2014年12月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

最近のトラックバック

どこからきたの?

  • なかのひと

Google Analytics

« 2008年12月14日 - 2008年12月20日 | トップページ | 2008年12月28日 - 2009年1月3日 »

2008年12月21日 - 2008年12月27日の記事

2008年12月26日 (金)

日本版ノーアクションレター: カルタヘナ法関連

今日は仕事納め。このblogは、仕事場からとおぼしきアクセスがほとんどなので、明日以降、どどんと閲覧数が減ることだろう。

# 以下のエントリーは、某省庁の方々にとってはセンシティブな問題を含んでいる可能性がある。正月休み明けまでに、これが最新のエントリーではない状態にしておくとしよう。

総務省の旗振りで導入された”日本版ノーアクションレター”(法令解釈に係る照会手続)という制度がある。目的は「行政処分を行う行政機関がその行政処分に関する法令解釈を迅速に明確化する手続を、我が国の法令体系に適合した形で導入を図ること」。

手続きとしては、その目的のために「民間企業等が、実現しようとする自己の事業活動に係る具体的行為に関して、当該行為が特定の法令の規定の適用対象となるかどうかを、あらかじめ当該規定を所管する行政機関に確認」できるようにするものだ。省庁に照会できるのは”民間企業等”となっているが、大学等の独立行政法人も規制を受ける立場でこの制度を利用できるのではないだろうか?

要は、政府による規制がある事業分野で、あらかじめ行おうとする事業が関係法令による規制を受けるかどうかを確認出るというもの。これまで照会できる法令の範囲が限られていたので使いにくかったのだが、平成19年6月22日の閣議決定で次の項目が改訂された(安倍内閣末期ですな)。

                                    
3) 当該条項が民間企業等に対して直接に義務を課し又はこれらの権利を制限するものであって、本手続の趣旨にかんがみて対象とすべきものと判断される場合

この改訂によって、政府が規制を行っており、従わない場合に行政処分(不利益処分)を受ける可能性のある分野については、この制度に則った照会手続きの対象となる。

実態として平成13年の導入以来あまり利用されていない制度だが、質問の受理から30日以内に回答することを政府に義務づけているので、質問が放って置かれることはない。役所の側から見ると、質問の前提条件や範囲が明示されていれば回答しやすいが、そうでない場合には受理するまでに質問者とやりとりしておかないと結構大変そうだ。そのため、情報公開請求と同様、照会内容を補正する制度がある。また、回答を行わない事案については次のように規定されている。

(3) 回答を行わない事案
 各府省は、照会者からの照会に対し回答を行うことができない場合又は回答を行うことが適当でない場合については、回答を行わないことができる。
 回答を行わない事案については、その要件等を細則であらかじめ定めておかなければならない。
 照会に対し回答を行わない場合は、照会者に対し、その理由を通知しなければならない。

回答を行わない要件、細則の公開無しに回答を拒否することはできない。また回答しない場合にはその理由を通知しなくてはならない。

さて、カルタヘナ法では所管する官庁が不利益処分を含む行政指導を行うことができるようになっている。所管している省庁は、環境省、農林水産省、経済産業省、厚生労働省、財務省、文部科学省だ。ノーアクションレター制度への対応状況は各省のホームページをまとめると次の通り。

4 6 7 9 10 11 13 14 15 16 17 18 19 20 21 24 26 27 28 29
    * 環境省 1 1 1 1,4 1,2 2 1 1,2 2 1,5 8 1-5 2
    * 経済産業省 1 3 2 1 1 1
    * 財務省 1,2 1 1 1-4 1,2 1,2 1 1,2 1,2 1,3,5 3,4,8 1-5 1,2
    * 文部科学省 1 1 1,4 1
    * 農林水産省 (明示されていない)
    * 厚生労働省

※ 最上段の数字は法律の「条」、以下のマスの数字は「項」を表す。

事業者の行う行為がカルタヘナ法に抵触する場合、農林水産省、厚生労働省の所管する部分に関する問題でも不利益処分をうけることはあり得る。従って、これらの省庁でも、個別の条項は明示していないものの他省庁と同様にノーアクションレター制度の適用対象になっていると考えられる。

カルタヘナ法第12条-第15条が主に研究開発に関わる第二種使用に関係する。このうち第14条に規定する、拡散防止措置を執らせるための措置命令は不利益処分にあたるため、原則に従えばノーアクションレターによる照会の対象となる。また、事故時の応急の措置が不十分と考えられる場合、第15条第2項に従って措置命令が出されることがあり得る。これらも、本来は各省共通でノーアクションレターの適用対象と考えるべきだろう。

なお、文部科学省二種省令の関連するカルタヘナ法第12条は主務省令による拡散防止措置、第13条は主務省令による拡散防止措置が定められていない場合の主務大臣の確認を規定している。第13条に関する違反は、措置命令(第14条)、50万円以下の罰金(第42条)。第12条に関する違反は、措置命令(第14条)。それに従わなかった場合の罰則は、一年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はその併科となっている。

