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2009年3月の記事

2009年3月30日 (月)

”JSTのアンケート”あるいはblogを炎上させないコツ?

 私は、趣旨の明快なアンケートであって、その趣旨に賛同できる場合にはできるだけ協力するようにしている。先日、以下のようなJSTの委託アンケートがあったので回答した。

 この調査は、研究者の発する情報がメディアを介して伝達される過程に注目し、
「研究者は(インターネットを含む)マス・メディアとどのように接しているか、またマス・メディアのことをどう感じているか」
を把握するのが目的です。
 その調査の一環として「研究者のウェブによる情報発信の意識調査」を行なっております。つきましては、研究者としてブログにて情報発信を行っておられる方々にアンケートにお答えいただくことで、貴重なご意見を頂きたく存じます。

 アンケートは、15分ほどで完了します。また、収拾データは皆様の回答の「統合分析結果」のみを公表します。
(お答え頂いた内容が、個人あるいはサイトを特定できるかたちで公表されることはありません。)

 年度末の御多忙の折とは存じますが、調査にご協力いただけましたら幸いに存じます。

 ちょっと違和感があった。で、アンケートのWebページに進むと、

【本調査の目的】

 現代の科学技術は複雑で、市民にとってわかりにくいものになっています。同時に、科学技術は市民の生活に浸透し、さまざまな社会問題の背景になっています。科学技術情報をわかりやすく、しかも正確に社会に伝えること。この難しい仕事をやり遂げるためには、その情報流通システムの検討と改善が必要です。

 中でも、「ウェブ」は現在進行形で発展し続けている情報流通システムであり、その実態を把握する事が非常に重要となっています。ウェブの発達は個人が情報発信を行なう事を可能にし、かつての「マス・メディア」とは大きく異なるコミュニケーション手段を生み出しました。皆様の運営されている「インターネット・サイト(以下、サイト)」や「ブログ」も、そのひとつと言えます。

 本調査では、このような背景に基づき、自然科学系研究者は、ウェブ上での情報発信を行なうことに対して、どのような意識を持っているのかを把握するのが目的です。

 こうした一連の調査を通じて、現代日本における研究者とマス・メディアの関係性を把握すること。さらに海外で盛んに行われている同種の先行研究と比較することで、将来的には日本の研究者とマス・メディア間の情報流通を、より円滑にするための方策(社会技術)を開発することが、本調査の最終目標です。

 うーん、私は確かに「自然科学系研究者」だし、「ウェブ上での情報発信」をしてはいる。

 しかし、blogの主な目的は「科学技術情報をわかりやすく、しかも正確に社会に伝えること。この難しい仕事をやり遂げるため」・・・ではない。大体そんなに気負っていては、個人的なblogなんて書いていられない。私は、主に自分の備忘録としてblogを書いている。そして、その情報を共有することで誰かの役に立つのであれば、それにこしたことはない・・・というくらいの軽い気持ちで書いている。ますます違和感を感じる。

 さらに先のページに進むと、こんな設問がある。

「研究者がサイト/ブログを運営する」ことで得られる利益や、社会に対する影響に関して、あなたの意見に最も近いものをそれぞれ選択してください。

 私は職業研究者だが、研究者としての立場で専門分野に関わる情報発信の手段としてblogを運営している訳ではない。従って、何等、利益を求めていないし、影響力の行使も意図していない。・・・困るんだよなぁ、こういう先入観に満ち満ちた設問は。

コメント欄に書き込みが殺到する「炎上」と呼ばれる現象があります。あなたのサイト/ブログが「炎上」した経験はありますか?ある場合は炎上に至るまでの簡単な経緯と、その際に講じた対処について教えてください。

 告白しよう。私は、匿名で他人のblogに好き勝手な放言を書き込むことを許容できるほど寛容な人間ではない。匿名のコメントについては、私の主観で許容できる範囲のものしか公開しない。従って、基本的に「炎上」することはないと考えている。個人のblogは公器ではないし、世のため人のために書いている訳でもない。ましてや、トラックバックならばまだしも、匿名の非礼なコメントを自分の運営するblogで公開する義務はないと考えている。無益なコメントは公開しないこと。強いて言えばそれがblogを炎上させないコツだ。

 最後に、このアンケートについてもう一点だけコメントしたい。

研究者が社会に向けて情報発信する上で、ウェブは従来のメディア(テレビや雑誌、新聞など)に比べてどのような長所があるでしょうか。あなたの意見をお書きください。

 マスメディアは、時間や紙面の枠に縛られている。また、コンテンツを社会に伝えるメディア(媒体)であると同時に、商業的には広告媒体であって、広告の視聴者に対する”受け”を狙ったコンテンツの”制作”がなされる。研究者がマスメディアを通じて情報発信をする場合は、編集権を持ったメディアに対して、彼らがコンテンツを制作するための”素材”を提供しているに過ぎない。確かに、プロの手にかかれば研究者の提供した情報は、概ね要領よくまとめられたコンテンツに仕上がる。それはとても我々素人の及ぶところではない。

 しかし、情報を提供する側に編集権がないという点は、blogや論文とは決定的に違っている。つまり、自分にいかに伝えたいことがあっても、それを伝えるかどうかと言う選択権はメディアの側にあるということだ。

 この違いは、blogと既存メディアを同列に比較して長所がどうのと言う問題ではない。新聞や放送のように、自分の側に編集権のないマスメディアを通じて情報を社会に伝えるということは、自ら編集権を放棄して単なる”素材”に成り下がることを了解するということなのだ。blogも新聞や放送も、マスメディアとして同列に置いた考え方なのだろうが、情報発信をする主体のあり様から見れば、これらのメディアの選択は情報発信の主体が本質的には誰なのか?という問題に還元される。

 「研究者のマス・メディア・リテラシー」を調査するのであれば、その違いにもっとセンシティブであるべきだろう。私は、この質問のあまりのナイーブさに衝撃を受けた。

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2009年3月25日 (水)

花き研究所特別セミナーに参加

 農研機構 花卉研究所のサイエンス・コミュニケーションに関するセミナーに参加した。

 これまで私はサイエンス・コミュニケーションといえば、研究者が専門分野を共有するコミュニティー以外の人々に自らの研究内容を伝え、相手のレスポンスを理解してフィードバックすることだと考えていた。

 しかし、今日の講演を聴いて認識を新たにした部分がある。それは、サイエンス・コミュニケーションを”製作する”プロデューサー、あるいは”組織する”コーディネーターとしての働きもまた、サイエンス・コミュニケーションの構成要素であるとされていることだ。

 これは、喩えとして適切かどうかわからないが、サイエンス・コミュニケーションを芸能活動に例えると、研究者はアーティストやタレント、コーディネーターはプロデューサー、研究機関はプロダクションという位置づけになるだろうか。その全体を併せた活動を、サイエンス・コミュニケーションと位置づけることができるだろう。

 こうして見ると、伝えるコンテンツとしての研究がまず最も重要で、その点では高い水準の研究機関は多いのだが、サイエンス・コミュニケーションという視点で見ると、日本の研究シーンにはプロデューサーにあたるポジションの人材がきわめて希薄だ。研究者のサイエンス・コミュニケーションのスキルを磨いただけでは、誰かがコミュニケーションの場、方法、相手をセットアップしない限り、現実のコミュニケーションは成立しないのだから。

 # そこまで研究者に担わせるのは酷すぎる。

---

今日の講演で、個人的になるほど!と思ったポイント。

科学者の科学リテラシーとは何か?

