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2009年6月21日 - 2009年6月27日の記事

2009年6月25日 (木)

こっちの記事はわかるが、こっちの記事はわからない

クローン家畜の食品安全性を巡る食品安全委員会のリスク評価に関する記事。

まず、わかる方。毎日新聞より。

クローン:牛や豚の食品利用は安全 食品安全委が答申

 体細胞クローン技術で生まれた牛、豚などの食品利用について国の食品安全委員会は25日、「従来の繁殖技術による牛や豚と同様、食品として安全」 との評価書を最終決定し、厚生労働省に答申した。これを受けて同省や農林水産省が今後、体細胞クローン牛や豚を食用として解禁するかどうか検討する。【江 口一】

評価書は、食品として安全という結論。であれば、リスク評価に瑕疵があったとされるか、あるいは危険性の兆候となる新たな科学的な知見が現れない限り、クローン家畜由来の製品は食品衛生法上問題のない食品ということになる。これを規制するかどうかは、リスク管理の観点から、記事にもあるとおり、これから厚生労働省が判断することだ。

一方、JAS法など食品の表示に関わる問題は、例えば原産国表示や遺伝子組換えのように安全性とは別のルールで規制が行われているので、クローン家畜についても区別するべしと言うことになれば、表示に関わる規制の可能性も無くはない。が、遺伝子レベルでもタンパク質レベルでも、元素の構成比でも、要するにあらゆる科学的な分析法で区別ができないものを法的に規制することは実効性が担保できないので事実上無理。

一方、わからない方の記事。読売新聞より。

「クローン牛・豚は安全」食品安全委が評価書

 体細胞クローン技術で生まれた牛や豚の食品としての安全性について、内閣府食品安全委員会(見上彪委員長)は25日、「従来の家畜と同様に安全だ」とする評価書をまとめ、厚生労働省に答申した。

 これで同省の規制対象にならないことが確定した。今後は流通の可否について、農林水産省が改めて検討する。

 評価の理由として〈1〉遺伝子は従来の家畜と同じ〈2〉肉や乳の成分にも差がない――などをあげた。クローン家畜の子孫についても、同様に安全と判断した。

 ただ、安全委が評価書案を公表して意見を募集したところ、安全性に対する不安の声が数多く寄せられたため、見上委員長は「国民の理解を得られるように、情報提供を継続して行う必要がある」と話している。

 国内では、牛と豚合わせて約900頭が体細胞クローン技術で生まれているが、農水省が各研究所に出荷の自粛を要請しており、流通はしていない。だが、日本より早く「安全」と判断した欧米でクローン家畜由来の肉が流通し始めた場合は、日本に輸入される可能性がある。

(2009年6月25日19時53分  読売新聞)
「これで同省の規制対象にならないことが確定した。」と言う見方は、リスク評価とリスク管理を混同している。食品衛生法の規制対象とするかどうかは、リスク管理のレベルで決めること。自動的に「確定した」と言うものではない。

私は、科学的な根拠がないのに税金を投入して管理(規制)するという考え方は間違っていると思う。一方、「クローン家畜なんか食べたくない」と言う人の判断もわからなくはない。いろいろな選択があって良い。しかし、そのために不合理な社会的なコストをかけるのは嫌なのだ。

ということで、ここは一つ「クローン家畜およびその子孫に由来する製品ではありません」という任意表示を認めてはいかがだろう。有機JAS同様、安全性や栄養成分において、それ以外の製品と同等のものと区別がつかない製品にふさわしい曖昧な表示で十分だ。

# 明日から身内の見舞い。しばらくは更新しません。

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2009年6月22日 (月)

ジフテリア毒素を利用した医薬品

細菌の生産するタンパク質毒素を利用した医薬品が幾つかある。有名どころではボツリヌス菌(Clostridium botulinum)の生産する毒素を利用したシワ取りで有名なBotoxなどがそうだ。

ちょっと調べものをしていた際に、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)の産生するジフテリア毒素を利用した医薬品を見つけた。「ONTAK」(一般名:denileukin diftitox)という医薬品で、ヒトIL-2とジフテリア毒素のAフラグメントの融合タンパクだ。

ジフテリア毒素はA-B毒素に属するタンパク質毒素で、細胞内で毒性を発揮するA fragment (DT-A)と、細胞表面のレセプターに結合して毒素の引き込み役に当たるB fragment (DT-B)が結合した状態で初めて毒性を発揮する。A fragmentの発揮する毒性はelongation factor - 2 (EF-2)の失活によるタンパク合成阻害である。

一方、AあるいはB fragmentのみでは細胞に侵入できないため、単独では毒性を発揮しない。

A M Pappenheimer et al., “Diphtheria toxin and related proteins: effect of route of injection on toxicity and the determination of cytotoxicity for various cultured cells,” The Journal of Infectious Diseases 145, no. 1 (January 1982): 94-102.   

従って、このタイプのタンパク質毒素の断片は、全体としてのLD50が規制値に達していても、単体でのクローニングや発現はカルタヘナ法において大臣確認の対象とはなっていない。この点の二種省令の解釈についてはポジションペーパーが出されている。

ただし、ちょっと微妙な点がある。

A サブユニットについては、AB 毒素のA サブユニットをコードする遺伝子をネガテイブ選択マーカーとして含む認定ベクター又は安全性に於いて同等の認定ベクター由来ベクターを用いる実験等において、発現された蛋白が個体に毒性を発揮させるような遺伝子構築或いは発現の実験でない限り、大臣確認を必要としない。

逆を言えば、「発現させた蛋白が個体に毒性を発揮させるような遺伝子構築物あるいは発現の実験である場合は、大臣確認を必要とする場合がある」ということ。

ONTAKではT細胞への分子標的のためにIL-2を利用しているが、これに限らず、細胞表面のレセプターと結合してエンドサイトーシスで細胞内に取り込まれるペプチドであれば何でも、DT-Aとの融合タンパク質を作成する実験の場合は大臣確認実験に該当する可能性があることになる。

# あとはLD50と認定系との組合せ次第。

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