五分咲き
”世の中に 開花予想の なかりせば 春の心はのどけからまし”
(訳: 春先に桜の開花予想が発表されると、そろそろ花見の準備をしなければとせわしない気分になってしまう。 いっそ開花予想なんて無ければ春は平穏な気持ちで居られるものを)
今年から気象庁が桜の開花予想を止めたとか。ソメイヨシノの開花予想は私にとって無くても良いものの一つです。
そこで返歌。
”知ればこそ いとど予想はめでたけれ 憂き世になにか久しかるべき”
(訳: 先の予想ができるだけ良いじゃありませんか。先行き不透明で不安な世相なのですから予想が立つだけたいしたものですよ)
写真は近所の桜ですが五分咲きといったところだろうか。開花期の早さと言い、花弁の濃いピンク色と言いソメイヨシノではありません。ソメイヨシノ中心主義の開花予想など我関せずと、もう咲き始めています。
植物の開花期なんて遺伝子型次第。桜にだって早生もあれば晩生もある。単一クローンのソメイヨシノ、しかもその中でも各地域に特定の標準木の開花期を正確に予想できても、学術的な意味はそれほどなし。気象庁は何のためにそんなサービスをやっていたのだろう?
# 仕出し屋さんが仕入れの目処を立てるため?
桜と言えば、理研で発売中の”仁科乙女”。「リングサイクロトロン」で発生させた重イオンビーム照射によって作出した”4~7月、9~11月の二季咲き”の桜です。しかも、「花が美しく咲く期間は敬翁桜の2週間に対して2倍の4週間」と鼻持ちがよいのが特徴です。
春じゃなくても咲くし、しかもなかなか散らない。・・・”桜らしさ”と言う旧弊な固定観念を打ち破る科学の粋と言うべきか、あるいは日本人の伝統的な美意識に楯突く無粋の極みと言うべきか。
科学者の端くれとしては持ち上げたい気持ちもあるのですが、品種育成に手を染めたことのある育種家の端くれとしては”顧客ニーズを無視したひとりよがり”にも見えてしまって、何というか・・・。評価は市場が決めるでしょうね。
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