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2008年10月19日 - 2008年10月25日の記事

2008年10月23日 (木)

KOD FXで出芽酵母のコロニーPCR

東洋紡の耐熱性DNAポリメラーゼでKOD FKで出芽酵母のコロニーPCRをしてみた、というお話。

これまで同じく東洋紡のBlend Taqで大腸菌や酵母のコロニーPCRをしていました。大腸菌は問題が発生することはまずありませんでしたが、酵母は冷蔵庫で数日プレートを保存するとど うにもPCRがかからない、とか発現ベクターを入れてガラクトース培地で発現を誘導した際に弱い増殖阻害がおきる株では、なぜかコロニーPCRに失敗する ことが多い、と悩んでいたところ。

KOD FXのアプリケーションに酵母のコロニーPCRが 寄せられていたのでZymolyase処理無しの方法を試してみたら、これまでにないくらい良く増えてびっくり。増幅率は、DNA断片の定量はしていませんが電気泳動像を見る限りでは、15-20 μLの反応系でPCRして2 μL泳動して増幅を確認、残りをPEG沈してシーケンスできるくらい良く増えていました。

あとはランニングコストの問題ですが、定価ベースでは20 μLのPCR1本で70円と、価格はちょっと高めなので(\35,000/10,000 μL反応ボリューム、研究所の調達価格はもっと安いけれども公表できない・・・)、用途を選びそうです。ここ一番、絶対に失敗はしたくないという場合につかいま しょう。どこまで安定にスケールダウンできるかが検討課題ですが。

普通にPlasmidを抽出してPCRをすればまず失敗はないのですが、本数が多い場合には時間と試薬コストがコロニーPCRよりも高く付いてしまいます。そこでZymolyase処理で簡易抽出する方法もあるのですが、これは増殖期の酵母 の細胞壁には良く効くのですが、コロニーが古くなってくるとなかなかうまく分解してくれない。また、Zymolyaseもそう安くはない。

時間と手間、失敗のリスクを踏まえたコストを考えると、KOD FXで出芽酵母のコロニーPCRというのは現実的な選択です。

定価ベースで低コストなその他の製品には、島津のアンプダイレクトという製品があります。使用している酵素が普通のTaqなので、エラーはそこそこ入るはずですし、伸長速度はあまり速くなりません。形質転換の確認など、用途を選べばそれなりに使えるとは思います。
# が、KOD FXで良い。あんまり色々買って無駄にするのはいやなので。

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2008年10月21日 (火)

世界同時食糧危機(2)食糧争奪戦~輸入大国・日本の苦闘~のまとめ

10/19 放送 「世界同時食糧危機(2)食糧争奪戦~輸入大国・日本の苦闘~」のまとめ
http://www.nhk.or.jp/special/onair/081019.html

  • 穀物価格上昇の要因
    • 中国・インドの輸入急増
    • 投機的資金の流入
    • 穀物増産が人口増加に追いつかない
  • 業界第2位の味噌メーカーの苦闘
    • 味噌メーカーの値上げ交渉
    • 1.8万トンのダイズを年間に使用 コスト削減のみでは限界→安値で調達できるタイミングで購入
    • リーマンショックで副社長はダイズの下落を予想→11ドル前後で買入を商社に指示→思ったほど下がらず調達不調
    • アメリカの農家は契約に応じなくなってきた→バイオ燃料用トウモロコシへ転換。
    • 安定供給できる新規調達先を南米に求めつつある→ブラジルは外国企業の進出を制限。→パラグアイに着目。
    • 20トンのパラグアイのサンプルで検査
    • 品種の色調に問題→改良を要望。
    • しかし当面は無理→中国・黒龍江省での調達へ
    • 中国・黒龍江省は豊作。政府の輸出規制はあるか→地方政府では問題ないが、中央政府の対応は分からない→国内向けが優先ではある
    • 中国の港湾には国内向けの備蓄用サイロがある。 トウモロコシは輸出制限がある。ダイズは不確定。
  • ウクライナにおける農地獲得競争
    • ダイズ生産はアメリカ、ブラジル、中国で世界生産の90%
    • あとは他の地域で栽培面積を増やすのみ→ウクライナでの栽培
    • ウクライナには耕作放棄地が増えている→日本の農家が進出している(青森で100 haの耕作をしている)。 300 haを借りる契約。← 日本の商社は及び腰。→出遅れて5 haしか借りられなかった。
    • イギリスの実業化(Landcom)が同様のアプローチ。土地を囲い込み。GPSで測位、データベースに登録。12万haを確保。機械の稼動もコンピュータで管理。 投資家から出資を募る。
    • 輸出先は、アラブ、中国、日本など資金のある輸入国。 ウクライナの治安の悪さがボトルネック
    • フランス、アグロKMR社も進出。(フランスが小麦の輸入国に?)
    • カナダ、ユニレム社。アラブに輸出
    • ルイドレファス社、グレンコア社がランドコムと交渉。→ヨーロッパEU域内で家畜飼料?
  • 組換え作物の役割(南アを例に)
    • 農地拡大→8%/年、一方、消費拡大→55%/年
    • 足りないので→遺伝子組換え技術で増収をねらう
    • 南ア→トウモロコシが主食。作付けの60%をGMに転換。
    • Btコーンで特定の生産者は50%の増収。全土でも40%増収。
    • アメリカ、モンサントの品種を使用。主流はRRと説明。
    • 南アでも南部乾燥帯では増収できず。従来品種の40%しか取れなかった。伝統農業への回帰も検討。
  • 日本と遺伝子組換え作物
    • 讃岐うどんを例示→小麦の高騰の原因→オーストラリアに依存→オーストラリアは5年間干ばつ
    • オーストラリアでは乾燥ストレス耐性の遺伝子組換え小麦の開発中(アデレード大学)←研究者「リスクが無いとは言えないが冷静に判断すれば受け入れてもらえるだろう」
    • 生物研もちょこっと紹介
  • 輸入がダメなら米がある
    • コメ粉の利用
    • 飼料イネ→休耕田で飼料イネ品種を栽培
    • 地元養鶏場に出荷←トウモロコシ価格は4倍に高騰、コメとの価格差縮小
    • 黄身が白っぽい→差別化
    • 休耕田100万haで飼料米を作ればトウモロコシの輸入は不要になる
    • 作物研の超大粒、多籾数の品種を照会。従来比150%の増収
  • まとめ
    • 皆さんはどう考えますか?
    • 家庭の生ごみ調査→28%が捨てられている。