文部科学省は第12条の主務省令による拡散防止措置を定めており、これが第14条に基づく措置命令を受けるか否かの判断基準となっていることから、第12条に関係した文部科学省二種省令についても照会手続きも受け付けることになるだろう。大学等で拡散防止措置の決め方に疑義が生じた場合は、この制度に則った照会をすることもできるだろう。

# ま、質問事項をきちんとまとめてさえ置けば、普通に電話やメールで照会しても、親切に回答してくれますけどね。

この他、輸出関連の第27,28,29条についても、輸入国で環境放出を行うことを意図したLMOの輸出に関わる規程なので、上記の表では対応を明示していない省庁もあるが、環境省や文科省についても関連している可能性が高い。

# 関係省庁の連絡会ですりあわせをしないのだろうか?

人気blogランキングへ←このエントリーの情報はお役に立ちましたか?

クリックしていただけると筆者が喜びます!

2008年12月24日 (水)

ヒトは”超”雑食性

今宵はクリスマスイブ。クリスチャンばかりではないので、”Happy Holidays!”という挨拶が政治的には正しい(politically correctな)表現だそうです。

さて、朝日新聞のニュースより。

人のごちそう、ペットには「毒」 パーティ残り物に注意

2008年12月24日

【ワ シントン=勝田敏彦】クリスマスパーティーや忘年会のシーズンを迎え、「残った食べ物を不用意にペットにやらないで」と全米動物愛護協会(ASPCA)が 呼びかけている。人間にはごちそうでも、ペットには「毒」になることも少なくないという。日本でも参考になりそうだ。

 まず注意すべきことは「残り物をやって、ペットが食べ過ぎにならないように」。食べ過ぎると消化不良になったり、下痢をしたりする。

 また酒類はペットが近づけない場所に置く。菓子も注意が必要で、犬がチョコレートを食べると吐き気を催したり不整脈になったりするし、甘味料のキシリトールも少量をとっただけで低血糖に陥り、最悪の場合は肝不全になる。

 このほか「ペットの毒」としてアボカド、コーヒー、マカダミアナッツ、タマネギ、干しブドウ、ニンニクなどをあげた。花束に入っているユリの花も、猫が食べると腎不全を起こすことがあり、注意が必要だとしている。

 ASPCAの獣医師スティーブン・ハンセン博士は「人間のこの時期の習慣が、ペットには脅威になることがある」と指摘した。

 
ヒトには無害な化学物質が他の生物には毒になることがある。この記事でもタマネギが挙げられているが、かつて科学技術庁の委託で行なわれた放射線照射タマネギの安全性試験の事例を思い出した。あらましは、放射線照射した乾燥タマネギをマウスやラットに食べさせて亜慢性毒性試験を行い安全性を確認するという試験で、タマネギ自体に毒性があるため、放射線照射を行っていない動物にも奇形やひ臓の肥大が見られたというものだ(*)。

タマネギに含まれる硫化物は、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジなど多くの動物に中毒を起こさせる。これは、赤血球が破壊されるためにおこる極度の貧血を伴うもので、場合によっては致死的だ。マウスやラットはある程度耐性があったので死ななかったのだが、それでも無事では済まなかったのだろう。

同様の理由で、スパイスやハーブなど、それ自体に生理活性のある食品では動物実験による安全性の確認が難しい。

どのような物質が毒になるかは、その物質がある生物の生体内でどのように振る舞うか、あるいはその物質に対して生物がどのように振る舞うかで決まってくる。 ある生物にとって毒性のある物質であっても、それを代謝して無毒化できるで動物にとっては毒ではない。コーヒーや緑茶に含まれるカフェインはヒトにとって はほぼ毒ではないが、大抵の動物にとっては毒だ。特に、ナメクジやカタツムリにとっては、カフェインはインスタントコーヒー程度の濃度でも致死的な毒だ(**)。

また、耐虫性遺伝子組換え作物に含まれている一方で、有機農業で使用できる数少ない殺虫剤であるBtトキシンも、特定の昆虫に対しては毒性を発揮する。しかし、ヒトを含むほとんどの生物に対しては無害である。

上記の記事とは逆にヒトに対しては毒性を示すアルカロイドに耐えられる生物もいる。カイコはクワの葉を食べるが、クワの葉には高濃度のアルカロイドが含まれていて、カイコ以外の生物はほとんど”安全に”食べることはできない。しかし、カイコの糖を加水分解する酵素はそのアルカロイドによる妨害を受けないため、クワはカイコにとって唯一の貴重な食糧になっている(出所はこちらのblog経由***)。

ヒトは様々な生物を食べることができる。究極の雑食動物と言えるかも知れない。それが、自然に備わった強力な解毒能力によって支えられていることを上の記事は示している。

しかし、ヒトの強力な解毒能力を以てしても、天然毒による食中毒は後を絶たない。産経ニュースより。

スイセン球根で5人食中毒 小学校の調理実習、タマネギと間違え

2008.12.6 00:50

  茨城県は5日、同県潮来市の徳島小学校で、調理実習で作ったみそ汁を食べた児童5人が吐き気や嘔吐(おうと)の症状を訴えたと発表した。全員軽症。みそ汁 に、校庭の菜園で栽培していたスイセンの球根をタマネギと間違えて入れたという。スイセンには中毒症状を起こす物質が含まれており、県は食中毒とみてい る。

