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2008年11月2日 - 2008年11月8日の記事

2008年11月 7日 (金)

じわり、パーソナル・ゲノミックスの時代へ

Natureで”個人ゲノム特集” (こういう書き方をすると、Googleの検索で出てくる楽天の広告みたいだ)。
http://www.natureasia.com/japan/nature/focus/webfocus.php?id=31
アジア人アフリカ人の個人のゲノムシーケンスが解読された。どちらの論文もFree Accessなので、ご家庭でも読めます(・・・読まないか)。

どちらの論文も、Illuminaのスーパーシーケンサーを使用。ただし、使用したチップとシーケンス反応は違っている。いずれにしても、個人のゲノムを決定したという論文は今後しばらくは色々な切り口で(例えば画期的に低コストになった等)増えていくことだろう。

しかし、illuminaのシーケンサーでは、まだ一人当たり10万円というところまでは下がらないだろうから、そのためにはもう一段の低コスト化は必要。

こういうスーパーシーケンサーの開発競争は華々しいのだが、一方で普通の研究室で使っているシーケンサー、たとえばABI 3130xlと同等以上の能力で低コストの次世代シーケンサーというものは出てこないのだろうか。現行機種でもかつての3100よりはメンテナンス性も良いし、シーケンス反応後の精製(BigDye XTerminater)も格段に楽になってはいる。しかし、もっと小回りの効く低価格のシーケンサーは出てこないものか。一台300万くらいの。

・・・アガロースゲル代わりの泳動装置でさえ400万円くらいはするらしいので当分は無理でしょうけどね。

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2008年11月 5日 (水)

ダメな科学記事の一例

世間では次期アメリカ大統領にオバマ氏(何度打っても小浜市になる・・・)が選出されたニュースでもちきり。

とりあえず、「人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます! 」

ニュースサイト"technobahn" より。記事の見出しは
降雨が多いと自閉症の発生件数も多くなる、米研究者
記事本文はこちら

どこがダメか?記事には次のようにある。
”教授を中心とする研究グループは1987年から1999年にかけてのカリフォルニア州、オレゴン州、ワシント ン州での自閉症児の発生件数と降雨件数との因果関係に関する調査分析を実施。その結果、降雨件数が多いと学童児における自閉症の発症件数も増えるという明 らかな因果関係があることが判ったとしている。”

オリジナルの論文はこちら。残念ながらご家庭ではAbstractしか読めません(・・・読まないか)。
論文にはこうある。
"County-level autism prevalence rates and counts among school-aged children were positively associated with a county's mean annual precipitation."

”年間平均降水量降水量と学童の自閉症の有病率には、正の相関がある”と言っているのみ。

因果関係と相関関係を一緒くたにしてはいけない。事実関係としては”降水量が多い地域では学童の自閉症の割合が高い”という観察結果が得られたということと、”降水量が多いと、そのせいで自閉症になる”ということは違うのだ。

上記のケースで”正の相関関係がある”というのは、言い換えれば、””学童の自閉症の割合が高い地域では降水量が多い”でも、”降水量が多い地域では学童の自閉症の割合が高い”でも算術的には同じこと。二つの変数の一方が増えれば他方も増えると言う傾向があると言うに過ぎない。

因果関係となると、例えば”降水量を増やすと必ず(あるいは高い確率で)学童の自閉症の有病率を増やせる”あるいは”自閉症の学童を集めると、降水量を増やせる”という関係にある場合を言う。

二つの変数の間に、原因と結果という関係性が(場合によっては実験的に)証明できない場合には、因果関係と言ってはいけない。ましてや脳機能と気象の間には様々な媒介があって然るべきなので、単純な因果関係は非常に成り立ちにくいと考えられる。

本当に”降雨件数が多いと学童児における自閉症の発症件数も増えるという明 らかな因果関係があることが判った”というのであれば、センセーショナルなのだが記者の早とちりでニュースにするのはいかがなものか。

