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2010年5月 9日 (日)

科学は知の異種格闘技か?

 物理学者ファイマン曰く

「科学にとっての哲学は、鳥にとっての鳥類学者と同じだ」 (p. 220)

高橋昌一郎著、講談社現代新書、知性の限界 不可測性・不確実性・不可知性より孫引き。ある意味、科学者にとってのサイエンスコミュニケーターもまた、鳥にとっての鳥類学者と同じようなものかもしれないなぁ。

 また、この本では哲学者ファイヤアーベント(Paul Feyerabend)を紹介しています。私、不勉強にしてファイヤアーベントを知りませんでした。私は、ファイマンさんの位置づけではどちらかと言えば鳥類学者よりは鳥のほうなので、同時代の哲学者トーマス・クーンのパラダイムという用語や、通常科学への異常科学の挑戦という科学史観は知っていたけれど、「何でもあり」という立場は初めて知りました。

「科学は本質的にアナーキスト的な行為だ」

 こんなにアナーキーなことを言う哲学者が居たとはショッキングです。言うなれば、科学とは正統対異端の二項対立ではなく、「何でもあり」の知の異種格闘義戦又はバトル・ロワイアル。正しいものが勝つのではなく、勝ったものが正しいのだ・・・違うか。

 もう一つファイヤアーベントの言葉を引用しておこう。

「自分の話し方の基準にこだわって、その基準に合わないものは何でも拒否してしまう。いったん話題が馴染みのないものになり、自分の型にはまった判断からはみ出すとたちまち見慣れない服を着た主人に出会った犬みたいに、途方にくれてしまう。」

 ファイヤアーベントは、柔道着を着て居ないヤツとは試合ができないとか、土俵の上でなければ取り組みができないとは言わないのですね。「特権意識的失語症」の対極にある姿勢なのだろうか。なんだか親しみが持てます。今度、ファイヤアーベントの著書を読んでみよう。

 私の見るところ、この国の科学は今、伝統的なあり方を変えようとしている。明治以来、これまでは税を原資とする研究のステイクホルダーは、科学者とスポンサーの代理人たる官僚だけであったが、今後、科学者もこれまでよりもより一層、市民への説明責任を負わなくてはならなくなってきた。先般の事業仕分けも然り。今年の総合科学技術会議 基本政策専門調査会(第7回)の科学技術基本政策策定の基本方針(素案)(PDF)の”Ⅴ.これからの新たな政策の展開”にも次のようにある。

3.科学・技術コミュニケーションの抜本的強化 ~国民とともに創り進める政策~
(1)政策の企画立案・推進への国民参画の促進
○ 科学・技術・イノベーション政策で解決すべき課題や社会ニーズ、科学・技術の成果が社会に還元される際の課題等について、広く国民が参画して議論できる場の形成など新たな仕組みを整備する
○ 国民の政策への積極的参画を促す観点から、例えばNPO法人等による地域社会での科学・技術コミュニケーション活動や、社会的課題に関する調査・分析に係る取組を支援する。
○ 国民が自ら科学・技術の活用や要望について判断できるような情報提供やリテラシー向上の取組を行う

 このように、研究プロジェクトの企画立案段階から国民が参加するのであれば、当然、国民に対して科学者が説明や対話をする機会が増えていくだろう。もしそうなれば、もう”非科学者”である一般国民の使う用語や概念の正確性がどうのとは言っていられない状況での議論が、有無をいわさず広げられていくことになるだろう。

 普通に考えれば予算獲得に関わるそのような議論を、これまた一種”非専門家”であるサイエンスコミュニケーターだけが担うことはできないであろうから、ある程度のポジションにある科学者は否応なく、知の異種格闘義戦に引きずり込まれて行くことだろう。しかし、恐れることはない。もし、ファイヤアーベントの言うように

「科学は本質的にアナーキスト的な行為だ」

というのであれば、本領を遺憾なく発揮すればよいのだから。

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