2014年12月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

最近のトラックバック

どこからきたの?

  • なかのひと

Google Analytics

« 2009年1月4日 - 2009年1月10日 | トップページ | 2009年1月18日 - 2009年1月24日 »

2009年1月11日 - 2009年1月17日の記事

2009年1月17日 (土)

天ぷらにソースをかけますか?-ニッポン食文化の境界線

天ぷらにソースをかけますか?―ニッポン食文化の境界線 (新潮文庫)

 日本経済新聞社の野瀬泰申氏の著書を紹介しつつ。
 この本は、食べ物の嗜好についての地域差を方言と捕らえて、その地理的マッピングを行なっている。今風にWebでのアンケート調査と実地調査による裏づけを行なっており、データの信憑性は概ね高いと考えられる。

# ちなみに私も一寸だけ意見を寄せています。

 私は北海道出身だが、仕事の都合で香川県、熊本県、茨城県を渡り歩いてきた。この本で取り上げられたような「食の方言」を身をもって(舌を持って?)感じてきたので、頷ける部分が非常に多い。日本は、ちょっとした食習慣の違いを持つ文化圏のモザイクなのだと。

 香川に居たときは、うどん屋さんで冷めた天ぷらを熱々のうどんだしにトップリ漬けて食べていたし、熊本に居たときは、たしかにソースをかけるのが身の回りでは普通だった。北海道にいた頃は天つゆや醤油で食べるのが普通だったが、どれも実際にやってみると「これも、アリか」という感じだ。
 香川でも熊本でも、味噌といえば麦味噌が多く売られていた。私は、津軽三年味噌のような長期熟成型の塩分の多い米味噌で育ったのだが、食べてみると麦味噌も悪くはない。今は、茨城に住んでいるが大分の”フンドーキン”の麦味噌を愛用している。

 「天ぷらにソースをかけますか?」では、味噌汁の味噌に着目して地域差を考察しているのだが、味噌汁にはもう一つ重要な構成要素がある。”だし”だ。具のバリエーションは非常に多様なのでまとめようがないのだが、だしについては概ねイリコ(煮干)、ふし(カツオ、さば等)、昆布の三種類程度に限られている。この三種類のだしと味噌の種類(米、麦、豆)の組合せは、実はランダムではないように思う。たとえば、イリコだしは長崎から瀬戸内を通って四国の瀬戸内側、兵庫くらいまで分布している。うどんのだしも、香川ではイリコ+昆布がスタンダードだが、大阪から名古屋くらいまでは、ふし+昆布になっている。これはスーパーで売っているイリコの種類でも確認できる。岡山や香川では、イリコの大きさ別に大羽、中羽、小羽とサイズ別に分類されているのが普通だが、茨城ではそのような分類はない。単に「煮干」とかかれて一緒くたにされてしまっている。生活者のイリコに対する関心の程度が反映されているためだろう。

 このイリコに対する関心の高い地域は、概ね麦味噌地帯と概ねかさなる様に思う。だしの素材も味噌の原材料と同様、それぞれの地域で入手しやすいものがよく利用されている点では同じ原理が働いているようだ。瀬戸内や長崎ではイリコの原材料のカタクチイワシが良く取れる。昆布は昔から北前船の西回り航路で蝦夷地から大阪まで運ばれてきた。江戸時代からニンベンの鰹節というのが有名だが、江戸で鰹節を作っていたわけではない。鰹節は様々な流通をしているようだが焼津や枕崎で作られたものが全国に流れている。落語にもこんな小話がある。

「カツオってどんな字だっけ?」
「ニンベンだろ」

 脱線した。だしと味噌のコンビネーションに戻るが、 実際、食べてみても麦味噌の味噌汁にはカツオだしや昆布だしよりも、イリコだしの方がよく合うように感じる。味噌に含まれる遊離アミノ酸の種類が、米&麦(イネ科)、大豆(マメ科)で違っていて、だしの側の遊離アミノ酸の種類もイリコ、ふし、昆布で異なるため、旨みの相乗効果を発揮するコンビネーションが限られているのかもしれない。ヒトの舌が感じるアミノ酸によるウマミの相乗効果に関してこういう論文が出ていた。