  1. 研究者と言えども、自分の専門分野以外については素人。多様な研究分野に対する理解力を科学リテラシーという。
  2. 研究の社会的な意義、社会における研究者としての立ち位置を客観的に把握できる能力。

※ 研究分野がより精密に細分化されていく現代にあっては、1.の意味の科学リテラシーは研究者自身の研究の推進上も結構重要な意味を持っている。たとえば、分析技術の専門家のスキルを借りたい場合に、どうやって説明するか?など。

サイエンス・コミュニケーションの構成要素

  1. 研究者として自分の研究内容を、知的基盤を共有しない人々に伝え、相手の反応を自身の活動にフィードバックすること。
  2. サイエンス・コミュニケーションというコンテンツを”制作”するプロデューサーあるいはコーディネーターとしての働き。

---

 こうしてみると、私自身は結構、生物学の中でも色々な分野にタッチしてきた。地域の小さな研究所にいると、育種、昆虫、土壌微生物、植物病理、植物生理、食品化学など農業関連という括りではあるが、様々な研究分野の人々と話をし、時には一緒に仕事をすることができる。

 私自身の研究者生活の出発点として、地域の農業試験場に居た経験は科学に対する”間口”を広げる上で良いことだったのかもしれない。

 ちなみに、Googleで私の名前を検索すると、結構いろいろなものが引っかかってくる。オオムギの育種、モチ性オオムギを原料にしたパンの研究、イグサの品種識別マーカーの開発、カンキツグリーニング病の病原体の検出法、硝酸還元酵素から見た土壌微生物の分類、イネ種子根のマイクロアレイ解析、オオムギのモチ性遺伝子の構造解析、スギ花粉症緩和米の生物多様性影響評価、はては、”納豆菌のDNAフィンガープリント”まである。

 そうそう、研究以外で言えば、カルタヘナ法関連の業務では文部科学省の方々と働いたこともあった。役所の人々が、1日中何をしているかといえば、主に、企画や法律に関する文書の読み書き、電話の対応、メールの対応、会議・・・仕事の内容ではなく、形式・様態について着目すると、実はどれも”コミュニケーション”そのもの、あるいはその準備に他ならない。そう言う意味では、私は出向中の2年間、毎日コミュニケーションを主な業務としていたと言えるかも知れない。

 我ながら研究分野も、研究手法も目茶苦茶に散らばっていると思うが、これも、研究分野の少しずつ重なる人々と一緒に仕事をしてきた一つの結果だ。大学にとどまっていたらこういう仕事はできなかっただろう。そう言う意味では、様々な研究分野で、異なる仕事の切り口、異なる考え方の作法、論文をまとめる際の異なる方向性を、それぞれの研究者コミュニティーに入り込んで学ぶことができた。そうとは知らずに、かなり深いところで、一種のサイエンス・コミュニケーションを実践してきたということになるのかも知れない。

 しかし、今になって、一つだけ困ったことがある。それは「ご専門は何ですか」と尋ねられた時に、答えに窮することだ。私は、専門店というよりも田舎の百貨店のような研究者なのだから。

# 最近、論文がMinor revisionで通ったので、私のレパートリーにまた一つ相当に違う分野の論文が加わることになるだろう。

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2009年3月24日 (火)

"血液製剤"?関連のニュース

”血液製剤”とは、”人の血液から作り出される「くすり=医薬品」を総称して「血液製剤」と呼びます”とのこと。

さて、田辺三菱製薬の製品、遺伝子組換え人血清アルブミン製剤「メドウェイ注5%」がニュースになっている。この製品についてのメーカー側の情報はこちら。こう書いてある。

本剤は、当社の技術により、ピキア酵母を宿主として高純度の人血清アルブミンの大量製造及び供給を可能とした製剤であり、また、製造工程においてウイルスやプリオン等の感染性物質混入のおそれがある動物由来原料を使用していない遺伝子組換え人血清アルブミン製剤です。

この製品は明らかに血液製剤ではない。ここで、朝日新聞のニュース。

血液製剤データを不正差し替え 田辺三菱、承認取り下げ

2009年3月24日17時26分

 血液製剤アルブミンの承認申請にあたって試験データを不正に差し替えていたとして、田辺三菱製薬(大阪市、葉山夏樹社長)は24日、厚生労働省に承認取 り下げを届け出た。製品は自主回収する。同社によると、昨年5月に発売以降、約800人に使用されたが、健康被害の報告もないという。

 承認を取り下げるのは、同社と連結子会社「バイファ」(北海道千歳市)が共同開発した遺伝子組み換え人血清アルブミン製剤「メドウェイ注5%」。 バイファ社などによると昨年暮れ、同製品の有効期間を延長する申請手続きを準備中、「試験データの差し替えがあった」と社内報告があった。内部調査をした ところ、製造販売承認申請のため提出した試験データでも、一部のデータが差し替えられていたことが確認された。このデータは、ラットを使った急性のアレル ギー反応を調べる試験で、データの差し替えには品質管理責任者を含め計5人の職員がかかわっていたとみて、調べを進めている。

 データ差し替えを受けて両社は、07年10月に受けた承認を取り下げることを決めた。昨年5月の発売以後、副作用などを注意深くみるため投与患者を把握して調査していた。両社は、同時期に承認を受けて製造販売していた「メドウェイ注25%」も自主回収する。

 厚労省によると、試験データの差し替えを理由に、製薬会社が製造販売承認を取り下げるのは極めて異例という。

ことの是非と言う意味では、製薬会社の対応には明らかに問題があった。この田辺三菱製薬と言う会社の前身は、薬害エイズ事件や薬害肝炎の一件に深く関与した血液製剤の大手”ミドリ十字”である。ということで、朝日新聞では、ろくに確認もせずにこの見出しをつけたのかもしれない。

遺伝子組換え技術で作られた製剤は、血漿に含まれるアルブミンと同等の成分を含んではいても、ヒトの血液を原材料としていない以上、血液製剤と呼ぶのは明らかな誤りだ、

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2009年3月23日 (月)

医薬品の投薬方法に特許の見込

特許法改正はもう少し先になりそうだが、成り行きには要注目。

手術・投薬方法を特許に 政府検討、法改正の柱に

 政府は先端医療の競争力強化に向け、診断や治療などの「手法」も特許として認める方向で検討に入った。現行制度は医薬品や医療機器などの「モノ」だけを特許の対象としてきた。実現すれば医薬品メーカーは新薬の投与方法などでも特許収入を得られるようになり、開発投資の促進効果が期待できる。2011年に予定する特許法の抜本改正の柱に位置付ける。

