2020年4月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

最近のトラックバック

どこからきたの?

  • なかのひと

Google Analytics

« 2009年3月 | トップページ | 2009年5月 »

2009年4月の記事

2009年4月29日 (水)

OpenOffice.org 3.0で論文を書いてみたが・・・

2月4日に投稿した論文がアクセプトされた。編集者やレフェリーとのやり取り自体は正味2ヶ月弱なので比較的短かった方だ。

現行は最初からOpenOffice.org 3.0 Writer (OOo Writer)とCalc、図はCanvas 11で書いたのだが、電子投稿システムの都合でMS-Word形式で保存しないと投稿できなかった。これが、トラブルの原因で大きなTableを含む文書は文書フォーマットを変換する際に、何度やってもなぜだか壊れてしまった。

そんなこんなで、編集者とやり取りしているうちに3週間くらい時間をロスしている。OOo WriterにはZoteroとの連動機能があるので、リファレンスリストの作成はかなり楽だったのだが、結局OOo Writerと電子投稿システムの相性の都合でフォーマットを変換したりなんだりが必要だったので、MS-Wordで書いた方が全体としての効率は良かったかもしれない。

現実の問題としては、長いものには巻かれろということなのかもしれないが、ほぼ業界標準になっているとはいえ、仕様が公開されていないファイルのフォーマットに依存して仕事をせざるを得ないのは決してよいことではない。生物学、生化学関連の雑誌でも、TeXとまでは言わないが、せめて仕様が公表されているオープン規格であるODFには対応して欲しいものだ。研究論文がOOo Writerで書いた方が効率が良いという状況になるまでにはもう少し時間がかかりそうだ。

論文の中身はいずれPublish されるのでここでは触れないが、私にとっては、これまで携わったことのない全く新しい専門分野の論文になる。二年間行政で働いた経験を含めて、これまで色々な専門分野で仕事をしてきたのだが、分野が違うとそれぞれ”常識”というか、基本的なパラダイムが違う。従って、論文を書き始める前には相応の勉強が必要になる。専門分野が近ければそれほど大変ではないのだが、この分野の論文を書くようになるとは想像もしなかっただけに今回はきつかった。

# そのあたりを器用にこなせる人も居るのかも知れないが・・・。

結局は、非常にシンプルな論文になったのだが、下地になる基礎的な知識から身につけていく必要があったため、結論を導くのに必要な試験の組合せやデータ・セットの取捨選択など取りまとめに時間をかけてしまった。専門分野を点々とするのは、仕事の能率が決して良くないし、このノウハウが今後また役に立つことがあるかどうかも分からない。

人気blogランキングへ←このエントリーの情報はお役に立ちましたか?

クリックしていただけると筆者が喜びます!

2009年4月27日 (月)

あれっ?こっちから来るか!-豚インフルエンザ-

新型インフルエンザといえば、鳥が起源だとばかり思っていたら、意外な発生源から、しかも東南アジアではなく中米からやってきた。

このところメキシコを中心に豚インフルエンザのヒトへの感染が相当規模で起きている。とはいえ、季節性のインフルエンザの流行の規模と比べて高頻度かどうかまでは良く分からない。また、これまで豚インフルエンザのつもりで見ていなかったので、実はこれまでも見過ごされていた感染があったのかもしれない。

私は感染症の専門家ではないが、インフルエンザ・ウイルスの感染リスクは次の5点から考えている。

  1. ヒトからヒトへ感染しやすいか?
  2. 感染した場合の病状は深刻か?
  3. 感染が拡大しやすい季節か?
  4. 予防できるのか?
  5. 治療法はあるのか?

1.は今回の豚インフルエンザは、ヒト・ヒトの感染が確認されているので、もし、感染の規模がこれからさらに拡大するとWHOの警戒レベルはレベル4に引き上げられることになる。このウイルスが、どのくらい感染しやすいかは予断を許さない状況である。

2.はいわゆる毒性の問題。メキシコ保健相の公表では100人以上がインフルエンザに感染後に死亡しているという発表があったようだが、そのうち豚インフルエンザが検出されたのは、今のところ20人。他はこのウイルス感染が直接の死因であるかどうかは不明。また、メキシコ以外では通常のインフルエンザど同程度の病状であり、死者もでていない模様なので、抗生物質で対応できる二次感染が悪化した可能性も否定できない。ともあれ、感染者の病状に関する情報が出てこないと、ヒトに対して強毒性か否かは判断できない。しかし、かつて猛威を振るったスペイン風邪よりは致死率は低いようだ。若年の重症患者が多いのが気になるが。

3.は今回は専門家はあまり言っていない。が、インフルエンザは一般に大気の湿度が低い乾季には感染が拡大しやすいが、雨季には感染の拡大は起こりにくい。この時期、メキシコの気象はどうなのだろう?

