ブルーマンは医と食の壁を乗り越えるか!?
食品添加物として使用されている色素、青色1号(ブリリアントブルーFCF)に神経の損傷からからの回復を早める効能が見つかった。論文はラットを使用した実験。
“Systemic administration of an antagonist of the ATP-sensitive receptor P2X7 improves recovery after spinal cord injury,” http://www.pnas.org/content/early/2009/07/24/0902531106.abstract.
こちらの記事では、ブリリアントブルーFCFを投与されたラットが青く染まっているところに注目しているようだ・・・まぁ、一種、チャーミングではある・・・が、私は別の意味で興味深い研究だと思う。
これまでも医薬品として使われる成分が、食品添加物に使われてきたケースはいくつかある。たとえば、甘草のグルチルリチンや、CoQ10など。しかし、逆のパターンで食品添加物から医薬品になったというケースは聞いたことがない。さて、どう展開されるのか。
食品添加物なので、経口投与の際の安全性は実験的に確認されている訳だが、投与経路が違えば毒性が現れないとも限らないので、もし、医薬品として使用するつもりであれば、動物実験の際には、青いラットの群れが見られるだろう。そして、治験の段階になると・・・ブルーマンショー?
ブリリアントブルーFCFそのものは特許で保護されないので製薬会社は開発のモチベーションを持たないだろうが、投与方法によってはこれからまだ特許がとれる可能性は残されている。今後に注目。
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コメント
今日、学会で共同研究者の発表を聞きながら、食品が先か医薬品が先かを考えていたので、ちょうど良いタイミングのエントリーということでコメントをば・・
グリチルリチンに関して言えば、人間と甘草との付き合いは甘味料(今で言う食品添加物)から始まったんじゃないかと思います。草の根を食べられるかと齧ってみたら甘かった・・・これは美味い!って感じじゃないでしょうか?そんなふうに数千年味付けとかお菓子に使っているうちに何やら薬効があるぞってことになって、天然物化学が進んでから成分に辿り着き、医薬品としての開発も進んだ・・・という順番かな?と思いました。つまり、添加物が医薬品にっもなった例じゃないかと。生薬にはそんなのが結構ありますね。ナツメとか。もっとも甘草が日本最初にやって来たのは「正倉院薬物」という名前の通り、薬としてでしょうけれど。
投稿: conocono | 2009/07/30 23:09
ヒトと甘草のおつきあいの歴史を紐解けば、きっとconoconoさんの説の様なものでしょう。
でも、薬効成分としての”グルチルリチン”という物質になってしまうと、ちょっと違ったストーリーがあったのだろうと思います。
投稿: 土門 英司 | 2009/07/31 20:40