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2009年11月13日 (金)

事業仕分け:Spring-8、植物センター、バイオリソース事業

行政刷新会議のワーキンググループ(第3グループ)による事業仕分けをライブで見た。
テーマは、理研のSpring-8、植物センター、バイオリソース事業だが、植物センターとバイオリソース事業が並べられているところに、私の職場の独法の事業との重複を指摘しようという意図がなんとなく感じられたので見てみた。結果として、やはりそうだったのだが・・・。

とはいえ、議論の時間のほとんどはSpring-8に費やされていた。

Spring-8の年間の運転経費が75億円、そのうち電気代は15億円。利用者負担はお願いしているものの、あまり足しにはならず利用者が多いほど収支は赤字になる(もともと採算が取れるとは誰も考えていないので当たり前なのだが)。利用者数を伸ばせない理由は運転コストを稼ぐには予算が十分でないという説明だった。

仕分け人の指摘は、人によっては「経費が巨額なのに収支が悪い」という一方で「誰も採算が取れるとは考えていない」という人もある分裂振り。その上予算が足りなくて利用が伸ばせないのだといわれてしまい・・・。にもかかわらず、結論は予算削減。仕分け人が、事情をどう理解したのか謎だった。

そもそも、事業仕分けという作業は、事業を行う意義はあるのか、意義があるなら担い手は国か地方か民間か、費用は適切かという段階ごとに議論を進めるものらしいのだが、結論はそのフレームに拘束される。Spring-8などでは有用性と担い手についてはそもそも議論がなく(それはそうだろう)、あとはどれだけ費用を削るかという議論だった。ところが、利用者数を伸ばせない理由は運転コストを稼ぐには予算が十分でないと説明されては、どう予算を削減させる理屈をつけるたものか。私には仕分け人がほとんどヤケクソで結論をこじつけたようにしか聞こえなかった。

植物センターについては、アラビのメタボロームが主で網羅的解析というところが特徴で、基礎研究に特化しているという説明が文科省石井ライフサイエンス課長と理研篠崎植物センター長からあった。

仕分け人からは、「基礎研究とはいえ6年もたったのだから利益をあげろ」という趣旨の指摘。一方、石井課長は「基礎研究に特化しているし、まだ9年しかたっていない。特許は申請している」と反撃。

基礎研究と言うものの性質が理解できるなら、この程度の時間経過の中で投資が回収できるとは思わないはずだが、よくわかっていない人が仕分け人になったらしい。

また、「基礎で利益が上がらないなら、応用を担当する農水系の独法と垂直統合すれば?」という意味の指摘があった。しかし、これにも「理研はナズナで、農水は作物。研究対象がそもそも違う」と反論。

まあ、組織が一緒になってもメリットはないだろう。どちらも税金を投入して運転しているので、どちらのセクションが利益を上げるのかは、採算の単位となる組織が違うだけの話だ。研究対象も違うのでトータルで利益が上がりやすくなるというシナジー効果は期待できないのだが、財務省にはそれが分からないのだろうか。

植物センターについては「交付金の割合が高い。農水や経産など外部の競争的資金をとれば?」という指摘もあった。これこそ、ファンドの出所が国庫なら何の違いも無い様に思うのだが何を考えているのだろう?さっぱり分からない指摘だった。

バイオリソース事業については「課題が固定的なのはどうか」という指摘には、「課題は公募で大学から募集している」と回答。

最後は、強引に「とにかく減額」という、という調子に見えた。

行政刷新会議が予算を編成に関与する法的な根拠は全く無いので、そのワーキング・グループの結論を最終的に予算の査定に反映させるスキームは不明確だ。行政刷新会議の議長が首相なので、ワーキング・グループの結論を行政刷新会議として調整し、オーソライズした上で、首相の指示として、財務省のいうことを聞かないと閣議決定しないよ、と各大臣にせまることはできるのかもしれない。

しかし、あの程度の底の浅い議論で予算を削減するのでは各分野の行政の責任者たる大臣達の同意が得られないだろう。結局、政治家ばかりでもなく、辞令も出されていないらしい仕分け人が、不明確な権限であれこれ指摘してみせただけに過ぎない。

しかも、日本経済新聞のニュースによれば、

首相、「事業仕分け」今年限りを示唆

 鳩山由紀夫首相は12日、行政刷新会議の「事業仕分け」について「来年は我々(政治家)がすべての責任を持ってやらないといけないので、事業仕分けというのはおかしな話だ」と述べた。そのうえで「今年は旧政権の中で温められていたことが大半という状況だからこういうことが起きてくる」と語り、民間有識者の協力を得る現行方式は今年限りの措置だと示唆した。(00:37)

私は、毎年の継続事業を順繰りにレビューして、政府の事業全部の見直しをするのか、えらいなぁと思っていたのだが、そうでもないようだ。そうなると、来年度予算の原資を工面するためだけに、削りやすい事業をスケープゴ-トにしたものと疑われるのだが。

これは、言い換えれば「来年以降は民主党が政治主導で編成した予算なので、原理的には無駄はない。従って、査定の過程も国民に公開する必要は無い。」と言っているようなものだ。これでは、透明性の確保という点から事業仕分けに期待した国民の支持を失うことになるだろう。

---

そうそう、日本モンサントからこんなことが書かれたメールが来ていた。

世界の農業に対するこの公約を実現するため、モンサント・カンパニーは現在、一日当り200万ドル(約1億8,000万円を越える研究投資を行なっています

研究投資から製造業を通じて利益を得たければ、これくらい投資するものなのだなぁ。Spring-8の運転経費の年間75億円など小さく見える。これから見れば我々の研究勢力など、品種開発という特定分野に限ってみれば中小企業程度のスケールにしかならないし、年間の予算規模も通常は全部ひっくるめてもモンサント社の1日分そこそこではないだろうか。

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コメント

■仕分け、スパコン補助金「限りなく見送りに近い」―事業仕分け結局は、巨大ブーメランとなって、民主党の命脈を絶つか?

こんにちは。事業仕分けは、あまり意味がありません。企業経営でいえば、プロモーションばかりやって、マーケティングをしていない会社のようなものです。民主党の幹部は、そういう会社の幹部のようなものです。まさに、事業仕分けは、前政権の無駄(本当に無駄かどうかは別問題)を公表し、手っ取り早く民主党が国民のために活躍していることをアピールするための販促活動のようなものだと思います。長期にわたる国家ビジョンなしに、事業仕分けをしたとしても、根本的な問題の解決にはならず、かえって混乱するだけです。この事業仕分け、結局は何も解決にならず、ますます、国民に不満感、閉塞感をもたらし、結局は巨大ブーメランとなって、民主党の命脈を絶つことになるかもしれません。詳細は、是非私のブログをご覧になってください。

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