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2009年2月18日 (水)

カルタヘナ法施行5年目

遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多の様性の確保に関する法律(略称はジュゲム法・・・ではなく、カルタヘナ法)は2004年2月19日より施行されている。

今年の2月19日で、施行から丁度5年目を迎える。関係各省では当然ご存知だろうが、カルタヘナ法の附則には次の規程がある。

(検討)
第七条
 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

検討の結果、特段の措置が必要ないのであればそれでも良いが、その前に検討の状況はどうなっているのだろう。「所要の措置」は検討の結果を踏まえて対応することになっているので、今後、関係各省で検討が始められることだろう。注意深く見守っていきたい。

# 当事者として参加はしたくない。

この5年間、遺伝子組換え作物の第一種使用については、農林水産省で、38回の生物多様性影響評価検討会(総合検討会)が開催されており(H21,1,21現在)、その下準備のために各総合検討会ごとに2回程度の農作物分科会が行われている。

遺伝子組換え作物の評価の観点は、生物多様性の保全に必要な要件について、遺伝子組換え生物(LMO)の特性+その使用方法を総合して、科学的観点から遺伝子組換え生物の特性を評価できるように定式化されており、評価過程のものの見方が大きくぶれないようになっている(カルタヘナ法施行後の評価済み作物はこちら)。

LMO自体の評価のポイントは、

1. 競合における優位性
2. 有害物質の産生性
3. 交雑性
4. その他の性質

である。

 これらの観点は、基本的にカルタヘナ法施行以前(1997〜2004年)に輸入されきたLMOに関する評価とそう異なるものではない。また、多くの遺伝子組換え作物の場合、

  1. もともとの作物が競合に弱いので野生動植物を駆逐することはない。
  2. 有害物質をほとんど生産しない(ナタネのエルシン酸など一部の例外はあるが、食用作物が有害物質を産生することはあまりない)。
  3. 日本在来の野生植物とは交雑しない(ダイズは例外。ただし交雑はするが、極めて希にしか発生しない。西洋ナタネと交雑する野生植物は知られていない)。
  4. その他の性質については、特に該当するものはない。

という評価であり、作物種としてはトウモロコシ、ダイズ、ナタネ。導入された遺伝子としては、Btトキシン(殺虫タンパク質)、EPSPS(除草剤耐性)、bar(除草剤耐性)。これらの組合せでは、上記の1.-4.については、今後も基本的な科学的評価結果が大きく変わることは余りないと予想される。

---

 カルタヘナ法の施行から5年、それ以前の使用実績とあわせると、10年間以上に亘って科学的な観点から遺伝子組換え作物についての個別の評価を行ってきたのだから、そろそろこれまでの事例を鳥瞰的に評価してみる時期ではないだろうか。”シンクタンク(事務局) + 評価委員の先生(大学や独法)”で、いわゆるメタ・アナリシスを行い、流通と、一般ほ場での栽培について”特定の作物+遺伝子”の組合せについて包括的評価書をまとめてはどうだろうか。もっとも、隔離ほ場栽培に関しては、もう少し簡略な評価方法も可能だとは思うのだが、研究開発段階では色々な組換え体が作成されることから、今後とも個別評価が妥当だろう。

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コメント

研究開発の二種使用しかわかりませんが、うまい具合に実情と合ったシステムを作ってほしいです。カルタヘナ法や研究開発二種省令告示って一般的な法律と比べ、明確でないのが不思議です。民法や会社法のような法令と違う印象を受けます。

二種省令だと動物使用実験の第5条第3号イとハの違いがよくわかりません。動物を宿主とすると、第3号イでもハでも当てはめるとだいたい結論が同じのようですが、第5条第3号ハはどういう事案を想定したり使い分けているのかわかりません。文科省のサイトをみてもわかりません。またつい最近改正の告示で細胞性粘菌を原虫の区分1-(2)って解釈したのはびっくりです。原生生物界の微生物も今後は原虫の区分にするんでしょうか。研究者は法令についていけるんだろうかと実情とのズレが気になります。確定申告のように私にはカルタヘナ法は難しいです。

 二種省令・二種告示は、歴史的には旧文部省・旧科技庁の”組換えDNA実験指針”を換骨奪胎した改訂版を、やや無理やり法律の下に位置づけたものです。

 私の思うところ、人が作ったものを相手にする法律では、規制対象は言語による「定義」=「実体」で考えられるのでしょうが、カルタヘナ法は”生き物”という自然物である「実体」を言葉で切り取って「定義」した上で規制しています。そのため、実験分類のように生物学的リスク別の切り取り方では、自然分類との間でねじれが生じているように思います。例えば、二種告示には「寄生虫」という言葉が出てきますが、それには分類学的な実体はありません。私も、研究者と言う視点では自然分類以外の生物分類なんて博物学の時代の遺物のように感じます。しかし、法律は、たかが”言葉”で漏れが無い様に自然現象を切り取ろうという、そもそもが無茶な試みなので、どこかに破綻があるのは仕方がないことだと考えています。

 ”細胞性粘菌を原虫の区分1-(2)”というのは、自然分類では1-(1)なのでしょうが、もしかしたら”粘菌は動くから”と言う理由で1-(2)に入れたのではないでしょうか。いずれにせよ、実験分類はクラス1から動かないので良しとしたのでしょう。
# 1-(2)は、ないなぁ。私もびっくりです。

 なお、二種省令第5条各号のイ-ホの区分は、第1号の引き写しです。動物作成実験の場合は、宿主の実験分類で考えるハと、宿主と核酸供与体の高リスクの方にあわせるイの実質的な拡散防止措置が変わることはほとんどありません。

 同定済み核酸を供与核酸にした動物作成実験は、概ねハで考えられます。
 一方、Xenotropicな指向性を持つレトロウイルスの粒子を放出させるTG-マウスを作成する実験など、ゲノムに組み込まれた外来遺伝子由来のウイルス粒子が放出されることが想定される実験は、供与核酸が未同定核酸で病原性への関与が疑われることから、イで考えます。しかし、ウイルスの同定済み核酸由来のタンパクのみ(病原性なし)を発現するTG-マウスであれば、ハで考えられるはずです。

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