 政府の知的財産戦略本部の先端医療特許検討委員会(委員長・金沢一郎日本学術会議会長)が医師や医療関連企業、弁理士などと協議に着手した。細胞などを用いた先端医療は「モノ」としての定義が難しい場合があり、手術方法や薬品を投与する量やタイミング、組み合わせ、部位の違いなどに着目した特許取得が重要になるとみている。 (16:00)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kyousou/index.html

関連資料

医薬品の関連特許は、まず有効成分、次にDrug derivery system (DDS)に関する物質特許が主流(かつては製法特許もあり)。それを、用量・用法のコンビネーションにまで拡大するというのが狙い。

物質特許をとっても実用化するまでの期間が長引けば、医薬品として販売してからの残りの保護期間が短くなってしまう。そこで、投与経路を変えたり、微量の用量で元々の認可の際とは違う効能を狙ったりということが行われるのだが、その際も効果を確かめるための治験は必要だ(投与経路が同じで、用量が減る場合など、安全性試験が一部免除されるケースもある)。

そうなると、コストをかけて開発しているのだから、新規の用量・用法についても開発企業の企業努力に報いる仕組みが必要、ということらしい。

この議論は、もともとは幹細胞を利用した再生医療を医療行為と見るか、医薬品の処方と見るかという議論の中で、日本では医療行為は特許の対象範囲に考えないが、アメリカでは対象範囲に入っているという制度上の切り分け方の違いがあることから、体性幹細胞、ES細胞、iPS細胞を使用した再生医療が普及する前に論点整理をして制度の手直しをしておこう、と言うことらしい。医療行為に対しても特許権が及ぶと言うのは、医療が全面的に自由診療で行われるアメリカらしい発想だ。国民皆保険がデフォルトの日本では考えにくい。

私の研究分野の関連で言えば、ワクチン成分を集積したジャガイモ、バナナ、イチゴ、イネや、インスリンを作るレタスなど、医薬品成分を含む組換え作物を精製しないで摂取する方法に関する研究が幾つかある。これらの場合も、これまでにないタイプの剤形、投与方法ということになるので、開発元で用法特許を押さえておかないと、他の企業に押さえられてしまった場合には非常に不利になる。

気をつけなくてはいけないのは、関連資料を見る限り、米国ではすでに用法に関する特許が制度化されているように見える点だ。しかし、関連資料2をよく見ると、日本の特許法でも既存物同士の組合せに特徴のある場合は、”手段”についても特許が認められている(条件付きで、「もの」との組合せに限定される)。ただ、審査基準に明記されていないだけだと。

今のところ医療行為は特許の対象ではないが、今後は検討の結果如何ということで含みを持たせてあるので、やはり気をつけておくべきだろう。

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2009年3月20日 (金)

事実関係の”説明”は”反論”ではない。

 例えエンターテインメントであっても、一分の事実は含まないともっともらしさが無いため観客を引きつけられない。科学者の立場から言えば、その一分の現実で可能なことと、それでは不可能なことを最善の科学的知見で区別してみせて、実際には具体的な危険性はないということを世間に示すのは良いことだ。それは、情報を等しく持つ者の間で行なわれる議論・反論の類ではなく、正しい知識を持つ者としての説明責任の履行に他ならない。

 早野教授の行動は、記事にもあるとおり「反物質研究は危険ではないかという問い合わせが相次いだ」ことを直接の動機とした物理学への市民の理解を促すサイエンスコミュニケーションの一環と捉えるべきだ。これは、社会の動きに対して科学者が敏感に反応している証であって、決して、「映画に科学で反論」という世間からズレた科学者の奇矯な振る舞いと見て揶揄するべきものではない。私は、早野教授が説明を行なったことを支持する。

 市民との初期のコミュニケーションに失敗すると、遺伝子組換え技術のように誤った知識に基づくいわれのないバッシングを受ける可能性もある。しかも、我々の日常生活の欠くべからざる基盤となった後でさえも、いつまでもその不合理なバッシングが続くことさえある。

 朝日新聞の見出しには「科学で反論」とあるが、これは意図せずにコンテキストを読み違えてしまったか、あるいは意図的に読み違えて科学者を揶揄している。控えめに言っても愚昧な言動、悪く言えば悪辣とも言える。署名記事を書いた記者の筆致が中立的で冷静であるだけに、見出しをつけた編集員の鈍さが際立つ。

東大教授、映画に科学で反論「反物質で爆弾、不可能」

2009年3月19日3時2分

 「反物質」を使った兵器づくりなんて、現実の世界ではあり得ません――。米映画「天使と悪魔」の封切りを前に東京大の早野龍五教授(物理学)が18日、異例の記者会見を開き、反物質研究について誤解をしないよう訴えた。

 反物質は、通常の素粒子とは逆の電荷を帯びた「反粒子」からなる。物質と反物質が出会うと消滅し、大きなエネルギーが発生する。

 映画は「究極の大量破壊兵器」をつくるため、欧州合同原子核研究機関(CERN)から反物質が盗まれるという筋書き。ロン・ハワード監督、トム・ハンクス主演で、5月15日に世界同時公開される。ダン・ブラウン著の原作も世界的なベストセラーだ。

 CERNでの反物質研究に実際に参加している早野教授は会見で研究の歴史などを解説。「反物質は、現在の科学技術では1グラムつくることさえできない。爆弾をつくるのは全く不可能だ」と強調した。

 記者会見を開いた理由については「映画はエンターテインメント。科学性を論じるのはヤボなことだと承知している。ただ、最近、反物質研究は危険ではないかという問い合わせが相次いだので、正しく理解してほしいと考えた」と話した。(山本智之)

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2009年3月19日 (木)

花粉管は”ルアー”に釣られる

Natureの表紙です。

Satohiro Okuda et al., “Defensin-like polypeptide LUREs are pollen tube attractants secreted from synergid cells,” Nature 458, no. 7236 (March 19, 2009): 357-361, doi:10.1038/nature07882.   