 徳島小によると、5日午前、みそ汁に入れて3年生と4年生の児童11人と教諭1人が食べた。

スイセンのアルカロイドに関する情報はこちら。毒性の発現機構はアセチルコリンエステラーゼの阻害作用なので、メタミドホスなど有機リン系殺虫剤による中毒と症状が似ているのではないだろうか。スイセンの球根に毒性があることは古くから知られていたが、毒性を示す物質が同定されたのが以下の論文(2002年)であれば、かなり新しい情報だ。

López, S. et al. Acetylcholinesterase inhibitory activity of some Amaryllidaceae alkaloids and Narcissus extracts. Life Sci 71, 2521-9(2002).  

それにしても、菜園にスイセンを植えるというのはいかがなものか・・・。しかもスイセンの球根はタマネギより相当小さいと思うけれど、間違えるものなんだ。

ところで、神国日本には古より八百万の神々のうちの一柱として”基督”様がおわします。その縁日には、世界の平和を祈念するのが、我が国の習わしとなっております。この良き日に寂しくブログなんか見ているあなたに(あるいは書いてる私に!)、メリー・クリスマス!

人気blogランキングへ←このエントリーの情報はお役に立ちましたか?

クリックしていただけると筆者が喜びます!

"説明しなさい"って言われても・・・ やなこったね。

検索エンジンからこのblogにたどり着いた際のキーワードがアクセスログに残っている。某日の検索キーワード。

”麦芽をアミラーゼ源に使うと、なぜ発酵期間がたかだか4日間にしかならないか説明しなさい”

”説明しなさい”っていう命令形で検索するのが何だか妙な感じ。まるで農芸化学系の試験問題のようだ。しかし、学生がWebで試験問題や宿題の答えを丸写しするようになるといけませんね。何より本人のためにならない。

・・・と言うわけで、この質問に対する回答は書いてあげない。ヒントはあげてもいいが、すぐに答えが知りたいのであれば、以下は読むだけ無駄だ。

# ちなみに、Googleは命令形で検索するといつもよりもまじめに検索する。・・・ということは多分無い。

” 麦芽”(オオムギの種子を浸漬し、若干乾燥させて発芽させ、芽が出る直前のタイミングでさらに加熱乾燥させると同時に、揉んで根を切り、発芽プロセスを止めたもの)を ”アミラーゼ源”(この言い回しが専門的。何らかの目的でアミラーゼが必要な場合に、アミラーゼを供給するために用いるもの、と言う意味だろうか)に使用して発酵させる、とくればビールを連想する。

細かいことを言えば、麦芽由来のアミラーゼでオオムギの胚乳のデンプンが糖化するプロセス自体は”発酵”ではない。コウジカビで麹を作るプロセスやクモノスカビでカンショのデンプンを糖化させるプロセスは、微生物による分解工程なので発酵と言えるが、オオムギの内生アミラーゼによるデンプンの分解には微生物は関与していない。そういう意味では、これが試験問題であれば、私なら「設問が間違っています。間違っている理由は・・・」と書いて潔く零点をもらう。

仮に、ビールの醸造工程の話であれば、酵母による発酵は1週間程度は続くので”たかだか4日間にしかならない”と言うことはない。そう考えると、糖化のことを発酵と間違えて言っていると考えるのが妥当だろう。

また仮に、麦芽由来のアミラーゼによる糖化が4日程度しか継続し得ないとすれば、次にその前提条件を明らかにしなくてはならない。つまり、「麦芽由来以外の他のアミラーゼでは4日以上糖化が継続する緩衝液、基質、温度等の諸条件が同一の場合」かどうかである。”たかだか”と言うからには、質問者は、同じ条件で糖化の期間がもっと長く持続できる酵素も知っているはずだ。

# 例えばBacillus cereus 由来のアミラーゼはかなり長持ちするはずだ。これは固定化酵素にも使われるので。

さらに言えば、オオムギの内生アミラーゼによる糖化作用の持続時間が4日なのか、麦芽由来(加熱処理後)のアミラーゼなのかでも異なる。簡単に質問してるけど前提条件が固まらないと適切な答えは引き出せないものだ。

なお、頭書の質問についてのヒントは、酵素の触媒反応が停止する、つまり失活することと関係している。”酵素の失活”と一般化することで問題は一気に分かりやすくなるはずだ。

人気blogランキングへ←このエントリーの情報はお役に立ちましたか?

クリックしていただけると筆者が喜びます!

« 2008年12月14日 - 2008年12月20日 | トップページ | 2008年12月28日 - 2009年1月3日 »

twitter

  • Bernard_Domon

Ranking

  • にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ
    日本ブログ村
無料ブログはココログ