---
なんだか半端な番組だ。次の疑問が残る。

  1. なぜ、味噌メーカーは遺伝子組換えでないダイズを調達する必要があるのか?
  2. パラグイアイの品種では何故いけないのか?(品種の違いを埋めるような加工技術がない?)
  3. 南アの乾燥帯で遺伝子組換え品種の導入に失敗したが、これはそもそも遺伝子組換え技術とは関係ない。外国の品種を導入する際に、栽培試験をきちんと行って地域への適応性を確認しておかなかったためではないのか?農学的には初歩的なミスのようだが、なぜそれが問題になる?南ア全土では140%の増収になったというのに。
  4. トウモロコシに代えて飼料米をというが、コメはトウモロコシよりもタンパク質が少ない。重量で等価な国内産量があったとして家畜飼料として完全に代替できるのか?番組では鶏を取り上げていたが、濃厚飼料を必要とするのはウシやブタでも同じこと。タンパク質所要量としては足りないのではないか?

話はちょっとそれる。
畜肉や穀物の輸入は、”窒素の輸入”であるというのはよく知られていると思う(環境省のホームページにもある)。一見、肉や穀物を輸入しないで済めばそれに越したことは無いように思えるのだが、肉や穀物を自給しようとすると、それらの生産のためには窒素肥料が必要になる。

窒素肥料も全部自給できれば良いのだが、それができないので窒素肥料の輸入量が増えることになる。この場合、農畜産物の国内生産の過程では窒素分が100%作物に吸収される訳はないし、家畜の排泄物としても放出されるので、日本の土壌や水系にこれまでよりも余計に窒素分が放出される恐れがある。

・・・となると日本の窒素の収支を考えると、環境中に無駄に放出される窒素分は海外に置いてきて、エッセンスだけを肉や穀物として輸入した方が”日本の”環境には優しいかも知れないのだ(定量的なデータは専門家に譲ります)。
# 畜肉ではなく魚やクジラをタンパク源に求める場合には、窒素分の集積による環境問題へのインパクトはずっと控えめだ。しかし、再生産可能な資源かどうかといえば大いに心許ない。

窒素の例だけを取り上げたが、リン酸塩やカリウム塩についても、肥料として輸入する場合には似たような問題が起こることが考えられる。

食料安全保障において、調達先を多様化する意味で自給率を上げるのは良いと思うのだが、生産資材の調達先の多様化や、廃棄物や家畜排泄物の処理にも目を向けてパッケージとしての施策にしておかないと、食料自給率を上げたことによるしわ寄せがどこかに来るような気がしている。

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2008年10月20日 (月)

[業務用覚書] 酵母の迅速タンパク質抽出法

SDS-PAGE用のサンプル抽出法としての酵母タンパク質のalkaline prep.

オリジナル

Kushnirov, V. Rapid and reliable protein extraction from yeast

http://www3.interscience.wiley.com/journal/72504790/abstract?CRETRY=1&SRETRY=0

改良版

von der Haar, T. Optimized protein extraction for quantitative proteomics of yeasts.

http://www.plosone.org/article/info:doi/10.1371/journal.pone.0001078

試してみたら簡単便利。培養液150-200 μL相当(OD600=2.0-5.0)までスケールダウンして、細胞をボイルするステップにサーマル・サイクラーを使えば大量処理もできる。粗タンパクの抽出効率はグラスビーズによる破砕よりは劣るが、きわめて簡便でチューブ1本で処理できる点では非常に優れている。

