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2008年8月24日 - 2008年8月30日の記事

2008年8月29日 (金)

アンピシリンが目に入った場合

「アンピシリンが目に入った場合」・・・という検索ワードでこのblogを訪問した方がいるが、・・・そういう場合、 とりあえず大量の水で洗うしかない。

目に入った物質の安全性がわからない場合には、まず洗う。Webで探すのはそのあと。blogなんか見てる場合ではないのだ。

アンピシリン、正確にはアンピシリンあるいはアンピシリンナトリウムがあるが、もともと医療用の抗生物質だ。 現在もヒトおよび動物用注射薬あるいは内服薬として用いられており、 注射時のペニシリンショックを除いて急性毒性がでることはまず無い。培地用のストックの100 mg/uLくらいの濃度のものが目に入った位では特に問題はおこらないだろう。

遺伝子組換え実験によらず、核酸やタンパク質を対象とした実験では、毒薬、劇薬も扱う。その他の化学物質で、 毒性や発ガン性はあるが一般にはそれほど流通していないので法律の規制の対象にはなっていないものもあつかう。 取り扱いを間違うと危険な物質を扱っている以上は、そのリスクを承知した上で扱うことが重要だ。それが嫌なら、 研究なんてしようと思わないこと。

自分の使う試薬が、もし目に入った場合にどうなるか、口に入った場合にどうなるか、皮膚に触れても大丈夫かくらいはあらかじめ調べておこう。

・・・ていうか、どうすればアンピシリンが目に入るかな。ま、フェノールじゃなくって良かったね本当に。

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2008年8月27日 (水)

[業務用覚書] LyticaseってZymolyaseと一緒だったのか

Google earthで見るとシカやウシの寝るときの方角が、地磁気の磁極を向く傾向があるというニュースが今日のトレンド。

オーストラリアや南米のウシはどっちを向くんだろう。

ヒトは、というと日本では北枕はいけないというが、その根拠は定かで無い。


 

プラスミド抽出キットのメーカーから指定されている都合でSigma-Aldrich のLyticaseと言う酵素を使っている。 試薬のボトルをよく見ると"Product of Japan"と書いてある。

バクテリア由来の酵素の工業的精製にかけては、日本は世界的に見ても優れた技術を持っているので良くあることだ。では、 同等品が日本のメーカーから売られていればもっと安く調達できるはずなので調べてみた。
Sigma-Aldrich のホームページによれば、

Lyticase
Synonyms: Zymolyase
from Arthrobacter luteus

とある。なんだ。生化学工業のZymolyaseと一緒か。じゃぁ今度からそっちにしよう。

ちなみにプラスミド抽出キットで指定されているSigma-AldrichのLyticaseは
Product Number L5263 (lyophilized powder, min 4,000 un/mg protein)が50,000Uで\28,500。
生化学工業のZymolyase-20Tは1g (20,000U)で\10,000、Zymolyase-100Tは500 mg(50,000U)で\39,000。

ユニットあたり単価は、L5263は0.57 \/U、Zymolyase-20Tは0.5 \/U、 Zymolyase-100Tは0.78 \/Uなので、Zymolyase-20Tが若干安い。

純度が高い製品の方が一見良さそうではあるが、秤量して小分けするのが大変なので、 Zymolyase-20Tが扱いやすいかもしれない。よく見るとprotease活性も結構高いが、 これも細胞壁分解には効いていたりして。

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2008年8月26日 (火)

ヒトES細胞への遺伝子導入技術の改良

産経ニュースより。

 

ES細胞の遺伝子操作改良 iPS細胞への応用も

 
    2008.8.26 19:42  
 
   

 あらゆる細胞に分化するヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)     の遺伝子操作を大幅に効率化できる技術を埼玉医科大と京都大、新エネルギー・産業技術総合開発機構が開発した。     特定の細胞への分化誘導や、遺伝子の改変が自在にでき、京都大の山中伸弥教授らが開発した人工多能性幹細胞(iPS細胞)     への応用も見込まれる。再生医療の実現や創薬研究に役立つ成果で、米科学アカデミー紀要に9月9日付で論文が発表される。

   