こちらのページには東京とメキシコ・シティーの気候の比較がある。メキシコ・シティーの乾季は10-5月。乾季の終わりの5月の月間降水量でさえ、東京で最も雨の少ないの12-1月並で、しかも最高気温は25度以上の夏日。雨が少なく高温なので、おそらく、からからに乾燥していることだろう。

一方、日本は乾季は5月まで。4月以降は散発的にしか感染は見られなくなる。豚インフルエンザも、通常のヒト・インフルエンザも新型インフルエンザ(鳥インフルエンザ由来)も、感染拡大に関わる季節要因が一緒であると仮定できるのであれば、今般メキシコや合衆国で感染の拡大しつつある豚インフルエンザが、この5月以降に雨季に入る日本など東アジアで感染爆発を引き起こす可能性はそう高くないだろう。

4. 予防法は、通常のインフルエンザの予防法と変わらない。うがい、手洗い、マスク着用。人ごみは極力避ける。

ワクチンは普通のA型インフルエンザ・ウイルスのH1N1型のワクチンが効くかどうかは不明。舛添厚労相は「(毎冬流行する)季節性インフルエンザに優先して行いたい」とのことだ。準備は結構なことだが、これまでの新型インフルエンザ・ウイルス・ワクチンでもWHOがワクチン株を公表してから製剤のプロトタイプ作成から臨床研究をへて、医療現場で処方できるようになるまでには2年以上はかかっている。今回は、流行中のウイルス株が既に単離されているようなので、若干早いかもしれないが、仮に6ヶ月で準備できても、ワクチンができるのは既に10月末。となると、今般の豚インフルエンザの流行が日本でも夏を越えるか、季節性のインフルエンザよりも高リスクであることが明らかになるまでは現状の季節性のインフルエンザ・ワクチン作成する方が優先事項ではないだろうか。

5. 治療法は、普通のインフルエンザと一緒。A型なのでタミフルやリレンザが効くかもしれない。あとは二次感染を防ぐ抗生物質。解熱剤は他の障害を招く可能性があるので、市販のアスピリンは止めておいたほうが良い。それ以外は、休養と栄養をとって寝るのみ。

以上要するに、今のところは、強毒性かどうかの情報が出てくるまではなんともいえないが、死亡率から言えば強毒性ではなさそうな気がする。

なお、アメリカCDCのポッドキャストはこちら。こういうときにすぐに専門家がインターネットで自分の言葉で伝えるというところが凄い。

人気blogランキングへ←このエントリーの情報はお役に立ちましたか?

クリックしていただけると筆者が喜びます!

2009年4月24日 (金)

ちょっとヤな感じのペプチド

CPPと総称されるペプチドがある。Cell-Penetrating Peptides(細胞を貫通するペプチド)の略だ。

発見当初は、細胞膜を貫通するペプチドというのは真贋の程が疑わしいとされていたようだが、最近では細胞内にRNAを届けるための手法としても注目されている。

色々な種類があるようだが、有名どころはHIV(エイズウイルス)のTATタンパク質の一部(11-12 AA)の領域。11アミノ酸残基のうち8アミノ酸までがアルギニンでできている。これを全てアルギニンに変換したアルギニン11量体にも強いCPP活性があるという。このペプチドを細胞に導入したいタンパク質のC末端に融合させておくと様々なタンパク質を細胞内に導入できる。

このCPPを利用して、山中教授がiPS細胞の誘導に必要と同定した4種類の転写因子(山中因子)タンパク質を細胞内に取り込ませてマウス胎児の体細胞からiPS細胞を誘導した論文が発表されるようだ。

iPS細胞:「遺伝子なし」で成功 「がん化」防ぐ手法--米独チーム

 さまざまな細胞に分化できるマウスの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を、遺伝子を細胞内に入れずに作る新手法を米独の研究チームが開発した。遺伝 子の影響で起きうる細胞のがん化を防ぎ、治療に使える安全なiPS細胞の作成法につながる重要な成果で、世界の研究者が目指していた「遺伝子ゼロ」のiPS細胞が初めて実現した。24日、米科学誌「セル・ステムセル」で発表した。