Zhang, F. et al. Molecular mechanism for the umami taste synergism. Proc Natl Acad Sci U S A  (2008).doi:10.1073/pnas.0810174106

 昆布だしに含まれるうまみ成分のグルタミン酸とかつおだしに含まれるイノシン酸を合わせると、うまみが増す「相乗効果」が起きる。その仕組みに関するモデルを立てて、舌の表面にある「味覚受容体」と呼ばれるたんぱく質の一種「T1R1」分子に対するグルタミン酸とイノシン酸の結合の仕方をラットを使って実験的に確かめた研究。二枚貝の殻のようなT1R1分子の間にグルタミン酸が取り込まれた後で、イノシン酸が開閉部先端に結合すると、グルタミン酸が分子内に長く保持されるためにウマミのシグナルが長く続くらしい。

 味噌汁のだしと味噌のコンビネーションでもこの作用が・・・というのはいまのところ妄想。

 だが、だしに注目すると昆布はグルタミン酸、カツオはイノシン酸、イリコはグルタミン酸とイノシン酸の両方が含まれている。味噌の原材料の大豆と米(または裸麦)では貯蔵増たんぱく質のアミノ酸組成が異なることから、その分解産物のアミノ酸組成も異なる。おお、丁度良い論文があった。

植田 志摩子 “市販味噌のタンパク質・水分・食塩含量および遊離アミノ酸量について,” 帯広大谷短期大学紀要 35: 49-55. 

 これによると、

8.遊離アミノ酸量は1,036.5~3,416.lmg/100gであり、豆味噌>米味噌(西京白味噌除く)>加工味噌>麦味噌の順であった。
9.15種類の各アミノ酸において類似したのは、米味噌で淡色糸の純正米麹味噌と信州味噌が、そして、赤色糸の赤味噌と仙白味噌であった。
10.主な遊離アミノ酸量では、各味噌ともグルタミン酸が最も多く(106.6~746.1mg/100g、平均328.9mg/100g)であり、組成比で7.3~25.1%を占めていた。次いで、プロリン、アルギニン、ロイシンの順に多かった。

とある。

 つまり、味噌の遊離アミノ酸のうち最も多いものはウマミ成分でもあるグルタミン酸であり、麦味噌は各種の味噌の中でも遊離アミノ酸量がもっとも少ないことから(豆味噌の1/3しかない)、ウマミ成分も最も少ないと考えられる(豆味噌の1/7?)。また、麹と大豆の配合比率によって味噌に含まれるアミノ酸のバランスが変わることもわかった。

 このことから考えれば、単体でウマミ成分が少ない麦味噌に対しては、グルタミン酸とイノシン酸を同時に加えることができるイリコだしで味噌汁を作る方法は、あわせだしにしなくともウマミの相乗効果を単一のだしで引き出すことができる点で合理的な方法であると言えよう。

 そう考えると、津軽三年味噌(米味噌)+昆布だしという私の田舎の味噌汁の作法は、グルタミン酸(味噌)+グルタミン酸(昆布)なのでちょっと寂しい。まぁ、そのかわり具材に魚やカニが入って動物性のウマミ成分を補ってくれるのだけれど。

人気blogランキングへ←このエントリーの情報はお役に立ちましたか?

クリックしていただけると筆者が喜びます!

