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2008年10月26日 - 2008年11月1日の記事

2008年10月30日 (木)

文部科学省二種告示に無い新規病原体:XMRV

ニュースソースは10/28の毎日新聞。

XMRVというのは2005-06年頃に新しく見つかったウイルスなのですね。

今のところ、"Xenotropic MuLV-related virus"(XMRV)は文部科学省の研究二種告示のポジティブリストに載っていない模様。ですので、宿主として組換えウイルスを作成する場合や、未同定核酸のクローニング(例えばウイルスゲノム全長)にあたっては大臣確認申請が必要です。

関連分野の研究者の方は文部科学省研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室までお問い合わせされることをお勧めします。

XMRVに発がん性があるかどうかはまだわからないとのことですが、一頃のHIVのように感染した場合の致死率は高くないようなので、推定上の実験分類はクラス2として、とりあえずはP2レベル以上の拡散防止措置で安全に取り扱えるのではないかと思います。

前立腺がん:患者がXMRVウイルス感染 日本人で初検出

 日本の前立腺がん患者が、XMRVと呼ばれるウイルスに感染していたことが、大阪府赤十字血液センターや京都大などの調査で分かった。米国の前立腺がん患者で感染が確認されているが、日本人では初めて。ウイルスががんの原因かどうかは不明だが、実態調査が急がれそうだ。27日、岡山市で開かれた日 本ウイルス学会で発表した。

 研究チームは、事前承諾を得た前立腺がん患者30人と、献血で集まった血液から無記名・無作為に選んだ136人の血清を調べた。その結果、2人のがん患者と献血した5人から、ウイルスの陽性反応がみられ、このうち患者1人が詳細検査で感染が確認された。

 XMRVはマウスの白血病ウイルスに近いとされ、前立腺がん患者では06年に米国で初めて感染が確認された。がん細胞の周辺組織が感染していたこ とから、がん発症を誘発している可能性が指摘されている。また、細胞の増殖抑制にかかわる遺伝子の一部が変異した患者で感染率が高い傾向がある。

 国内の感染者では、一部の米国人患者で見つかった遺伝子の変異はなかったが、ウイルスのDNAは一致。研究チームは両者から検出されたウイルスは同一と判断した。

 前立腺がんにウイルスの関与が確認されれば、ワクチン予防が可能となる。研究チームはがんとウイルスの関係、感染経路などの分析を急ぐ。【永山悦子】

えーと、ウイルスと病気の関連が明らかになれば、すぐにワクチンが開発されるということにはなりません。HIVやHTLVのワクチンは完成していませんし、HCVのワクチンもまだだと思います。私はワクチンについては素人ですが、ウイルスの変異のしやすさ(どのタンパク質が抗原にできるか)、感染の部位(皮膚にしか感染しないウイルスにワクチンは効くか?)、感染しやすさ(感染の成立に必要な密度や接触からの所要時間)などによってもワクチンが有効かどうかが異なるはずです。

ですので、「前立腺がんにウイルスの関与が確認されれば、ワクチン予防が可能となる。」というのは言い過ぎ。「前立腺がんにウイルスの関与が確認されれば、ワクチン予防の可能性につながる。」くらいが適当だと思います。

関連する論文

その1. XMRVのフルシーケンスと前立腺がんのRNAse変異体のヒトから見つかったよ、と言う論文

Urisman A, Molinaro RJ, Fischer N, Plummer SJ, Casey G, Klein EA, Malathi K, Magi-Galluzzi C, Tubbs RR, Ganem D, Silverman RH, DeRisi JL. Identification of a novel Gammaretrovirus in prostate tumors of patients homozygous for R462Q RNASEL variant. PLoS Pathog. 2006 Mar;2(3):e25. Epub 2006 Mar 31

その2. ヒトの内在性のXMRVはよく似た構造のMMLVベクターを相補することが実験的に確かめられたので、臨床的にも注意は必要かも、という論文

Dong B, Silverman RH, Kandel ES. Free in PMC A natural human retrovirus efficiently complements vectors based on murine leukemia virus. PLoS ONE. 2008 Sep 4;3(9):e3144.

