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2009年5月 7日 (木)

新型インフルエンザの水際阻止は、まだ必要か?

 このところ、国際空港など水際の新型インフルエンザの検疫が重点的に行なわれている。

 しかし、今回の新型インフルエンザは従来の季節性のインフルエンザと比較しても、さほど凶悪なウイルスではないことが徐々に分かってきた。WHOでは、これまでのH5N1の新型インフルエンザ対策の基準に沿って、多国間での大規模感染を意味するフェーズ6の警報を検討し始めている。

 確かに、従来の基準に従えば、多国間での大規模感染があれば、WHOはフェーズ6の警報を出すことになるのだが、はたして今回の新型インフルエンザは、本当に警戒に値するものなのだろうか?私は、感染症の専門家ではないがちょっと疑問に思い始めている。

 世界各国での新型インフルエンザの感染者は2,000人超、死者44人(5/7現在)。一方、共同通信の記事によれば「季節性だけで年間25万-50万人が死亡する」とのことなので、これと比較して今回の新型インフルエンザによる死亡のリスクはそう高くないかもしれない。

 死亡というのは極端な判断基準だが、そこまで行かなくても、感染のしやすさと症状の重篤さとについても考えてみよう。

 もともと、季節性のインフルエンザは人口に占めるワクチンの接種率が低いこともあり、医療行為による感染予防は高齢者や乳幼児などの高リスクグループを除いてそれほど効果を上げていないのではないだろうか。そういう意味では、ワクチン接種で感染後の死亡リスクの低減が期待される季節性インフルエンザと、未だワクチンが開発されていない今回の新型インフルエンザとの間では、感染予防の可能性と言う観点では実際のところあまり大きな違いはないように思える。

 次に、新型インフルエンザの感染後の重症化のリスクだが、余病を持たない人が適切な治療を受けた場合は、4日ほどの高熱の後は快方に向かうとされており、これも季節性のインフルエンザとそう違わない。感染後48時間以内であればタミフルも効きそうな按配であるし。発熱と細菌による呼吸器への二次感染をコントロールしておけば、あとは十分な水分、栄養、休養で何とかなる。・・・というか、結局は飲んで食って寝るしかない。その点、新型も季節性も大差ない。

 さて、そうなると、実際のところどれだけ感染が拡大しているかを比べてみたくなる。今現在の日本における季節性インフルエンザの流行の状態だが、国立感染症研究所の集計によると、

2009年第16週のインフルエンザの全国レベルでの定点当たり報告数は4.10(報告数19,515)となり、前週より微増した。都道府県別では秋田県 (15.3)、長野県(10.8)、福井県(10.5)、福島県(9.8)、鹿児島県(9.0)、岩手県(8.9)の順となっている。警報レベルを超えて いる保健所地域は17箇所(11道県)と減少したが、注意報レベルのみを超えている保健所地域は39箇所(15都道県)と増加した。
 2008年第36週以降これまでに、インフルエンザウイルスの検出はAH1(Aソ連)型3,206件、AH3(A香港)型1,503件、B型1,342件が報告されている。

 ・・・実は、1週間あたりの感染報告件数で見ても、今年は、こっちの方が感染のリスクははるかに高い。その辺を感染源が歩いているのだから当然か。

 アメリカやメキシコなど、既に国内での新型インフルエンザの感染が拡大している国でも、域内での新型インフルエンザの感染者は4月25日以降の10日程で2,000人弱。日本の季節性インフルエンザの発生件数は、4月13-19日の1週間だけで、報告数が19,515件。人数ではもっと多いだろう。国の全人口を母数にした割合でみても、日本の季節性インフルエンザの方がはるかに流行しているといえる。

  新型インフルエンザの国内での感染拡大のリスクと、検疫に関わる人的なコスト、旅行者の被る不利益を勘案するといずれかの時点で、バランスが取れたときに水際対策は止めることになる。今回の新型インフルエンザについては、毒性や感染力に関するデータが徐々に出揃ってきているところなので、今の時点で、水際対策を止めるべきとまでは言わないが、落ち着いて考えてみると仮に感染が拡大しても、さほど大事にはなりそうに無いウイルスの水際対策に力を入れ続けるよりも、国内での流行がまだ終息していない季節性のインフルエンザに対する対策の方が重要ではないか?(政治的にはアピールしないけどね。)発熱外来などの対策は、そういう意味では季節性インフルエンザにも有効なので良いことだが。

 ニュース等では、うがい、手洗いの方法や、みだりに目や鼻に触らないなど基本的なインフルエンザ対策の知識を繰り返し伝えている。これも結構なことだ。だが、2009年17,18週くらいになっても定点当たりの感染報告数が減らない様であれば、折角の啓蒙活動の効果も疑わしくなる。さて、うがい手洗い励行の効果は如何に?今後数週間の感染動態から目が離せない。

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新型インフル、世界の感染者2000人超える(朝日新聞) - goo ニュース 全世界での新型インブルエンザの患者数が2000名を超えたそうです。 死者も米国人の死者が初めて発生し、合計44名になったそうです。感じの数は日々増加していますが、検査体制が整い、患者の発見が増えているだけで、メキシコなどでの流行はおさまり始めているという情報もあるようです。 ただ、スペインなど欧州での患者が増加し、警戒レベルは6に格上げされる可能性も、あるようです。 今後の焦点は新型インフルエンザワクチンの開発と、秋以降の... [続きを読む]

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