 米スクリプス研究所のシェン・ディン准教授、独マックスプランク分子医薬研究所のハンス・シェラー教授らのチームが開発した。山中伸弥・京都大教授が開発したiPS細胞は、ウイルスを使い四つの遺伝子を細胞の核に入れて作られた。しかし、遺伝子や導入に使うウイルスが予期せぬ働きをして、細胞ががん化する恐れが高く、遺伝子やウイルスを使わない方法が模索されてきた。

 米独チームはまず、大腸菌を使って4遺伝子から、それぞれたんぱく質を作成。このたんぱく質にアミノ酸の一種のアルギニンを11個つなぎ、細胞膜を透過しやすい性質を持つように改造、ウイルスを使わずにマウスの胎児の細胞内に入れた。

 その結果、たんぱく質が細胞核に入り、iPS細胞ができた。心臓、肝臓、生殖細胞などへの分化も確認。四つのたんぱく質は細胞の核に入って48時間後まで存在するものの、その後は自然に消滅するため、がん化の心配が少ないという。

 たんぱく質(プロテイン)の頭文字を取り、「piPS細胞」と命名。今後、同じ手法がヒト細胞でも可能かどうか、研究が続くとみられる。

【奥野敦史】

これまでのiPS細胞の誘導法と比べて、

  1. ガン化を誘導する可能性の高いレトロウイルスベクターを使っていないこと
  2. 動物細胞用の複製開始点を持たないプラスミドでも核に取り込まれる可能性が否定できないが、DNA自体を使っていないこと
など、ガン化のリスクを下げる上では良い着眼点だ。しかし、「遺伝子なし」っていう見出しはねぇ。そんなに遺伝子が嫌いなのかな。誰でも2万個くらい持っているのに。

日本の研究グループも同じ手法に挑んでいる(熊本大学富澤先生ほか)だけに、先を越されてしまったのは残念なところ。しかし、海外のグループも、まだネズミの胎児の細胞でしか実現していないので、この手法がヒトの成人の体細胞に適用できるようになるまでには、この先、まだ色々な条件検討が必要だろう。

山中因子は、転写因子なので通常、細胞質で翻訳された後は核に移行する。CPPを末端に融合した山中因子も同じように、細胞に侵入した後は普通の転写因子と同じように核に移行していることだろう。

表題の、”ちょっとヤな感じのペプチド”というのは、このCPPの性質に関連する。CPPのように細胞に侵入するペプチドがその辺に転がっていると、それに接触した体の様々な細胞に侵入してしまいそうなものだ。想像するとちょっと怖い気がする。

人気blogランキングへ←このエントリーの情報はお役に立ちましたか?

クリックしていただけると筆者が喜びます!

2009年4月23日 (木)

明日、定額給付金が振込まれる

定額給付金。あれこれ迷ったが結局申請した。

Golden riceの開発プログラムが基金を募っていたら参加しようと思っていたのだが、生憎応募先が見つからない。募集していないのだろうか。

夕張市にふるさと納税を、とも思ったのだが花畑牧場の工場も進出するらしいので、そちらから法人事業税を納めてもらえば良いだろう。

ということで、使い道は、これ

WFPという名前を知らない方も多いだろう。実は、国連唯一の食糧支援プログラムだ。
正式名称は"The United Nations World Food Programme"という。

日本国内にも経済的に困窮している方々は多いだろうが、現在の為替レートを考えると\12,000の価値は、最貧国ではより効果的に発揮できるだろう。日本では一人1日500円の支援では24日間ようやく死なずに暮らせる程度だが、世界には1日1ドル以下で暮らしている人々が大勢居る

生命の重さに国籍は関係ないという前提で考えれば、定額給付金は、より貧しい国でこそより大きく役に立つ。

愛国心はないのか!というご批判もありましょうが、私はあいまいな”心”よりも計測できる効率の方を信じる。日本では一人、アフリカでは5人の食料を支援できるとしたら、間違いなく後者を取る。

人気blogランキングへ←このエントリーの情報はお役に立ちましたか?

クリックしていただけると筆者が喜びます!

2009年4月19日 (日)

