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2009年3月22日 - 2009年3月28日の記事

2009年3月25日 (水)

花き研究所特別セミナーに参加

 農研機構 花卉研究所のサイエンス・コミュニケーションに関するセミナーに参加した。

 これまで私はサイエンス・コミュニケーションといえば、研究者が専門分野を共有するコミュニティー以外の人々に自らの研究内容を伝え、相手のレスポンスを理解してフィードバックすることだと考えていた。

 しかし、今日の講演を聴いて認識を新たにした部分がある。それは、サイエンス・コミュニケーションを”製作する”プロデューサー、あるいは”組織する”コーディネーターとしての働きもまた、サイエンス・コミュニケーションの構成要素であるとされていることだ。

 これは、喩えとして適切かどうかわからないが、サイエンス・コミュニケーションを芸能活動に例えると、研究者はアーティストやタレント、コーディネーターはプロデューサー、研究機関はプロダクションという位置づけになるだろうか。その全体を併せた活動を、サイエンス・コミュニケーションと位置づけることができるだろう。

 こうして見ると、伝えるコンテンツとしての研究がまず最も重要で、その点では高い水準の研究機関は多いのだが、サイエンス・コミュニケーションという視点で見ると、日本の研究シーンにはプロデューサーにあたるポジションの人材がきわめて希薄だ。研究者のサイエンス・コミュニケーションのスキルを磨いただけでは、誰かがコミュニケーションの場、方法、相手をセットアップしない限り、現実のコミュニケーションは成立しないのだから。

 # そこまで研究者に担わせるのは酷すぎる。

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今日の講演で、個人的になるほど!と思ったポイント。

科学者の科学リテラシーとは何か?

  1. 研究者と言えども、自分の専門分野以外については素人。多様な研究分野に対する理解力を科学リテラシーという。
  2. 研究の社会的な意義、社会における研究者としての立ち位置を客観的に把握できる能力。

※ 研究分野がより精密に細分化されていく現代にあっては、1.の意味の科学リテラシーは研究者自身の研究の推進上も結構重要な意味を持っている。たとえば、分析技術の専門家のスキルを借りたい場合に、どうやって説明するか?など。

サイエンス・コミュニケーションの構成要素

  1. 研究者として自分の研究内容を、知的基盤を共有しない人々に伝え、相手の反応を自身の活動にフィードバックすること。
  2. サイエンス・コミュニケーションというコンテンツを”制作”するプロデューサーあるいはコーディネーターとしての働き。

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 こうしてみると、私自身は結構、生物学の中でも色々な分野にタッチしてきた。地域の小さな研究所にいると、育種、昆虫、土壌微生物、植物病理、植物生理、食品化学など農業関連という括りではあるが、様々な研究分野の人々と話をし、時には一緒に仕事をすることができる。

 私自身の研究者生活の出発点として、地域の農業試験場に居た経験は科学に対する”間口”を広げる上で良いことだったのかもしれない。

 ちなみに、Googleで私の名前を検索すると、結構いろいろなものが引っかかってくる。オオムギの育種、モチ性オオムギを原料にしたパンの研究、イグサの品種識別マーカーの開発、カンキツグリーニング病の病原体の検出法、硝酸還元酵素から見た土壌微生物の分類、イネ種子根のマイクロアレイ解析、オオムギのモチ性遺伝子の構造解析、スギ花粉症緩和米の生物多様性影響評価、はては、”納豆菌のDNAフィンガープリント”まである。

 そうそう、研究以外で言えば、カルタヘナ法関連の業務では文部科学省の方々と働いたこともあった。役所の人々が、1日中何をしているかといえば、主に、企画や法律に関する文書の読み書き、電話の対応、メールの対応、会議・・・仕事の内容ではなく、形式・様態について着目すると、実はどれも”コミュニケーション”そのもの、あるいはその準備に他ならない。そう言う意味では、私は出向中の2年間、毎日コミュニケーションを主な業務としていたと言えるかも知れない。

 我ながら研究分野も、研究手法も目茶苦茶に散らばっていると思うが、これも、研究分野の少しずつ重なる人々と一緒に仕事をしてきた一つの結果だ。大学にとどまっていたらこういう仕事はできなかっただろう。そう言う意味では、様々な研究分野で、異なる仕事の切り口、異なる考え方の作法、論文をまとめる際の異なる方向性を、それぞれの研究者コミュニティーに入り込んで学ぶことができた。そうとは知らずに、かなり深いところで、一種のサイエンス・コミュニケーションを実践してきたということになるのかも知れない。

 しかし、今になって、一つだけ困ったことがある。それは「ご専門は何ですか」と尋ねられた時に、答えに窮することだ。私は、専門店というよりも田舎の百貨店のような研究者なのだから。

# 最近、論文がMinor revisionで通ったので、私のレパートリーにまた一つ相当に違う分野の論文が加わることになるだろう。

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2009年3月24日 (火)

"血液製剤"?関連のニュース

”血液製剤”とは、”人の血液から作り出される「くすり=医薬品」を総称して「血液製剤」と呼びます”とのこと。

さて、田辺三菱製薬の製品、遺伝子組換え人血清アルブミン製剤「メドウェイ注5%」がニュースになっている。この製品についてのメーカー側の情報はこちら。こう書いてある。

本剤は、当社の技術により、ピキア酵母を宿主として高純度の人血清アルブミンの大量製造及び供給を可能とした製剤であり、また、製造工程においてウイルスやプリオン等の感染性物質混入のおそれがある動物由来原料を使用していない遺伝子組換え人血清アルブミン製剤です。

