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2009年3月1日 - 2009年3月7日の記事

2009年3月 5日 (木)

CISGENIC 再考

昨日、とある会議で、とある方から「”cisgenic”という言葉は(R)が付いていたので、登録商標になっているらしいけどホント?」と聞かれた。

いや、初耳ですね。ということで調べてみた。Googleで”CISGENIC trademark”で検索すると、とあるプレゼン資料にヒットした。それにはこうある。

"Genetic modification Cisgenicis now a registered trademark of Pastoral Genomics, NZ"

だが、これで納得してはいけない。一次情報は必ず確認すべし。

商標登録はどこの国に登録するかでも意味が違うので、まず"Pastoral Genomics, NZ"のホームページを調べる。

"Pastoral Genomics, NZ"は会社というは、そのホームページによれば”Pastoral Genomics is a New Zealand research consortium・・・”とある。会社じゃないよね。

Googleで、”cisgenic site:pastoralgenomics.com”を調べるもヒット無し。仕方がないので、アメリカの登録商標データベースをあたる。そこで、"CISGENIC"と"CISGENESIS"を調べてみる。

検索条件で、Live/Dead Indicator(有効/無効の指標)をLIVEに設定して検索すると、
CISGENICは

Owner: ViaLactia Biosciences (NZ) Limited CORPORATION NEW ZEALAND P.O. Box 109-185 Newmarket, Auckland NEW ZEALAND

ということがわかった。たしかに登録されている。しかし、こういう登録には無効請求が付きものなので、"TTABVUE. Trademark Trial and Appeal Board Inquiry System"のリンクを見ると、無効請求が出ていて状況は"PENDING, INSTITUTED "とある。

私は、アメリカに限らず商標登録の制度はよく知らないのだが、とりあえずLIVEな状態であるということは、無効請求も成立してはいないのだろう。一応の結論として、現在"CISGENIC"は登録商標であると言える。なお、"CISGENESIS"の登録はない。

そうなると、ともにニュージーランドの"ViaLactia Biosciences"と"Pastoral Genomics"の関係が気になる。

"Pastoral Genomics"のサイトによれば、"ViaLactia Biosciences"はパートナー企業らしい(その親会社はFonterra)。"Pastoral Genomics"も"ViaLactia Biosciences"も、マーカー開発とゲノミックスを受託する企業らしい。

この関連から、ニュージーランドの乳業会社 (Fonterra)傘下の、バイオテクノロジー企業(ViaLactia Biosciences)がコンソーシアム(Pastoral Genomics)を組んで、マーカー開発やCISGENIC技術による飼料作物の改良を目指している構図が何となく見えてくる。

トウモロコシなど濃厚飼料ではアメリカ=モンサントの覇権は動かし難いが、酪農を支える基盤である粗飼料についてはアメリカやヨーロッパとは違う第三極として独自の取組で知的財産権の確保に努めているいるということだろうか。

ちなみに"CISGENESIS"に関しては、こういうホームページがあった。

http://www.cisgenesis.com/

・・・まんまです。Contact先がWageningen大学の人々なので、cisgenicをtransgenicから除外すべしという一連の動きと関連したページだろう。EUの規制ルールが変更されればこのページに必ず載るだろう。EU域内のルール変更は、次にはカルタヘナ議定書締約国にも何らかの形で波及する。おそらく食品・飼料安全性にも関係するので時折見ておこう。

各種の遺伝子組換え技術の名称についての提案が以下のペーパーにある。

(Nielsen KM. 2003)

核酸供与体が近縁である順に、Intragenic(同種の生物) → Famigenic(同科の生物) → Linegenic(同系統?の生物) → Transgenic (類縁関係のない異種の生物)→ Xenogenic (人工的なDNA配列)という分類だ。

となると、人工的なエピトープ等が組み込まれた”スギ花粉症緩和米”は、"Xenogenic Rice"ということになる。TG-RiceではなくXG-Riceとでも言うのだろうか。