ジャーナリズムと科学

 科学が文学の世界に接触するときに必然にあまりおもしろからぬしろからぬ意味でのいわゆるジャーナリズムとの交渉が起こる。
 ジャーナリズムとはその語の示すとおり、その日その日の目的のために原稿を書いて、その時々の新聞雑誌の記事を作ることである。それ自身に別段悪い意味はないはずであるが、この定義の中にはすでにいろいろな危険を包んでいる。浅薄、軽率、不正確、無責任というようなものがおのずから付きまといやすい。それからまた読者の一時的の興味のために、すべての永久的なものが犠牲にされやすい。それからまた題材が時の流行に支配されるために、取材の範囲がせばめられ、同時にその題材と他の全体との関係が見失われやすい。
 そういうジャーナリズムの弊に陥ったような通俗科学記事のみならず、科学的論文と銘打ったものさえ決して少なくはないのである。多くの通俗雑誌や学会の記事の中でもそういうものを拾い出せとならば拾い出すことははなはだ容易であると思われる。
 しかし一方でまた、たとえ日刊新聞や月刊大衆雑誌に掲載されたとしても、そういう弊に陥ることなくして、永久的な読み物としての価値を有するものもまた決して不可能ではないのである。たとえば前にあげたわが国の諸学者の随筆の中の多くのものがそれである。そういう永久的なものと、悪い意味でのジャーナリスチックなものとの区別は決してむつかしくはない。要するに読んだ後に、読まない前よりいくらか利口になるかならないかというだけのことである。そうして二度三度とちがった時に読み返してみるごとに新しき何物かを発見するかしないかである。つまり新聞雑誌には書かない最も悪いジャーナリストもあれば、新聞雑誌に書いてもジャーナリズムの弊には完全に免疫された人もありうるのである。この事に関する誤解が往々正常なる科学の普及を妨害しているように見える。これは惜しむべきことである。

寺田寅彦 著、科学と文学より「ジャーナリズムと科学」、昭和8年9月 世界文学講座 -テキストのオリジナルはこちら(青空文庫)-

 ええ、私が言ったんじゃありません。ジャーナリズムに「浅薄、軽率、不正確、無責任というようなものがおのずから付きまといやすい。」なんて。日本のサイエンス・コミュニケーションの草分けの一人、寺田寅彦 博士がそう書いていたのです。

 この文章が書かれた時代、昭和8年ごろジャーナリズムといえば新聞や週刊誌、あるいはラジオやニュース映画くらいだった。一応、あのNatureもJournalではあるし、昭和8年には既にあったのだが、寺田博士にとって、これはいわゆるJournalismとは無関係であったらしい。

 上記のコラムは、畢竟、科学的記事がジャーナリズム的悪弊に陥るかどうかは、作品が発表される場(新聞・雑誌)によって決定されるものではなく、作品そのものが読者自身にとっての新しい発見をもたらすか否かにかかっている、と伝えている。

 科学者が書き手の場合は現在でもその考え方は通じるだろう。社会への伝達媒体の種類が、新聞・週刊誌だけでなく、テレビやインターネットに拡大した今日においても、重要なのはコンテンツであって発表の場ではないという理屈は良く分かる。

 しかし、読み物としての価値判断の基準を、「要するに読んだ後に、読まない前よりいくらか利口になるかならないかというだけのことである。」と、全面的に読者に投げてしまうのはあまりいただけない。なにしろ、広く社会に向けて発信された情報の受け手は千差万別だ。生徒、学生、会社員、教職員、研究者、役人、政治家、医者に看護士、隠居に僧侶、漁師に農家、建設業、製造業、サービス業・・・。その際に、読んだ誰もが「利口になれる」ような情報発信はなかなかに難しい。

人気blogランキングへ←このエントリーの情報はお役に立ちましたか?

クリックしていただけると筆者が喜びます!

---

だいぶ良くなったが今だ、頭痛と発熱が完治せず。

2009年4月16日 (木)

発熱

2007年11月18-20日の状態に近い。

15日水曜の晩から発熱。最初、16日朝までは37.6度程度。17日昼過ぎから38-39度の熱が続いている。

病院での所見は、気道の炎症なし、発熱軽微ということで、インフルエンザ抗体の検出はしなかった。多分、正解。

聴診はなし。咽頭を視診、異常なし。 白目も黄ばんでません。

# リンパ節の触診はして無い。

ということで、インフルエンザでも一般的な風邪の所見でも無いと思うのですが、処方された薬は、解熱剤 (アセトアミノフェン、200 mg 錠)のみ。気休めにでもマクロライド系の効き目の長い抗生物質を処方していただけるとありがたい。

# お医者さんは細菌の二次感染なし、ウイルス感染の模様、と判断したのでしょう。

幻覚なし、見当識正常。若干の筋肉痛、刺すような頭痛あり。

解熱剤の副作用はないものの、作用が5時間で切れる・・・痛くてあまり寝てられない。関節痛、筋肉痛で苦しい。クラビットにしてもらえばよかった。

血圧は124/84くらい。脈拍124。若干頻脈です。そりゃ苦しいはずだ。

1時間ごとに武田のビタミンC入りスポーツドリンクを200ccずつ摂取。あまり汗がでないせいで若干頻尿気味(お食事中の方は失礼します)。こういう経口輸液が市販されてるのは本当にありがたい。けど、よく見ないと無糖の製品を買ってしまいそうなので注意。

前回の発熱の際の処置は ”1時間ごとに、ジップロックに入れたぬれタオルを自分で交換。”とある。そうかそうか。今回もその手で行こう。ぼーっとしていて思いつかなかった。ブログを書いていて良かった。

※ 16日8時頃、扁桃腺に直径4mmくらいの水泡。アデノウイルス?

