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2009年7月5日 - 2009年7月11日の記事

2009年7月10日 (金)

粗食で延命というニュースの一環

目指せ”仙人”ってことでしょうかね。

粗食は長寿、がん・心疾患・糖尿抑制…サルで実証

 カロリー摂取量を大幅に減らすと、がんや心疾患、糖尿病など加齢に伴う病気の発症を抑えられることが、アカゲザルを使った20年間の追跡調査で明らかになった。

 霊長類で、こうした効果が実証されたのは初めて。米ウィスコンシン大などのチームが、10日付の米科学誌サイエンスに発表した。

 チームは、7歳から14歳の大人のアカゲザル(飼育下の平均寿命27歳)を30匹使って、1989年に研究を開始。94年には46匹を追加した。 二つのグループに分け、片方のカロリー摂取量を30%減らし、血圧や心電図、ホルモン量などを測定。死んだ場合は、解剖で死因を詳しく調べた。

 カロリー制限しないグループでは、5匹が糖尿病を発症、11匹が予備軍と診断されたが、制限したグループでは兆候は見られなかった。がんと心疾患の発症も50%減少した。また、脳は加齢とともに、萎縮(いしゅく)することが知られているが、制限したグループでは、運動や記憶などをつかさどる部分の萎縮が少なかった。

 白沢卓二・順天堂大教授(加齢制御医学)の話「カロリー制限が、長寿や高齢者の認知機能維持にも役立つ可能性を示すもので、大変興味深い」

(2009年7月10日14時24分  読売新聞)

 酵母や線虫ではカロリー制限をすると死亡率が下がるという論文は以前あったが、霊長類でもそうだったというのはなかなか画期的。アカゲザルはカニクイザルより寿命が長い方なので、この種のモデル実験はちょっと大変だと思うのだが。

 後日、オリジナルを読むとして、群のサイズは結構大きいし、データの信頼性は高そう。論文を検討する上では評価項目をよく見ておくべきだろう。

 この種の長期試験はなかなか難しい。再現に20年もかかるとあれば追試は容易ではない。

 とりあえずマークしておこう。

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2009年7月 7日 (火)

日本学術会議会長と食品安全委員会委員長の談話

昨日のエントリーで読売新聞の記事を引用しながら何か変だな?と思ったのだが、日本学術会議会長の談話の要約がおかしな按配になっていた。

記事ではこう書かれていた。

「十分とは言えないデータで確率論的に結論を出さねばならないことがある。  データ不足を理由に結論を先送りするなら、科学の入らない主観的な判断になってしまう」と批判した。

何か変でしょ?で、談話のオリジナルを見てみた。
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-d4.pdf
これによると、

 今回の出来事に関する第1の問題は、リスク評価者である食品安全委員会が、データ不足のために科学的評価は困難であることを承知しつつも、食用牛肉のリスクを評価したとして非難された点です。一般に科学の結論を得るためには多くのデータが必要であり、データが多ければ多いほど不確実性は減ります。科学者は長い時間をかけてデータを集め、少しでも確実な結論を得る努力を続けます。
 一方、何らかの社会的な問題に対して緊急に対策を実施する場合には、その時点で得られるすべての、しかし十分とは言えないデータだけを基にして、いくつかの前提を置いて「確率論的」に早急に結論を出さなくてはならないことがあります。もちろん新たなデータが得られたときには評価結果を見直します。これは国際的にも広く認められたリスク評価の手法です。もしも「データ不足による科学的評価の困難さ」を理由にしてリスク評価の結論を先送りするならば、科学の判断が全く入らないリスク管理者の主観的な判断だけに基づく政策・措置を策定するという、好ましくない結果を生むことになります。

会長が懸念している部分は、

もしも「データ不足による科学的評価の困難さ」を理由にしてリスク評価の結論を先送りするならば、科学の判断が全く入らないリスク管理者の主観的な判断だけに基づく政策・措置を策定するという、好ましくない結果を生むことになります。

記事では「科学の入らない主観的な判断になってしまう」と要約、リスク評価に関する文脈で、主観的判断になることを懸念しているように要約している。一方、会長談話は「科学の判断が全く入らないリスク管理者の主観的な判断だけに基づく政策・措置を策定する」とリスク管理が非科学的で主観的なものになることを懸念している。

・・・結局のところ、科学技術会議会長が懸念している通り、読売新聞の記者もリスク評価とリスク管理の違いが分かっていないのではないだろうか、ということが懸念されてしまうのだ。リスク管理からのリスク評価の独立に対して市民の理解が得られるまでの道のりは斯くも遠いのだろうか。