 トレニアの花粉管を誘引する物質の正体が、システイン・リッチな70アミノ酸そこそこのペプチドであることを明解に示した論文。著者らは、このペプチドをコードする遺伝子をLUREsと名付けました。蛍光色素で示したしこの物質の位置めがけて花粉管が折れ曲がる様に急カーブしている写真が非常に印象的です。いやぁ、これはGJです。

 トレニアという植物のLUREsを単離したのですが、近縁の植物の花粉はこのペプチドには反応しないとのこと。また、非常に進化速度が早いので(その結果アミノ酸配列の相同性が急速に失われて)植物種間での系統解析ができないとか。

# 種間交雑がやたらとおこらない理由の一つもそのあたりにありそうです。

 他の植物も、おそらくは同様の機構で花粉管を誘引しているのでしょうが、それを検証するのは非常に難しそうです。というか、物質の本体がペプチドだと見当がついているのであれば、あとはチカラの勝負でしょうか。

 こうなってくると、花粉管の先端あるいは、そのちょっと後ろに局在するであろう受容分子はどうなっているのか?とか、どうやって花粉管を曲げるのだ?とか、in vitroでは誘引を起こさない理由になっている原因物質は何か?とか、この発見は、今後いろいろな問題の解明に波及していくでしょう。

 個人的な興味としては、受容分子がタンパク質でるとすれば、その遺伝子も又LUERsと協調的に進化しているはずなので、その多様性の広がり方に興味があります。

# これって、花粉側の受容体とペアで揃えれば、遺伝子組換え作物の受粉制御ができてしまうんじゃないだろうか。つまり、同種の植物に対しても花粉管が誘引されないが、同じ種類の組換え体だけには花粉管が誘引されるというシステムだ。

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2009年3月15日 (日)

見ただけでは分からない違い

いやはや。

試験用カビが入れ替わり、経産省  遺伝子解析で判明

経済産業省は13日、製品評価技術基盤機構(NITE、東京)と産業技術総合研究所(産総研、茨城県つくば市)がともに企業などに試験用に供給していた2種類のカビの「菌株」が入れ替わっていたと発表した。

 菌株は菌類などを純粋に分離し培養したもの。今回の2種類の菌株は、防カビ製品や防カビ剤などに対するカビの抵抗性試験で使用。黒こうじカビの一種で遺伝的な違いはわずかのため、産総研は試験に大きな影響はないとみている。

 NITEが品質管理のため行った遺伝子解析で入れ替わりが判明した。産総研とNITEによると、詳しい記録はないが、約50年前に米国から導入する過程で入れ替わりが起きたと考えられる。

 産総研は2006年まで、NITEは02年から企業や研究機関などに菌株を提供。

2009/03/13 20:08< 【共同通信】

もともとの提供元で菌株が入れ替わってしまっていてはなかなか気づかないものだ。産総研の公表した情報によれば、入れ替わっていた菌株はFERM S-1 (ATCC 6275)とFERM S-2 (ATCC 9642)。ともにATCCから分譲されたものとのこと。

驚いたことに、ATCCのデータベースによればどちらも現在の学名はAspergillus nigerではなくAspergillus brasiliensis Varga et al.という別種になっている。遺伝子型の情報は文献をあたらないと分からないが、50年前に産総研では菌株を受け入れた際には、改めて遺伝子型のタイピングは行なわなかったということだろう。しかも、ATCCの記載には"deposited as Aspergillus niger"とある。

・・・ええと、ひょっとしてATCCに寄託された際に、既に種のレベルで取り違いが起きていた可能性さえある。ATCCの記載では、これまでAspergillus brasiliensis Varga et al.で抗カビ性のテストをしてきたのだから、それでよいということになるのだろう。

しかし、JISの試験法では”アスペルギルスニガー”という種名で指定をしているようなので、これまで試験に使用してきた”もの”が、報道されているような菌株レベルでの取り違いでは済まず、実は別種だったということになりはしないだろうか?もしそうであれば、これまでの試験は、報道されているような菌株の取り違いがあろうが無かろうが、全て無効だったということになりはしないか?おそらくJISの規格の方を実態に合わせる方が合理的な解決だと思うのだが。

報道されているよりも、実は影響は遥かに大きいかもしれない。

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2009年3月13日 (金)

WWWの誕生日

”五号館のつぶやき”さんにインスパイアされてこのエントリーを書いています。

World Wide Web・・・今や単にWebと呼ばれるこの技術が生まれたのが1989年3月13日でしたか。

[以下、40歳以下の人にはわかりにくいお話]

私が始めて使ったブラウザはNCSA MOSAICでした(1994年ごろ)。それも職場のEWS4800というNECのワークステーションで。当時まだarchieGopherも現役で、lynxのインターフェースを見ていると、Veronicaと似たようなもんだなぁと思ったものです。それがこんなに普及するとは・・・思えば遠くへ来たもんだ、と言う感じがします。

しばらくして、職場のシステム更新でワークステーションはHP9000にリプレースされ、文献検索に使っていたグリーンCRTのダム端末と大型レーザー・ラインプリンターが撤去された。当時は、BIOSISやAGRIS、CABといった文献データベースを調べるにも”大型コンピューター”のお世話になる時代だった。しかも、アブストラクトまで出力すると一件ずつ課金されるという鬼のようなシステム。現在のように、PubMedのような文献データベースが只で使えるとか、ジャーナルが無料で読めるなんて想像もできませんでした。

FTPで初めてDDBJのDNA配列データをダウンロードしたのもその頃でした。ワークステーションで720KB(2DD)の3.5インチのフロッピーに落としたDNA配列データを、DOS/Vマシンで1.44MBのPCフォーマットのディスクに移し換え、それをMAC Classic上のプライマー設計ソフトに読ませてPCR用のプライマーを設計するという、非生産的な作業をしたものです。程なく、職場の全居室に10base5のイエローケーブルが引き回され、Windows 3.1で使えるTCP/IPパッケージが市販されて、ようやく研究室からもインターネットが使えるようになった。当時のマシンはPentium 90搭載のGateway2000。NE2000準拠のISAカード(たしかRealtek製のチップの乗ったやつ)をさして使っていたっけ。

そうこうしているうちにOSはWindows95に更新、NICも3COMの3C905-combo (PCI)にかわり、ブラウザもNetscapeに。やがて、IE3.0に。

その頃、職場のホームページは私がHTMLをテキストエディターで書きつつ、時折、ブラウザで確認しながら作っていたものでした。それが95-6年ころ。WWWが御年6歳のみぎりからのおつきあいということになる。もう14年も経つのか。

今年、WWWは二十歳。もうすっかり、オトナですね。

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2009年3月12日 (木)

"半麦飯"を知っていますか

創られた伝統」という言葉があるが、お米のご飯が日本の伝統食であるという主張もまた、一種の創られた伝統であると考えた方がよいだろう。

日本の食生活全集」(農文協)というシリーズものの本がある。昭和初期までの日本各地の食物を各地で聞き取り調査してまとめた労作だ。故あって、中国(岡山広島)、四国(香川、愛媛、高知、徳島)の6冊を斜め読みしてみた。

昭和初期、西日本では麦飯を普通に食べていた。若干の天水田しか作れない島嶼部はもちろん、水田がある開けた平野でさえも、西日本の人々は麦飯を普通に食べていた。

しかし、驚くべきはその「麦飯」の内容である。現在食べられている「麦飯」はお米のごはんに裸麦を1-2割混ぜたものだ(刑務所の麦飯は、大麦が3割らしい)。ところが、昭和初期の中四国の農村では、「半麦飯が食べられるのを願いとする」という状況だったらしい。半麦飯とは、半分裸麦、半分お米のご飯を言う。

では、普通は何を食べていたのか?というと、現在とは違う「麦飯」だ。お米が1-3割、裸麦が9-7割。貧しい家では、裸麦100%をご飯のように炊いたものを指して「麦飯」と言っていたようだ。これは、ご飯というより”ご麦”と言うべきだろう。

