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2008年1月20日 - 2008年1月26日の記事

2008年1月25日 (金)

安全キャビネット-ネット検索でやってくる訪問者のために-

blogのアクセスログには検索サイトで調べた際のキーワードが記録されている。Googleで”安全キャビネット” を検索するとなぜかこのblogが上位に来るので、それに釣られてやってくる方が結構います。

ですが、私はバイオセーフティーの専門家ではありませんので、 残念ながらこのblogでは安全キャビネットに関するまとまった情報はありません。ですので、 期待して来て下さった方には申し訳ありませんが、他のサイトを見ていただいた方が有益でしょう。

その代わりと言っては何ですが、鳥取大学医学部ウイルス学教室の日野茂男先生が安全キャビネットのJIS規格策定のとりまとめをされているようです (私は面識もなく、ご本人から伺ったことはありません)ので、関連した情報へのリンクを適用いたします。安全キャビネット(というか、 正確には「バイオハザード対策用キャビネット」と呼ぶべきでしょう)については、性能と設置基準、 維持管理に関するJIS規格が定められています。

「バイオハザード対策用キャビネット」についての総説はこちら。 2006年の比較的新しい総説でウイルス学研究者向けに書かれています。何かのお役に立つかも知れません。

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2008年1月23日 (水)

遺伝子組換え大豆の安全性の論議でNature biotechnologyが”炎上”?

uneyamaさんの食品安全情報blog経由。

ロシアのDr. I. ErmakovaがRR大豆をラットに給餌したら子孫の生存率率が低下した、という実験結果について、 昨年9月のNature biotechnologyのFeature欄で特集し、 それに対する専門家の疑念が投げかけられた(Nature biotechnology 25, 981 - 987 (2007))。

科学的事実を争う部分はQとAがかみ合わないすれ違い論議で、事実関係はちっとも明らかになっていない様に思う。

その後、編集部の記事の掲載姿勢に対する議論や専門家の疑念・指摘に対する反論などがおこり、昨年12月の同誌のOpinion and Commentでは紙上討論の様相を見せている(Nature biotechnology 25, 1351-1360 (2007))。その際の編集側の見解はこちら。 事実関係を示すメールのやりとりは、こちら

一言で言えば、編集姿勢に関する議論のみで、科学的な議論の体を為していない。

結局、Featureと言う欄は論争のある研究分野の研究者を招待して、紙上討論して議論を興すのが狙いなのだろうが、 その後のOpinion and Commentの討論は、議論の方向が編集姿勢に対する批判の色が強く、 科学的な内容に関する議論にはなっていない。事実関係を示すメールのやりとりから、私の見るところ一連の議論の混乱ぶりはNature biotechnologyの編集者であるAndrew Marshall 氏の責任に負うところが大きいように思う。 もっとも本人は議論を起こすことが目的であったと言っているのだが、興したかった議論はそんなものではなかったはずだ。 少なくとも今回誌上で展開されている”revisiting a controversial format”というような性質のものでは。 相手がいつも論文を投稿してくるような、通常の科学研究を生業としている行儀の良い科学者ばかりではないのだから、 それなりの用心があってしかるべきだろう。

Opinion and Commentで反論している方々は、Brian John(GM-Free Cymru)、 Mae-Wan Ho & Peter T Saunders(Institute of Science in Society)、Joe Cummins(Department of Biology, University of Western Ontario)。所属で人を色分けするのは議論としては妥当ではない。しかし、今回のOpinion and Commentについては科学的な議論をそっちのけで編集姿勢に噛みついている方々の所属や日頃の主張には一定の傾向があるように思う (ためしにこれらの方々の名前でGoogleを検索してみると良いだろう)。

もともと根拠薄弱な市民運動ベースの議論を科学上の問題としてテーマ設定したところが失敗の(あえて失敗というが)原因だと思う。 Nature biotechnologyの権威失墜にならないことを祈るのみだ。

