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2009年4月19日 - 2009年4月25日の記事

2009年4月24日 (金)

ちょっとヤな感じのペプチド

CPPと総称されるペプチドがある。Cell-Penetrating Peptides(細胞を貫通するペプチド)の略だ。

発見当初は、細胞膜を貫通するペプチドというのは真贋の程が疑わしいとされていたようだが、最近では細胞内にRNAを届けるための手法としても注目されている。

色々な種類があるようだが、有名どころはHIV(エイズウイルス)のTATタンパク質の一部(11-12 AA)の領域。11アミノ酸残基のうち8アミノ酸までがアルギニンでできている。これを全てアルギニンに変換したアルギニン11量体にも強いCPP活性があるという。このペプチドを細胞に導入したいタンパク質のC末端に融合させておくと様々なタンパク質を細胞内に導入できる。

このCPPを利用して、山中教授がiPS細胞の誘導に必要と同定した4種類の転写因子(山中因子)タンパク質を細胞内に取り込ませてマウス胎児の体細胞からiPS細胞を誘導した論文が発表されるようだ。

iPS細胞:「遺伝子なし」で成功 「がん化」防ぐ手法--米独チーム

 さまざまな細胞に分化できるマウスの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を、遺伝子を細胞内に入れずに作る新手法を米独の研究チームが開発した。遺伝 子の影響で起きうる細胞のがん化を防ぎ、治療に使える安全なiPS細胞の作成法につながる重要な成果で、世界の研究者が目指していた「遺伝子ゼロ」のiPS細胞が初めて実現した。24日、米科学誌「セル・ステムセル」で発表した。

 米スクリプス研究所のシェン・ディン准教授、独マックスプランク分子医薬研究所のハンス・シェラー教授らのチームが開発した。山中伸弥・京都大教授が開発したiPS細胞は、ウイルスを使い四つの遺伝子を細胞の核に入れて作られた。しかし、遺伝子や導入に使うウイルスが予期せぬ働きをして、細胞ががん化する恐れが高く、遺伝子やウイルスを使わない方法が模索されてきた。

 米独チームはまず、大腸菌を使って4遺伝子から、それぞれたんぱく質を作成。このたんぱく質にアミノ酸の一種のアルギニンを11個つなぎ、細胞膜を透過しやすい性質を持つように改造、ウイルスを使わずにマウスの胎児の細胞内に入れた。

 その結果、たんぱく質が細胞核に入り、iPS細胞ができた。心臓、肝臓、生殖細胞などへの分化も確認。四つのたんぱく質は細胞の核に入って48時間後まで存在するものの、その後は自然に消滅するため、がん化の心配が少ないという。

 たんぱく質(プロテイン)の頭文字を取り、「piPS細胞」と命名。今後、同じ手法がヒト細胞でも可能かどうか、研究が続くとみられる。

【奥野敦史】

これまでのiPS細胞の誘導法と比べて、

  1. ガン化を誘導する可能性の高いレトロウイルスベクターを使っていないこと
  2. 動物細胞用の複製開始点を持たないプラスミドでも核に取り込まれる可能性が否定できないが、DNA自体を使っていないこと
など、ガン化のリスクを下げる上では良い着眼点だ。しかし、「遺伝子なし」っていう見出しはねぇ。そんなに遺伝子が嫌いなのかな。誰でも2万個くらい持っているのに。

日本の研究グループも同じ手法に挑んでいる(熊本大学富澤先生ほか)だけに、先を越されてしまったのは残念なところ。しかし、海外のグループも、まだネズミの胎児の細胞でしか実現していないので、この手法がヒトの成人の体細胞に適用できるようになるまでには、この先、まだ色々な条件検討が必要だろう。

山中因子は、転写因子なので通常、細胞質で翻訳された後は核に移行する。CPPを末端に融合した山中因子も同じように、細胞に侵入した後は普通の転写因子と同じように核に移行していることだろう。

表題の、”ちょっとヤな感じのペプチド”というのは、このCPPの性質に関連する。CPPのように細胞に侵入するペプチドがその辺に転がっていると、それに接触した体の様々な細胞に侵入してしまいそうなものだ。想像するとちょっと怖い気がする。

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2009年4月23日 (木)

明日、定額給付金が振込まれる

定額給付金。あれこれ迷ったが結局申請した。

Golden riceの開発プログラムが基金を募っていたら参加しようと思っていたのだが、生憎応募先が見つからない。募集していないのだろうか。

夕張市にふるさと納税を、とも思ったのだが花畑牧場の工場も進出するらしいので、そちらから法人事業税を納めてもらえば良いだろう。

ということで、使い道は、これ

WFPという名前を知らない方も多いだろう。実は、国連唯一の食糧支援プログラムだ。
正式名称は"The United Nations World Food Programme"という。

