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2008年2月24日 - 2008年3月1日の記事

2008年2月29日 (金)

"Myths & Truths About Soy" 大豆についての神話と真実

ダイズ食品の健康機能性について調べ物をしていて、"大豆についての神話と真実"というこんな文書を見つけた。

西欧人の間に流布している健康食品としてのダイズについて過剰な期待を抱かせる多くの誤解があることから、 誤解を解くために書かれた文書らしい。それほど間違ってはいないのだが、中には東アジアの食文化に対する誤解に基づく記述もある。 「著作権者ウェストン・A・プライス基金」と書いてあるので、引用は最小限にとどめておく。

 

  神話: アジアでは大量の大豆食品を消費している。  

 

真実:日本と中国の平均大豆消費量は、10g/日(約大匙2杯)で、   アジア人の大豆食品の使用は調味料として少量使うのであって、動物性食品の変わりとしてではない。

私は昨日、油揚げ、納豆、味噌、醤油を摂取した。調味料は別としても、 筆者は豆腐や納豆を知らないのかも知れない。大豆油で揚げた油揚げ入りの味噌汁は、豆腐+大豆油+味噌で大豆尽くしだ。納豆は、 生のダイズよりも吸水して重くなっているだろうが、仮に2倍に重くなっていても1パックの納豆50gのダイズを25gと見積もると、 2日に1パック以下、しかも、あとは醤油も味噌もなしという食生活になる。いくら何でも、それはないだろう。

なお、日本の大豆の自給率は4-5%。輸入大豆の少なからぬ部分が家畜飼料や油の原料に使用される事もあり、 大量の大豆を消費してはいるが、それが即ち「大量の大豆食品を消費している」ということにはつながっていない点では一面の事実はあるが。

 

神話: 現代の大豆食品は、伝統的大豆食品と同等の健康的恩恵をもたらす。

 

真実:多くの現代大豆食品は、醗酵させて大豆の毒を中和しておらず、   加工法も大豆蛋白を変質させて発癌性が高くなっている。

健康上問題になるレベルの発がん性のある大豆食品が流通している事実があるとすれば、 食品衛生上の重大なリスクだ。仮に、「現代大豆食品」の発がん性が「伝統的大豆食品」よりも高かったとしても、 一生少なからぬ量を消費してもがんに罹病するリスクが高まらない水準であると考えて差し支えない。しかも、タンパク質を変性させても (焦がしてアミン類を発生させると話は違ってきますが)、ダイズ由来のペプチドに発がん性があるとは考えられない。

また、生のダイズの毒性はおもにトリプシン・インヒビターによるもので、消化不良や栄養の欠乏を引き起こす。 加熱処理で無毒化する。発酵させていない大豆食品は、例えば黒豆や五目豆、豆餅、枝豆、豆腐等々、沢山ある。だが、 どれも腐っていない限りは食中毒の原因にはなっていない。腐った豆腐・・・いや、発酵した豆腐である中国の臭豆腐(日本名、ちりとてちん) でさえ、食べてもあたらない。

 

神話:大豆食品は、完全な蛋白源である。

 

真実:全ての豆類がそうであるように、大豆には硫黄のあるアミノ酸、   メチオニンとシスティンがない。それに、近代加工によってもろいリジンが変質している。

ダイズ食品が「完全な蛋白源」であるかどうかは、「完全な蛋白源」が民主党の言う「情報の隠蔽」同様、 何を意味するか分からないので議論できない。しかし、ダイズの主要な貯蔵タンパク質である、11Sグロブリンには、 システインが含まれている。なお、豆腐は11Sグロブリンの”かたまり”といっても良い。

 

神話:大豆食品は、心臓病を予防する。

 

真実:大豆食品を食べてコレステロール値の下がる人もいる。 しかし、   コレステロールを下げると心臓病のリスクが減るという証拠は一つもない。

ダイズ食品が心臓病を予防するという疫学的な調査結果は無いが、 ダイズに含まれるβコングリシニンが血液中のコレステロールや中性脂肪を低減する効果があることは動物実験でも確認されている。 一方、近年ヒトで医薬品によってコレステロールをコントロールすると心疾患のリスクが低下することが示されつつある。 1999年の時点では「証拠は一つもない」という状況だったのだろうが、 証拠を集める努力が続けられている限りいつまでも証拠は無いものと思ってはいけない。

 

神話:大豆食品は、性生活に良い。

 

真実:大豆食品が動物に不妊を起こすという動物実験はたくさんある。    大豆食品の消費によって中年男性の髪の毛が伸びるのは、テストステロンの減少を示している。 日本の主婦は、   夫の性欲を減らしたい時は豆腐を頻繁に出す。