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます。 今日は元気じゃ無いのであんまり喜べないけど。

2009年4月10日 (金)

無糖、無添加、無○○

何かが加わっていないことや、何物かではないことが、ある製品を他の製品から差別化する際にセールスポイントとして利用されることがよくある。

食品でよく見かける「無添加」、コーヒー飲料の「無糖」にカフェインレス、ビールなどのプリン体カットに、低カロリーというのもそうかもしれない。「栄養満点」というのがセールスポイントだった時代があったことを考えると、そんなにあれもこれも入っていない食品を食って何になるのだろう?と不思議に思う。

この種の”売り方”をする場合、もともとの製品に入っていた添加物、糖、カフェイン、プリン体などは入っていない方がより良い物、それ自体は有害ではないにせよ、望ましくはない物、という買い手の認識を誘う。何であれ、広告で声高に言っているのだから良い物に違いない、という判断停止の結果だろう。

# ”遺伝子組み換えでない”と言う表示もこれと同列だ。

今般の千葉県知事選挙では、元自民党の国会議員であった森田健作氏が「無所属」というブランド(”無印良品”のようなものだ)を掲げて、当選した。その一方で、選挙期間中も”自由民主党東京都衆議院選挙区第2支部の代表”であったらしい。

わかりにくい話なのだが、知事選の際の所属政党は、いわば”任意表示”のようなものらしい。つまり、”○○党”という支持母体や所属を掲げる場合は、選管に”党の所属党派証明書”の届出が必要だが、そういうブランドを表示しない場合は、その根拠となる”党の所属党派証明書”は必要ないということだ。

法律上、”無所属”というブランドが所属政党という属性を表すことになっていないこと、さらに政党が支持を表明していない場合、実際にはどこの政党に所属していようが”無所属”を標榜しても違法ではない、ということらしい。

しかし、実体論として”無所属”というブランドが、無糖、無添加と同じように、優良であることの証のように選挙民に受け止められているという状況を森田氏が熟知しているのであれば(多分、そうだろうが)、自民党支部の代表のまま”無所属”を標榜していた行為は、自らの利益のために選挙民を誤認させたものであるという指摘にも一理ある。

公選法違反に問うのは非常に難しいだろうが、公選法の精神に鑑みて、改正の議論を提起するという意味では、今回の提訴は意味があるだろう。

人気blogランキングへ←このエントリーの情報はお役に立ちましたか?

クリックしていただけると筆者が喜びます!

2009年4月 8日 (水)

すい臓でも甘味物質受容体が発現しているらしい

マウスの膵臓のインスリン分泌細胞(β細胞)では、舌と同様の甘味物質受容体が発現しているようだ。読売新聞より。

膵臓に「甘み」感じるセンサー、インスリン分泌促す働き

 マウスの膵臓(すいぞう)の細胞に、舌と同じように「甘み」を感じるセンサー(受容体)があり、血糖値を下げるインスリンの分泌を促す働きがあることを、群馬大生体調節研究所の小島至教授らのグループが突き止めた。
 8日付の米科学誌「PLoS ONE」電子版に掲載された。インスリンが十分に分泌されない糖尿病患者向けの新薬の開発にもつながる成果と期待される。
 インスリンは、膵臓の「ランゲルハンス島」にあるベータ細胞が血中のブドウ糖などを栄養素として取り込むことで分泌される。小島教授らはマウスの舌にある、甘みセンサーを構成するたんぱく質が、ベータ細胞にもあることを発見した。サッカリンなどの人工甘味料を加えたところ、インスリン分泌を促す二つの伝達物質が増えたという。
 小島教授は「受容体をさらに調べれば、糖尿病の病理研究にも道が開ける」と話す。糖尿病に詳しい相沢徹・信州大医学部教授は「新薬開発への第一歩になるのではないか。膵臓に甘み受容体があるとは科学的にも面白い」と評価する。 (2009年4月8日17時19分  読売新聞)

