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2009年8月の記事

2009年8月29日 (土)

新聞社に公的支援が必要か?

8月24日の毎日新聞にジャーナリストの原寿雄氏が寄稿している

私の読み方が間違っていなければ、「読者離れと広告離れによって今後経営が難しくなる新聞社に対して、新聞は他に代わるものが無く民主主義社会には不可欠であることから、新政権には金銭的な支援を求めたい」と書いているように読める。

以下、該当部分を抜粋。

”公器として権力の監視や社会正義の追求をはじめ公共的な情報をいち早く豊富に安価で提供してきた。恒常的で組織的な取材、調査・分析力。そして、特定の利害に左右されない道義性の高さを肩代わりできる媒体は、当面ほかに見当たらない。”

”欧米の政策を参考にした税制上の優遇や、教育文化政策の一環として、ジャーナリズムの社会的な重要性を学ぶためのカリキュラムを強化したり、義務教育が修了する15歳を機に新聞の1年間無料配布を検討してもいい。年500億円で足りよう。”

私の読解力が足りないのであれば、どうと言うことではないのだが、これって、”公器”としての新聞の自殺行為ではないか。経営が広告料収入をあてにし始めた時点で、企業に対する批判能力は削がれ始めていた訳だし、その上、政府の資金援助まであてにしてしまっては、経営に政府が介入する余地が生じる。中国の人民日報のようになりたいのだろうか。

新聞社では、経営からの編集の独立を謳っているが、それは、読者がそのお題目を信じている場合に限って有効である。読者の信を失ってからでは意味がないのだ。

ちなみに、企業経営が公的資金を注入されるようになると、一部の会社では従業員の賃金はカットされる可能性が高い。

# 某大手新聞社の平均賃金は国家公務員の2倍近くに上るという情報もあるにはあるが、真偽は定かではないので引用はしない。

まして、我が国の政府は、従業員(国家公務員)の賃金をカットしなければ経営が立ちゆかない状況にある。そこから支援を受けるまえに、やることがあるだろう。

まずは、株式を上場して市場から資金調達をしてはどうか。それで報道が偏向するというのなら、株式を公開しているテレビ局の報道は偏向していることになるし、海外の有名新聞社も一緒だ。もし、現状で経営からの編集の独立が十分に果たせていると言うのであれば、株式を上場しても何ら問題ないはずなのだから。

現状のような経営情報の開示では、公的支援の必要性を国民に説明ができないおそれがある。”欧米の政策を参考にした税制上の優遇”を受けたいのであれば、朝日新聞や読売新聞はグループの従業員が5,000人以上の大企業なのだから、当然、それに見合った経営情報の開示が前提になる。

単に私が新聞社の収支決算の情報を知らないだけかもしれないが、非上場の新聞社は収支決算を公開していない様に思う。その経営の安定化のために公的支援を行うのであれば、経営情報の開示の部分も”欧米の政策を参考に”するべきだ

# とはいえ、誰も投資してくれないと悲惨な有様になるのだけれど・・・。

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2009年8月28日 (金)

シャープがLinux搭載の"軽"Net Book、"NetWalker"を発表

プレスリリースはこちら

私はザウルスSLC860というPDAを使っていたことがある。動作がもっさりしていてアプリケーションの起動が遅いので、幾つかのアプリケーションを起動しっぱなしにすると、今度はメモリーが足りないと言ってくる。キーボードも、キーというよりは”ボタン”と言う感じで、あまり長文を打つには向いていない。

メモ代わりに文章を打ち込めるツールが欲しかったのだが、その点ではPDAはあまり向いていなかった。

ということで、ポメラなんかどうだろうかとも思ったのだが、ファイル管理機能がお粗末で、モニターが見づらいのでパス。起動の速さはネットブックには無い美質なのだが、性能の割には値段がね・・・。

いっそネットブックを買おうか、とも思ったのだが私が使っている5年もののPanasonicのノートPC、CF-Y4 (重量は1.5 kg程あるのだが・・・) のバッテリー寿命が7時間なのから見ると、4-5時間しかバッテリーが持たないPCはいくら小型軽量でも使う気になれなかったのでパス。しかも、起動が滅法遅いし。