少なくとも大正から昭和初期まで、農村に暮らす普通の人々は、ほとんど米のご飯を食べてはいない。

時代は下って、昭和25年12月7日、参議院予算委員会にて。

国務大臣(池田勇人君)  御承知の通りに戰争前は、米一〇〇に対しまして麦は六四%ぐらいの。パーセンテージであります。それが今は米一〇〇に対して小麦は九五、大麦は八五ということになつております。そうして日本の国民全体の、上から下と言つては何でございますが、大所得者も小所得者も同じような米麦の比率でやつております。これは完全な統制であります。私は所得に応じて、所得の少い人は麦を多く食う、所得の多い人は米を食うというような、経済の原則に副つたほうへ持つて行きたいというのが、私の念願であります。

これが新聞によって、”貧乏人は麦を食え”という有名かつ刺激的なフレーズにダイジェストされてしまった発言だ。米の統制価格は上げるが、麦は価格を据え置く、というのが発言の主旨だ。もともと価格統制の匙加減の話なのだが、それを「経済の原則に副つたほうへ持つて行きたい」というのは合理的なのか。今日的な視点で言えば、売る側の価格にタガをはめておきながら、買う側の自由だと言うのは筋が通らない。

それはさておき、この頃になると昭和初期とは違って、麦飯に占める大麦の比率はどう考えても50%以下になっている(戦前でも平均すると30%台が普通だったようだ)。

今や、小麦は知っているけれど大麦は見たことがないという人の方が多いかも知れない。大抵の日本人は日常的には大麦を食べていないのだから。

”食育”というキーワードの下、もっとお米を食べようという運動が行われている。それ自身の是非を問う気はないが、かつて日本人が何を食べてきたのかをに知らずに、「お米は日本の伝統食」というトンチンカンな誤解をはびこらせるのは良くない。「日本の食生活全集」を見れば分かるが、我々庶民は伝統的にはそれほどたいしたものは食べてこなかったのだ。

今日「伝統食」と言われている栄養バランスの良い、いわゆる「日本型」の食事は、実はデンプン、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルのバランスのとれた配分という科学的知識の裏付によるものであって、食品科学や栄養学の粋だ。それを関係者の地道な努力が世間に広めてきたことで達成し得た教育の成果なのだ。

”食育”の対極に、昔から食べてきたものを普通に食べればよいと言う主張もある。しか し、伝統や経験の裏付けだけが無条件に良いと考えてはいけない。日本人の平均寿命の伸びのある割合は食生活の”改善”によって達成されてきたと考えられるからだ。何かの習慣が、他のものよりも良いとすれば、”なぜ”それが良いのかという根拠を理解しなければ、教条主義に陥る。

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2009年3月10日 (火)

新産業創出

日本経済新聞より。

農業資源から新産業、農相が諮問会議で提案へ

 石破茂農相が10日の政府の経済財政諮問会議で提案する農業や農村の潜在力を使った成長戦略案が明らかになった。遺伝子組み換え技術をカイコに使ってつ くる人工血管や花粉症の影響を抑えるコメの開発といった「アグリ・ヘルス産業」の開拓を支援する。バイオ燃料の普及などとあわせて、農林水産業を基盤とし た6兆円規模の新産業の創出を目指す。

 アグリ・ヘルス産業はバイオ技術などを使って健康・医療分野に農林水産物を生かす考え方。(11:01)

記録はしておこう。もう一つ、朝日新聞から。

舛添氏、薬価など決める中医協の見直し示唆

2009年3月10日10時53分

 舛添厚生労働相は10日の閣議後会見で、診療報酬や薬価を決める中央社会保険医療協議会(中医協)について、「(国民から見て)すぐわからない、複雑な仕組みは見直した方がいい」と述べ、将来的な見直しを示唆した。

 舛添氏は「厚労省の役人のなかでも専門家以外わからない」と問題点を指摘。医療提供者、医療保険者、公益代表の20人を同省保険局が事実上統括している今の運営を、より国民が議論に参加しやすい形に改めるとともに、産業育成の視点も入れることが望ましいとの考えを示した。

 舛添氏は、製薬や医療機器など、同省の担当分野の産業育成に取り組む計画づくりを進め、3月中の取りまとめを目指している。政府の経済財政諮問会議でも、民間議員側から診療報酬体系の見直しを求める意見が出ており、舛添氏が打ち出す計画の中に同様の考えが盛り込まれる可能性がある。

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2009年3月 9日 (月)

本草綱目に見るオオムギの記述

国立国会図書館の所蔵する漢籍はオンラインで見られるものがある。そんなことができるようになるとは、ほんの10年前までは思いもよらなかった。

「本草綱目」は、16世紀末(明代)に中国で記された本草学の集大成的古典。日本では本草学=博物学という色彩が強いが、本草綱目で扱っている植物は薬草+作物である。このとりまとめ方には、医食同源という考え方が反映されているのかもしれない。

多くの漢籍同様、本草綱目にも色々なバージョンが残されている。たとえば、こちら(国立国会図書館)。

オオムギに関する記述は、総目次によれば、第17冊 第22巻にある(本文はここから)。本草綱目は、項目の立て方が【釈名】(題目の意義)、【集解】(解釈集)、【気味】(特性?)、【主治】(効能?)、【発明】(用法?)、【附方】(適用症例?)と整理されている。

このうち、集解の部分を二行ほど引用する(訳は適当だ)。

弘景曰、今裸麦、一名牟麦 以[禾廣]麦惟皮薄爾
(弘景曰く、今、裸麦と呼んでいるものは、一名、牟麦という。[禾廣]麦は以てただ皮が薄いのみだ。)

恭曰、大麦出関中即青裸麦、形似小麦而大皮厚故謂大麦、不似[禾廣]麦也
(恭曰く、関中より出でる大麦は即ち青裸麦、形は小麦に似るが、大きく皮が厚いので大麦という。[禾廣]麦には似ていない。)

・・・と原典を書き写していたら、「維基大典」という”中国古典Wikipedia”の大麦の項によく似た記述がある。
http://zh-classical.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%BA%A5
これを見てよく似ている・・・。 そう思ったのだが、集解を最後まで見たら、本草綱目そのまんまだった。「維基大典」のオオムギの項は、出典が本草綱目のようだ。

この集解には興味深い記載がある。

郭義恭廣志》云:「大麥,有黑穬麥,有(禾宛)麥,出涼州,似大麥。有赤麥,赤色而肥,據此則穬麥是大麥中一種,皮厚而青色者也。大抵是一類異種。如粟粳之種近百總是一類。但方土有不同爾。故二麥主治不甚相遠。大麥亦有粘者,名糯麥。可以釀酒。

”大麦には、色の黒い穬麥がある。涼州の(禾宛)麦があるが、大麦に似ている。赤麦がある。色が赤くしかも肥えている。據此即ち穬麥は大麦の中の一種で、皮が厚くしかも青い色だ。粘りけのある大麦は、糯麦(モチムギ)という。これで酒をかもすことができる。

・・・いい加減な訳だが概ねこんな感じだ。確かに、400年前の書物にモチ性オオムギの記述が出ている。わざわざ”これで酒をかもすことができる。”と言っているところが興味深い。

この記述は、実は英国の研究者の論文にも載っていた。2002年の論文なので、時代は一気に400年ほど下る。

Nicola J. Patron et al., “The Altered Pattern of Amylose Accumulation in the Endosperm of Low-Amylose Barley Cultivars Is Attributable to a Single Mutant Allele of Granule-Bound Starch Synthase I with a Deletion in the 5'-Non-Coding Region,” Plant Physiol. 130, no. 1 (September 1, 2002): 190-198, doi:10.1104/pp.005454. 