もう一つ、朝日新聞より。

甘味感じる細胞、膵臓にも 糖尿病治療に役立つ可能性

2009年4月8日14時4分  
 舌にある甘みを感じる細胞(甘味受容体)が、膵臓(すいぞう)にもあることを、群馬大生体調節研究所の小島至教授と中川祐子助教の研究グループが突き止め、7日(日本時間8日)、米国の科学誌プロスワンに発表した。糖尿病治療に役立つ可能性があるという。
 膵臓にはβ細胞と呼ばれる細胞があり、糖を分解し、インスリンを分泌して体内の血糖値を調節することが分かっている。甘味受容体が膵臓にあることは、かつて一部の学者が唱えていたが、小島教授らは08年に研究を始め、マウスのβ細胞に甘味受容体と同じ塩基配列の遺伝子があることを発見した。
 舌の甘味受容体は甘みを感じる機能しかない。だがβ細胞にはインスリンを分泌する働きがあるため、受容体への刺激が分泌を促している可能性が高いと結論づけた。
 糖尿病になるとβ細胞は糖を分解せず、インスリンを分泌しにくくなる。膵臓にも大きな負担がかかる。このため食事療法で糖を制限する治療方法が一般的だ。だが、今回発見された甘味受容体に特定の化合物で刺激を与えれば、甘みを感じるだけでインスリンを分泌することが分かり、膵臓への負担が少なくてすむという。
 小島教授は「今後の研究で、β細胞の甘味受容体をうまく刺激できれば、糖尿病の新たな治療方法となる可能性がある」と期待する。
 順天堂大の藤谷与士夫准教授(代謝内分泌学)は「β細胞に甘味受容体があることは聞いたことがなく、興味深い発見だ。この受容体を刺激することを目的とした糖尿病の新しい薬の開発につながる可能性がある。ただ、人体のなかで受容体がどのような働きをしているのかは、今後の研究が待たれる」と話している。(渡辺洋介)

 ”舌にある甘みを感じる細胞(甘味受容体)が、膵臓(すいぞう)にもある”というのは、記者の誤解だろう。これ、逆を言えば、膵臓のβ細胞が舌にもある、おばかな・・・いや、画期的な発見になるのだから。受容体と細胞を混同しているし。困ったものだ。

 特定のレセプターが舌と膵臓にあった、と言うのであれば話は分かりやすいが、この要約はまずい。これが、朝日の記事を後回しにした理由。

 一方、朝日の記事では、甘味レセプターのmRNAがβ細胞で検出されたように読めるのだが、読売の記事では「甘みセンサーを構成するたんぱく質が、ベータ細胞にもあることを発見した」とある。mRNAを検出したというのと、その先に合成されるタンパク質を検出したというのでは話が違う。これは、読売の早とちりか?論文を読まないと判断できない。

 個人的には、読売の記事のポイントの高いところは、「サッカリンなどの人工甘味料を加えたところ、インスリン分泌を促す二つの伝達物質が増えたという。」というところだと思う。β細胞に糖の受容体があることを疑う専門家はおそらく居ないだろう。しかし、それが舌で発現している甘味受容体である、というところは結構意外だろう。β細胞が糖で刺激されることは既に知られていただろうが、甘味受容体に対して糖と似たような挙動を示すサッカリンでもβ細胞が刺激されるというところは興味深い。

 経口投与したサッカリンが血流に乗るのかどうか、など実用面での課題もあるだろうし、甘味受容体の舌での信号伝達と、膵臓での信号伝達ではおそらく経路が違うだろうから、そちらの解明も待たなくてはならない。そう簡単に治療に結びつく訳ではないだろう。

 しかし、新しい発見であることは間違いない。この発見は、β細胞にはこれ以外に糖センサーはないのか?とか、言い方を換えれば、このセンサーがインスリン分泌のトリガーとして必要十分なのか、という新しい課題への扉を開いたことになるのだろうか。

人気blogランキングへ←このエントリーの情報はお役に立ちましたか?

クリックしていただけると筆者が喜びます!