・・・そ、そうだったのか。近頃よく豆腐が出ると思ったら・・・。と言う冗談はさておき、 日本でだれがそんな事を言ってるのか。ひょっとして悪い冗談を真に受けてしまったのでは無いだろうか。豆腐が「性生活に良い」 というのは根拠はないが、「悪い」というのも根拠がない。

彼らは西欧世界にとって比較的新参者のダイズの食品利用にはとりあえず反対、 というスタンスなんだろうがプラスミドを保有した状態のBacillus subtilis nattoの生えまくったダイズ(納豆のことです)を、殺菌しないでむしゃむしゃ食べてきた我々にとっては今ひとつピンと来ない。 ダイズは体に悪いから止めろなんて、肥満人口が日本の比ではない米国の方に言われてあまり説得力はない。 代わりに牛肉を食べる気にもならないし。

 

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2008年2月28日 (木)

「毒性」と言う言葉は、毒性物質の量を意味しない。

朝日新聞より。

メタミドホス急性毒性基準、大人0.15ミリグラムに

2008年02月27日18時38分

 中国製冷凍ギョーザに混入した有機リン系農薬成分「メタミドホス」の毒性について、食品安全委員会の農薬専門調査会幹事会 (座長、鈴木勝士・日本獣医生命科学大学獣医学部教授)は27日、人が一度に摂取すると健康に被害が及ぶレベル(急性毒性)を、 大人で0.15ミリグラムになる数値に決めた。

 千葉市の母子が食べて中毒を起こしたギョーザには1個当たり約1.8ミリグラムのメタミドホスが入っていたとされ、 体重50キロの大人で12倍、15キロの幼児にとって40倍の毒性があった計算だ。

 幹事会は、農薬の専門家10人が議論。 国際機関などよりも人体への毒性作用を厳しくみている米国の環境保護庁の評価にならい、体重1キロ当たり0. 003ミリグラムが妥当とした。

 慢性毒性に対する1日摂取許容量についても、幹事会はこの日、国際機関よりも毒性を厳しくみて0. 0006ミリグラムと決めた。この評価への国民の意見を聴いたうえで、食品安全委から厚生労働省に通知。 同省は食材ごとの安全な残留農薬濃度を決める。

 食品安全委が農薬の「急性毒性」を評価するのはメタミドホスが初めて。これまでは約100の農薬の危険性について、 生涯摂取し続けると健康に問題が生じる「慢性毒性」を念頭に1日の摂取許容量を設定していた。

食品安全委員会からメタミドホスの評価が「農薬評価書」の形で出てくるかどうか知らないが、 もし農薬評価書として公表されるのであれば、記事にあるような「人が一度に摂取すると健康に被害が及ぶレベル(急性毒性)」 を決めることは無いはずだ。食品安全委員会で行う評価の目的は、 現在暫定基準で運用されている規制値に根拠を与えるための基準値作りなのだから。

「農薬評価書」では亜慢性毒性試験の無毒性量と安全係数、それで除した1日摂取許容量(ADI)、 それと急性毒性試験の無毒性量と安全係数、それで除した急性参照容量(ARfD)として公表されるはず。これらの規制値は、 「人が一度に摂取しても健康に被害が及ばないレベル」にあたる。記事で言うような、「人が一度に摂取すると健康に被害が及ぶレベル」 ではない。

ちょっとした違いのようにも見えるが、安全係数が100の場合は、 実験動物とヒトの種による毒性影響の違いではヒトが10倍敏感であるという仮定に、個人の遺伝的・ 生理的な差によっては10倍くらいの開きがあるという仮定を合わせて、10x10=100という見込になっている。従って、 実施に健康被害が出る量と、健康被害を出さないための規制値では、毒物の量に2桁くらいの違いがある。

「ヒトであれば誰にでも必ず健康に被害が及ぶ」という毒物の量と、 「ヒトによっては健康に被害が及ぶケースもある」という毒物の量と、「ヒトに何らかの生理的な影響が及ぶが健康被害というほどではない」 という毒物の量は違うのだ。

記事の中では、しばしば毒性(生物に対する作用)と毒物の量(物質の質量)を混同している。

  • 1パラ目:「1日摂取基準」(量)と「急性毒性」(毒性物質の作用の現れる性質)を混同している。
  • 2パラ目:「体重50キロの大人で12倍、15キロの幼児にとって40倍の毒性があった計算だ。」ここも、 毒性と毒物の量を混同している。

