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2009年2月8日 - 2009年2月14日の記事

2009年2月14日 (土)

風邪のウイルスの全ゲノム解析

Human rhinovirus (HRVs), 99株の全ゲノムの塩基配列が解明された。HRVsは、普通の風邪の原因ウイルス。

Ann C. Palmenberg et al., “Sequencing and Analyses of All Known Human Rhinovirus Genomes Reveals Structure and Evolution,” Science (February 12, 2009): 1165557, doi:10.1126/science.1165557. 

時事通信より。

風邪ウイルスのゲノム解読=新薬・ワクチン開発に期待-米大学など

  風邪をもたらすヒトライノウイルス(HRV)について、血清型(セロタイプ)の違いによる99株の全遺伝情報(ゲノム)を解読し、進化系統を明らかにした と、米国のメリーランド大やJ・クレイグ・ベンター研究所などの研究チームが13日、米科学誌サイエンス電子版に発表した。
 風邪はインフルエンザと違って軽視されがちだが、ぜんそくの一因となり、幼児や高齢者は重くなる場合もある。解読成果は、発熱やせきなどの症状を抑えるのではなく、直接退治する抗ウイルス剤やワクチンの開発に役立つと期待される。(2009/02/13-15:17)

昔から、風邪の予防薬ができればノーベル賞ものと言われてきた。しかし、これまでワクチンが作れなかったのには理由がある。今回、全ゲノムが解析されたHRVsは99株だが、実際はそれ以上ある。

変異型が多いほどワクチンは作りにくい。通常、ワクチンは抗原のタイプごとに作成する。接種の際には複数の抗原を混合することもある(3種混合予防接種など)。混合できる抗原の種類は数種類に限られているが、ウイルスのタイプはそれよりもはるかに多いのが問題だ。

HRVsではないが、最近、感染研を中心にインフルエンザウイルス株間での変異が少ないタンパク質を標的にした、いわゆる”万能ワクチン”の開発が行なわれている。HRVsでも同様の戦略がとれれば風邪の予防ワクチンも夢ではないかもしれない。

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2009年2月13日 (金)

後ろ暗い感情を可視化する

朝のニュースで聞いて驚いた。朝日新聞より。

「他人の不幸喜ぶ」「ねたむ」脳の場所特定 放射線医研

2009年2月13日8時1分

  人をねたむ感情と人の不幸を喜ぶ感情をつかさどる脳の場所がそれぞれ特定され、二つの感情は密接に関係していた――。物語を読ませて被験者の感情を引き起 こし、機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)で調べた。放射線医学総合研究所などのグループが、13日付の米科学誌サイエンスに発表する。

 高橋英彦主任研究員らは、大学4年の男女19人に感情を引き起こす物語を読んでもらった。物語には、被験者に加え、ABCという3人の学生が登場 する。被験者と同性のAは、進路や人生の目標がほぼ一緒のライバルだが、成績優秀で裕福、異性にもてる。Bは異性で優秀だが、進路や目標は重なっていな い。Cは異性で普通の成績で進路は関係ないという設定だ。

 物語を読んだ後に、学生ABCに対するねたみの感情を6段階で答えてもらい、脳の血流の変化をみた。ねたみの感情はA、B、Cの順に高く、身体的な痛みや葛藤(かっとう)などを処理する脳の前部帯状回が働いていることがわかった。

 次に、最もねたましいAとねたましくないCに、不幸が起こる続編を提示。Cには起きなかったうれしい気持ちがAには中程度示された。このとき、脳の線条体が活発に動いた。この領域は、社会的、金銭的な報酬を得たときに活動することがわかっている。

 また、ねたみにかかわる脳の領域の活動が高い人ほど、他人の不幸を喜ぶ領域で反応が強く出た。

 柿木隆介・生理学研究所教授は「ねたみと他人の不幸に対する自己満足は、深い関係があることを示した興味深い結果だ」と話している。(佐藤久恵)

放医研の設立趣旨・ミッションに合った仕事かどうかは判断できないが、面白い研究だ。ただ、文章を読んだときに引き起こされる「ねたみ」が現実のそれと同じ性質かどうかちょっと疑問ではある。

ねたみとは「不公平」に関わる感情なのだとしたら、ヒトやオオカミのように、集団で生活して社会を構成する生き物が資源を公平に配分するのに役立ってきたのかもしれない。イヌにも不公平を感じ取る能力はあるらしいので。

だが、「他人の不幸を喜ぶ」と言う感情はどのように進化してきたのだろう。そして、その感情は何の役に立ってきたのだろう。謎だ。

こんな風に感情とそれを引き起こす脳の活動部位の関連が明らかになってくると、そのうち、歓喜の部位、カッとしたときの怒りの部位と義憤の部位、悲しみの部位に驚愕の部位など色々なことが分かってくるに違いない。