こうある。

Although these cultivars are of diverse geographical origin, all carry this same deletion, suggesting that the low-amylose cultivars have a common waxy ancestor. Records suggest a probable source in China, first recorded in the 16th century.

時期的には「本草綱目」と合う。

上の”弘景”の言う”以[禾廣]麦惟皮薄爾”と併せて考えると、大麦は皮が薄く、それよりも皮の厚い[禾廣]麦=穬麥、というものがあるらしい。ちなみに、”穬麥”も本草綱目では大麦とは独立した見出しが付いており、釈名にはこうある。

時珍曰、穬麥之殻厚而粗礦也

”時珍によれば、穬麥の殻は厚くてしかもがさがさしている?(=粗礦)。”
字義から言えば、”穬=禾+廣”イネ科でしかも”廣”あるいは”礦”な性質の植物なのだろう。

ちなみにGoogle翻訳は役に立たなかった。”礦”を和訳させると”わたしのもの”と返ってきた。ん?”礦=鉱”=鉱山=mine=私のもの・・・orz・・・いや、こんなところで洒落なくて良いのに。

むしろ”礦”よりは”礪”(あらと)の方が意味が通じるのだが、音は違うのだろうな。

本草綱目もそうなのだが、中国の古典は、論文で言えばレビューに似ている。出典を明らかにしつつ、先人の著書を引用して束ねている所は一緒だ。丹念に出典を手繰っていくと意外な発見もある。

先ほど、西山武一、熊代幸雄訳の齋民要術(リンク先は中国科学院自然科学史研究所)という北魏の賈思[劦思] "Jia Si Xie"の編集による6世紀の農業書(本草綱目よりも1,000年も前の書物!)の大麦の項を見ていたら、引用文献が本草綱目によく似ていた。・・・というか、齋民要術が本草綱目の底本なのかもしれない。
そこには、こうある。

《 廣志 》 曰 : 「 虜水( 二 )麥, 其實大麥形, 有縫 。 ● ( 三 ) 麥 ,似大麥 , 出涼州 。 旋麥 【 一 】 , 三月種 , 八月熟 , 出西方 。 赤小麥 , 赤而肥 , 出鄭縣 【 二 】。 語曰 : 『 湖豬肉 , 鄭稀熟 。 』 山提 ( 四 ) 小麥 , 至黏弱 ; 以貢御 。 有半夏小麥, 有禿芒大麥 , 有黑穬麥 【 三】 。 」

ここでいう《 廣志 》は、本草綱目で言う《郭義恭廣志》のことだろう。齋民要術では、大麦と小麦を一つのセクションで扱っている。こちらでは”赤小麥 , 赤而肥”(赤小麦、赤くてしかも肥えている)と書かれているが、本草綱目では”有赤麥,赤色而肥”(赤麦がある。色が赤くしかも肥えている。)となっている。1000年の間に、肝心の”小麦”という情報がどこかへ行ってしまって、赤麦として大麦の一種にされてしまっている(それでも大した文化だと思う)。

本草綱目の記述を見て、紫色の穂の大麦かと思ったのだが、その1000年前には小麦の記載だったことがわかってちょっとがっかり。

また、齋民要術にも青裸麦の記述がある。

青稞麥 【二二】。 右(二三) 每十畝 , 用種八斗 。 與大麥同時熟 。 好收四十石; 石(二四) 八九斗麵。 堪作飯 ( 二五 ) 及餅飥 ( 二六) , 甚美 。 磨, 總盡 ( 二七 ) 無麩 。 鋤一遍佳, 不鋤亦得。

途中の記号がわかりにくいのだが、西山武一、熊代幸雄訳を参考にすると、こんな感じ。原典の註では燕麦ではないかと書かれている。 

青稞麥。 毎十畝に種子八斗を用いる。 オオムギと同時に登熟する。 豊作だと四十石の収穫があり,一石から八,九斗の麺が取れる。[麥少](むぎこがし)及び[食専]飩(うどん)を作るに適し甚だ美味である。磨にかけると,すっかり麺になりふすまが出ない。

しかし、時代から言って”うどん”はないだろう。”餅飥”はモチをイメージした方が良いのではないか?訳註では,これを「今の裸燕麦」としているが、チベットには青裸麦なるオオムギも現存しており、現地では”ツァンパ”(むぎこがし)として利用されているそうなので、無理に燕麦にこじつけなくても・・・と思う。第一、書かれている場所は大麦小麦のセクションだし。

もし、これがモチ性大麦であれば、文書に現れる時代は従来の説よりも1000年遡るのだが。

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2009年3月 5日 (木)

CISGENIC 再考

昨日、とある会議で、とある方から「”cisgenic”という言葉は(R)が付いていたので、登録商標になっているらしいけどホント?」と聞かれた。

いや、初耳ですね。ということで調べてみた。Googleで”CISGENIC trademark”で検索すると、とあるプレゼン資料にヒットした。それにはこうある。

"Genetic modification Cisgenicis now a registered trademark of Pastoral Genomics, NZ"

だが、これで納得してはいけない。一次情報は必ず確認すべし。

商標登録はどこの国に登録するかでも意味が違うので、まず"Pastoral Genomics, NZ"のホームページを調べる。

"Pastoral Genomics, NZ"は会社というは、そのホームページによれば”Pastoral Genomics is a New Zealand research consortium・・・”とある。会社じゃないよね。

Googleで、”cisgenic site:pastoralgenomics.com”を調べるもヒット無し。仕方がないので、アメリカの登録商標データベースをあたる。そこで、"CISGENIC"と"CISGENESIS"を調べてみる。

検索条件で、Live/Dead Indicator(有効/無効の指標)をLIVEに設定して検索すると、
CISGENICは

Owner: ViaLactia Biosciences (NZ) Limited CORPORATION NEW ZEALAND P.O. Box 109-185 Newmarket, Auckland NEW ZEALAND

ということがわかった。たしかに登録されている。しかし、こういう登録には無効請求が付きものなので、"TTABVUE. Trademark Trial and Appeal Board Inquiry System"のリンクを見ると、無効請求が出ていて状況は"PENDING, INSTITUTED "とある。