2009年1月16日 (金)

MapからAtlas、そしてその次へ

MapからAtlasへ

もう20年近く経とうとしているが、かつてBody Mapというプロジェクトがあった。ヒトの全身の組織で発現している遺伝子を網羅的に明らかにしようという意欲的な試みだった。ヒトのゲノムの全体像が明らかになるよりも前に、どのような遺伝子が体のどの部位で発現しているかをカタログ化して地図(Map)にすることを目指していた。

ヒトはもちろんイネでもゲノムプロジェクトは終了して、ゲノムの全体像がすでに明らかになっており、発現している(あるいはその可能性もある)遺伝子をガラスやシリコン基板上に配置したマイクロアレイが開発されている。最近では、こういったツールを使って、体の各部分でどの遺伝子がどの程度発現しているかをカタログ化して地図帳(Atlas)にするプロジェクトの成果が公表され始めている。生物の組織は単なる固まりではなく、性質の違う細胞が規則性を持って構造を形作っていることから、細胞の種類ごとに高分解能の解析を行っているところが特徴だ。

Jiao Y, Lori Tausta S, Gandotra N, Sun N, Liu T, Clay NK, Ceserani T, Chen M, Ma L, Holford M, Zhang H, Zhao H, Deng X, Nelson T. A transcriptome atlas of rice cell types uncovers cellular, functional and developmental hierarchies [Internet]. Nat Genet. 2009 Jan 4

もうMapではなくてAtlasなのだ(単にMapの拡張としてのAtlasというだけでなく、古くから解剖図をAtlasと呼んでいることも関係しているのだろう)。しかも、この空間的な分解能の高さを思うと感慨深いものがある。

あまり正確な言い回しではないが、こういった網羅的な大規模解析では、解析のスケールが大きくなり分解能が上がればあがるほど、解析の結果は全体としては「抽象化されていない生の現象」に近づく。

例えて言うなら、現象の「全体像」は非常に分解能の高い天体望遠鏡で撮影した天文写真に近いかも知れない。暗い画像の光点の部分を拡大すると、銀河が写っており、さらに拡大すると個々の恒星の集団が見え、さらに拡大すると恒星の周りにガスの雲やひょっとすると惑星まで見える。しかし、写真の全体像としては星雲が点のように散らばった黒っぽい夜空が写っている。

そしてAtlasの次に来るもの

個々の細胞内で発現している遺伝子の全体像(transcriptome)や、代謝の全体像(metaborome)も全体を見渡しても、天体写真を漠然と眺めた時のように、その全体像はもはや我々の理解力の限界を超えている。3次元でさえ既にそうなのだ。

しかし、成長や老化という生命現象を捉えようとすると、こういった研究は究極的には生命現象を数値化して記録し、リアルタイムで再構成するところまで行くのかもしれない(Google earthのStreet View画像がリアルタイムで動いているところを想像すると、それに近いイメージだろうか)。予想としては4Dを目指すのではないだろうか。それを何と呼ぶのだろうか。"Atlas Live View"とか?

だが、現象の科学的な意味づけを行うには、そこからノイズを振り分けてほしい情報を抽出することができたときに、初めて何かの現象を理解した(あるいは説明した)ことになる。従って、こういう網羅的な解析データは、データベースとして公開されて、利用されてこそ、その真価を発揮すると言えるだろう。

人気blogランキングへ←このエントリーの情報はお役に立ちましたか?

クリックしていただけると筆者が喜びます!

2009年1月15日 (木)

薬指が人差し指よりも長い人は金融トレーダー向き?

1/15の朝日新聞の朝刊にも出ていましたが、

薬指が人差し指よりも長い人は金融トレーダー向き、英大学研究 国際ニュース : AFPBB News

【1月14日 AFP】薬指が人差し指よりも長い人には、トレーダーとしての資質があるとの研究結果が、12日の米科学アカデミー紀要に発表された。

 これまでの研究で、薬指と人差し指の長さの割合(2D:4D比率)は、胎児期に、脳の発育に作用して自信と反射作用を高めるアンドロゲン(男性ホルモンの一種)にどれくらいさらされたかを測る指針となることがわかっていた。

 今回の研究を主導した英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)のジョン・コーティーズ(John Coates)氏によると、アンドロゲンは巨額の金融取引に必要な集中力と反射作用を改善するという。

