2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

最近のトラックバック

どこからきたの?

  • なかのひと

Google Analytics

« 2008年11月2日 - 2008年11月8日 | トップページ | 2008年11月16日 - 2008年11月22日 »

2008年11月9日 - 2008年11月15日の記事

2008年11月12日 (水)

Bonsai effect?

PLoS One より。
Yi Zhang, John G. Turner 2008 Wound-Induced Endogenous Jasmonates Stunt Plant Growth by Inhibiting Mitosis.

盆栽にした植物の大きさはそうでないものよりも5%以上は小さくなる。それにストレスが関係していることはわかっているのだが、ストレスがどのように植物を小さくするのかが分からなかった。

モデル植物のアラビドプシスでは葉に障害をうけると、茎頂組織での細胞分裂が減り、数日以内に植物の生育が抑制される。新しい葉の大きさは通常の半分になるが、細胞の大きさは変わらず、その数が減少していることがわかった。

予 想外なことに、茎頂での細胞分裂の抑制は、傷害ホルモンであるジャスモン酸 - 障害を受けた成熟した葉で合成されるのだが - によるシグナル伝達を通じておきる。ジャスモンサンに反応しない変異体(合成できないか応答しない)では、植物体は通常のものよりも大きいし、傷害ス トレスに応答してな小さくなることもないとのこと。

http://www.eurekalert.org/pub_releases/2008-11/plos-tbe111108.php

を参考にしました

問題の所在は、”植物が小さくなる”ことのように考えがちだが、実は”植物が大きくならない”ことにある。大抵の器官・組織の細胞分裂は成長点付近で早い内に止まって、あとは細胞の伸長で器官・組織のサイズが大きくなるのだとすると、サイズが大きくならない理由は、

  1. 細胞が少ない
  2. 細胞が小さい

のいずれか(あるいは、その両方)だ。

1. の細胞数減少の結果として組織・器官が小さくなるのであれば、形態形成の時期だけ細胞数が増えないように制御してやれば、その効果は生涯続く。2.の仕組 みで器官・組織を小さくしようとすると、植物が生長している間中ずっと細胞が大きくならないようなシグナルを出し続けなくてはならない。しかも、盆栽のよ うに植物体全体が小さい場合には、そのシグナルは常に植物体全体に行き渡っていなくてはならない。これは、あまりにコストがかかる仕組みだ。ということ で、この発見は植物の大きさの制御が結構合理的な仕組みで働いていることを示している。

各種のmutantでジャスモン酸の働きを追っているあたりは道具立てがアラビでなければなかなかできないことだ。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます! 」

2008年11月11日 (火)

「花粉症」3か月で改善? すぐに直りはしませんが

読売新聞より。理研で取り組んでいるスギ花粉症ワクチンも生物研で取り組んでいるスギ花粉症緩和米も要らなくなってしまうかも知れない研究。

「花粉症」3か月で改善、スイスの研究チームが新治療法

 【ワシントン=増満浩志】花粉症などのアレルギー患者に原因物質を繰り返し注射する「減感作療法」を、3か月で済ませることに、チューリヒ大学病院(スイス)などの研究チームが成功した。

 皮下でなく、そけい部のリンパ節に注射する方法で、副作用も従来の方法より少ないという。米科学アカデミー紀要電子版に10日、発表された。

 減感作療法は通常、原因物質のエキスを少量ずつ、約3年かけて注射する。研究チームは、皮下注射したエキスが体内の免疫システムをつかさどるリンパ節へは一部しか達しないことに注目。58人の花粉症患者に対し、リンパ節へ直接、1か月おきに計3回だけ注射する新手法を試してみた。

 開始から4か月後に検査したところ、アレルギー症状が劇的に緩和され、治療前に比べ平均10倍の花粉量がないと鼻炎が起きなくなっていた。効果は開始から3年後も持続していた。

 従来の減感作療法を行った別の54人では、じんましんなどの軽い副作用が18件、入院の必要なぜんそくの副作用が2件起きた。新手法では、軽い副作用が6件起きただけだった。

(2008年11月11日13時18分  読売新聞)

オリジナルの論文はこちら。Open accessの論文ですのでご家庭からでも読めます(・・・読まないか)。

記事にはありませんが、この論文で言う花粉症とはイネ科花粉症です。スギ花粉ではありません。スイスなので牧草の花粉による花粉症が主流なのでしょう。

処理あたり50 人規模の臨床試験で追跡調査も3年行っていますから、試験としてはかなりしっかりしたもの。副作用も少なく軽度であること、治療成績が皮下注射と同等かより良いこと(微妙ですが)、注射の回数も少なく注射自体の苦痛も皮下注射よりも少ないこと(これまでの54回注射がたったの3回!)などから、もう少し臨床試験が行われれば、いずれは従来の減感作療法に代替できるかもしれません。
# しかも、たいした設備投資は要りません。

治療効果については記事の通りで、アレルゲンの点鼻投与に対する反応では、治療開始後4ヶ月目で従来の治療法よりも改善しています(自然暴露ではありません)。3年間の追跡では、従来の治療法と同等かそれ以上の効果。