横になってfMRIでスキャンされながら怒っている被験者を想像すると、それ自体、結構喜劇的な有様だ。

# おそらく「エッチな妄想」をしているときに活性化する機能部位というのもあるんだろうな。論文になるのかどうか疑わしいが、PLoS ONEで発表されるかも。

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2009年2月 9日 (月)

動物工場で医薬品を製造

朝日新聞より。

動物工場製品、米で承認 組み換えヤギで血液凝固防止剤

2009年2月9日12時30分

  【ワシントン=勝田敏彦】米食品医薬品局(FDA)は6日、ヒトの遺伝子を組み込んだ「遺伝子組み換えヤギ」の乳から作った血液凝固防止剤を承認したと発表した。組み換え技術を使って有用物質を動物に大量に作らせる「動物工場」の開発は各国で行われているが、FDAが組み換え動物を使った製品を承認したのは初めて。

 この薬はアトリンといい、GTCバイオセラピューティックス社(マサチューセッツ州)などが開発した。

 ヒトには、血液を固まりにくくする働きがあるアンチトロンビン(AT)と呼ばれるたんぱく質がある。このたんぱく質の設計図に当たる遺伝子を、ヤギの受精卵に組み込んだ。ヤギ乳に含まれるたんぱく質の遺伝子のところに組み込まれた受精卵を使うと、生まれたヤギは設計図に従いヒトATを作る。組み換えヤギの乳の中にはヒトATが高い濃度で含まれ、これを集めて精製し、薬にした。

 この薬は先天的にATができない重い病気のため、手術や出産時に肺血栓などが起きやすい患者の治療に使う。

 FDAは昨年9月、動物工場や食用を想定した遺伝子組み換え動物の産業利用に道を開く指針案を公表。GTC社のこの薬は、欧米とカナダで臨床試験 が行われ、欧州ですでに承認されていた。米国では、今年1月の指針の最終決定を受けて承認された。GTC社は「今年4月以降に出荷する」としている。

 FDA指針では、人体や環境への安全性の証明などが生産者に義務づけられるが、環境団体などからは懸念の声も上がっていた。

 組み換え技術はすでにトウモロコシや大豆といった作物では実用化されている。

 医薬品としては、大腸菌やハムスターの細胞に人間の血液成分などを作らせて薬にした血液凝固剤や糖尿病薬などが実用化されている。だが、菌の培養などが必要でコストが高い。動物工場なら医薬品の大量生産が見込め、コストダウンにつながるという。日本でも研究が進んでいる。

 動物工場を増やし、生産力を高めるには最終的には体細胞クローン技術を使うと考えられている。

 ソースはこちら(FDA)。

 アトリン(ATryn)の成分はヒト・アンチトロンビン(Antithrombin III)、稀な先天性疾患先天性アンチトロンビン欠損症(HD:hereditary antithrombin deficiency)の患者の、出産や手術の際の血栓の防止に使われる。患者数が少なくその上、出産や手術の際にしか使われないことから、医薬品の生産にあたってのスケールメリットを生かすことができない。いわゆるオーファンドラッグである。動物工場であれば、生産コストを引き下げられると期待される。

 しかし、この記事の「組み換え技術はすでにトウモロコシや大豆といった作物では実用化されている。 」というコメントは何なんだろう。遺伝子組換え技術を使用した医薬品はそれほど珍しくはない。たとえば、ヒト成長ホルモン、B型肝炎の予防ワクチン、C型肝炎の治療薬であるインターフェロン、糖尿病で使われるインスリン、近く承認見込みの日本脳炎ワクチンに、新型インフルエンザ・ワクチンetc.。B型肝炎のワクチンなど20年以上前から実用化されている。医薬品製造に良く使われる普及技術の説明に、何で作物を引合いに出さなければならないのか記事の意図がわからない。

 医薬品の許認可は、安全性、効能、安定性は勿論、副作用のリスクを上回ることが見込まれるベネフィットがなくてはならない。その際に、先行して実用化されている医薬品が比較の基準となる訳だが、オーファンドラッグの場合は先行する医薬品が存在しないケースさえあるだろう。そういう意味では、難病の治療薬という切り口は、遺伝子組換え動物や遺伝子組換え植物を利用した、新しい製造プロセスで生産される医薬品にとっては良い開発ターゲットかもしれない。

 ちなみに、ヤギの乳からタンパク質を精製することのメリットは、記事にあるように「だが、菌の培養などが必要でコストが高い。動物工場なら医薬品の大量生産が見込め、コストダウンにつながるという。」というだけではない。大腸菌は一部の株には病原性がある。そうでない株であっても、菌体の成分が人体に入ると悪影響が及ぶ場合がある。それに対してヤギの乳は、それ自体が食品であり成分事態の安全性は高い。

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