その点、NetWalkerは3秒強で起動するというのが特徴の一つだ。バッテリーも10時間持つらしい。OSはLinuxだし、bashも動く。多分、Perlも動くだろう。メモリーも512MBあるので、能力的にはちょっと前のノートPCに匹敵する。重量も400 g台なので、ノートPCを持ち歩くのが苦痛になってきた中年のおじさんにもピッタリ。

ただし、いくつかの製品レビューによれば、市販前のプロトタイプではキーボードが若干貧弱だというのが気になるところ。実機を触ってみて、改良の余地ありということであれば、半年-1年先送りして、改良版で様子を見てみよう。

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2009年8月26日 (水)

文部科学省二種告示改正の意見募集

久々にカルタヘナ法関連のネタです。

寄生虫を宿主とした遺伝子組換え実験を行っている人には結構影響が大きいかもしれない。
(居るのかな?)

---
文部科学省が”遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律”(カルタヘナ法)の研究開発に関わる第二種使用に関連した”研究開発等に係る省令に基づく告示”の改訂作業を行っている。

8/19から1ヶ月のパブコメ期間中だ。前回の改訂からほぼ1年。前回の積み残しは解消している模様。

# それはさておき、こんなにひっそり意見募集してるとなかなか気づかないよ。BCHのトップページの”お知らせ”にも出ていないし。→ どうよ。生命倫理・安全対策室の皆の衆。

改訂の主なポイントはこちら(PDF)。趣旨は、科学的知見が集積したので、それを踏まえたバージョンアップ。改正点は、

  1. 実験分類未定の生物をクラス2、3、4に追加
  2. 実験分類割り当て済みの微生物等について菌株ごとの見直しと学名の更新

具体的な改正点はこちら(PDF)

私の見たところ、地味に影響が出そうな改訂ポイントは以下の通り(もちろん変更は他にもあります)。

  1. クラス1のウイルスのポジリスト廃止 → ”病原性がないもの”という括りでひとまとめ。
  2. 種名で細分化されていた細菌を、属でひとまとめ。
  3. 新規ウイルス、寄生虫等の追加
  4. Pseudomonas fluorescens biovar I MB101株及びその由来株をクラス1に引き下げ
  5. Salmonella属細菌の整理(血清型で分類し直し。特に、医薬品のAmes test標準株の一つTA1535株をクラス1に変更)

このうち4.、5.の変更は告示の読み方がわからないと判断できないところなので、別紙で説明を加えていただきたかったところ。

もう一点注文をつけさせていただくと(・・・まだあるんかい、と突っ込まれそうですが)、認定宿主ベクター系のPichia pastoris は、経産省の産業利用GILSPリストでは学名が"Komagataella pastoris"に変更され、Pichia pastoris の方がSynonymとして扱われています。Synonymなので、"Komagataella pastoris"に変えろとまでは言いませんが、同じ法律の下で、産業利用と研究開発では学名が違うというのはどうもいただけません。両名併記の方が良いでしょう。

ともあれ、生命倫理・安全対策室もカルタヘナ法対応のスタッフが手薄になっていると伺っております。その中での改訂作業ご苦労様です。

# パブコメの意見待ちの間はなんだか落ち着かないのだよね。

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2009年8月24日 (月)

アメリカ環境医学会のポジションペーパー

遺伝子組換え作物の即時出荷停止を求める”アメリカ環境医学会のポジションペーパー”なるものが発表されたらしい。

オリジナルはこちら

理由は、

"GM foods pose a serious health risk"ならびに
"Multiple animal studies have shown that GM foods cause damage to various organ systems in the body. With this mounting evidence, it is imperative to have a moratorium on GM foods for the safety of our patients' and the public's health," said Dr. Amy Dean, PR chair and Board Member of AAEM.

だそうだ。

即時出荷停止を求めるほど公衆衛生上の有害性に自信があるなら、開発企業と政府を相手取って集団訴訟を起こせば良いのにね。

しかし、仮に、合衆国が遺伝子組換え作物の即時出荷停止を行えば、何が起こるか考えてみると良い。

国際穀物市場では供給がたちどころに逼迫し、価格が高騰する。食料自給率が低い国は、食料調達に難渋する。お金がある国はまだ穀物を買えるかもしれないが、貧しい国は飢餓に見舞われるだろう。お金がある国でも食料価格は高騰し、国民生活を圧迫することになる。

これまでのところ、遺伝子組換え作物によって健康被害は発生していないだろう。飢餓を超えるほどの被害が発生するのなら話は別だが、リスクとベネフィットを秤にかけて考えれば分かるように、あやふやな根拠で規制をかけた場合の損失は計り知れない。

