラットホームは454とIllumina GA。ヒト全体に標準的なバクテリアは160種程度。バクテリアの種類全部では1,000-1,150種に上ると見られる。
どんどん大規模化してますね。こうなると次のターゲットは、アジア人、アフリカ人を含めたヒト集団でしょう。日本人の腸内細菌には、アガロース分解酵素を持ってる変わり種もいる様ですので今後の展開が楽しみ。とはいえ、これまでの研究から言えば、160種程度の代表的な微生物は、あらゆるヒトに共通の・・・というかヒトという生態系を構成するメンバーといっても良いのでしょう。
風邪をひいて抗生物質を処方されたりすると、細菌叢が大きく変わったりしないんだろうか。その方が遺伝子組換え食品由来のBtトキシン遺伝子やCP4 EPSPSが水平移動するよりも、よほど生態系を破壊することになる様な気もするのだけれど。
こんな論文を斜め読みしていると、今時なら「堆肥のメタゲノミックス」や「有機農産物のメタゲノミックス」なんかがうけるのかなぁ、という邪な考えが頭をよぎってしまう。
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