大丈夫か?朝日新聞。私も定期購読しているのだが、科学音痴な所を見せつけられると、 そのような理解力しかない企業にお金を払っていることが悲しくなる。

後で気づいたのだが、読売新聞も同じトピックの記事を書いている。

メタミドホスの摂取許容量を発表…内閣府食品安全委

 中国製冷凍ギョーザの中毒事件を受け、内閣府食品安全委員会の専門家による調査会は27日、被害を出した有機リン系殺虫剤 「メタミドホス」の毒性分析から、1日に摂取できる許容量を発表した。

 それによると一度に摂取しても健康に影響のない許容量は「体重1キロ・グラムあたり1日0・003ミリ・グラム」。 体重50キロの人の場合、0・15ミリ・グラムとなる。一生摂取し続けても健康に影響が出ない許容量は「同0・0006ミリ・グラム」 とした。

 食品安全委員会ではこれまで、農薬を一度に摂取した場合の許容量を算出していなかったが、今回の事件を受け、 メタミドホスについて初めて設定した。

 慢性的に摂取した場合の許容量は、厚生労働省が見直しを急いでいる残留農薬基準の根拠になるもので、 同委員会は新年度早々にも厚労省に通知する。
(2008年2月27日22時03分  読売新聞)

こちらは、毒性に関する記事ではなく、”許容量”すなわち、悪影響が出ない量という扱いになっており、 正しい情報の扱いだ。この新聞社のオーナーが、”アレ”でなければ購読紙を替えたいくらいだ。

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2008年2月27日 (水)

Overlapping Fusion-PCR

慣れないベクターのコンストラクション中。

酵母の2μm ori とTEF1p-EM7p-ZeoR-CYC1TTのPCR産物をOverlapping Fusion-PCRで融合した。条件決めのために色々論文をあさってみたものの、” 私の条件では2つのフラグメントの重複はたかだか20bpなのでこの論文のは使えない”とか、” この実験のコンディションでこんなに大量のTemplateをぶち込んだらPCRの後で電気泳動したらバンドとして見えてしまうので、 ゲルから切り出さないといけないのでは?”という、イマイチなものばかりだったので、 結局Templateの希釈系列を作って条件決めをすることにした。

参考にした論文の条件の1/24-1/100位のテンプレート量でextra bandなしできれいに目的のPCR産物が取れることが分かった。やれやれ。

・・・というPCRの間に、職場の拡散防止措置の点検。第1弾は1時間半ほどかかった。もう、疲れました。

が、帰るまでに電気泳動でPCR産物の確認、形質転換と、PCRをもう1回。

明朝はPCR産物の電気泳動のゲルの準備、コロニーPCRの準備、deep well plateに培地を準備、 形質転換用の酵母の培養、etc.etc.

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2008年2月26日 (火)

真面目なセレウス菌

毎日新聞の記事より。新生児の死亡は気の毒という他ないが、 今回の原因菌の殺菌は技術的に結構難しい問題ではある。

セレウス菌:院内感染、新生児死亡-- 浜松

 浜松市中区の聖隷(せいれい)浜松病院(堺常雄院長、744床)で07年7月、新生児が食中毒などを起こす「セレウス菌」 に感染し、死亡していたことが分かった。

 病院によると、新生児は体重1000グラム未満の「超未熟児」でNICU(新生児集中治療室)に入院させた。 3日後に敗血症で死亡。血液内にセレウス菌が入ったのが原因だった。同室の未熟児3人のシーツや皮膚からも菌が検出されており、 タオルやシーツなどから感染したらしい。

毎日新聞 2008年2月26日 東京朝刊

”新生児が食中毒などを起こす「セレウス菌」”と書いてあるので、 恐らくBacillus cereusのことだろう。発音は、”真面目、深刻” を意味する"serious"と一緒らしい。食中毒の原因菌としては古典的なものだが、 食中毒を起こすには多量の菌体の摂取が必要と言われている。病原性大腸菌O157等から見るとずっとマイルド(こちらが参考になる) 。

土壌中に普通に見られる嫌気性細菌(通性嫌気性)だが、 環境が悪くなると芽胞という熱に強い細胞を作る。芽胞細菌は調理などの普通の加熱ではなかなか死なない。というか、 調理の際の加熱で活動型になるというやっかいな性質がある。しかも、大抵の細菌が活動しない45℃位でも増殖するので、 パスタやピラフなどがこの細菌で汚染して集団食中毒を引き起こす事もある。この細菌は特に、デンプン質が好きらしい。 名前のcereusというのもローマ神話の穀物の女神ceresに由来するという説もあるので、 穀物とは縁が深いようだ。今回の事故でも、この細菌の殺菌の難しさが原因の一つではないかと考えられる。