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2009年8月19日 (水)

セイヨウナタネと在来ナタネの自然交雑

セイヨウナタネと在来ナタネの自然交雑に関するニュース。朝日新聞より。

遺伝子組み換えナタネ、在来種と交雑 環境省確認

2009年8月17日7時21分

 遺伝子組み換えセイヨウナタネが在来ナタネと交雑したとみられる個体を、環境省が国内で初めて確認した。ナタネの輸入港や輸送路を対象とした昨年の調査で、三重県松阪市の河川敷から採取した個体を分析してわかった。

 遺伝子組み換えで作られ、特定の除草剤をまいても枯れなくした除草剤耐性ナタネは、年間200万トン程度輸入されるナタネの8割ほどを占める。これがこぼれて、港周辺などで自生していることは5年前から確認されてきた。

 環境省が在来ナタネと思われる個体を分析したところ、組み換えナタネの特徴である除草剤耐性に関係するたんぱく質が検出された。その種子から育てた芽にも除草剤耐性を示すものがあり、染色体数が29本で、在来ナタネ(20本)と組み換えナタネ(38本)の中間だったことから、交雑によると考えられた。

 環境省外来生物対策室は、「組み換えナタネの利用承認の際に交雑の可能性は予想されていた。在来ナタネも元は外来植物で日本産の野生種と言えない」などとして生物多様性に悪影響を与える事例とはみなしていない。

 一方、組み換えナタネの監視を続ける河田昌東・遺伝子組み換え情報室代表は「組み換えナタネがはびこってしまってからでは、悪影響があった場合に回復不能となりかねない」と対応の必要性を主張している。(米山正寛)

環境省の報告はこちら。結論の肝心な部分は以下の通り。

除草剤耐性の遺伝子組換えナタネは、除草剤耐性であること以外は、一般のセイヨウナタネと生育特性等に差がないことが確認されているためです。従って、除草剤耐性ナタネが、現在生育しているセイヨウナタネ以上に生育範囲を広げ、日本在来の野生動植物の生物多様性に影響を及ぼす可能性は考えにくいと判断しています。

このボールドから「従って」までの間には、以下のようなロジックが省略されている様に思う。
---
まず、遺伝子組換えセイヨウナタネの生物学的な特性を考えれば明らかなように、除草剤耐性を持っている以外は、遺伝子組換えでない西洋ナタネと何ら変わらない、ということは、今回発見された染色体数29の雑種(F1)と見られるナタネと同様の自然交雑は、これまでもセイヨウナタネと在来ナタネの間で、長い歴史の中では、しばしば起こってきたと考えるのが妥当な推定だろう。

しかし、遺伝・育種学分野では染色体数が異なる両親(この場合、染色体数38のセイヨウナタネと染色体数20の在来ナタネ)の間では、雑種はできにくく、できた場合でも一般的には種子がつきにくく繁殖能力が低いことが知られている。

従って、セイヨウナタネと在来ナタネの間の雑種の優占化は非常に起こりにくいと考えられる。
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という推定が省略されているので、新聞記事でも、なぜ生物多様性に悪影響を与える事例とならないのかがわかりにくい。

一方、環境省の調査報告でも染色体数29の実生が雑種(?)個体の種子としてどのくらいの頻度で出現していたのかがデータとして示されていないので、どのくらい雑種が残りやすいかを推定することはできない。

今回の事例では、雑種と見られる親植物由来の実生がとれており不稔ではないことから、雑種が繁殖しにくいという論理展開は難しかったのだろう。

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休暇中は山形県下を訪れ寝たきりの老父の見舞い。疲れました。

2009年8月10日 (月)

p53遺伝子の発現抑制でiPS細胞の誘導を効率化できる

p53遺伝子の発現抑制でiPS細胞の誘導を効率化できるというニュース。
朝日新聞より。

iPS細胞の作成、数十倍効率化 京大・山中教授ら成功

2009年8月10日3時5分

 身体のあらゆる組織や細胞になりうる人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作製効率を数十倍高めることに、京都大学の山中伸弥教授らのグループが成功した。特定の遺伝子の働きを止める方法で、課題だった作製効率の低さを改善した。この遺伝子の制御法を改善すれば、安全で効率のよい作製法の確立につながり、再生医療や難病治療など実用化を加速すると期待される。

