2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

最近のトラックバック

どこからきたの?

  • なかのひと

Google Analytics

« ダイズ・ゲノムシーケンス完了 | トップページ | ヒトのゲノムワイドアソシエーション研究 »

2010年1月24日 (日)

第2回「新農業展開ゲノムプロジェクト」シンポジウム

 先週木曜日(1月21日)、表記シンポジウムに参加した。テーマは”中国の研究者等との遺伝子組換え作物の研究に関する情報交換”。演者は、北京大学前学長 許智宏先生、北京大学生命科学学院 安成才先生、デュポン社中国支社 王琴芳先生の三氏。

許先生、安先生のお話:
 中国は世界人口の22%を擁するが、農業生産に利用可能な土地面積は世界の9%に過ぎない。この人口に十分な食料を供給することは重要な課題である。これまでのところ十分な食糧供給に成功してはいるが、今後増大する消費を前に自給率を確保するためには技術革新による食料生産の向上が必要である。中国はGDPの1.5%を農業バイオテクノロジーの研究開発に投資している。

# この、研究開発に対する財政支出は、国の将来を支えるための”投資”であるという明確な目的意識は見習うべきだろう。もっとも、日本では全産業に占める農業の地位は中国ほど高くはないので、投資対象としての順位もそれなりになることは致し方ないけれど。

 農業バイオテクノロジー研究として力を入れている分野はイネ・ゲノム研究など作物遺伝子の機能解析研究そして、遺伝子組換え作物の開発。中でも特に中国らしい分野はイネのF1ハイブリッド育種関連遺伝子の機能解析と、ワタの繊維発達に関連した遺伝子機能の解析(中国のイネ育種は、この30年ほどの間、F1ハイブリッドに非常に重点化している)。

 中国で遺伝子組換え作物の開発で重点化している作物種は、イネ、トウモロコシ、ワタ、コムギ、ナタネの5種類。標的形質は、耐虫性(BtとCPTI)、耐病性、ストレス耐性、油収量の向上(ナタネ)、フィターゼ。ここでいうフィターゼは根から分泌するタイプ?なのか、土壌中のリン酸の吸収効率を向上させる目的という説明だった。他の国では、家禽の飼料に添加する組換えフィターゼを種子に内生させて、飼料添加物を削減すると同時に家畜のリン酸利用効率を向上させるのが目的なので、ちょっと指向性が違うのかな、という感じ。

# 中国では昨年末、耐虫性遺伝子組換えイネの商業栽培が許可されたことが報道された。主要作物として、独自開発の遺伝子組換え作物に商業栽培の許可が下りたのは中国がアジアでは1番乗りだ。これを踏まえて・・・

王先生のお話:

 規制関係の情報に関していえば、中国は組換え作物の商業栽培のための許認可に大きな特徴がある。

  • 栽培許可は省単位で下りる(全国一律ではないので、一つの品種に対しても省ごとに許可が出される)。
  • 栽培許可は”品種単位”で下りる(OECD加盟国では、イベントごとに許可が下りる。中国では安全性が確認された品種を交配親に使っても、新たな品種ごとに許可を取り直す必要がある)。
  • 商業栽培に向けた野外試験は栽培面積ごとに3段階に分かれており、スケールアップしながら国内の評価”基地”で栽培試験を行う必要がある(国内開発作物限定なのか、海外開発の品種でもそうなのかは不明。OECD加盟国ではそれぞれの国内試験のデータの提出と小規模の試験栽培で良い)。
  • 栽培面積は、0.6 ha以下、0.6-2 ha、2 ha以上の3段階(・・・なのだが、日本の農家の平均耕作面積は1.65 ha位なので、”2 ha以上”という面積は、もはや試験栽培という規模ではないように思う)。
  • なお、品種登録のための栽培試験は、遺伝子組換え作物としての栽培試験終了後に3ヶ年かけて行うことになっているので時間がかかりすぎる(このあたりの事情は、日本の場合もあまり変わらない)。

# これだけの面積で栽培すると収穫物もそれなりの量になる。イネであれば2 ha栽培すると、収穫物は少なく見積もっても10tに上る。さて、どう処分するのか?流通規制を厳しくしておかないと市場に混乱を招くおそれあり・・・というコメントがNatureに投稿されていた。

 一方、食品安全性については、実質的同等性ベースで評価するという説明はあったが、あまり詳しい話はなかった。研究開発の推進を目的とした栽培規制としては、おそらく世界一厳しい基準が設けられている様に思うのだが、食品・飼料安全性についてはむしろOECD加盟国の水準よりも緩いように思う。これが食品の輸出に際して障害とならなければ良いのだが。

人気blogランキングへ←クリックして いただけますと筆者が喜びます!

« ダイズ・ゲノムシーケンス完了 | トップページ | ヒトのゲノムワイドアソシエーション研究 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/139010/47382009

この記事へのトラックバック一覧です: 第2回「新農業展開ゲノムプロジェクト」シンポジウム:

« ダイズ・ゲノムシーケンス完了 | トップページ | ヒトのゲノムワイドアソシエーション研究 »

twitter

  • Bernard_Domon

Ranking

  • にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ
    日本ブログ村
無料ブログはココログ