ちなみに、事実関係を示すメールのやりとりは” ある意味”一読の価値はある。Andrew Marshall 氏からDr. Ermakovaに対し、 あなたの公表した実験結果に対して批判したいという方からアプローチされているが、それに対して公平のため、 あなたに実験結果を自分の言葉で表す機会を与えたい(the journal would, however, prefer to provide you with an opportunity to present your own findings and conclusions in your own words, rather than a critique from one side.)と申し出た。それに対して、Dr. Ermakovaは”My suggestion: I'll present you my paper, which you review and publicate in your journal. After that you open discussion of my paper and I'll answer questions.” と言っている。

一般的に、科学論文はすでに公表済みの実験結果の使い回しを認めない。多重投稿あるいは業績稼ぎになるので。Nature publishingの編集方針でも公表済みのデータの再掲はしないと言っている。それを載せろと要求するこの姿勢は一体何なのか・・・。 このくらい厚かましくないといけないのかなぁ、研究者たるもの。私は嫌だけど。

その後のメールのやりとりをみても、どうも編集者の言うことがきちんと伝わっていないようだ。・・・故意に曲解しているのか。

日本のマスコミも市民運動も今のところ、この議論の動向には無関心。一応の決着が付くまでこのまま無関心であってほしいものだ(・・・ 農水省も)。科学的事実については2006年頃から何ら進展はないのでコメントを求められても応えようがないし。

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2008年1月22日 (火)

エボラウイルスを飼い慣らす

東大医科研の河岡先生達のチームの仕事。

エボラ出血熱の原因ウイルス、東大チームが無害化に成功

 致死率が90%にも達するエボラ出血熱の原因であるエボラウイルスを遺伝子操作し、 特殊な細胞の中でしか増えない安全なウイルスに改造することに、河岡義裕・東大医科学研究所教授らの研究チームが世界で初めて成功した。
 エボラウイルスは、外部と隔離された実験室で極めて厳重な管理のもとで取り扱わなければならず、 これが治療薬開発などの研究が進まない主因になっていた。この改造ウイルスを使えば、通常の実験室でも研究が可能となり、 今までなかったワクチンの開発などが大きく進む可能性がある。近く米科学アカデミー紀要電子版に発表する。

 研究チームは、エボラウイルスの増殖にかかわるたんぱく質「VP30」に着目。カナダにある特別な実験室で、 このたんぱく質を作る遺伝子を取り除いた改造ウイルスを作製した。次に、この改造ウイルスを通常の細胞に感染させたが、 1週間たってもまったく増えず、反対に、VP30を作り出す特殊な細胞の中では増殖した。

 河岡教授は「改造ウイルスは、増殖にかかわるたんぱく質が作れないこと以外は、実際のエボラウイルスと同じ性質を持っている。 このウイルスを使えば、安全に治療や予防の研究が行えるだろう」と話している。
(2008年1月22日10時34分  読売新聞)

「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)の二種告示では、 エボラウイルスは実験分類クラス4の扱い(天然痘ウイルスなんかと同じ扱い)。今回の実験では、 VP30の欠損株ということなので増殖力欠損株だが、二種告示に特別に実験分類を引き下げる項目(ワクチン株や、 レトロウイルスと同様のケース)がないので、実験分類クラス4のまま。単純な欠損型ウイルス使用する場合も、 ナチュラルオカレンス扱いできない場合は(多分無理だろう)、二種省令別表第一第一号ロ(宿主又は供与核酸が実験分類クラス4) が適用されるため、大臣確認実験になる。

HEK293細胞&アデノウイルスのケースと同様、自立増殖できないことが科学的に証明されたとなれば、 二種省令別表第一第一号へ(自立増殖性のウイルス)は適用されない可能性はある。