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2008年10月29日 (水)

遺伝子組換え紫トマトの追加情報

畝山さんの食品安全情報blogでもとり上げられていました。
オリジナルの組換えトマトの論文はこちら

まずはオリジナルの論文を読んでおくのだった。色素合成の酵素遺伝子ではなく、その発現を制御する転写因子をキンギョソウから導入したとのこと。なので、昨日の記事の通り酵素遺伝子の発現を異所的に行わせたことになる。

なお食品安全当局のChief Scientistから、”騒ぎすぎ”とのコメントあり。
http://www.fsascience.net/2008/10/27/purple_haze

研究レベルではアントシアンの投与で発がんモデルマウスの寿命が有意に延長したとのことだが、だからと言ってヒトが日常生活でアントシアンを摂取した場合に効果があるかどうかまでは言えない。

" But, in the meantime, you can take steps to keep yourself healthy by eating a balanced diet with plenty of fruit and vegetables. "

結局(健康維持のためには野菜や果物を沢山食べてバランスの良い食事をしましょう)とのこと。ごもっとも。

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2008年10月28日 (火)

ガンを予防?遺伝子組換え紫トマト

ロイター通信より。

英研究チーム、がん予防効果の紫色トマト開発

10月28日7時25分配信

 [ロンドン 26日 ロイター] 英国の研究チームが26日、がんの予防効果があるという紫色のトマトの開発に成功したと発表した。遺伝子組み換えによって作られたこのトマトは、マウス実験でその効果が確認されたという。
 英国政府が資金援助を行う「英国ジョン・イニス・センター」の植物生物学者、キャシー・マーティン氏が率いる研究チームが、専門誌「ネイチャー・バイオテクノロジー」で発表した。
 新たに開発されたトマトには、通常ブラックベリーなどの濃い色のベリー類にみられる栄養素アントシアニンが含まれている。アントシアニンには、がんや心臓疾患などのリスクを下げる効果があるとされる。
                           

最終更新:10月28日7時25分

普通は”ジョン・イネス・センター”と呼んでますが。

詳しくは論文を当たるべきですが、とりあえずわかっている情報ではキンギョソウのアントシアン合成系の遺伝子を導入して果実で発現させているとのこと。

こちらに写真が載っています。

(EurekAlart!より)
結構な紫色です。このくらい色が濃いとおそらく渋みというかエグ味というか「アントシアンの味」が出てしまうと思います。紫サツマイモの極濃紫色の品種もふかしただけで食べてみると、エグいのですが。

こちらによれば、Professor Cathie Martinは"And certainly the first example of a GMO with a trait that really offers a potential benefit for all consumers. The next step will be to take the preclinical data forward to human studies with volunteers to see if we can promote health through dietary preventive medicine strategies."

次の前臨床試験(=動物実験)で安全性や効果を確認するまでは良いのですが、その次の段階で"dietary preventive medicine strategies"というのはどうなのよ!?という感じがします。だって、ガンの予防効果でしょ?コントロールの人はどうするの?とか、発がん誘発は非人道的なのでやらないとすると、自然にがんが発生するまで長期追跡試験をするのでしょうか?

現実的には、非常に難しいアプローチになると思います。なお、日本では医学的な効能・効果を標榜すると医薬品になるらしいですし。

ところで、トマトは品種によっては果皮にアントシンを蓄積するものがあります。桃太郎のような日本でポピュラーなピンク系のトマトでは若干アントシアンを蓄積します。また、黒トマトと通商される品種では、もっと色の濃いアントシアンを果皮や種子周辺にため込みます。

つまり、トマトは本来、アントシアンの前駆物質までは、最初から持っていて色素合成の遺伝子も品種によっては持っている。あとは、合成酵素を異所的に発現させればOKという状況だと思うのです。となると、この技術のブレークスルーはアントシアンの”歩留まり”にあるように思います。結局、どれだけ高濃度か?という。

しかし、なんですね、以前PNASに遺伝子組換えでカルシウムを沢山貯蔵させたニンジンを作ったという論文を見ましたが、そのカルシウム含有量は食品成分データベースで調べた小松菜の価よりも低かったので驚いたことがありました。このトマトのアントシアンも、紫サツマイモのそれよりも多くなければ、わざわざ遺伝子組換えでこのような作物を作る意義は薄いのではないでしょうか。

