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2009年7月 6日 (月)

リスク評価が有効なのは合理的なコストでデータが入手できる場合に限られる

どんなコストを払ってでもデータを入手することに意味があるとは限らない。”時間”というリソースも含めて、合理的なコストで入手できないデータは、リスク評価には使えない。

食品安全委の人事案を野党否決、科学界が批判

 内閣府食品安全委員会の人事案を民主党など野党4党が参議院で否決したことに対し、科学界から批判が相次いでいる。

 委員の候補者が4年前、輸入牛肉の安全性を判断した科学的評価を、「評価の姿勢に問題がある」として否決の理由にしたためだ。近く政権を握るかもしれない党からの政治的圧力に、科学者側は「中立的な評価が損なわれる」と危機感を強めている。

 問題の人事案は、吉川泰弘・東京大教授を委員長含みで同委員に起用するもので、6月5日に否決された。吉川教授は2005年、同委員会のプリオン 専門調査会座長として、米国・カナダ産牛肉の輸入再開を条件付きで認める答申案をまとめた。民主党は、調査会が「データに不明点が多く、厳密に評価するの は困難」としながら答申案をまとめた点などを問題視した。

 しかし、食品安全委員会は、有害物質などがどのくらいの確率で悪影響を与えるかを科学的に評価する機関。日本学術会議の金沢一郎会長は先週、異例の談話を発表し、「十分とは言えないデータで確率論的に結論を出さねばならないことがある。

 データ不足を理由に結論を先送りするなら、科学の入らない主観的な判断になってしまう」と批判した。同委員会の小泉直子委員長(公衆衛生学)も1日、「評価の独立性と中立性が守られなければならない」との談話を出した。

 民主党の筒井信隆・ネクスト農相は「データが少ないなら集めるのが当然だ。学術会議の意見も一つの考えで、絶対ではない」と話している。

(2009年7月6日14時19分  読売新聞)

食品安全性に限らず、”リスク評価”はそれ自体、「科学的な評価手順に従って、合理的なコストの範囲で入手可能なデータから確率論的にリスクの大きさを計る」という性質がある。緊急時には少ない時間的リソースでの評価が問われ、結局は時間との戦いになる。

例えば、新型インフルエンザの発生時に、その対応を決めるためのリスク評価を延々とやっていたらどうなるだろうか?緊急性を勘案しないリスク評価は役に立たない可能性が高い。

食品安全委員会のリスク評価は、たしか標準処理期間が決まっていない。「データが少ないなら集めるのが当然だ。」と言っていられるかどうかは、現実に起こっている諸問題とどう折り合いを付けるか?という匙加減の問題でもある。いつまでも評価を長引かせると、実際の問題としては、リスク管理側の官庁の行政判断に影響を与えることになる。

例えば、仮に食品安全委員会が”十分なデータが収集されていないので、判断は保留する”として評価結果を公表しなかったらどうなるだろう?リスク管理側の官庁はどのように対応できるだろうか。BSE問題のケースで考えれば、それは農水省が”米国産牛肉の暫定的な輸入中止”をいつまで続け得ただろうか?ということでもある。

結局、評価結果待ちで無期限に輸入禁止を続ける訳にもいかず、評価結果を待たずに輸入するわけにもいかず・・・(評価に必要な情報の提供を米国政府に求めることはできたかもしれないが)。

いずれにしても、リスク管理を行なう官庁が対外的な説明責任を問われることになるだろう。”ネクスト農相”ならば、そうなった場合でも頑張れるのかもしれないが、リスク評価に必要なデータが入手できないという理由で評価結果の公表を無期限に延期するというカードを食品安全委員会に与えると、結局苦しむのはリスク管理を行なう官庁のトップだろう。

それはで結局、リスク評価をリスク管理から切り離せなくなってしまうのだが、その辺の理屈が分かっているのだろうか・・・。

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