食品安全委員会委員長も、この件について談話を発表している。
http://www.fsc.go.jp/sonota/iinchodanwa_210701.pdf
記事によれば、

「評価の独立性と中立性が守られなければならない」との談話を出した。

とのことだが、私はむしろこの委員長談話の主旨は、

広く国民の皆様に、「科学に基づく新しい食品安全を守るしくみ」についてご理解いただくことがどうしても必要です。国民の皆様のご理解とご支援を心からお願い申し上げます。

の方だと思う。この報道のされようを見ても・・・。

これらの談話については、特に国民の代表たる国会議員の皆様にこそ真摯に受け止めていただきたいものだ。

そうでなければ、今後、多忙な本職のほかに政府の委嘱でこの種の仕事を引き受ける専門家が居なくなってしまうだろう。

# 本職の方が多忙でないような”いわゆる専門家”には委嘱しない方が良いだろうし。

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2009年7月 6日 (月)

リスク評価が有効なのは合理的なコストでデータが入手できる場合に限られる

どんなコストを払ってでもデータを入手することに意味があるとは限らない。”時間”というリソースも含めて、合理的なコストで入手できないデータは、リスク評価には使えない。

食品安全委の人事案を野党否決、科学界が批判

 内閣府食品安全委員会の人事案を民主党など野党4党が参議院で否決したことに対し、科学界から批判が相次いでいる。

 委員の候補者が4年前、輸入牛肉の安全性を判断した科学的評価を、「評価の姿勢に問題がある」として否決の理由にしたためだ。近く政権を握るかもしれない党からの政治的圧力に、科学者側は「中立的な評価が損なわれる」と危機感を強めている。

 問題の人事案は、吉川泰弘・東京大教授を委員長含みで同委員に起用するもので、6月5日に否決された。吉川教授は2005年、同委員会のプリオン 専門調査会座長として、米国・カナダ産牛肉の輸入再開を条件付きで認める答申案をまとめた。民主党は、調査会が「データに不明点が多く、厳密に評価するの は困難」としながら答申案をまとめた点などを問題視した。

 しかし、食品安全委員会は、有害物質などがどのくらいの確率で悪影響を与えるかを科学的に評価する機関。日本学術会議の金沢一郎会長は先週、異例の談話を発表し、「十分とは言えないデータで確率論的に結論を出さねばならないことがある。

 データ不足を理由に結論を先送りするなら、科学の入らない主観的な判断になってしまう」と批判した。同委員会の小泉直子委員長(公衆衛生学)も1日、「評価の独立性と中立性が守られなければならない」との談話を出した。

 民主党の筒井信隆・ネクスト農相は「データが少ないなら集めるのが当然だ。学術会議の意見も一つの考えで、絶対ではない」と話している。

(2009年7月6日14時19分  読売新聞)

食品安全性に限らず、”リスク評価”はそれ自体、「科学的な評価手順に従って、合理的なコストの範囲で入手可能なデータから確率論的にリスクの大きさを計る」という性質がある。緊急時には少ない時間的リソースでの評価が問われ、結局は時間との戦いになる。

例えば、新型インフルエンザの発生時に、その対応を決めるためのリスク評価を延々とやっていたらどうなるだろうか?緊急性を勘案しないリスク評価は役に立たない可能性が高い。

食品安全委員会のリスク評価は、たしか標準処理期間が決まっていない。「データが少ないなら集めるのが当然だ。」と言っていられるかどうかは、現実に起こっている諸問題とどう折り合いを付けるか?という匙加減の問題でもある。いつまでも評価を長引かせると、実際の問題としては、リスク管理側の官庁の行政判断に影響を与えることになる。

例えば、仮に食品安全委員会が”十分なデータが収集されていないので、判断は保留する”として評価結果を公表しなかったらどうなるだろう?リスク管理側の官庁はどのように対応できるだろうか。BSE問題のケースで考えれば、それは農水省が”米国産牛肉の暫定的な輸入中止”をいつまで続け得ただろうか?ということでもある。

結局、評価結果待ちで無期限に輸入禁止を続ける訳にもいかず、評価結果を待たずに輸入するわけにもいかず・・・(評価に必要な情報の提供を米国政府に求めることはできたかもしれないが)。

いずれにしても、リスク管理を行なう官庁が対外的な説明責任を問われることになるだろう。”ネクスト農相”ならば、そうなった場合でも頑張れるのかもしれないが、リスク評価に必要なデータが入手できないという理由で評価結果の公表を無期限に延期するというカードを食品安全委員会に与えると、結局苦しむのはリスク管理を行なう官庁のトップだろう。

それはで結局、リスク評価をリスク管理から切り離せなくなってしまうのだが、その辺の理屈が分かっているのだろうか・・・。

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