第4期 科学技術基本計画の素案あるいは”NIASオープンカレッジ”のご案内
第4期 科学技術基本計画の素案に関する記事なのだけれど、総合科学技術会議のホームページにはまだ第7回会合の素案が出ていないので正確なところは分からない。
研究費1千万円→市民講座を年1回 研究者に義務化?案
2010年4月19日18時42分
国から1千万円の研究費をもらったら年1回、子どもや市民に自分の研究をわかりやすく説明する――来年度以降、研究者がこんな必要に迫られる可能性が出てきた。
政府の総合科学技術会議の調査会で2011年度から始まる科学技術基本計画の素案が示され、「1千万円以上の研究費を得た研究者には、小中学校や市民講座でのレクチャーなどの科学・技術コミュニケーション活動への貢献を求める」との文言が盛り込まれた。
発表する研究論文には、一般向けにもわかりやすい数百字程度の説明を添付することも求める。内閣府の津村啓介政務官(科学技術担当)は「これから研究費を交付する方にお願いすることを考えている」と話し、具体的な制度の検討に入ったことを明らかにした。
内閣府によると、英国では一部の研究費で1年に1回、一般向けに内容を説明することを求めている、という。3月に大阪で開かれた総合科学技術会議の地方開催で傍聴者から、こうした制度の導入の必要性が指摘され、検討するきっかけになった。
文部科学省の科学研究費補助金だけでも、年5万人の研究代表者に平均300万円支給され、データベースによると1千万円以上の支給が採択された研究が年間1万件前後あり、対象は相当数に上りそうだ。
昨年の事業仕分けで科学事業に厳しい判定が相次ぎ、科学界からは反発を招いた。津村政務官は「科学者と国民のコミュニケーション不足を痛感した」といい、「民主党の科学政策が見えないとの批判があるが、面白いアイデアはすぐに実行に移している」とアピールしている。
(行方史郎)
記事によると、「研究者に義務化?」ですが、内閣府の担当者によると 「これから研究費を交付する方にお願いすることを考えている」とあります。つまり、研究費をもらう方だけが義務を負うのではなく、研究費を支給する方にも科学・技術コミュニケーション活動への貢献を求めるという理解で良いのでしょう。
というのも、研究費を支給された側の視点で考えれば明らかなように、個々の研究者が自助努力で「小中学校や市民講座でのレクチャー」をしようとすると、場のセッティクングはどうするのか?とか講演時間はどのくらい?とか聴衆の年齢階層はどのくらいを想定するのか?とか開催のためのマンパワーをどうするか?とか色々な問題が出てきます。
# 私もしばしば研究所の見学にこられた方に対応してミニ講演会をしますが、市町村の農業委員会の方に15分くらいでというオーダーと、生物学系の大学生相手に45分くらいでというオーダーでは準備段階からかかる労力が相当に違います。
こういう場合は、研究資金を配分する側が市民講座をセットするとか、大学と連携して既に行われている生涯学習コースの一環として講師を務めると市民とのコミュニケーションとしてカウントするという工夫も必要。あらかじめ、コミュニケーションの枠組みが決まっているというだけで、”誰にとってわかりやすい説明か”が想定できるので、準備の負担感が相当に違います。
# 今はやりのやり方であれば、研究資金についてのクレジットを入れてYoutubeで講義するのではダメだろうか?
そうそう。市民講座と言えば、私の職場でも9月からお茶の水大学、早稲田大学と連携して”NIASオープンカレッジ”という公開講座を15週連続で開催します。日時は9月2日からの毎週木曜、午後6時半から8時まで。詳しくはこちら。講義内容はこちら。
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# サイエンス・カフェではありませんので、お茶もお菓子も出せませんがあしからず。
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