ちなみに、上記の論文では”California, Oregon, Washington” の3地点を対象に調査をしている。従って、観測地点の緯度から考えれば、降水量の代わりに平均日照時間でも夏場の平均気温でも同じような相関関係が導かれ る可能性が高いのではないだろうか。気象条件と人間の脳機能の関係については、これ以外にも季節性気分障害(Seasonal affective disorder, たとえば冬季性うつ病)のように日照時間の影響があることはよく知られている。緯度と冬季の日長には相関があるので、上記の3地点での比較においても必ず 変数としては関与しているはずなので、年間降水量をなぜフィーチャーしたのかは結構謎だ。他の変数よりも圧倒的に信頼性が高いということがあったのだろう か。

記事の論評ではなく、論文についてのコメントになってしまったが・・・。
# いや、ダメな論文について書かれたダメな記事だとは思いたくない。それではあまりに情けない。

2008年11月 4日 (火)

核が生きていればクローンの再生は可能

世間は小室プロデューサー詐欺容疑で逮捕の話題でもちきり。

(写真は理研のホームページより。今日の話題の主は左のマウス)

毎日新聞より。

解説:死滅細胞からクローン 技術、理論に追い付く

 マンモスなどの絶滅動物をクローン技術で復活させる考え方は、クローン羊ドリー誕生の発表(97年)以来繰り返し議論されてきた。しかし、ボロボ ロに壊れて完全に死んだ細胞からのクローン作成は技術的に不可能だった。今回、凍結マウスからクローンを作った若山照彦・理化学研究所チームリーダーは 98年、世界初のクローンマウスを作った一人。核を操作するガラス管や培養液の工夫など技術面で改良を積み重ね、理論を現実に近づけた。

 クローン技術は、ある細胞と同じ遺伝情報を持った細胞を作る手法として研究が続けられてきた。ところが、山中伸弥・京都大教授によるiPS細胞 (人工多能性幹細胞)の開発で状況が変わる。クローン技術は卵子を使うため、特にヒトへの応用面で倫理的な問題が指摘され、卵子を使わないiPS細胞はこ の点で有利だった。人間の病気を治す再生医療用ではiPS細胞が有利だろう。しかし科学の発展において、クローン技術が今後も必要なのは間違いない。

 例えば臭覚細胞など体内にわずかしか存在しない細胞の研究では、その細胞のクローンES細胞を作り、大量に増やして性質を調べる方法が使われた。 調べたい臭覚細胞が10個もあれば、同じ遺伝情報を持つクローンES細胞が作れる。iPS細胞の作成は成功率が低く、10万個ほどの細胞に遺伝子導入をす る必要がある。

 絶滅動物の復活も、個体を作り観賞する目的に限らない。絶滅動物の細胞だけを再生し、進化の様子を遺伝子レベルで調べたり、当時の過酷な環境を生き延びた特性を、現代の家畜改良に生かす研究への応用などが期待される。【奥野敦史】

論文はこちら。理研のプレスリリースはこちら

”-20度で16年間保存したマウスの死体から健全なクローンマウスを生産”

とのこと。しかし、よくわからないのはこの解説。

”例えば臭覚細胞など体内にわずかしか存在しない細胞の研究では、その細胞のクローンES細胞を作り、大量に増やして性質を調べる方法が使われた。”

とのことだが、核移植をしてES細胞にした時点で細胞は初期化してしまうのではないかな。論文をご存じの方があればご教示いただきたいところ。

この研究の主な成果は、
  1. 死体から体細胞クローンを作成できたところ、
  2. クローン胚を直接移植しても個体が得られない場合には、無限に増殖できるES細胞を経由することでクローン胚の発生の機会を稼げることを示したところ、
  3. 凍結死体の多くの臓器の核が移植可能であることを実証したところ、
である模様。

# なお、表題の”核が生きていれば”の生きていると言う表現はjargonですね。

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