 研究チームは、ロンドンの金融街シティの素早い決断力と迅速な反射行動を必要とする取引に従事している44人の男性トレーダーを対象に、指の長さを計測し、これらのトレーダーの過去20か月間の取引の利益と損失を比べた。

 その結果、薬指の長い人の方が長期にわたり高い利益を上げ、金融業界におけるキャリアも長い傾向にあることがわかった。(c)AFP

・・・だそうです。オリジナルの論文はこちら

John M. Coates, Mark Gurnell, and Aldo Rustichini, “Second-to-fourth digit ratio predicts success among high-frequency financial traders,” Proceedings of the National Academy of Sciences 106, no. 2 (January 13, 2009): 623-628, doi:10.1073/pnas.0810907106.   

研究の意図したところは、胎児期の脳の発達と将来の行動に関わる男性ホルモンの影響を見ること。スポーツの分野ではこれまで研究の事例はあっものの、金融のような経済活動においてどのような影響があるかを調べた例がないので調査してみた、ということらしい。なので、この研究から言えることは、「トレーダーをしている人の中では、薬指と人差し指の長さの比率が経済的な成功と相関があった」と言うところまでであって、他のいかなる職業に就いている(あるいは付こうとしている)人においても、薬指が人差し指よりもより長い人がよりトレーダーに向いているとまでは言えません。そう言う意味ではこの見出しは不適切です。むしろ、

薬指が人差し指よりも長い金融トレーダーの方が成功する

と言った方が良いでしょう。

薬指が人差し指よりもより長いことが”素早い決断力と迅速な反射行動”の指標になるのであれば、そういう人は”プロスポーツ選手向き”かも知れないし、”軍人向き”かも知れません。しかし、プロスポーツ選手や軍人として成功するには、それ以外の基本的な素養が必要なことは言うまでもありません。おそらく、トレーダーもそうでしょう。

ちなみに、私の場合、

Left

こんな案配。人差し指の爪の先端が薬指の爪の根本に届くかどうか。まぁ、研究者もばくち打ちの性向があると言う点ではトレーダーと変わらないのかも知れませんね。

なお、私自身は”素早い決断力と迅速な反射行動”においては全く自信がありません・・・。

また、”薬指が長いと数学、人差し指が長いと国語が得意―英研究結果”というニュースもあるので、理系の仕事を指向する人には薬指の長い人が多いのかも知れませんね(ニュース自体が消滅しているので、オリジナルの論文は辿れませんでした。日本の新聞社のサイトももう少し何とかならないものだろうか)。

そうそう、こんな本も出ています。

PubMedで"2D:4D Manning"というキーワードで検索すると、この10年ほどの間で数十本の論文がピックアップされてきます(Dr. ManningのFirstだけで21本もある!)。しかも、指の長さの比と他の某かとの関連に関する論文だけでこの状態なので、Dr. Manningはこの分野では非常にアクティブな研究者であるといえます。ただし、その事実と、この本の内容が科学的にしっかりしているかどうかとは別の問題です。なにぶん、たまたま書店の店頭で見かけただけでまだ読んでいないので・・・。

# 読んでもいないのに紹介するな!と怒られそうですが、機会があれば読んでみたい一冊です。

[以下の論文はどれ一つとして読んでいませんが、参考まで。PubMedとZoteroを使うとものの数分でリストアップできてしまう。]