概念的には分かりやすい。分かりやすいのだが、実際問題としては、

  • 供与核酸がコドンの最適化で、もとの配列と相当に違う場合だとか、
  • genomic cloneではなくcDNA cloneなので、イントロン内のリプレッサー結合領域がなくなっていて発現の抑制が効かない場合だとか、
  • プロモーターも構造遺伝子もイネ由来だけれど、本来とは全然違う組合せで転写因子を異所的に発現させているため、最小限の遺伝子操作であるにもかかわらず遺伝子発現パターンが大幅に変わっている場合

など、こんな頭でっかちな定義では縛りきれないものが、少なからずできてしまうだろう。一部は今でも既に論文発表されている。

こういう小手先のルール変更で”CISGENICはGM作物ではありません”と言っても、だからといって科学的に安全とまでは言いきれないし、transgenic ではないので情報開示する必要はないと言うのであれば、市民の安心にもつながらない。もうちょっと世人のとらえ方を考えた方が良いだろう。

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2009年3月 3日 (火)

Quantile Normalization: 訂正

マイクロアレイのデータ処理方法の解釈を間違ってた。以前のエントリーでは、聞きかじりでQuantile normalizationの操作を、

  1. シグナル強度を対数変換(底は2)する
  2. 75%点のシグナル強度の対数値でシグナル強度の対数変換した強度を割る
  3. 個々のプローブの価をアレイ間で中央値が0になるようにシフト

と書いてしまったのだが、2.はpercentile shiftという操作で、分布の分位点を揃えるために行うもの。
ステップ3.は、正しくは

  1. アレイごとに、個々のプローブをシグナル強度で順位付けして、同じ順位のプローブのシグナル強度のアレイ間の平均値を求める。
  2. 個々のプローブのシグナル強度データを、同じ順位のシグナル強度の平均値に置き換える。
  3. データをもとの順番に並べ替える。

という操作だった。オリジナルの論文はこちら(フリーアクセス)。

Quantile normalizationについて、この論文では、

1. given n arrays of length p, form X of dimension p × n where each array is a column;
2. sort each column of X to give X sort;
3. take the means across rows of X sort and assign this mean to each element in the row to get X' sort;
4. get X normalized by rearranging each column of X' sort to have the same ordering as original X

こう書いてあった。うーん聞きかじりは良くない。反省。

しかし、こうするとたしかに分布は揃うけど、生物学的には関連のない遺伝子の発現強度で規準化してるのでどうなのだ・・・ま、RT-PCRでもアクチン等をスタンダードにしていることもあるので、そう間違ってはいないのだが、解析するデータセットに依存して発現強度の順番は入れ替わるため、分布の形がグニャグニャかわるというイメージなのであまり気持ちの良いものではない。インフォマティクスの人は気にしないのだろうか。

こういう形で任意の変換(しかも、ほぼ不可逆的)をしてしまうと、変換後のシグナル強度のfold changeにどれほどの意味があるのかと考え込んでしまう。また、分散分析がどうのと言っても算術的には計算できて、統計的に有意かどうかも議論できるが、もとのデータの信頼性を考えるとちょっと心許ない。できるだけ、Normalizationをしないで済むように実験の精度を高める努力をするべきなのかもしれない。

# その場合、系統誤差には目をつぶる他ないが。

---

マイクロアレイの散布図を描くとき、なぜデータを対数変換しないと収まりが悪いのか?

話は変わるが、シグナルの分布については、マイクロアレイという検出系の特性で対数変換しないと収まりが悪いのではないか、と考えた時期もあった。しかし、アラビ ドプシスやイネのMPSSのデータの分布を眺めても、やはり対数変換しないと散布図の収まりが悪い(えーと、収まりが悪いというのは、正規分布に近似でき ないという意味です)。

異なる原理で測定する検出系で同じデータの分布が見られるのであれば、それは細胞内で行なわれる遺伝子発現において、発現量の少ないmRNAに対して、発現量の多いmRNAは指数関数的にコピー数が多いと考えるべきだろう。