私は、アメリカに限らず商標登録の制度はよく知らないのだが、とりあえずLIVEな状態であるということは、無効請求も成立してはいないのだろう。一応の結論として、現在"CISGENIC"は登録商標であると言える。なお、"CISGENESIS"の登録はない。

そうなると、ともにニュージーランドの"ViaLactia Biosciences"と"Pastoral Genomics"の関係が気になる。

"Pastoral Genomics"のサイトによれば、"ViaLactia Biosciences"はパートナー企業らしい(その親会社はFonterra)。"Pastoral Genomics"も"ViaLactia Biosciences"も、マーカー開発とゲノミックスを受託する企業らしい。

この関連から、ニュージーランドの乳業会社 (Fonterra)傘下の、バイオテクノロジー企業(ViaLactia Biosciences)がコンソーシアム(Pastoral Genomics)を組んで、マーカー開発やCISGENIC技術による飼料作物の改良を目指している構図が何となく見えてくる。

トウモロコシなど濃厚飼料ではアメリカ=モンサントの覇権は動かし難いが、酪農を支える基盤である粗飼料についてはアメリカやヨーロッパとは違う第三極として独自の取組で知的財産権の確保に努めているいるということだろうか。

ちなみに"CISGENESIS"に関しては、こういうホームページがあった。

http://www.cisgenesis.com/

・・・まんまです。Contact先がWageningen大学の人々なので、cisgenicをtransgenicから除外すべしという一連の動きと関連したページだろう。EUの規制ルールが変更されればこのページに必ず載るだろう。EU域内のルール変更は、次にはカルタヘナ議定書締約国にも何らかの形で波及する。おそらく食品・飼料安全性にも関係するので時折見ておこう。

各種の遺伝子組換え技術の名称についての提案が以下のペーパーにある。

(Nielsen KM. 2003)

核酸供与体が近縁である順に、Intragenic(同種の生物) → Famigenic(同科の生物) → Linegenic(同系統?の生物) → Transgenic (類縁関係のない異種の生物)→ Xenogenic (人工的なDNA配列)という分類だ。

となると、人工的なエピトープ等が組み込まれた”スギ花粉症緩和米”は、"Xenogenic Rice"ということになる。TG-RiceではなくXG-Riceとでも言うのだろうか。

概念的には分かりやすい。分かりやすいのだが、実際問題としては、

  • 供与核酸がコドンの最適化で、もとの配列と相当に違う場合だとか、
  • genomic cloneではなくcDNA cloneなので、イントロン内のリプレッサー結合領域がなくなっていて発現の抑制が効かない場合だとか、
  • プロモーターも構造遺伝子もイネ由来だけれど、本来とは全然違う組合せで転写因子を異所的に発現させているため、最小限の遺伝子操作であるにもかかわらず遺伝子発現パターンが大幅に変わっている場合

など、こんな頭でっかちな定義では縛りきれないものが、少なからずできてしまうだろう。一部は今でも既に論文発表されている。

こういう小手先のルール変更で”CISGENICはGM作物ではありません”と言っても、だからといって科学的に安全とまでは言いきれないし、transgenic ではないので情報開示する必要はないと言うのであれば、市民の安心にもつながらない。もうちょっと世人のとらえ方を考えた方が良いだろう。

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2009年3月 3日 (火)

Quantile Normalization: 訂正

マイクロアレイのデータ処理方法の解釈を間違ってた。以前のエントリーでは、聞きかじりでQuantile normalizationの操作を、

  1. シグナル強度を対数変換(底は2)する
  2. 75%点のシグナル強度の対数値でシグナル強度の対数変換した強度を割る
  3. 個々のプローブの価をアレイ間で中央値が0になるようにシフト

と書いてしまったのだが、2.はpercentile shiftという操作で、分布の分位点を揃えるために行うもの。
ステップ3.は、正しくは

  1. アレイごとに、個々のプローブをシグナル強度で順位付けして、同じ順位のプローブのシグナル強度のアレイ間の平均値を求める。
  2. 個々のプローブのシグナル強度データを、同じ順位のシグナル強度の平均値に置き換える。
  3. データをもとの順番に並べ替える。

という操作だった。オリジナルの論文はこちら(フリーアクセス)。

Quantile normalizationについて、この論文では、

1. given n arrays of length p, form X of dimension p × n where each array is a column;
2. sort each column of X to give X sort;
3. take the means across rows of X sort and assign this mean to each element in the row to get X' sort;
4. get X normalized by rearranging each column of X' sort to have the same ordering as original X

こう書いてあった。うーん聞きかじりは良くない。反省。

しかし、こうするとたしかに分布は揃うけど、生物学的には関連のない遺伝子の発現強度で規準化してるのでどうなのだ・・・ま、RT-PCRでもアクチン等をスタンダードにしていることもあるので、そう間違ってはいないのだが、解析するデータセットに依存して発現強度の順番は入れ替わるため、分布の形がグニャグニャかわるというイメージなのであまり気持ちの良いものではない。インフォマティクスの人は気にしないのだろうか。

こういう形で任意の変換(しかも、ほぼ不可逆的)をしてしまうと、変換後のシグナル強度のfold changeにどれほどの意味があるのかと考え込んでしまう。また、分散分析がどうのと言っても算術的には計算できて、統計的に有意かどうかも議論できるが、もとのデータの信頼性を考えるとちょっと心許ない。できるだけ、Normalizationをしないで済むように実験の精度を高める努力をするべきなのかもしれない。

# その場合、系統誤差には目をつぶる他ないが。

---

マイクロアレイの散布図を描くとき、なぜデータを対数変換しないと収まりが悪いのか?

話は変わるが、シグナルの分布については、マイクロアレイという検出系の特性で対数変換しないと収まりが悪いのではないか、と考えた時期もあった。しかし、アラビ ドプシスやイネのMPSSのデータの分布を眺めても、やはり対数変換しないと散布図の収まりが悪い(えーと、収まりが悪いというのは、正規分布に近似でき ないという意味です)。

異なる原理で測定する検出系で同じデータの分布が見られるのであれば、それは細胞内で行なわれる遺伝子発現において、発現量の少ないmRNAに対して、発現量の多いmRNAは指数関数的にコピー数が多いと考えるべきだろう。

本来、細胞の中である遺伝子の転写が起きるとはどういう状況だろうか。一つの細胞に注目してみると、個々の遺伝子の発現には基本的にはOnとOffの2つの状態としてとらえる(本当は二値的なスイッチングだけではないことは、出芽酵母の同調培養のアレイのデータを眺めればよく分かる)。Onの際にはOffの際と比較して指数関数的にmRNAのコピーが作られると考えられる。つまり、個々の細胞内ではOn/Offの際のmRNA量の比が2倍だの3倍だのという違いではない。

アレイのシグナル強度は、測定時に細胞内に”蓄積している”mRNAのコピー数を反映している。その時の瞬間的な転写の速度ではない。また、分解の速度でもない。

そして、ある遺伝子のシグナル強度はサンプル中に含まれる、ある遺伝子を発現して、そのmRNAを蓄積している細胞の数にも依存する。この割合は試料中の細胞数(一定重量のサンプルに占める割合)に比例するので、fold changeがたかだか数倍でも生物学的には意味がある違いだと考えるべきだろう。問題は、検出系や実験誤差を超えて、何倍位の違いまで確からしいと言えるか・・・だ。経験的には、1回のマイクロアレイの実験で2倍以下の変動は、試料の組織の切り出し方や、生育の度合いというノイズを拾っているのかもしれない。微妙な違いは反復を取ってANOVAで確認するか、実験のコストを勘案して、数十遺伝子以下であればRT-PCRで定量するほうが良いのだろう。どこまでもアレイだけで煮詰めなくてはいけない理由はない。

イネを材料にこういう現象を追いかけるのが正しいアプローチか、という疑問はある。イネは多細胞だし、精密な環境制御はしにくいし。しかし、酵母でもこういう”なぜ?”を追いかけた研究は見たことがない。これは、私にとっては、この10年来の解けない謎だ。

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2009年3月 2日 (月)

”ユメサキボシ”登場!