 9日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表する。激しい研究競争を背景に、山中教授らとは別に同様の成功をした京都大の川村晃久・特定助教と米ソーク研究所など他の4グループの研究も同時掲載される。

 山中教授らは、がん抑制遺伝子「p53」が、iPS細胞の作製時に活発に働くことに注目。がん化のおそれがある細胞の増殖を止めたり、細胞死に導いたりするp53が働かないようにした皮膚細胞からiPS細胞を作製した。

 その結果、06年に山中教授らが開発した4遺伝子を細胞に組み込むマウスを使った最初の作製法で、数%だった作製効率が約20%に向上。ヒトの皮膚細胞を使っても、千個の細胞から数個だった作製効率を数十倍高める効果があった。

 さらに、遺伝子の組み込みにウイルスを使わない安全性が高い方法でも、マウスの実験で、約10万個の細胞から、p53が働いたままではほとんどできなかったiPS細胞を約100個作ることができた。

 がん化を防ぐ役割のp53の働きを止めた状態が続くと、iPS細胞ががん化する可能性が高まるが、特殊な操作や薬剤でp53の働きを一時的に抑える方法は確立されている。山中教授は「iPS細胞を作るときだけp53を抑えるよう工夫すれば、安全で効率の高いiPS細胞の作製法につながる」と話している。(林義則)

日本の新聞では”日本人の研究”ということで価値を見出しているのだろう。

しかし、驚くべきはこちらのニュースのもあるように、Natureの同じ号において、独立の研究グループによる5本の論文でp53遺伝子が細胞の初期化を妨げていることが延べられている点だ。ちなみに、このニュースに対する読者コメントもなかなか興味深い。

DOI: 10.1038/nature08235

DOI: 10.1038/nature08311

DOI: 10.1038/nature08285

DOI: 10.1038/nature08287

DOI: 10.1038/nature08290

その競争の如何に苛烈なことか。そして、私は、これらの研究の科学的な価値は”iPS細胞誘導の効率が上がって実用化が近づいたこと”ではなく、"発がん抑制遺伝子として知られているp53遺伝子は細胞の初期化を抑制し、細胞のidentityを維持するのに一役買っていることが分かった"と言うことにあると思う。

しかし、p53のノックダウンをしてしまうと後でがん化を抑えられなくなるし、分化も誘導も上手くいかないかもしれない。siRNAやshRNAでは、p53遺伝子のメチル化の影響が残ってしまうかもしれない。しかも、サイレンシングによる発現抑制までには結構時間がかかるような気もする。

薬剤でp53遺伝子を押さえられるならそれでよいのかも知れないが、いっそ、p53遺伝子の特徴を利用して、ドミナント・ネガティブを起こす変異型p53遺伝子発現ベクターなんてどうだろう。

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2009年8月 5日 (水)

回帰分析か相関分析か。

朝日新聞と読売新聞に、親の収入が高いほど子供の学力が高いことが示された、と言う記事が出ている。

しかし、親の収入が高いというだけで、子供の学力が高くなると考えるべきではないだろう。

親の収入が高い ⇒ 子供の学力が高い

という単純な関係ではなく、

親の収入が高い ⇒ 子供の教育にお金をかけられる+余暇があるので子供とコミュニケーションが取れる ⇒ 子供の学習時間・幅が増える ⇒ 子供の学力が高い

という、いくつかの段階を経ていると考えた方が良いだろう。・・・ということを踏まえて、朝日新聞の記事。

成績と親の年収、比例する傾向 小6学力調査を国が分析

2009年8月5日3時9分

 全国学力調査の結果を分析したところ、保護者の収入が多い家庭、教育支出が多い家庭ほど子どもの成績がよくなる傾向があることが、文部科学省がお茶の水女子大学に委託した調査で確認された。年収によって正答率に最大約23ポイントの差がついたほか、塾や習い事などの支出が「ない」という家庭と「5万円以上」という家庭では、最大約27ポイントの差がついていた。

 保護者の収入と子どもの学力の関係について、国が具体的に分析、公表したのは初めて。東京大学の調査でも収入で大学進学率に大きな差があることが確認されており、教育費の公的負担のあり方が一層議論になりそうだ。