  1. J T Manning, “The ratio of 2nd to 4th digit length and performance in skiing,” The Journal of Sports Medicine and Physical Fitness 42, no. 4 (December 2002): 446-50.  
  2. J T Manning et al., “The ratio of 2nd to 4th digit length: a predictor of sperm numbers and concentrations of testosterone, luteinizing hormone and oestrogen,” Human Reproduction (Oxford, England) 13, no. 11 (November 1998): 3000-4.  
  3. J T Manning et al., “The 2nd:4th digit ratio and asymmetry of hand performance in Jamaican children,” Laterality 5, no. 2 (April 2000): 121-32.  
  4. Manning et al., “The 2nd:4th digit ratio, sexual dimorphism, population differences, and reproductive success. evidence for sexually antagonistic genes?,” Evolution and Human Behavior: Official Journal of the Human Behavior and Evolution Society 21, no. 3 (May 1, 2000): 163-183.  
  5. J T Manning et al., “The 2nd to 4th digit ratio and autism,” Developmental Medicine and Child Neurology 43, no. 3 (March 2001): 160-4.  
  6. J T Manning, P Henzi, and P E Bundred, “The ratio of 2nd to 4th digit length: a proxy for testosterone, and susceptibility to HIV and AIDS?,” Medical Hypotheses 57, no. 6 (December 2001): 761-3, doi:10.1054/mehy.2001.1487.  
  7. J T Manning et al., “2nd to 4th digit ratio and offspring sex ratio,” Journal of Theoretical Biology 217, no. 1 (July 7, 2002): 93-5.  
  8. J T Manning, P E Bundred, and B F Flanagan, “The ratio of 2nd to 4th digit length: a proxy for transactivation activity of the androgen receptor gene?,” Medical Hypotheses 59, no. 3 (September 2002): 334-6.  
  9. J T Manning, M Callow, and P E Bundred, “Finger and toe ratios in humans and mice: implications for the aetiology of diseases influenced by HOX genes,” Medical Hypotheses 60, no. 3 (March 2003): 340-3.  
  10. J T Manning et al., “Second to fourth digit ratio (2D:4D) and testosterone in men,” Asian Journal of Andrology 6, no. 3 (September 2004): 211-5.  
  11. J T Manning et al., “Sex and ethnic differences in 2nd to 4th digit ratio of children,” Early Human Development 80, no. 2 (November 2004): 161-8, doi:10.1016/j.earlhumdev.2004.06.004.  
  12. John T Manning et al., “Photocopies yield lower digit ratios (2D:4D) than direct finger measurements,” Archives of Sexual Behavior 34, no. 3 (June 2005): 329-33, doi:10.1007/s10508-005-3121-y.  
  13. John T Manning, Andrew J G Churchill, and Michael Peters, “The effects of sex, ethnicity, and sexual orientation on self-measured digit ratio (2D:4D),” Archives of Sexual Behavior 36, no. 2 (April 2007): 223-33, doi:10.1007/s10508-007-9171-6.  
  14. J T Manning et al., “Second to fourth digit ratio: ethnic differences and family size in English, Indian and South African populations,” Annals of Human Biology 30, no. 5: 579-88.  
  15. John T Manning, Laura Morris, and Noreen Caswell, “Endurance running and digit ratio (2D:4D): implications for fetal testosterone effects on running speed and vascular health,” American Journal of Human Biology: The Official Journal of the Human Biology Council 19, no. 3: 416-21, doi:10.1002/ajhb.20603.  
  16. John T Manning et al., “The second to fourth digit ratio and asymmetry,” Annals of Human Biology 33, no. 4: 480-92, doi:10.1080/03014460600802551.  
  17. J T Manning and P E Bundred, “The ratio of 2nd to 4th digit length: a new predictor of disease predisposition?,” Medical Hypotheses 54, no. 5 (May 2000): 855-7, doi:10.1054/mehy.1999.1150.  
  18. John T Manning and Bernhard Fink, “Digit ratio (2D:4D), dominance, reproductive success, asymmetry, and sociosexuality in the BBC Internet Study,” American Journal of Human Biology: The Official Journal of the Human Biology Council 20, no. 4: 451-61, doi:10.1002/ajhb.20767.  
  19. J T Manning and M R Hill, “Digit ratio (2D:4D) and sprinting speed in boys,” American Journal of Human Biology: The Official Journal of the Human Biology Council (December 23, 2008), doi:10.1002/ajhb.20855, http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19107924.  
  20. J T Manning and S J Robinson, “2nd to 4th digit ratio and a universal mean for prenatal testosterone in homosexual men,” Medical Hypotheses 61, no. 2 (August 2003): 303-6.  
  21. J Manning and R Taylor, “Second to fourth digit ratio and male ability in sport: implications for sexual selection in humans,” Evolution and Human Behavior: Official Journal of the Human Behavior and Evolution Society 22, no. 1 (January 2001): 61-69. 