新しい”はだかむぎ”の品種が農研機構(近畿中国四国農業研究センタ- 大麦・はだか麦研究チ-ム)からリリースされた。

品種名は”ユメサキボシ”。平成4年リリースの”イチバンボシ”、平成13年リリースの”マンネンボシ”(デビュー当時は”マンテンボシ”だったが、後に改名)の正統を引き継ぐ期待の新星だ。
# 平成12年の”ダイシモチ”は特殊用途、平成17年の”トヨノカゼ”は、大分のご当地限定、ということで、ちょっと路線が違うか。

先日、試供品を麦飯にして炊いてみたが、炊きあがりの色が明るい。保温後の褐変も日頃食べている米粒麦(多分、ファイバースノウ)よりも少なく、麦飯特有の臭いも薄い。押し麦では、若干、粒の割れが多いかも知れない。加工プロセスを工夫すれ解決できるだろう。二条ならではの粒大は加工の自由度をあげることになる。

これまで、二条裸麦は育成系統では少なからずあったものの、品種になったのは今回が初めて。遺伝学的には、できて当然のものなのだが、色々難しい所があってこれまでなかなか実用化できなかった。

関係者の努力には敬意を払うが、”できて当然”と言うのは、条性も皮裸性も単一遺伝子支配なので伝統的な育種技術の延長で対応できるという意味だ。もっとも、収量性や品質に関してクリアしなければならない標準目標が高いので、目的とする表現型の系統を作出するには、条性を変えるだけでも六条同士の交配よりも集団の個体数を増やす必要があり、通常の育成よりも大変であることに違いはない。

二条と六条では、穂の形が違う。穂に付く花の付き方が違うためだ。しかし、作物としての収量水準はほぼ同じだ。一個体あたりの収量は二条も六条もあまり変わらない。しかし、一穂あたりの粒数は当然六条の方が多い。二条が同等の収量になるためには、粒重を重くすることと、単位面積あたりの穂数を稼ぐことで追いつくほかない。

そうなると、二条裸麦は、草型も穂数の多い現代的な二条品種に近づいてくるし、分げつ数を稼ぐためには、幼穂分化時期が長期間にわたる播き性Ⅰの方が有利だ。生態的にもビール麦に近づく。

詳しい特性データはまだネット上では入手できないが、ユメサキボシの特性はこれらの点でビール麦に近づいているはずだ。一方、従来の裸麦は低温に弱い。つくばあたりでさえ、上手く越冬できない系統があるくらいだが、ユメサキボシはどうだろ。

ユメサキボシの詳細はこちら

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2009年3月 1日 (日)

見出しの付け方に気をつけよう:メタボ基準

誤解する人が続出しそうな記事。読売新聞より。

生活習慣病とメタボ腹「関連強くない」…厚労省研究班

 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断基準は、腹囲が男性85センチ以上、女性で90センチ以上あることを必須条件としているのに対し、単に腹囲が大きいだけでは生活習慣病の危険要因としては不十分という調査結果を、下方浩史・国立長寿医療センター(愛知県大府市)研究所部長を班長と する厚生労働省研究班がまとめた。

 メタボ基準を巡っては、男性の腹囲が女性より厳しいことなどについて異論が続出しており、今回の結果も見直し論議に一石を投じそうだ。

 研究班では、無作為に選んだ愛知県内の40~82歳の男女3253人について、内臓脂肪の断面積をコンピューター断層撮影法(CT)で計測。内臓脂肪面積が100平方センチ以上の肥満の人とそれ未満の人で、2000年から6年間、心臓病や脳卒中を引き起こす動脈硬化の進み具合を、心臓の冠動脈や脳血管の梗塞(こうそく)の有無など6項目で比較した。

 肥満の人は、そうでない人に比べ、動脈硬化のある人の割合が、心臓の冠動脈は女性では約1・2倍だが男性では差がみられず、脳内の細い血管は男性は約1・2倍だったが女性では差はあまりなかった。6項目すべてで差は1・5倍未満にとどまり、「全体として関連はそれほど強くない」(下方部長)と分析 された。

 メタボの基準では内臓脂肪面積が100平方センチ以上の場合に危険が高まるとして、それに該当する腹囲(男性85センチ以上、女性90センチ以上)が定められた。今年度始まった「特定健診」(メタボ健診)では、腹囲が基準を超えていなければ、血圧、血糖値、脂質のすべてに異常があっても、指導の 対象にならない。

(2009年3月1日03時16分  読売新聞)
メタボリックシンドロームは代謝症候群ととらえるべきだろう。内臓脂肪の蓄積はその一つの誘因。

内臓脂肪が蓄積すると、高血圧、高血糖、脂質代謝異常など様々な代謝の異常を生じやすくなるのが問題点(そうならない恵まれた?体質の人も居る)。研究班の調査は「内臓脂肪の断面積をコンピューター断層撮影法(CT)で計測」、「動脈硬化の進み具合を、心臓の冠動脈や脳血管の梗塞(こうそく)の有無など6項目で比較した。」とある。内臓脂肪の断面積と腹囲は概ね相関があるが、1パラ目にあるように腹囲とメタボリックシンドロームとの相関を調べたわけではない。

次に、メタボリックシンドロームには高血圧、高血糖、脂質代謝異常などがあり、冠動脈疾患のほかに、糖尿病にも関連する。調査班の研究結果からは、内臓脂肪の断面積と冠リスクの相関はそれほど大きくない、ということが分かったということ。内臓脂肪と血圧、血糖値、脂質代謝との関連まで否定されたわけではない。その点、この記事で誤解する人がでて来かねない。

また、他の「血圧、血糖値、脂質のすべてに異常があっても、指導の対象にならない。」という見方はおかしい。普通、これらの検査値が異常を示せば、高血圧症、糖尿病、高脂血症などの病名と診断され、保健指導や治療の対象になるはずだ。

腹囲はプロクルーステースの寝台ではないが、度を越した肥満が健康上のリスクであることに違いはない。

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