 ES細胞やiPS細胞を再生医療や臨床研究に応用するには、特定の遺伝子を高い効率で組み込む技術が必要とされる。     研究グループは、感染力が強く毒性の低い「アデノウイルス」を遺伝子の運び屋とする従来の技術を改良。     ウイルスから遺伝子部分を除去した“抜け殻”を作り、代わりに分化誘導や研究に必要な改変遺伝子を組み込んだ。

   

 この運び屋によって導入された遺伝子は、ES細胞でもiPS細胞でもほぼ100%の確率で正常に働くことが確認された。     従来法よりもウイルスによる毒性は低く、神経や肝細胞など治療や研究に必要な細胞への分化誘導が可能になるという。また、     ES細胞の遺伝子の一部を組み替える遺伝子改変の成功率は、従来方法の1%から45%へと大幅に向上した。

   

 マウスES細胞では、遺伝子改変技術を応用した「ノックアウトマウス」がさまざまな疾患研究に貢献しているが、     ヒトES細胞での遺伝子改変は困難とされていた。開発された遺伝子操作技術はノックアウトマウスを作るより確実で、     埼玉医科大の三谷幸之介教授は「研究の促進に結びつく」と話している。

 

この記事では何が画期的なのか分かりにくいので、    技術的な内容についてはNEDOのプレスリリースを見た方が良いでしょう。こちら。    

発表される論文ではどんな研究を行い、どのような事実が示されたのかは、記事によれば、次の通り。    「研究グループは、感染力が強く毒性の低い「アデノウイルス」を遺伝子の運び屋とする従来の技術を改良。    ウイルスから遺伝子部分を除去した“抜け殻”を作り、代わりに分化誘導や研究に必要な改変遺伝子を組み込んだ。    

 この運び屋によって導入された遺伝子は、ES細胞でもiPS細胞でもほぼ100% の確率で正常に働くことが確認された。従来法よりもウイルスによる毒性は低く、 神経や肝細胞など治療や研究に必要な細胞への分化誘導が可能になるという。また、ES細胞の遺伝子の一部を組み替える遺伝子改変の成功率は、 従来方法の1%から45%へと大幅に向上した。

とある。NEDOのプレスリリースも概ねその通りなのだが、ちょっと違う点がある。それは、

この運び屋によって導入された遺伝子は、ES細胞でもiPS細胞でもほぼ100% の確率で正常に働くことが確認された。

と言う点。プレスリリースではこのように書かれている。

ほぼ同様の結果が、 京都大学で樹立された複数のヒトES細胞株とカニクイザルES細胞株で得られることが確認されました。すなわち、 改良型アデノウイルスベクターを用いた遺伝子発現と遺伝子操作技術は、 霊長類ES細胞やES細胞と同様の性質を持つと考えられている人工多能性幹細胞 (iPS細胞)において広汎に応用可能である事が示唆されました。

「示唆されました」というのは、つまり、ES細胞で研究をしたけれど、iPS細胞については実験していない、 けれども予想としては上手くいくだろう、ということです。従って「iPS細胞でもほぼ100% の確率で正常に働くことが確認された。」という記述は間違っている。

 


 

「ヘルパー依存型アデノウイルス・ベクター」というウイルス・ベクターの仕組み自体は、1996年にはもう出来上がっていて、 今回の論文の目新しいところは、ただのヒト体細胞ではなくES細胞を使ったこと。 NEDOのプレスリリースはそのあたりも良く分かるので、非常に良く書けている。ES細胞を使う研究は計画の倫理審査があり、 研究を実施すること自体のハードルが非常に高いがそれに関しては触れられていない。

技術的には、外被タンパク遺伝子を持たない代わりに大きな遺伝子断片を運べるアデノウイルス・ベクターと、 外被タンパク遺伝子を持つけれども自律増殖に必要なE1遺伝子と外被へのパッケージングに必要なシグナルを持たないウイルス・ ベクターの二種類を併用しているところがミソ。パッケージされて細胞から飛び出してくるウイルスには、 ウイルス自身の遺伝子は含まれていない(以下NEDOで公表されている画像)。

これは、山中先生の使ったレトロウイルスや、産総研でiPS細胞の誘導に使ったRNAウイルス(センダイウイルス)とは違って、 DNAウイルスだ。レトロウイルスはランダムにゲノムに組み込まれるので、宿主細胞の思わぬ遺伝子破壊を起こすことがあり、 発ガンリスクがある。一方、センダイウイルスは、iPS細胞の誘導後に除去する方法も開発されているので痕跡を残さない。 発ガンリスクも極めて低い。そのかわり、宿主細胞のゲノムを改変することはできない。