サクラ サクラ

我が家の近所ではサクラが満開。

路上は平日だというのに花見客の車で混雑している。
Rimg0049

仕事をしているのが勿体無いような良い日和だ。

2009年4月 7日 (火)

FRET向け蛍光タンパク質

只今現実逃避中。

北海道大学のグループが群青色の蛍光タンパク質を開発とのこと。

群青色の「蛍光たんぱく質」北大グループが開発

 北海道大電子科学研究所の永井健治教授らの研究グループは、強い酸性やアルカリ性の中でも高い発光能力を持ち、退色しにくい群青色の「蛍光たんぱく質」の開発に成功した。
 青色系の蛍光たんぱく質の開発は世界で2例目。6日付の米科学誌「ネイチャー・メソッズ」電子版に掲載された。
 蛍光たんぱく質は、薬剤の体内での働きを確認する目印などに用いられている。ノーベル化学賞を受賞した下村脩博士が発見した緑色系や、赤色系が大半で、青色系はこれまで1種類しかなかった。
 研究グループは、緑色蛍光たんぱく質を構成するアミノ酸の一種トリプトファンの一部を、別のアミノ酸フェニルアラニンに置き換えたところ、群青色の蛍光たんぱく質ができたという。酸性、アルカリ性の程度を問わずに発光能力が高く、従来の青色系に比べ、退色する割合が約60分の1だった。
 永井教授は「酸に強い特性を生かし、胃の中などのたんぱく質の動きを直接観察したり、蛍光発色の繊維の開発への応用が考えられる」と話している。
(2009年4月7日07時24分  読売新聞)

論文はこちら。

”シリウス(Sirius)”と命名したのですね。蛍光が、424 nmと短波長なので、励起光もさぞかし短波長だろうな。記事を読んで、FRET向きだと思ったら論文では既にFRETもやっていました。流石。

論文によれば励起波長は355 nm、蛍光が424 nm。これは、CFPの励起波長434 nmにかなり近いし、理研の開発したKeimaの励起波長ともほぼ一緒です。なかなか使いでがありそうです。

蛍光退色が非常に少なくて、pHの変動にも安定している所も優れています。蛍光シルクにどうでしょう→(関係者の皆様)。

新規蛍光タンパク質の開発がこんなにニュースになるのは、やはり下村先生のノーベル賞効果でしょうか。

---

今日の午後は、トラブルシュートに追われて、予定の会議に出られず。ご迷惑をおかけいたしました。あらかじめ資料だけでも作っておいて良かった。

明日は、午前中はトウモロコシの移植作業、午後は出張。

人気blogランキングへ←このエントリーの情報はお役に立ちましたか?

クリックしていただけると筆者が喜びます!

2009年4月 2日 (木)

Google恐るべし -Dr. カルタヘナの憂鬱-

驚いたことに、4/2 現在、Googleで”供与核酸”を検索すると、このblogがトップヒットする。

私は、かつてカルタヘナ法のエヴァンジェリストを努めたことはあるけれど、現役を離れても、機械検索でもカルタヘナ法に関連づけられてしまうのだから、業が深いと言うか何というか。

阿藤快ではないけれども、なんだかなぁ・・・。文科省の二種省令関連のページより上に来てしまってはいけないような気がする。ましてやこれは個人のblogである。Google八部の逆の現象でフィーチャーされているのだが、あまり素直に喜べない。
---

午前中は研究者っぽく投稿中の論文の見直しをしていた。今週中には再投稿して決着を付けたいものだ。

午後は改正治験薬GMP、そのQ&A、パブコメの回答の勉強。この種の規制にかかわる情報を幾ら勉強しても、ちっとも業績評価にはつながらない。時間を食う割には、非常に実りが少ない作業だ。

早く専業の方に譲ってしまいたいのだが、なかなかそうもいかない。今のところ、私がやらなければ誰もやれない仕事だ。しかし、モチベーションを維持するのが難しい。文書を眺めている仕事は、研究とは違って閃きも感動も無い。希望もなければ展望もない。

”研究・実用化の加速”に対する回答のために、日々このような作業を行っているのだと信じているのだが、出口はあまりに遠い。光の見えない日々が長く続くと枯れてしまいそうだ。

# いえね、私は植物系の研究者なもので、光合成ができないと苦しいんです。

人気blogランキングへ←このエントリーの情報はお役に立ちましたか?

クリックしていただけると筆者が喜びます!

2009年4月 1日 (水)

固体発酵自体は新しい技術ではない

エイプリル・フールだが脳が疲労していてジョークの一つも思いつかないので、真面目なコメントを。

この記事はちょっとポイントを外している・・・
日刊工業新聞3/26より。

農環研、飼料イネ使いバイオ燃料作り出す新手法開発

 農業環境技術研究所は、飼料イネなどからバイオエタノールを作り出す新製法「固体発酵法」を開発した。農地から刈り取ってきた飼料イネや食用イネ のわらに酵素と微生物を加え、貯蔵しておくだけで糖化・発酵まで進み、バイオエタノールができる。既存の方法に比べ加熱処理などが不要のため、コストや労 力が減らせ農村での普及が期待できる。27日から福岡市内で開く日本農芸化学会の大会で発表する。
 新製法は、酒や漬物の製造で用いられる醸造技術と牛の飼料貯蔵で使われるノウハウをベースに確立した。セルロースやでんぷんを分解する酵素や乳酸菌と酵母の共生関係を利用することで、腐敗させることなくバイオエタノールの生産が可能となった。
 実際に飼料用イネで試してみたところ、20日間の貯蔵・発酵により1トン当たり213リットルのバイオエタノールが得られた。
(掲載日 2009年03月26日)

