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2008年7月13日 - 2008年7月19日の記事

2008年7月18日 (金)

Pullout of the killer tomatoes !

以前のエントリーで取り上げたトピックですが、読売新聞によると、 FDAが米国内向けに警告していた生トマトが原因と見られるサルモネラ菌による食中毒についての警告が解除された模様。

「トマト生食OK」米当局が警告解除…中毒の原因は不明

 米食品医薬品局(FDA)は17日、6月7日に出した「トマトの生食はサルモネラ中毒の恐れがある」との警告を解除した。

 汚染源は不明のままだが、患者が多発した4~5月の産地はすでにトマトの収穫・出荷が終わったという。

 患者はその後も増えて1200人を超えたが、 最近の患者についてはトマトとともにサルサソースなどに使われる香辛料が疑われている。(ワシントン・増満浩志)
(2008年7月18日11時09分  読売新聞)

FDAによる警告解除のオリジナルはこちら

# 新聞記事ってどうしてこういうオリジナルのニュースソースを書かないのかね。

ちなみに、「サルサソースなどに使われる香辛料」とは、"raw jalapeno and raw serrano peppers"(ハラペーニョとセラノペッパー、ともにある種のトウガラシ)とのこと。

今回問題になっている食中毒の原因菌の"Salmonella Saintpaul "なんて、その辺に普通にいる細菌なのでどこでコンタミしたのだか。中毒事例ごとに細菌の遺伝子型を決めないと特定は難しいだろう。

ちなみに、Salmonella属細菌の学名は、ここ数年の間で見直されており、 種のレベルでは病原性との関連が一意には決まらないため、血清型(serovar)による分類が導入されている。 FDAの言うところの"Salmonella Saintpaul"という種は存在しない。 種名としては"Salmonella enterica subsp. enterica serovar Saintpaul"になるので、相当に簡略化した表現だ。

文部科省のカルタヘナ法二種告示ではSalmonella属細菌の学名が古いままなので、 次の見直しのタイミングでは改正されることだろう。

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2008年7月16日 (水)

食品安全委員会の独立性は残ったか

消費者行政推進会議では、消費者庁と食品安全委員会の位置づけの論議がまとまった模様。

食品安全委は全面移管せず 消費者庁巡り政府

 政府は15日、 2009年度に新設する消費者庁に関して、内閣府の食品安全委員会の全面移管を見送る方針を固めた。 食品事故が発生したときの緊急対応などを同庁に移す。23日にも開く政府の消費者行政推進会議(座長・佐々木毅学習院大教授) で正式に決める見通しだ。

 食品や添加物などの健康への影響を評価する機能は同委に残す。食品業界などに、 消費者庁に評価機能を移せばバランスを欠くとの声があることなどに配慮したようだ。 食品事故や食中毒が発生した際の公表や情報提供などの緊急対応は事故情報を一元的に集約する消費者庁が担う。 (07:03)

消費者庁がリスク管理の機能を担うのであれば、 リスク評価を行う食品安全委員会をその指揮下に置かないと言う判断は賢明だ。もし、全面移管をしてしまっていれば、 仕組みとしては厚生労働省の審議会で食品安全性の審査をやっていた頃と、そう変わらないことになってしまう所だった。

科学的なリスク評価を、規制行政を行う所管の官庁から切り離す仕組みは、EU(EFSA)でも採用されている。 米国は、FDAとしては評価も規制も行っているが、規制部局(Office of Rgulatory Affairs, ORA)はリスク評価を行う各センターとは独立した組織になっており、 相互に指揮命令関係はない模様。

ところで、リスク評価と規制行政を分けるという考え方を、 毒劇物や危険物を含めた化学物質全般に拡大できないものだろうか。現在は、毒劇法は厚労省、 化学物質やそれを含む製品の製造・流通は厚生労働省、経済産業省、環境省(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、 化審法)と、それぞれリスク評価から管理まで縦割りになっているが、 リスク評価の部分は各省共通の行政委員会において、リスク情報の共有がスムーズになると良いのだが。百歩譲って、 各種法律の規制対象となる物質とCAS番号の対応を横断的に関連づけた統一データベースがあるだけでも良いのだが。