人気blogランキングへ←このエントリーの情報はお役に立ちましたか?

クリックしていただけると筆者が喜びます!

2009年1月14日 (水)

そんなに簡単に品種改良に応用はできない

植物の葉緑体の分裂と核、細胞の分裂はどうにかして同期して行われている。細胞分裂の速度にオルガネラの分裂が追いつかないと言う現象は実際には起こっていないのだが、なぜそれが起こらないのかは謎だった。

酵母などでは細胞周期の制御に関する研究がかなり進んでいるのだが、植物では核、葉緑体、ミトコンドリアの三角関係があって話がややこしくなっていた。

1/11の読売新聞より。

葉緑体が細胞増殖制御 千葉大グループ解明
品種改良など応用期待

 植物細胞の中で、これまで細胞核に活動を支配されているとみられていた小器官の葉緑体が、細胞が増殖する過程において、逆に細胞核のDNA(ゲノム)複製をコントロールしていることを、田中寛・千葉大大学院園芸学研究科教授(分子生物学)らのグループが突き止めた。細胞核が他の小器官を一方的に支配しているとする定説を覆すもので、近く米国科学アカデミー紀要の電子版に論文が公開される。

 バクテリアなどを除く動物や植物、菌類は、細胞の中に核を持つ真核細胞生物とされ、植物の場合、光合成を行う葉緑体と、酸素呼吸を行うミトコンドリアは、バクテリアだったそれぞれが進化の過程で真核細胞に入り込み、核に支配されたとみられていた。

 田中教授によると、研究は、シゾンという細胞核と葉緑体、ミトコンドリアを各1個ずつしか持たない単細胞藻類を用いて行われた。小器官はそれぞれがDNAを持っており、シゾンの増殖過程では、光を当てることでそれぞれDNAの複製が行われるが、葉緑体やミトコンドリアのDNA複製を止める薬剤を加えると、細胞核もDNA複製が起きなかった。

 一方、DNA複製が起きない暗い状態で、葉緑体がDNAを複製する際に放出するテトラピロール類と呼ばれる物質を与えると、細胞核ではDNA複製が起き始めた。

 このことから、葉緑体がDNAを複製する際に信号となる物質を放出し、細胞核のDNA複製を促していることが判明したという。

 田中教授らは、寄生体(パラサイト)が宿主に命令しているようだとして、この信号を「パラサイト・シグナル」と命名した。

 より高等な種子植物であるタバコでも、同様な仕組みで細胞増殖していることを確認、植物全体で同様であると推測できるという。

 田中教授は「植物の増殖制御を通じて品種改良や、農薬、成長促進剤の開発にも生かせるのではないか」としている。
(2009年1月11日  読売新聞)

千葉大学のプレスリリースはこちら。オリジナルの論文はこちら(Kobayashi et al. 2009)。
植物科学関係の記事は、とかく「品種改良など応用期待」と書かれがち。「品種改良など応用期待薄」とわざわざ書かれるよりは良いが、単細胞藻類のテトラピロール・シグナルが核の分裂にGOサインを出すことがようやく分かり始めたところで応用の話をするのはいかにも気が早い。

核の分裂を進める最初の(?)シグナルを捕まえたと言う点では、確かに一歩前進だ。
しかし、高等植物でも実際に同じような効き方をしているのかどうか、もう少し議論の余地がある様に思う。BY-2細胞のように同調できる系だからこそ見えてきた現象なのかも知れないが、核のチェックポイントの解除がどのように進むのか明らかにして行くには、もう少し精密な実験が必要だろう。

話は変わって、tetrapyrroleのシグナル伝達についてはこういう論文もある。

Mochizuki, N. et al. The steady-state level of Mg-protoporphyrin IX is not a determinant of plastid-to-nucleus signaling in Arabidopsis. Proc Natl Acad Sci U S A 105, 15184-9(2008).  