一方、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症予防法)では、 エボラ出血熱は1類感染症で、エボラウイルスは第一種病原体等。従って、原則所持、輸入、譲渡は禁止(例外措置あり)で、 最も厳しく規制されている。罹病した場合の致死率が非常に高く、二次感染性も高いので野生株は非常に危険だから当然の措置か。

ただし、 RNAそのものやエボラウイルスゲノムをコードしたDNA断片を持つベクターを規制する法律は多分ないので、 国際間の核酸の移動はフリーパスだろう。また、マイナス鎖RNAウイルスなので、 多分いくつかのタンパク質あるいはプラス鎖RNAを補ってやらないと、 細胞にベクターを導入しただけではそう簡単にウイルス粒子はできないとは思うが。

・・・ということで、実験上の安全は確保されたとは思う一方、国内で実験しようとすると文部科学大臣、 厚生労働大臣(手続き上は環境大臣も)の許可を取らないといけないので、敷居は高そうです。

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2008年1月21日 (月)

クローン家畜「その際には、あわせて表示についても議論を進めるべきだ。」という毎日新聞の社説

社説は新聞記事とは違い、新聞社のオリジナリティーが尊重されるべきであると思うので、引用は最小限にとどめる。本日、 俎上にあげる毎日新聞の社説はこちら。 以下、引用。

 たとえ、さまざまな点で通常の動物と同じでも、新しい技術である以上、消費者の選択権は重視すべきだろう。そのためには、 表示が必要だ。

(省略)

 さらに、食品としての安全性は内閣府の食品安全委員会が評価する必要がある。その際には、 あわせて表示についても議論を進めるべきだ。

この社説で言うところの、”あわせて表示についても議論を進める”主体は誰? 食品安全委員会でしょうか?

食品安全委員会で議論するのは、食品衛生法に関わるリスク評価。つまり、 科学的な観点から、安全かどうかを判断し、その結果を答申するのが仕事。食品表示の法的基盤であるJAS法とは関係ない。 ということで、私はずいぶん大雑把な社説だなー、と思った次第。

食品の表示の問題は、そもそも”リスク”とは無関係だ。 遺伝子組換え作物の場合も、消費者の選択の自由を保障する観点から表示の義務付けられて居る。 食品安全委員会のリスク評価の結果問題ない遺伝子組換え作物のみが流通し、危険性を伴う製品が食品として流通することはない・・・ はずだ。

また、リスク評価の結果安全性に問題ないものでも、 消費者の選択の自由を保障するために表示するという構図は遺伝子組換え作物もクローン家畜も変わらない。 JAS法の枠組みでカバーできるだろう。だが、技術論では雲泥の差がある。個体識別されていない家畜は、クローン家畜(あるいは後代、 以下”等”と言う)であるか無いかを流通段階で識別する方法は無い。個体識別されて、遺伝子で親子関係や家系がたどれる場合には、 クローン家畜等かどうかの見当をつけることはできるだろう(それでも、同定はできない)。

家畜の個体識別が行なわれていないアメリカからクローン家畜等が輸入される事態になると、何が起こるだろうか? 技術的にクローン家畜等を識別する確実な方法が無いとなると、あとは分別流通しか区別の方法は無い。となると、 大方のアメリカ産の輸入牛肉については、遺伝子組換え作物の場合と同様”無分別牛肉”と表示されることになるのだろうか。逆に、 クローン技術を使用していないことが明らかな国産和牛では”クローン技術を使用していません” という任意の不使用表示ができることになるかもしれない。でも、技術的にも区別できないし、 区別するべき合理的な理由も無いものを無理やりコストをかけてまで区別できるようにするのには、どんな意味があるというのだろう?

金さえ出せば、消費者にはどんなわがままも許されると言うのだろうか。・・・ 失礼、不穏当な発言だとは思うが、書いててだんだん腹が立ってきた。

# 私は、高品質な牛肉が”クローン牛”というブランドで普及してくれたら、 かなりうれしい。もっとも、肥育のコストが大半だろうから、たいして安くはならないと思うが。

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