その点、ヘルパー依存型のアデノウイルスであれば、狙いをつけた宿主細胞のゲノム上の特定の領域に、 相同組換えによってDNA断片が導入される。つまり、 患者から採取した細胞で作成したiPS細胞に対して遺伝子治療を行なうことができる。これは、 二本鎖DNAをゲノムに持つウイルスならではで、これまでの他のウイルス・ベクターには無い特徴だ。単に、 高効率で遺伝子を導入するのではなく、霊長類で安定的なジーン・ターゲティングができること、それがこの成果の特徴だ。

この研究はiPS細胞の誘導のその先、細胞分化の誘導のそのまた先、遺伝子治療済みの細胞をヒトへ移植する際の基礎技術になるだろう。 ・・・HLA抗原型の変換ができると画期的なんだけど、的が大きすぎるか。

# ヒトES細胞の高効率ジーン・ターゲティングはそれだけで十分すごい仕事だ。今のところ、 iPS細胞と言う名前を出したのは話題提供以上の意味は無いのだが、一般受けをねらったのかな。

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2008年8月25日 (月)

カルシウムの味?

朝日新聞より。

甘い?辛い?いや「カルシウム味」 米で第6の味発見か

2008年8月25日11時26分

 【ワシントン=勝田敏彦】 米ペンシルベニア州にあるモネル化学感覚センターのチームがカルシウムを味わうための遺伝子をマウスで確かめ、米化学会で発表した。 「カルシウム味」が第6の基本味である可能性もあるという。

 遺伝的に系統が異なる40種類のマウスにカルシウムを含む溶液を飲ませたところ、多くが飲むのを嫌うなか、 がぶ飲みする系統が見つかった。遺伝子を比較した結果、カルシウムを味わうのに使う二つの遺伝子が特定された。

 人間の舌は、甘み、塩味、酸味、苦み、うまみという五つの基本味を感知する。 今回のマウスの遺伝子に似たものは人間にもあることから、研究チームは「カルシウム味」 が基本味の一つである可能性もあると考えている。

 研究チームのマイケル・トルドフ博士は「カルシウム味は苦みに酸味が少し加わったようなものだ。適切に表現する言葉はなく、 『カルシウムっぽい』としかいいようがない」と話している。

”『カルシウムっぽい』としかいいようがない”という表現、いいですね。 ストレートな感覚を無理矢理何かにかこつけると大抵失敗します。たとえば、「まったりとしていて、少しも嫌みじゃない」とか・・・。

結局、カルシウム・イオンの味は、野生型のマウスにとっては好ましい味では無いようですね。たまたま、 変異のある系統だけがぶ飲みするということは。

ちなみに、手近なところで、カルシウムイオンの味を確かめたい方は、試薬棚の塩化カルシウム・・・ではなく、 市販のミネラル・ウォーターの中でも、硬度が最高クラスのContrexを飲むと良いでしょう (多分)。私は、これを飲んだ時は軟水で口を漱ぎたくなりました。味はありますが、それが「カルシウムっぽい」かどうかは保障しかねます。

味覚といえば、ヒトではフェニルチオカルバミド (PTC)に対する感受性の違いが有名です。苦みのレセプターの遺伝子の一つにある変異によって、 PTCに対する感受性が無い人がいると言う現象で、”味盲”(正確には”PTC味盲”)という差別的な言葉で呼ばれています。 特定の物質による苦みを感じないというだけで、別に味覚が全然ダメという訳では無いのに酷い用語です。

もっとも、味覚の受容体も臭いの受容体同様に、複数のセンサー(受容体)が複数の物質に反応して、 全体的な反応パターンとして味覚を感じているので、センサーが一つ欠けているヒトと、 そうでないヒトで反応パターンが少々違うかも知れません。とはいえ、味覚は年齢、生活習慣や体調でも変わるものなので、 そう言った変動の中では、遺伝的な違いによる影響はあったとしても大した違いではないかもしれません。

いずれにしても、味覚や嗅覚には測定できる外部基準がありませんので、私の感じる「カルシウムっぽい」味と、 あなたの感じる(あるいは感じない?)「カルシウムっぽい」味は比較のしようがありません。

 

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