葉緑体と細胞の核の間の信号のやりとりは核の分裂に関わるものだけでなく、葉緑体を形作っている核遺伝子にコードされた多くのタンパク質の合成の制御に関わる信号も含まれている。こちらは、(おそらく、分裂していない組織を中心に据えて)葉緑体の tetrepyrrole signalと遺伝子発現との関連を考えている。Mg-protoporphyrin (MgProto)はtetrapyrroleの中間産物とされている。上記の論文ではアラビドプシスの細胞内のMgProtoのレベルと、葉緑体で機能するタンパク質をコードする核遺伝子(Lhcb1等)の発現レベルの間には相関がないことを示している。

分裂組織の個々の細胞の分裂と、植物体レベルで見た転写産物の蓄積量とでは、精度が異なるのでKobayasiらの研究と単純な比較はできないが、この論文ではカロチノイド合成阻害剤であるNorflurazon(NF)を添加して内生のProto, MgProto, MgProtoMeの含有量を低下させた場合にはLhcb1等の発現レベルは低下するのだが、内生のMgProtoのレベルが低下した突然変異体ではそのような相関は見られていないことを示している。

植物の個体では分裂している部分としていない部分が分かれており、植物体でのMgProtoの定常状態が、分裂組織で分裂している個々の細胞内でのMgProtoの量を反映していない可能性はある。

高等植物では、分裂する細胞では葉緑体からのtetrapyrroleが細胞分裂を促進し、分裂していない細胞では葉緑体から核に対してタンパク質を合成させるためのシグナルは他の物質が担っている、と考えた方が良いのだろう。

---

三角関係かと思われていた植物の細胞周期の制御は、実は葉緑体さんと核くんの蜜月時代らしい(というか、もはや葉緑体のカカア天下?)。今のところミトコンドリアさんが寂しく蚊帳の外で泣いている様だが、さてどう反撃に出るか。それとも、酵母や動物細胞と同じようにミトコンドリアはひたすら従属?

# ちなみに葉緑体とミトコンドリアは母性遺伝するので女性扱いです。

人気blogランキングへ←このエントリーの情報はお役に立ちましたか?

クリックしていただけると筆者が喜びます!

2009年1月13日 (火)

ウイルスを3D画像化できるMRI装置

昨日はウシ一頭、丸ごとスキャンできるMRI装置の開発が行われるか?という話題でしたが、今日は極微小領域をスキャンできる超高分解能のMRI装置の論文の紹介。

# Nature Newsより。

タバコモザイクウイルス(TMV)の撮影ができる高分解能のMRI装置の開発に関する論文が発表された(物理系の論文なので読めやしませんが)。こちらはウシ用MRIと違って、すでに作成されている実働する装置です。10 nm以下の分解能だとか。高分解能化にあたっては微弱な磁場を検出する技術がキモらしい。論文のFigureを見た限りでは、技術的に解決するべき問題はまだ多いと思われるが、今後製品化されるかどうかはニーズ次第だろうか。

私達の研究分野では、あまり高性能でない透過型電子顕微鏡レベルの分解能があれば足りるので、能力的にはこのくらいで十二分。ただし、もっと大きなサンプルをステージに載せられる構造でなければ(例えば種子1粒とか)、折角”MRIなので非破壊で分析できます”と言っても、切り刻まないと”サンプルがステージに乗りません”という無様なことになる。