・・・と思ったらありますね。商用版のデータベースが。 規制がビジネスを生む好例です。年間3.6万円位なので、研究所全体で一単位契約しておけば便利かもしれません。

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2008年7月15日 (火)

β-メルカプトエタノールが毒物になりました -試薬メーカーの対応-

毒劇法の政令改正で7月1日からβ-メルカプトエタノールが毒物になったことについてはこちらに書いたとおり。 毒劇法では濃度で制限をかけている毒物、劇物から除外している物質も沢山ある。が、 β-メルカプトエタノールにはなぜか、そのような規定は無い。β-メルカプトエタノールについては、 経口毒性のLD50が非常に低いので濃度で規制をするのは現実的ではない、と言うほどの毒性ではない。しかし、”2- メルカプトエタノール及びこれを含有する製剤”は全て規制対象だ。

・・・となると、市販の制限酵素の保存用の緩衝液のように、 0.04%-0.08%という低濃度で含まれている場合であっても法律上は毒物になる。普通、酵素を商っている販売代理店は、 毒劇物も取り扱っているので毒劇物販売業者として手続きは済んでいるはずなので混乱は少ないと思うが、研究室等で購入した際に、 受け取った職員は所属、氏名、住所などをいちいち書かされる羽目になる。ゴム印でも用意しておこうか。

7月15日現在、試薬メーカーの対応状況は以下の通り。

     
  • いち早く対応したのは、ロシュ・アプライド・サイエンス。  
  •  
  • タカラバイオ株式会社も対応は早く、    代替製品に置き換えていくとのこと。好感が持てる。
  •  
  • 東洋紡はホームページの見やすい所には対応情報がない。ありました(7/16 修正)。こちら
  •  
  • GEヘルスケアも未対応。
  •  
  • インビトロジェン株式会社は告知のページがわからない。
  •  
  • 株式会社キアゲンも未対応。
  •  
  • フナコシ株式会社も未対応。
  •  
  • コスモ・バイオ株式会社も未対応。

9月までは移行期間。製品ラインナップの複雑な会社はこれから対応していくのだろう。

なお困るのが、容量の管理とマイクロチューブへの 医薬用外毒物 の記載。酵素のストックが山ほどあると、こりゃぁ大変です。       酵素は低温で管理しているので、使用した分だけ秤量というわけにも行かず、どうしたものか。       法律上は盗難等の防止が管理の目的であって、量の管理の具体は組織に委ねられている。いっそ、       研究所の規定の方を変えてしまおうか・・・。

今回の政令改正にあたっては、公開されている審議会の議事録を見る限り、 こんな感じの議論だった。

 

「β-メルカプトエタノールは経皮毒性の基準に照らして毒物だよね。何か異論のある人?」

 

「・・・」

 

「じゃ毒物ってことでよろしく。」

このくらいのリスク評価でも、科学的事実に基づいて誰が見ても異論のない結果であれば、それはそれでよいだろう。

一方、”2-メルカプトエタノール及びこれを含有する製剤”は全て毒物とする、このリスクマネージメントの方法はどうなのだ? ある濃度のβ-メルカプトエタノールを使用した経皮毒性試験の結果を根拠に毒物に指定したのであれば、試験の結果から、 毒性が法定の毒物としての基準を下回る濃度もまた決まるはずだ。 それ以下の濃度の物質は、毒物として法律で規制する意味はないのだ。閾値を決めるのが面倒だったので、 とりあえず全部毒物にしたと言うことなのだろうか?仮にそうだとすれば、ひどい手抜きだ。

新しい規制を行う場合、規制の効果を最大限に発揮させ、なおかつ無用の混乱を引き起こさない閾値を適正に決めるのが行政の責任だ。 今回の一件は、毒物の匙加減を誤ったように思えてならない。

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2008年7月14日 (月)

そこに構造的な問題はないか?