日本国内にも経済的に困窮している方々は多いだろうが、現在の為替レートを考えると\12,000の価値は、最貧国ではより効果的に発揮できるだろう。日本では一人1日500円の支援では24日間ようやく死なずに暮らせる程度だが、世界には1日1ドル以下で暮らしている人々が大勢居る

生命の重さに国籍は関係ないという前提で考えれば、定額給付金は、より貧しい国でこそより大きく役に立つ。

愛国心はないのか!というご批判もありましょうが、私はあいまいな”心”よりも計測できる効率の方を信じる。日本では一人、アフリカでは5人の食料を支援できるとしたら、間違いなく後者を取る。

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2009年4月19日 (日)

ジャーナリズムと科学

 科学が文学の世界に接触するときに必然にあまりおもしろからぬしろからぬ意味でのいわゆるジャーナリズムとの交渉が起こる。
 ジャーナリズムとはその語の示すとおり、その日その日の目的のために原稿を書いて、その時々の新聞雑誌の記事を作ることである。それ自身に別段悪い意味はないはずであるが、この定義の中にはすでにいろいろな危険を包んでいる。浅薄、軽率、不正確、無責任というようなものがおのずから付きまといやすい。それからまた読者の一時的の興味のために、すべての永久的なものが犠牲にされやすい。それからまた題材が時の流行に支配されるために、取材の範囲がせばめられ、同時にその題材と他の全体との関係が見失われやすい。
 そういうジャーナリズムの弊に陥ったような通俗科学記事のみならず、科学的論文と銘打ったものさえ決して少なくはないのである。多くの通俗雑誌や学会の記事の中でもそういうものを拾い出せとならば拾い出すことははなはだ容易であると思われる。
 しかし一方でまた、たとえ日刊新聞や月刊大衆雑誌に掲載されたとしても、そういう弊に陥ることなくして、永久的な読み物としての価値を有するものもまた決して不可能ではないのである。たとえば前にあげたわが国の諸学者の随筆の中の多くのものがそれである。そういう永久的なものと、悪い意味でのジャーナリスチックなものとの区別は決してむつかしくはない。要するに読んだ後に、読まない前よりいくらか利口になるかならないかというだけのことである。そうして二度三度とちがった時に読み返してみるごとに新しき何物かを発見するかしないかである。つまり新聞雑誌には書かない最も悪いジャーナリストもあれば、新聞雑誌に書いてもジャーナリズムの弊には完全に免疫された人もありうるのである。この事に関する誤解が往々正常なる科学の普及を妨害しているように見える。これは惜しむべきことである。

寺田寅彦 著、科学と文学より「ジャーナリズムと科学」、昭和8年9月 世界文学講座 -テキストのオリジナルはこちら(青空文庫)-

 ええ、私が言ったんじゃありません。ジャーナリズムに「浅薄、軽率、不正確、無責任というようなものがおのずから付きまといやすい。」なんて。日本のサイエンス・コミュニケーションの草分けの一人、寺田寅彦 博士がそう書いていたのです。

 この文章が書かれた時代、昭和8年ごろジャーナリズムといえば新聞や週刊誌、あるいはラジオやニュース映画くらいだった。一応、あのNatureもJournalではあるし、昭和8年には既にあったのだが、寺田博士にとって、これはいわゆるJournalismとは無関係であったらしい。

 上記のコラムは、畢竟、科学的記事がジャーナリズム的悪弊に陥るかどうかは、作品が発表される場(新聞・雑誌)によって決定されるものではなく、作品そのものが読者自身にとっての新しい発見をもたらすか否かにかかっている、と伝えている。

 科学者が書き手の場合は現在でもその考え方は通じるだろう。社会への伝達媒体の種類が、新聞・週刊誌だけでなく、テレビやインターネットに拡大した今日においても、重要なのはコンテンツであって発表の場ではないという理屈は良く分かる。

 しかし、読み物としての価値判断の基準を、「要するに読んだ後に、読まない前よりいくらか利口になるかならないかというだけのことである。」と、全面的に読者に投げてしまうのはあまりいただけない。なにしろ、広く社会に向けて発信された情報の受け手は千差万別だ。生徒、学生、会社員、教職員、研究者、役人、政治家、医者に看護士、隠居に僧侶、漁師に農家、建設業、製造業、サービス業・・・。その際に、読んだ誰もが「利口になれる」ような情報発信はなかなかに難しい。

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だいぶ良くなったが今だ、頭痛と発熱が完治せず。

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