本来、細胞の中である遺伝子の転写が起きるとはどういう状況だろうか。一つの細胞に注目してみると、個々の遺伝子の発現には基本的にはOnとOffの2つの状態としてとらえる(本当は二値的なスイッチングだけではないことは、出芽酵母の同調培養のアレイのデータを眺めればよく分かる)。Onの際にはOffの際と比較して指数関数的にmRNAのコピーが作られると考えられる。つまり、個々の細胞内ではOn/Offの際のmRNA量の比が2倍だの3倍だのという違いではない。

アレイのシグナル強度は、測定時に細胞内に”蓄積している”mRNAのコピー数を反映している。その時の瞬間的な転写の速度ではない。また、分解の速度でもない。

そして、ある遺伝子のシグナル強度はサンプル中に含まれる、ある遺伝子を発現して、そのmRNAを蓄積している細胞の数にも依存する。この割合は試料中の細胞数(一定重量のサンプルに占める割合)に比例するので、fold changeがたかだか数倍でも生物学的には意味がある違いだと考えるべきだろう。問題は、検出系や実験誤差を超えて、何倍位の違いまで確からしいと言えるか・・・だ。経験的には、1回のマイクロアレイの実験で2倍以下の変動は、試料の組織の切り出し方や、生育の度合いというノイズを拾っているのかもしれない。微妙な違いは反復を取ってANOVAで確認するか、実験のコストを勘案して、数十遺伝子以下であればRT-PCRで定量するほうが良いのだろう。どこまでもアレイだけで煮詰めなくてはいけない理由はない。

イネを材料にこういう現象を追いかけるのが正しいアプローチか、という疑問はある。イネは多細胞だし、精密な環境制御はしにくいし。しかし、酵母でもこういう”なぜ?”を追いかけた研究は見たことがない。これは、私にとっては、この10年来の解けない謎だ。

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2009年3月 2日 (月)

”ユメサキボシ”登場!

新しい”はだかむぎ”の品種が農研機構(近畿中国四国農業研究センタ- 大麦・はだか麦研究チ-ム)からリリースされた。

品種名は”ユメサキボシ”。平成4年リリースの”イチバンボシ”、平成13年リリースの”マンネンボシ”(デビュー当時は”マンテンボシ”だったが、後に改名)の正統を引き継ぐ期待の新星だ。
# 平成12年の”ダイシモチ”は特殊用途、平成17年の”トヨノカゼ”は、大分のご当地限定、ということで、ちょっと路線が違うか。

先日、試供品を麦飯にして炊いてみたが、炊きあがりの色が明るい。保温後の褐変も日頃食べている米粒麦(多分、ファイバースノウ)よりも少なく、麦飯特有の臭いも薄い。押し麦では、若干、粒の割れが多いかも知れない。加工プロセスを工夫すれ解決できるだろう。二条ならではの粒大は加工の自由度をあげることになる。

これまで、二条裸麦は育成系統では少なからずあったものの、品種になったのは今回が初めて。遺伝学的には、できて当然のものなのだが、色々難しい所があってこれまでなかなか実用化できなかった。

関係者の努力には敬意を払うが、”できて当然”と言うのは、条性も皮裸性も単一遺伝子支配なので伝統的な育種技術の延長で対応できるという意味だ。もっとも、収量性や品質に関してクリアしなければならない標準目標が高いので、目的とする表現型の系統を作出するには、条性を変えるだけでも六条同士の交配よりも集団の個体数を増やす必要があり、通常の育成よりも大変であることに違いはない。

二条と六条では、穂の形が違う。穂に付く花の付き方が違うためだ。しかし、作物としての収量水準はほぼ同じだ。一個体あたりの収量は二条も六条もあまり変わらない。しかし、一穂あたりの粒数は当然六条の方が多い。二条が同等の収量になるためには、粒重を重くすることと、単位面積あたりの穂数を稼ぐことで追いつくほかない。