アレルゲン投与開始初年度における抗ヒスタミン剤投与など他の治療法の必要性は従来法よりも低くなっています。点鼻投与に対する反応では、効果の持続性も3年後では従来の治療法とそう変わりません。また、皮下に希釈したアレルゲンを注射して炎症反応を調べるprick testでも3年間のデータでは従来の治療法と同等の効果を上げており、アレルギー反応を媒介する特異的IgEの値は3年後には初年度よりも、1/3程度まで低下する傾向にあります(つまり、このまま行けば完治するかも!)。

肝心の臨床的な症状も、自然暴露の状態で3年後には初年度よりも相当に症状が改善しています(ただし、Simptom scoreをVAS(visual analogue scales) で示していますが、VAS=2というのは”少し痛い”相当なので、仕事の妨げにならない程度とはいえ、この治療では完治とまでは行かないようです)。初年度のheyfever様の症状のVASは6-8程度はあるので、アレルゲンの点鼻投与ではそこそこ効果はあるものの、臨床的には”かなりつらい”と言う状況のようです。ですから”「花粉症」3か月で改善”と言う見出しは間違ってはいませんが3ヶ月ではおそらく治療効果はあまり実感できないのではないでしょうか。

Pain# 痛みを10段階で表現するVASというものがあるとは知らなかったなぁ。でもVAS=10ともなると、こんな感じではなかろうか。

精製アレルゲンの注射にあたっ てはエコー(超音波)で針先をガイドしながらゆっくりと大腿リンパ節に注射、しかもリンパ節から血管へのアレルゲンの移行を抑えるためにあらかじめ吸引しておくといった処置が必要とのこと(これを怠るとアナフィラキシーのリスクが大きくなる)。また、注射する部位がそけい部なのでアレルギー外来で処置する 場合患者さんの心理的な抵抗もあるかも知れません。

アレルゲンを注射する大腿リンパ節は長さ1.5cm程度、太った患者さんでも皮下数mmの浅い所にあるのでそこを選んだ様です。素人としては、もうちょっとやりようは無いものかと思ったりもするのですが。

アレルギー・マーチという言葉があるくらい、何かのアレルギーを持っている患者さんは他のアレルゲンに対しても反応をおこしやすくなっています。できれば全部のアレルゲンに対して治療をしてしまいたいところでしょうが、単一のアレルゲンに対して54回も注射しなくてはいけないのであれば、軽いアレルギーであれば複数のアレルゲンについてまで治療までしなくても、と思ってしまうかも知れません。注射の痛み、注射後の経過観察、医療費・・・負担は小さくありません。実際、この研究でも途中で治療に来なくなちゃった患者さんが少なからずいた模様です。研究なので治療費は免除されているのでしょうけど、注射がよほど痛かったのでしょう か(皮下注射では54人中22人は3年間の試験中に脱落。そけい部の注射では最初の注射で脱落したのが66人中の8人)。

この研究の成果は、アレルゲン1種類に付き注射3回で済むのであれば、各種のアレルギーに対して現実的な治療の機会を提供できることではないでしょうか。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます! 」

2008年11月10日 (月)

バクテリアの種類が多い=”キタナイ”という短絡

Technobahnより。

男性よりも女性の方が一般的にきれい好きのように思われているが、米研究機関が行った手のひらのバクテリアの保有量の調査結果により、菌の保有量に関しては女性の方が多いことが米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された論文により明らかとなった。

 この研究を行ったのは米コロラド大学のロブ・ナイト准教授を中心とする研究グループ。

  研究グループは52名の学生の両手の手のひらからサンプルを採取し、DNAを使ってバクテリアを特定する最新の手法を使うことで、手のひらに居るバクテリ アの種類を特定する実験を実施。その結果、ヒトの手のひらから合計4742種のバクテリアを特定することに成功すると同時に、男女別では女性の方が保有し ているバクテリア数が多いこと、保有しているバクテリアは右左の手で別々であることが多いことなどが判明したとしている。

 研究グループ では女性の方が保有しているバクテリアの数が多いというのは意外としながらも、男女の汗腺の数の違いや、女性の方が化粧品を使うということが多いことや、 皮下脂肪の厚さの違いなどの要因が女性の方がバクテリアが多く生息する原因となっているのではないかとまとめている。

 研究グループでは研究結果から女性の方が保有するバクテリアの数は多いことが明らかとなったが、テクテリアの多くは無害か、むしろ人体によい影響を与えるものも多く、バクテリアが多いことが分かったからといって不安に感じる必要性はないとも述べている。

このニュースサイトは生物学に関してはどうもいただけません。
PNASにそれらしい論文が見つからない。後日探しておこうか。

しかし、”バクテリアの保有の調査結果”って・・・。バクテリアの種類を同定したと言ってるのに、この解釈は何なんだろう?

種類と量の区別が付かないというのはおかしい。しかもバクテリアの種類が多い=”汚い”と言う解釈をするのは科学的には全く不適切だ。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます! 」

« 2008年11月2日 - 2008年11月8日 | トップページ | 2008年11月16日 - 2008年11月22日 »

twitter

  • Bernard_Domon

Ranking

  • にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ
    日本ブログ村
無料ブログはココログ