# そう思うのは、私が小松菜もサツマイモも食べる日本人だからかもしれませんが。色々な食材が食べられるのは実にありがたいことなのです。

実は日本人が日々食べている食材の種類はかなり多様です。個々の食品のもつ栄養的な利点をとらえて比べてみると、遺伝子組換え技術で何か他の作物を無理矢理改変してみても、特徴ある食材の水準を上回るのはなかなか難しいのではないかと思います。

ま、欧米人に無理矢理、小松菜や紫サツマイモを勧めても食べないでしょうから、こういう研究もよいのでしょうね。

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2008年10月27日 (月)

心寒い日は手を温めよう

本当か?だとすると・・・

手を温めるとやさしく親切に行動 米大学実験

2008年10月27日14時59分

 飲み物や温湿布で手が温まった人は、他人への評価や行動がやさしく親切になる――米コロラド大とエール大のグループがこんな実験結果を米科学誌サイエンスに発表した。

 グループは、消費行動に関する調査という偽の目的で、エール大生41人を集めた。実験会場までのエレベーターに乗っている間、偶然を装い、コーヒー入りのカップを持たせた。その後、面識のないある人物に関する印象を評価させると、ホットコーヒーを持っていた人の方がアイスコーヒーを持っていた人より「寛大」「社交的」「思いやり」などの得点が高かった。

 同様に一般の人53人に、商品テストと称して、温湿布と冷湿布を使わせた。その後、実験参加のお礼として、友人への商品券か自分用にプレゼントをもらうかを選ばせたところ、温湿布を使った人は54%が友人用を選んだが、冷湿布組は25%だった。グループは、本人が無意識のうちに、物理的な温かさが人間関係の温かさに結びつくとしている。(鍛治信太郎)

自分の意識しない要素で自由意志(?、そもそも本当にあるかどうか怪しいものではあるが)が影響を受けているとすれば由々しき事態です。

たかだか手が冷たくなったくらいで寛容さを失うような小さな人間にはなりたくないなぁ、とは思うものの、ヒトという生き物がそんな風にできているのは認めざるを得ないのかもしれない。せめて、自分に寛容さが足りないような気がする日には手を温めて、もう一度良く考えてみるとしよう。

まぁ、”アイスコーヒーは人を冷淡にする”と言う見出しではなくて良かったね。

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2008年10月26日 (日)

蛍光タンパク質含有絹糸

新聞にも採り上げられたようです。
GFP、YFPやDsREDなど蛍光タンパク質を含む絹糸のニュース。
http://www.nias.affrc.go.jp/press/20081024/ref3.html

下村さんのノーベル賞受賞のおかげで蛍光タンパク質に注目が集まっているおかげでしょうか。

実は、遺伝子組換えをしやすい系統は絹糸の品質が今ひとつ、逆に絹糸の品質の良い系統は遺伝子組換えがしにくいということは良くある・・・これは植物でもよくある話だ。ラウンドアップ・レディー・ダイズの場合もそうだった。

カイコの場合も遺伝子組換えをしやすい素材をベースに組換え体を作成して、交配で実用形質を持った系統に外来遺伝子を持ち込んでいる。

農林水産省のホームページでは遺伝子組換え技術のメリットを次のような図で説明している(画像は農水省のホームから引用しています)。


だが、実際はなかなかこの右の図のようにはいかない。どちらかといえば、左の図の”サングラス・トマト”に遺伝子組換えをして、従来の交配による育種の過程を経て実用的な品種を育成していることが多い。

世間では、遺伝子組換えで簡単に新品種ができるというようなイメージが流布しているようだが実際のところ、従来の育種技術との混合戦略の方が現実的だ。どんな優良品種でも完璧ではない。だから、交雑育種で様々な特性を改良しながら、なおかつ従来の技術ではどうしようもない限界を遺伝子組換え技術で克服していく、というのがモンサント等の先進的な種苗会社で行なわれている取り組みだ。

なお、イネの場合はむしろ例外的で、コシヒカリを含めて大抵の主力品種で遺伝子組換えができるようになった。関係者の努力の賜物、と言っていいだろう。もっとも、開発中の組換えイネを交配して、大規模な水田で系統の展開をしようとすると、隔離圃場栽培の規模も馬鹿にならないので、日本の社会的な背景においては上記のような混合戦略は現実的ではない、という事情もあるのだが。

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