こっちもどうかと。日本農業新聞より

稲わらバイオ前進 簡易生産技術を開発/農環研
掲載日:09-03-27

  独立行政法人農業環境技術研究所(農環研、茨城県つくば市)は、飼料稲や稲わらなどのセルロース系バイオマス(生物由来資源)を原料に、従来よりも簡易な 方法でバイオエタノールを生産できる「固体発酵法」を開発した。酒の醸造技術や牧草サイレージをつくる時の乳酸発酵技術を応用し、エネルギー使用量を減ら した。エタノール生産後の残さは飼料として利用できる。福岡市で27日から始まる日本農芸化学会で発表する。

 セルロース系バイオマスは食料と競合しないため、各国が第二世代のバイオ燃料として研究開発を進めている。

 ・・・(詳しくは日本農業新聞紙面をご覧ください)

これはおしい!農業協同組合新聞より。

日本古来の技術で稲わらからエタノール製造 -農環研

 (独)農業環境技術研究所は、稲わらなどセルロース系バイオマスを収穫後、低水分のまま貯蔵、糖化・発酵させてバイオエタノールを製造する「固定発酵法」を開発、3月25日に公表した。
       この方法は、お酒や漬け物など日本古来の醸造技術と牛の自給型飼料(サイレージ)の発酵貯蔵技術を応用したもの。セルロース系の材料からエタノールを製造するには、原料の貯蔵方法発酵阻害物質の発生抑制▽廃液処理などの課題があるが、「固定発酵法」では収穫後低水分のまま貯蔵しながら、同時に酵素や微生物の力で糖化・発酵させるのでこれらの課題が解決できるという。
       セルロースやデンプンを分解する酵素、乳酸菌と酵母の自然な共生関係を利用した農業・醸造型バイオエタノール生産技術で、加熱処理工程が少ないため使用エネルギーを少なくすることもできる。
       研究では飼料用イネでは20日間の貯蔵・発酵で213l/tで、この原料を用いた生産目標値(317l/t)の約7割の実績を得ることができた。発酵残さを飼料としても利用できる可能性もある。
 この固体発酵法の開発によって、農村地域で生産される作物資源や未利用のまま排出されるバイオマスが付加価値の高いエタノールと飼料に変換され有効利用 することができる。バイオマス収穫地で資源をさまざまな用途に利用する資源循環型バイオマス利用システムへの活用が期待できるという。

(2009.3.26)

オリジナルのプレスリリースはこちら。ちゃんと「セルロース系バイオマスから固体発酵で」という見出して、的確にポイントを押さえている。

ちなみに、水を加えないでアルコール発酵させる固体発酵法自体は、古代中国にもあったし、現在でも白酒の発酵プロセスに使われている。従って、「日本古来の技術」ではあるが、より正しくは東アジア古来の技術である。たとえば、月桂冠のホームページを参照。たしか、済民要術にも出ていた。

で、農業環境技術研究所の開発したプロセスの何が新しいかというと、発酵の基質が”セルロース系バイオマス”であるところ。固体発酵法によるアルコール発酵の基質は従来はデンプンであったが、新しく開発された方法では繊維質の植物体からアルコールが造れる。記事にあるように「飼料イネなどからバイオエタノールを作り出す」と書くと、デンプンリッチな種子を原料にアルコール発酵をさせるのと区別が付かない。折角、セルロース系だと断っているのに。

つまり、このプロセスを使って麦わらを発酵させれば格安の麦100%の第四のビールが造れるし(脱税はいけないなぁ)、野菜を使えば酒粕なしで奈良漬けが作れる・・・かも。

ともあれ、現状では事業ベースで発酵によってバイオマスからエタノールを取り出そうとする場合、アルコール事業法の許可事業にあたるので、農家レベルでのプラントの運用を視野に入れるのであれば、経産省に申請する必要があるだろう。

人気blogランキングへ←このエントリーの情報はお役に立ちましたか?

クリックしていただけると筆者が喜びます!

« 2009年3月 | トップページ | 2009年5月 »

twitter

  • Bernard_Domon

Ranking

  • にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ
    日本ブログ村
無料ブログはココログ