 調査は、お茶の水女子大の耳塚寛明・副学長(教育社会学)の研究班が昨年度、約6千人の小学6年生について実施。保護者にも年収をたずねて相関関係を分析し、4日、結果を公表した。

 それによると、国語のA問題(知識中心)は年収200万円未満の家庭の子どもは正答率が56.5%にとどまったが、年収が上がると、正答率もほぼ右肩上がりに上昇。1200万円以上1500万円未満の層は78.7%に達した。国語B(知識の活用中心)、算数A、算数Bでも傾向は同じで、年収によって最大約20~23ポイントの差があった。

 ただし、年収が最も多い区分の1500万円以上では、1200万円以上1500万円未満の層に比べ、四つのテストすべてで微減。0.3~1.4ポイント下回っていた。

 研究班は、年収が同レベルの中で比べて、成績が良い子どもに共通するものがあるかどうかも分析。「保護者がニュースについて子どもと話す」「小さい頃に絵本の読み聞かせをした」「家に本がたくさんある」などの項目が当てはまったといい、「幼児期から学校の学習になじみやすい家庭環境をつくることが重要だという示唆」「経済環境による学力差を緩和するカギを握っている」と指摘している。(上野創)

記事全体から見れば些細な点だが、子供の学力と親の収入の関係は、比例ではない。原点を通る直線ではないので。一次関数に近似できるかもしれないが。

記事によれば、分析したのは”保護者にも年収をたずねて相関関係を分析”とある。一方、研究班の指摘は”「幼児期から学校の学習になじみやすい家庭環境をつくることが重要だという示唆」「経済環境による学力差を緩和するカギを握っている」”とある。大多数の市民は急に年収が増える訳もなく、対策を考えるのであれば、こっちの指摘のほうが大切な気がする。

一方、読売新聞では、

全国学力テスト分析、親の収入高いほど高学力

新聞記事を話題に…成績アップ効果

 親の所得が高いと子供の成績は良いが、低所得でも親の心がけ次第で学力向上につながる――。

 昨年度の全国学力テストの結果を、文部科学省の委託を受けたお茶の水女子大の耳塚寛明教授らが分析した結果、そんな傾向が出ていることが4日、明らかになった。全国学力テストの結果と親の所得の関連を追った調査は初めて。絵本の読み聞かせなども成績向上に効果があり、耳塚教授は「経済格差が招く学力格差を緩和するカギになる」と話している。

 調査は、全国学力テストに参加した小6のうち、5政令市から100校、計約8000人を抽出し、親と教師を対象に学習環境などを調べた。

 世帯収入と平均正答率(国語と算数)の関係を見ると、高所得ほど正答率も高い傾向がみられ、最も平均正答率が高かったのは、1200万円以上1500万円未満の世帯。200万円未満の世帯と比べると平均正答率に20ポイントの開きがあった。

 親が心がけていることについて調べたところ、高学力層の子供の親は、「小さい頃から絵本の読み聞かせをした」「博物館や美術館に連れて行く」 「ニュースや新聞記事について子供と話す」といった回答が多かった。このうち、「本の読み聞かせ」や「ニュースを話題にする」は、親の所得に関係なく学力向上に一定の効果がみられたという。

 調査では、学校での取り組みも調べた。家庭環境にかかわらず、児童にあいさつを徹底したり、教員研修を積極的に行ったりしている20校では、学力向上に一定の効果がみられた。

(2009年8月5日  読売新聞)
”新聞記事を話題に”というあたりは手前味噌だが、こちらの記事の方がまだ前向きだ。

しかし、私が思うに、研究者が回帰モデルで明らかにしようとしてのは、こういうことではないのか?

親の所得と学力の相関は、教育費が教育にかける時間と手間に反映されるため、ある程度の相関は当然の結果。問題は、その相関から外れる”外れ値”で、お金をかけずにどのように教育の効果を大きくしているのかが興味の対象だ

ということではないのだろうか。
だが、ちょっと気になることが、この回帰モデルにはある。それは、このモデルでは、親と子の学力の間の遺伝的な相関が考慮されていないのではないか、ということだ。

遺伝学の分野では、しばしば親の遺伝的なポテンシャルを推定するために、「後代検定」という手法がとられる。たとえば、種牛となる肉牛の肉質を検定したいときには、子牛を育てて解体し、子供の肉質から親の肉質を推定するというのがそれにあたる。

