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2010年3月 5日 (金)

カルタヘナ議定書を補足する議定書

共同通信からこんなニュースが。

   生態系被害に補償制度 バイテク生物の越境利用で素案

 遺伝子組み換え作物のように、バイオテクノロジーで人為的に改変された生物が国境を越えて移動した結果、生物多様性に被害をもたらした場合に、影響を受けた国が事業者に補償を求められる仕組みを定めた初めての国際協定の素案が、3日判明した。

 国際枠組みの創設は、名古屋市で10月に開かれる、生物多様性条約の下に位置付けられるカルタヘナ議定書第5回締約国会議での最大の議題。各国は会議で新協定の採択を目指す。

 新協定は、人為的に改変された生物(LMO)が生物多様性に悪影響を及ぼすことを防ぐ措置を定めたカルタヘナ議定書の補足議定書。LMOが輸出先の国で環境中に出るなどして、多様性に悪影響が生じた場合を想定、人の健康リスクが生じた場合も対象とする。

 組み換え生物の利用が拡大し、生態系影響への懸念が高まる中、損害賠償制度の創設を求める声が高まっていた。

 素案は、被害が出た場合、締約国が事業者に被害の評価や適切な対応措置の実施を求めなければならないと規定。 

2010/03/04 02:022010/03/04 02:02   【共同通信】

 補償制度についての経緯を言えば、カルタヘナ議定書第27条の規定による”責任と救済”については、2008年5月にドイツで開かれた生物多様性条約COP-MOP 4までに決定することになっていたが、先進国側と途上国側の合意形成に失敗したため、保留されていた(議長国ドイツのチョンボ)。そこで、今度はこの10月に名古屋で開かれるCOP-MOP 5までに補償制度の裏付けとなる議定書の文書が合意される見通し、ということ。
 この経緯については、外務省のホームページでも公表されている。で、合意文書のドラフトは生物多様性条約事務局のホームページで公開されている。

 ではあるが、この記事、いくつか良くわからない点がある。たとえば、”国際協定の素案が、3日判明した。”という書きぶり。合意文書のドラフトの確定は、2月14日(それに先立つ2/8-12にクアラルンプールで開かれた議長国フレンズ会合(BSGFLR-02)で文書案が練られた)、生物多様性条約事務局のホームページに掲載されたのは、ドラフトのPDFファイルの作成の日付から見ておそらく2/25あたり。なので、このタイミングで記事になったのは、"誰に"判明したためなのかがわからない

 それから、この記事にはちょっとばかり間違いがある。”人の健康リスクが生じた場合も対象とする”とあるが、これは、人の健康に危害が生じた場合も対象とするというのが正しい。リスク=恐れ・可能性だけでは、何をどう救済して良いのか・・・。

 以下に、BSGFLR-02の合意文書のAnnex Iについての、私なりのメモを記録しておく。

主題:カルタヘナ議定書第27条に基づく遺伝子組換え生物の国境を越えた移動によって生じた損害に対する責任と救済"LIABILITY AND REDRESS"に関する補完議定書の策定。

 "LIABILITY AND REDRESS"に関する補完議定書はカルタヘナ議定書自体とは別の議定書(SUPPLEMENTARY PROTOCOL)として提案される。従って、カルタヘナ議定書締約国が自動的にこの議定書に拘束されることにはならない(日本は議長国としては批准に向 けて努力する態度をとることになるだろうか?)。

Annex I

表題:議定書の表題は合意に達していない

Article 1: 目的。全般が合意に達していない。

Article 2: 用語の定義。被害の範囲をDamage, Imminent threat of damage, Incidentと分類。補償の対象となる被害を発生した行為の主体になる"Oparator"の対象も合意に達していない。

Article 3: 補償の対象となる被害発生の原因についての定義。製品に由来する被害も対象とするかどうか合意に達していない。

Article 4-6: 合意済み。

Article 4: 補完議定書による補償の対象となる損害の空間的範囲を批准国の主権の範囲に限定する。

Article 5: 補完議定書による補償の対象となる損害の時間的範囲を、補完議定書の拘束力が加盟国に及んだ時点以降のLMO の国境を越える移動による被害に限定する。(←プラスミドを送付して、受け取り側の国でLMOを作成した場合は補償対象に含まれない。)

Article 6: 問題となる行為と被害の因果関係の推定は、国内法による。(因果関係の推定において、被害発生国と原因を生じさせたと推定される国の間で見解の不一致が生 じる可能性は大。)

Article 7: 救済履行の強制力と、発動のタイミングとして”差し迫った”被害の虞をも含めるかどうかで合意に達していない。

Article 8-11: 合意済み。

Article 8: 不可抗力による例外の設定。("Act of God or force majeure"と言うのですね。)

Article 9: 補完議定書が"oparator"のもつ賠償請求等の権利を制限するものではないとする規定。

Article 10: 補完議定書締約国の設ける時間的制限に対する容認。

Article 11: 補完議定書締約国の設ける金銭的制限に対する容認。

Article 12: oparatorに対する保険など補償の資金的裏付けの要求。合意に達していない。

Article 13: 国内法の適用・整備に関しての強制力の強さ。合意に達していない。

Article 14-18: 合意済み。

Article 14: 補足議定書の実効性に関する5年目見直し規定。

Article 15: 補足議定書は国家責任を定めた国際法による権利や義務に影響しない。

Article 16: 補足議定書のCOP-MOPはカルタヘナ議定書のそれに従う。

Article 17: 補足議定書の事務局はカルタヘナ議定書のそれに従う。

Article 18: カルタヘナ議定書の補足議定書に対する卓越性を規定。

Article 19: 署名の日程に関する項目。合意に達していない。

Article 20: 合意済み。加盟国等が署名批准等した9日後に発効することを規定。

Article 21: 留保(reservations)を認めるか否か。合意に達していない。

Article 22,23:合意済み。

Article 22: 補足議定書とカルタヘナ議定書への批准等の2年以内の取り消しを認める規程。

Article 23: 国連公用語で書かれた補足議定書原文はいずれも等しく正本であると言う規程。

以上。

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