代謝を行わないウイルスはともかくも、生きた細菌や酵母そして培養細胞を殺さずにMRIで見られるのであれば、細胞内の物質合成の様子も非破壊&リアルタイム&3Dで見られるかもしれない。これは電子顕微鏡や共焦点顕微鏡にはできない芸当だ。

また、光学顕微鏡では標識や染色せずに脂質の膜を可視化することはできないが、MRIであればそれができるかもしれない。一個の細胞の中のミトコンドリアや葉緑体の分裂をリアルタイムで、かつ3Dで見ることができたら細胞生物学が再構築されることになるだろう。

# 時間分解能はどのくらいなんだろう。細胞に”はい、動かないで”と言っても聞いてくれる訳はなし。

人気blogランキングへ←このエントリーの情報はお役に立ちましたか?

クリックしていただけると筆者が喜びます!

2009年1月12日 (月)

干支ネタ: 牛の入るMRI装置?

牛の入るオートクレーブと言うものも聞いたことはありますが、牛の入るMRI装置というのは・・・。

読売新聞より。

霜降りもクッキリ…牛の肉質、MRIで生きたまま予測可能

 磁気共鳴画像(MRI)の検査が高級和牛の必須条件――。そんな時代がくるかもしれない。放射線医学総合研究所(千葉市)の池平博夫チームリーダーらが、MRIの断層画像で、生きている牛の肉のおいしさを予測できることを確認した。
 池平さんらは、雄牛のロース肉を人間用のMRIで撮影してみた。すると、肉質を左右する「霜降り」の度合いや脂肪の粒の大きさが、肉質検査に使う写真と同程度の鮮明さで映り、霜降りの面積を自動的に算出できた。また、撮影データの解析で、多く含まれるほど肉をおいしくする「不飽和脂肪酸」の量も確認できた。こちらは、実際の肉質検査では鑑別できない。
 肉質の良い牛を作るのは、運試し。見込みを付けた雄牛の精子を複数の雌牛に人工授精し、生まれた子牛の肉質から、親の品質を推定しているからだ。数年がかりの作業になる。
 MRIを使えば、優秀な雄牛を数分で確実に見つけられそうだ。実用化には、生きた牛を丸ごと撮影できる大型装置が必要だが、同チームはすでに装置の設計案を完成させている。「後はスポンサーを待つだけ」(池平さん)という。

(2009年1月12日03時11分  読売新聞)

とりあえず、人用のMRI装置を使用して牛肉の肉質判定のノウハウを集積してみたと言う水準の仕事ですね。サンプルに使用したロースのかたまり肉はその後、どのように処分されたのか関係者に伺ってみたいところ(美味しかった?)。

牛用のMRI装置は、人用のMRI装置のように量産効果はなさそうなので装置自体で数億~十億くらいかかりそうな勢いですが、誰が導入するのでしょうね。まあ、できてしまえば肉質判定だけではもったいないので、健康診断や病理検査にも使われる様になるのでしょう。
# 牛をじっとさせておくのが大変そうですが。

私は、MRI装置と言えばトンネル型のものをイメージしていたのですが、最近ではオープン型というのも登場しています。こういう方式であれば、ものすごく大きな装置でなくても良いかも知れません。

ともあれ、非破壊で肉質の検査ができるのであれば、肉質検査のためにクローン牛を潰す必要もなくなります。一見、家畜クローンと競合する技術のようにも見えますが、手間暇かけて生産したクローン種牛を、生産した頭数だけ有効に利用できるのであればそれだけ生産コストが回収しやすくなりますので、クローン技術による家畜改良に対しては補完的に利用できます。

人気blogランキングへ←このエントリーの情報はお役に立ちましたか?

クリックしていただけると筆者が喜びます!

« 2009年1月4日 - 2009年1月10日 | トップページ | 2009年1月18日 - 2009年1月24日 »

twitter

  • Bernard_Domon

Ranking

  • にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ
    日本ブログ村
無料ブログはココログ