仮に、”学力が高い人は、高い収入を得やすい”という関係がある場合、

子供の学力 ⇒(遺伝的相関)⇒ 親の学力 ⇒(学力と年収の相関)⇒親の年収

という関係だって成り立つかもしれないのだ。これは、親と子の学力の世代を超えた自己相関を見ている様なものだ。

しかも、試験を設計した時点での直接の”測定値”は学力試験の成績なので、上に書いた

親の収入が高い ⇒ 子供の学力が高い

という回帰分析よりは、

子供の学力(X) ⇒親の年収(Y)

という相関分析の方が、もともとの試験設計には合っている様に思う。

私は生物学分野の研究者として、測定可能なデータは全て何らかの確率分布に収まると信じている。言い換えれば、人の学習能力や応用力のポテンシャルには生まれながらに違いがあるとも言える。

それを、ある程度克服するのが、教育の機会をより多く与えることであり、本人の努力である。

そう考えると、義務教育の時期までに決まる学力を伸ばすのに必要な取り組みは、研究者らが言うように”「幼児期から学校の学習になじみやすい家庭環境をつくることが重要だという示唆」「経済環境による学力差を緩和するカギを握っている」”であって、朝日新聞の言うように、

東京大学の調査でも収入で大学進学率に大きな差があることが確認されており、教育費の公的負担のあり方が一層議論になりそうだ。

というコジツケは如何なものだろう。

# 朝日新聞の記者は、研究を実施した研究者さえも及ばない深い洞察力をお持ちかな?

各党とも、選挙対策で教育に対する政府の支援策をうたってはいるが、この調査結果からいえることは、親にお金さえ渡しておけば何とかなると言うものではないだろう。むしろ、両親とも忙しく働いていて、日常生活の中で子供と接する時間が少ないことの方が学力を伸ばす妨げになっている、という有様が浮かび上がっているように思うのだが。

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2009年8月 4日 (火)

見出しのピントがずれてるような・・・

注目してほしいのは”マウス胎児細胞”というところではなくて、”歯のもとになる細胞”を移植したら、”正しいかみ合わせの位置で成長が止まり”、”歯と脳の神経がつながっていることも確認された”ではないかと。

朝日新聞より。

マウス胎児細胞から完全な歯を再生 東京理科大グループ

2009年8月4日6時57分

 マウスの胎児から歯のもとになる細胞を取り出して培養し、痛みの感覚がある、ほぼ完全な歯に再生させることに東京理科大の辻孝教授(再生医工学)らのグループが成功した。人の歯の再生だけでなく、肝臓や腎臓などの臓器の再生医療につながる成果として期待される。米科学アカデミー紀要電子版に発表する。

 奥歯の位置に移植したところ、正しいかみ合わせの位置で成長が止まり、硬さは正常な歯と同じだった。刺激を与えるとマウスの延髄に、歯痛を感じた際にできるたんぱく質がたまることから、歯と脳の神経がつながっていることも確認された。約8割で、ほぼ完全な歯ができるという。グループは、マウスの歯 の再生自体には07年に成功していた。

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)から歯のもとになる細胞を作り、歯周病や虫歯で失った歯の跡に移植して再生できれば、入れ歯がいらなくなると期待される。また、再生医療の臨床で応用が進んでいるのは皮膚や角膜といった比較的単純な組織が多く、今回の確認によって、歯と同じように複雑で立体的な臓器 の再生医療につながる可能性が示された。(林義則)

再生医療としてはニーズの多い分野だと思います。

用語の解説と使い方が適切で、具体的なデータが述べられているのは毎日新聞。

マウスの歯:再生 正常な機能を確認 東京理科大など

 歯のもとになる組織を歯茎に移植して歯を再生し、正常な歯と同等の機能を持たせることに、東京理科大、東北大、東京医科歯科大などのチームがマウ スで成功した。4日発行の米科学アカデミー紀要電子版に発表した。入れ歯やインプラント(人工歯根)に代わる治療につながる成果で、他の臓器や器官に応用できる可能性もあるという。

 東京理科大総合研究機構の辻孝教授(再生医工学)のチームはこれまでに、胎児マウスから、やがて歯になる細胞「歯胚(しはい)」を取り出して培養 し、「歯の種」(再生歯胚)を作成。成体マウスの上の奥歯を抜いた後に埋め込み、神経や血管を含め歯をまるごと再生させることに成功している。