そうなると、二条裸麦は、草型も穂数の多い現代的な二条品種に近づいてくるし、分げつ数を稼ぐためには、幼穂分化時期が長期間にわたる播き性Ⅰの方が有利だ。生態的にもビール麦に近づく。

詳しい特性データはまだネット上では入手できないが、ユメサキボシの特性はこれらの点でビール麦に近づいているはずだ。一方、従来の裸麦は低温に弱い。つくばあたりでさえ、上手く越冬できない系統があるくらいだが、ユメサキボシはどうだろ。

ユメサキボシの詳細はこちら

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2009年3月 1日 (日)

見出しの付け方に気をつけよう:メタボ基準

誤解する人が続出しそうな記事。読売新聞より。

生活習慣病とメタボ腹「関連強くない」…厚労省研究班

 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断基準は、腹囲が男性85センチ以上、女性で90センチ以上あることを必須条件としているのに対し、単に腹囲が大きいだけでは生活習慣病の危険要因としては不十分という調査結果を、下方浩史・国立長寿医療センター(愛知県大府市)研究所部長を班長と する厚生労働省研究班がまとめた。

 メタボ基準を巡っては、男性の腹囲が女性より厳しいことなどについて異論が続出しており、今回の結果も見直し論議に一石を投じそうだ。

 研究班では、無作為に選んだ愛知県内の40~82歳の男女3253人について、内臓脂肪の断面積をコンピューター断層撮影法(CT)で計測。内臓脂肪面積が100平方センチ以上の肥満の人とそれ未満の人で、2000年から6年間、心臓病や脳卒中を引き起こす動脈硬化の進み具合を、心臓の冠動脈や脳血管の梗塞(こうそく)の有無など6項目で比較した。

 肥満の人は、そうでない人に比べ、動脈硬化のある人の割合が、心臓の冠動脈は女性では約1・2倍だが男性では差がみられず、脳内の細い血管は男性は約1・2倍だったが女性では差はあまりなかった。6項目すべてで差は1・5倍未満にとどまり、「全体として関連はそれほど強くない」(下方部長)と分析 された。

 メタボの基準では内臓脂肪面積が100平方センチ以上の場合に危険が高まるとして、それに該当する腹囲(男性85センチ以上、女性90センチ以上)が定められた。今年度始まった「特定健診」(メタボ健診)では、腹囲が基準を超えていなければ、血圧、血糖値、脂質のすべてに異常があっても、指導の 対象にならない。

(2009年3月1日03時16分  読売新聞)
メタボリックシンドロームは代謝症候群ととらえるべきだろう。内臓脂肪の蓄積はその一つの誘因。

内臓脂肪が蓄積すると、高血圧、高血糖、脂質代謝異常など様々な代謝の異常を生じやすくなるのが問題点(そうならない恵まれた?体質の人も居る)。研究班の調査は「内臓脂肪の断面積をコンピューター断層撮影法(CT)で計測」、「動脈硬化の進み具合を、心臓の冠動脈や脳血管の梗塞(こうそく)の有無など6項目で比較した。」とある。内臓脂肪の断面積と腹囲は概ね相関があるが、1パラ目にあるように腹囲とメタボリックシンドロームとの相関を調べたわけではない。

次に、メタボリックシンドロームには高血圧、高血糖、脂質代謝異常などがあり、冠動脈疾患のほかに、糖尿病にも関連する。調査班の研究結果からは、内臓脂肪の断面積と冠リスクの相関はそれほど大きくない、ということが分かったということ。内臓脂肪と血圧、血糖値、脂質代謝との関連まで否定されたわけではない。その点、この記事で誤解する人がでて来かねない。

また、他の「血圧、血糖値、脂質のすべてに異常があっても、指導の対象にならない。」という見方はおかしい。普通、これらの検査値が異常を示せば、高血圧症、糖尿病、高脂血症などの病名と診断され、保健指導や治療の対象になるはずだ。

腹囲はプロクルーステースの寝台ではないが、度を越した肥満が健康上のリスクであることに違いはない。

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