ただ、アルカリでポイルすると膜タンパクは凝集するので、その用途には向いてないとの情報あり。しかし、電気泳動の際にwellにスタックすることは無かったので、まずは試してみる価値はある(膜タンパクが完璧に不溶化して沈殿している可能性は否定できないが)。

オリジナルを見るとbeta-MEの効果が絶大なことがわかる。あるのと無いのとでは細胞からのタンパク質のリリースの効率が格段に違う。プラスミド抽出や形質転換の際にもbeta-MEやDTTで効率が上がるという論文もあり(大抵入れているし)、酵母の細胞壁をゆるめるには、この種の還元剤が良く効くのかもしれない。

・・・けど、酵母のコロニーPCRに還元剤を入れると言う話は聞かないな。今度入れてみよう。多分、beta-MEの0.1-1%で十分だろう。細胞壁を緩くするというのが本当なら、それなりの効果はあるはずだ。

澱粉の多い植物組織からのタンパク質抽出からみると、酵母は簡単です(特殊なものはわかりませんが)。
 

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2008年10月19日 (日)

生物学か生命科学かはたまたバイオテクノロジーか

http://elangel.exblog.jp/9952805

こちらからトラックバックは頂いたものの・・・私のお気楽なもとのエントリーと、先方の苦悶に満ちたトラックバックの乖離に、トラックバックの意図を把握しかねているところ。それはさておき・・・

物質としての生物、生物が生きているという状態としての生命これは概念として違うもの。それらを研究対象とするScienceとしての生物学と生命科学もまた違うものと考えた方がいいだろう。(さらには、生命現象の操作を目的とする工学としてのバイオテクノロジーと言うものもあるが、technologyの問題にはここでは触れない。)

生物学には、非常に広範な研究分野が含まれている。深海や極地の氷床の下に新種の生物を探すのもまた生物学。統計遺伝学もあれば植物病理学もある。研究対象としての生物の多様性そのままに研究分野も多様に分化している。ピペットを握って実験するのも生物学の一端だが、フィールドで観察して知見を集積するのまた生物学だ。どんな生物学を選ぶかは本人の自由だ。

生命科学はというと、もう少し範囲が絞られている。生命と言う状態の記述を追及するOmicsは概ねこの範疇に入る。

しかし、トラックバック先で言われるようには、私はOmicsが「バカらしい」とは思わない。カネ、ヒト、モノという研究資源をあらんかぎりOmicsに注ぎ込むのは、科学の発展を考えればあきらかに間違っているが、プレ・ゲノムの時代には、遺伝子を一つ単離して論文一本というペースでしか物事が進まなかったのから見れば、Omicsという基盤研究のおかげで生命現象に対する理解はそれ以前よりは、かなりマシになっている。また、分析機器の進歩のおかげでOmics自体も労働集約的ではなくなってきていることは認めざるを得ないだろう。

理論は重要だが、観察し、測定し、事実を抽象化して記述するというステップなしに、一足飛びに仮説も理論も構築できないのだから。それ自体、砂を噛むように退屈な労働であったとしても、それが理由で労働の価値が損なわれるものではない。

私は、Omicsのもっとも大きな成果は次のようなものだったと思う。例えばゲノム研究であれば、それが終わってみると当初考えられていたようにゲノムの全体像がすっきりとわかったかといえば、ゲノムのどの構造単位が、機能単位してのいわゆる”遺伝子”に対応するのかが、かえって曖昧になってしまった。結局、大規模な観察の結果、最も単純なセントラルドグマに対する例外が山ほど見つかって仮説の修正が必要になったことだと感じている。

かつて、年配の研究者から「イネゲノムの解読が終わって、もう新しい遺伝子の単離と言えなくなってしまって若い人は気の毒だね」と真顔で言われたのを覚えている。しかし、私はそうは思わなかった。Gene Ontologyでどれほどの遺伝子の機能が既知とされているかを見れば明らかなように、ゲノムの解読が終わった結果、機能未知あるいは推定されているだけ、という遺伝子(?)が山ほどあることが明らかになったのだから。何が分からないのかが分かっただけでも結構なことではないだろうか。

そういう意味では私はOmicsの成果を肯定する。ただし、私は学生が労働集約的なOmicsに従事してひたすら労働することが正しいとは思わない。学生が実験ばかりしていて考えることを怠っていて、研究した気になるというのでは、科学者を育てるという大学の役割が果たせていないことになるからだ。一方で、基礎的な実験操作や観察・計測・記録の技術を身につけないまま大学院を出た学生が職にありつくのも結構大変なことだろう。

あまり穏当な喩えではないが、建物の設計図を書く側には居る人間はそれほど多くない(新たなパラダイムを提唱する人間は一握り)。一方、設計図に沿って作業をする労働者は沢山必要だ(既存のパラダイムに沿って論文を書く研究者が大多数)。自分の好きな建物しか設計しない建築家と、どんな現場でも仕事をする土方と、どっちがくいっぱぐれないかは自明だが、どちらに身を置くかは本人の自由だ。

# 私? 筋金入りの土方です。

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