ちなみに、 試薬として市販されているアミラーゼの中にはBacillus cereus由来の製品がある。耐熱性が良好で、 デンプンの分解能力にも優れているので重宝。また、 他の食中毒細菌ではないBacillus属細菌由来のアミラーゼには非常に耐熱性の高いもの(70℃くらいでも使える)もあって、 日本酒の仕込み(必ずしも一般的ではないが)や食器洗浄機用の洗剤に使われているものもある(商品名ではDurazymeなど)。

今回の報道は、私が食中毒細菌だと思っていたBacillus cereusが、実は感染症もおこすのだ、と言う点がニュースでした。

なお、Bacillus cereusを遺伝子組換え実験の宿主にする場合は、実験分類は「病原性あり」のクラス2なので、 大抵は拡散防止措置はP2レベルが要求されます。取扱には気をつけて。

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2008年2月25日 (月)

高速アガロースゲル電気泳動

実験の小ネタ紹介。いずれ書きたいと思っていたネタです。

以下に紹介する核酸のアガロースゲル電気泳動の方法は次の状況が当てはまる方にはお勧めしません

  • TAEやTBEで不自由していない方
  • 1kb以下のDNAフラグメントを頻繁に電気泳動するけれども、時間には不自由していない方
  • キャピラリータイプの全自動電気泳動装置が使えるリッチな方
  • ミューピッドしか使いたくない方

逆に、次の状況が当てはまる方にはお勧めします

  • とにかく速く泳動したい方
  • マイクロサテライトの泳動など、TBEバッファーでは高温でゲルが溶けちゃいそうな方
  • お金が無くてトリスが買えない方
  • 電気泳動槽に緩衝液が常に入れっぱなしでちょっとくらい蒸発してもどうって事無いぞ、という豪傑な方

方法は簡単です。TAEの代わりに、酢酸リチウム(LA)、ホウ酸リチウム(LB)、ホウ酸ナトリウム(SB)など、 トリスを含まない電極液で核酸の高速電気泳動ができます。(カチオン濃度がキモなので作るときにはNaOH, LiOHの濃度を固定しておきます。)

Sodium boric acid: a Tris-free, cooler conductive medium for DNA electrophoresis
Jonathan R. Brody and Scott E. Kern
BioTechniques Vol. 36, No. 2: pp 214-216 (Feb 2004)

Ultra-fast high-resolution agarose electrophoresis of DNA and RNA using low-molarity conductive media
Jonathan R. Brody, Eric S. Calhoun, Eike Gallmeier, Talisa D. Creavalle, and Scott E. Kern
BioTechniques Vol. 37, No. 4: pp 598-602 (Oct 2004)

できあいの状態の濃縮緩衝液も市販されています。国内代理店はフナコシ。

特に、1-10mM ホウ酸ナトリウム緩衝液は、TBE用にホウ酸を買い込んでるラボの方にはお勧め。 1Nの水酸化ナトリウム液にホウ酸を入れてpH8.0にあわせてできあがり(標準的レシピでは泳動時のfinal 5mM NaOH, ストックは20xで1N NaOH)。特別な試薬は要りません。ミニゲルを250-300Vくらいで泳動しても温度がほとんどあがりません。 速い、安い、分解能よし(大抵の場合は)、で文句なしです。また、泳動時のカチオン濃度を1mMで調整しておけば、 ちょっとくらいバッファーが干上がっても、それほど大きな影響はないはずです (ゲルと泳動バッファーの濃度差が大きいと何か妙なことが起きないとも限りませんが・・・)。

ただし、塩濃度の高い緩衝液で制限酵素処理した場合は、泳動像がゆがんだり、 マーカーと比べてサンプルの泳動が遅くなるかも知れません。泳動用の緩衝液の塩濃度が非常に薄いので、 試料の塩濃度の影響を受け易くなっています。ほぼPCR産物の泳動しかしないと言うのであれば、問題はありませんが。

緩衝液の塩濃度や電気泳動のコンディションは原著論文で確かめて下さいね。

なお、私はSYBR GreenなどEtBr以外の高級なダイやMupid-Stain eyeなどで染色したことはありませんので、 関心がある方は自分で試してみてください。TAEより塩濃度が低い分、 緩衝液と核酸の電荷の違いが大きいので染まり方は相当違のでは無いかと想像します。

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