 機能を調べた今回の実験では、再生歯は歯茎移植の38日後に生え始め、約50日で下の歯とのかみ合わせが可能な高さまで成長した。マウスの50日は、人では約5年に相当するという。

 また、歯に力を加え実験的に矯正したところ、通常の歯と同様にあごの骨と歯をつなぐ骨の形が変化し、再生歯があごと機能的につながっていることが確かめられた。再生した神経が痛みや圧迫の刺激を脳に伝えていることも確認できた。

 マウスは系統が同じなら、違う個体同士でも組織や器官を移植することが可能だ。だが、人の場合は臓器移植時のような拒絶反応が起きる。チームは今後、拒絶反応の心配がない患者自身の歯や口内の細胞を使って歯胚を再生する研究に取り掛かる。【元村有希子】

これまでの研究との関連・違いや、ヒトでの応用の際の問題点なども的確に指摘されており、良いまとめ方です。研究というのは単発的に何かが出てくるものではなく、連綿と続けられてきており、そして将来へとつながっていくということが短い文章の中に埋め込まれています。本村さんGood Job。

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2009年8月 3日 (月)

日産リーフ、電池はリース?

エコカー開発では他社の後塵を拝していた日産自動車が、新型電気自動車”リーフ”を発表した。発売は来年度後半。

ハイブリッドとは違って、走行中のCO2排出は電力会社任せ! (メーカー側によれば”走行中に二酸化炭素(CO2)をまったく排出しない”という表現になる。)

車体サイズはティーダよりも大きめ。iMeVやプラグイン・ステラが軽自動車ベースなので世界市場を狙うには苦しいところだが、これならいけるかもしれない。

一回の充電あたりの走行距離は160 km、フル充電まで8時間だが、80%までの急速充電なら30分(走行距離で言えば128 km)。街中で乗るには十分だが、遠乗りには苦しい。

車両本体価格は2000 ccクラスの乗用車並(あるいはそれ以下)とのことなので、おそらく250万円以下だろう。微妙なのは、バッテリー部分がリースになるかもしれないとのこと・・・でもそっちは幾らだ?

しかし、考えてみると電池技術は日進月歩。数年で電池の能力が向上するだろうから、電池部分は買取よりもリースの方が向いているかもしれない。購入後数年でバッテリーを換えると走行距離が200 kmなるかも。

EV専用ITシステムというのも面白い取組みだ。データセンターと通信してエネルギー残量に応じて到達可能なエリアを表示したり、充電センターを案内したりというのはEVらしい工夫だ。もしコンビニで充電できれば、コンビニにもメリットがあるだろう。

ついでに、電力制御のプログラムのバグフィックスやアップデート、定期点検、車検、サービスキャンペーンやリコールのお知らせも配信してくれるとありがたい(リコールは無いに越したことはないけどね)。

# リーフの発表は8月2日。日産の株価を見てみたが、7月30日から急に値上がりしている。怪しげといえば怪しげな値動きなのだが、その間の値上がり幅は本田と同程度。何ともいえない。

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2009年8月 1日 (土)

宇宙でなければできない実験か?

商品の宣伝効果はあるでしょうが・・・

「下着の実験も成功」若田さん今夜地球へ

 【ケネディ宇宙センター(米フロリダ州)=中島達雄】日本人として初めて宇宙に4か月半滞在した若田光一飛行士(45)が30日朝(日本時間30 日夜)、地球に帰還中の米スペースシャトル「エンデバー」で元気な姿を見せ、「におわない下着の着用実験は成功した」と笑顔で語った。

 若田さんはこの日、米メディアからのインタビューに対し、日本のメーカーが宇宙長期滞在用に開発した、汗のにおいを吸収する下着の着心地について答えた。若田さんは「1か月間着用し続けたのに、仲間は気が付かず、文句も言われなかった」と話した。

 マーク・ポランスキー船長は「我々は任務をやり遂げた。帰還の時だ。できれば、雲一つないケネディ宇宙センターに降りたい」と語った。

 エンデバーは31日午前10時48分(日本時間31日午後11時48分)に着陸する。

(2009年7月31日11時37分  読売新聞)

いえね、若田さんがどうのと言う気はさらさらありません。これは宇宙でなければできない実験・・・では無いような気がするのは私だけでしょうか。

ちなみに件の下着は「マキシフレッシュ」という製品だそうです。

# 男性用パンツ一枚\3,500!

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