この製品は明らかに血液製剤ではない。ここで、朝日新聞のニュース。

血液製剤データを不正差し替え 田辺三菱、承認取り下げ

2009年3月24日17時26分

 血液製剤アルブミンの承認申請にあたって試験データを不正に差し替えていたとして、田辺三菱製薬(大阪市、葉山夏樹社長)は24日、厚生労働省に承認取 り下げを届け出た。製品は自主回収する。同社によると、昨年5月に発売以降、約800人に使用されたが、健康被害の報告もないという。

 承認を取り下げるのは、同社と連結子会社「バイファ」(北海道千歳市)が共同開発した遺伝子組み換え人血清アルブミン製剤「メドウェイ注5%」。 バイファ社などによると昨年暮れ、同製品の有効期間を延長する申請手続きを準備中、「試験データの差し替えがあった」と社内報告があった。内部調査をした ところ、製造販売承認申請のため提出した試験データでも、一部のデータが差し替えられていたことが確認された。このデータは、ラットを使った急性のアレル ギー反応を調べる試験で、データの差し替えには品質管理責任者を含め計5人の職員がかかわっていたとみて、調べを進めている。

 データ差し替えを受けて両社は、07年10月に受けた承認を取り下げることを決めた。昨年5月の発売以後、副作用などを注意深くみるため投与患者を把握して調査していた。両社は、同時期に承認を受けて製造販売していた「メドウェイ注25%」も自主回収する。

 厚労省によると、試験データの差し替えを理由に、製薬会社が製造販売承認を取り下げるのは極めて異例という。

ことの是非と言う意味では、製薬会社の対応には明らかに問題があった。この田辺三菱製薬と言う会社の前身は、薬害エイズ事件や薬害肝炎の一件に深く関与した血液製剤の大手”ミドリ十字”である。ということで、朝日新聞では、ろくに確認もせずにこの見出しをつけたのかもしれない。

遺伝子組換え技術で作られた製剤は、血漿に含まれるアルブミンと同等の成分を含んではいても、ヒトの血液を原材料としていない以上、血液製剤と呼ぶのは明らかな誤りだ、

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2009年3月23日 (月)

医薬品の投薬方法に特許の見込

特許法改正はもう少し先になりそうだが、成り行きには要注目。

手術・投薬方法を特許に 政府検討、法改正の柱に

 政府は先端医療の競争力強化に向け、診断や治療などの「手法」も特許として認める方向で検討に入った。現行制度は医薬品や医療機器などの「モノ」だけを特許の対象としてきた。実現すれば医薬品メーカーは新薬の投与方法などでも特許収入を得られるようになり、開発投資の促進効果が期待できる。2011年に予定する特許法の抜本改正の柱に位置付ける。

 政府の知的財産戦略本部の先端医療特許検討委員会(委員長・金沢一郎日本学術会議会長)が医師や医療関連企業、弁理士などと協議に着手した。細胞などを用いた先端医療は「モノ」としての定義が難しい場合があり、手術方法や薬品を投与する量やタイミング、組み合わせ、部位の違いなどに着目した特許取得が重要になるとみている。 (16:00)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kyousou/index.html

関連資料

医薬品の関連特許は、まず有効成分、次にDrug derivery system (DDS)に関する物質特許が主流(かつては製法特許もあり)。それを、用量・用法のコンビネーションにまで拡大するというのが狙い。

物質特許をとっても実用化するまでの期間が長引けば、医薬品として販売してからの残りの保護期間が短くなってしまう。そこで、投与経路を変えたり、微量の用量で元々の認可の際とは違う効能を狙ったりということが行われるのだが、その際も効果を確かめるための治験は必要だ(投与経路が同じで、用量が減る場合など、安全性試験が一部免除されるケースもある)。

そうなると、コストをかけて開発しているのだから、新規の用量・用法についても開発企業の企業努力に報いる仕組みが必要、ということらしい。

この議論は、もともとは幹細胞を利用した再生医療を医療行為と見るか、医薬品の処方と見るかという議論の中で、日本では医療行為は特許の対象範囲に考えないが、アメリカでは対象範囲に入っているという制度上の切り分け方の違いがあることから、体性幹細胞、ES細胞、iPS細胞を使用した再生医療が普及する前に論点整理をして制度の手直しをしておこう、と言うことらしい。医療行為に対しても特許権が及ぶと言うのは、医療が全面的に自由診療で行われるアメリカらしい発想だ。国民皆保険がデフォルトの日本では考えにくい。

私の研究分野の関連で言えば、ワクチン成分を集積したジャガイモ、バナナ、イチゴ、イネや、インスリンを作るレタスなど、医薬品成分を含む組換え作物を精製しないで摂取する方法に関する研究が幾つかある。これらの場合も、これまでにないタイプの剤形、投与方法ということになるので、開発元で用法特許を押さえておかないと、他の企業に押さえられてしまった場合には非常に不利になる。

気をつけなくてはいけないのは、関連資料を見る限り、米国ではすでに用法に関する特許が制度化されているように見える点だ。しかし、関連資料2をよく見ると、日本の特許法でも既存物同士の組合せに特徴のある場合は、”手段”についても特許が認められている(条件付きで、「もの」との組合せに限定される)。ただ、審査基準に明記されていないだけだと。

今のところ医療行為は特許の対象ではないが、今後は検討の結果如何ということで含みを持たせてあるので、やはり気をつけておくべきだろう。

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