東大医科研で行われた倫理委員会を経ていない臨床研究の実施と、論文への虚偽記載のフォローアップ。朝日新聞では、 7/11に引き続き12、13日もこの問題について追加の報道と、社説を掲載している。

# なお、Googleで見る限り、blogger諸氏はほとんど反応していない模様。

一連の事案の経緯はこちらに書いたので省く。 論点は以下の通り。

     
  • 一部、インフォームドコンセントを得ていない試料を研究に使用したこと。
  •  
  • その結果を論文に記載する際に、全ての試料についてインフォームドコンセントを得たと記載したこと。
  •  
  • 臨床研究の計画は、研究所内の規定および厚生労働省の指針に従って、機関倫理委員会(IRB)   の審査の上で実施することになっているが、実際は審査・承認を経ずに研究を実施していたこと。
  •  
  • IRBの審査・承認を経ずに実施した研究であるにもかかわらず、審査・承認を経たと論文に書いたこと。

以下に朝日新聞の13日の社説を引用させてもらう。

 

 同研究所の清木元治所長は陳謝するとともに、「検査と研究の違いについて意識が薄かった」と述べた。

 

 同じ血液を採るにしても、研究目的となると、治療目的での検査とは患者の受け止め方がまったく違う。   研究目的は必ずしも患者自身の利益に直結しないからだ。だからこそ、患者にていねいに説明し、   同意を得ることがいっそう厳しく求められているのだ。

患者の検体を研究に使用する場合に、なぜ患者の同意が必要なのか?と言う疑問に対して、この社説では 「研究目的となると、治療目的での検査とは患者の受け止め方がまったく違う」と説明している。

本当にそれが理由なのか?話は少々わき道に逸れるが、では日本赤十字が、 期限切れで輸血に使用できなくなった血液を試験に提供する場合はどうなのだ?東京都赤十字血液センターのホームページにはこうある。

 

各種検査で基準を満たさない血液や有効期間を過ぎた輸血用血液、検査に用いた検体の残りなどは、   輸血の有効性や安全性の向上のための研究や安全な輸血のための検査試薬製造等に有効に活用しています。さらに、国の指導の下、   他の研究機関との共同研究にも使用しています。しかし、   残念ながら上記以外の血液は感染性医療廃棄物として適切な管理のもとに処理しています。

私はよく献血をするのだが、はたして血液提供者は献血の際に、 自分の血液が研究に使用されることを同意したことがあるだろうか?気持ちの問題というのなら、 これも研究目的となると、 治療目的での輸血とは提供者の受け止め方がまったく違う」ということになりはしないか?

# ちなみに、私は、献血した私の血液が何かの役に立つのなら、 使い道が何であれ期限切れで捨てられるよりはましだと思っている。

臨床研究の中には死体から採取した組織を使用する場合や、検体採取後に提供者が死亡する場合もあるに違いないが、 この場合は本人の気持ちは問題にできないのだ。検体を提供する「患者の受け止め方」 を論点の中心に据えると、問題が違って見えてしまう。ヘルシンキ宣言を読んでいただければわかると思うのだが、 検査のために採血した血液の流用であれば、問題は、その研究が行われた結果、そして論文が公表された結果によって、 患者やその関係者の人権を侵害した事実があるのかということだ。

もし仮に「患者の受け止め方」を中心的な問題に据えるのであれば、 今般の報道がなければ患者に知られることもなく、従って誰も傷つかなかった、という議論さえ可能なのだ。 臨床研究において患者の気持ちを尊重することは大切だが、研究者の負うべき責任の範囲はそれにとどまるものではない。

今回の例とは異なるが、ゲノム情報を解析した場合を考えればわかるように、 影響の範囲は本人のみならず親兄弟や子孫にまで及ぶこともあるのだから。研究に対する同意の求め方、 同意の範囲は本人と関係者の人権に配慮して、ケースバイケースで慎重に考えなくてはならない。 「患者の受け止め方」を中心においた議論であってはいけないのだ。

朝日新聞社は今回の件はどうだと考えているのだろう。「患者の受け止め方」に還元できる議論であるならば、 そこを確認したのだろうか?

また12日の記事には次のようにある。

 

甘い体制整備、倫理「個人任せ」 東大医科研虚偽論文

 
   

2008年7月12日3時2分

 
 
   

 医学論文で研究倫理をめぐる虚偽記載が明らかになった東大医科学研究所(東京都港区)には、     研究者が患者らの血液など検体を保管する際の規則や患者から同意文書をとるための決まった書式がなかったことが分かった。     研究者を対象にした倫理研修も今年4月に初めて定期化したという。清木元治所長は「医科研は、倫理面の意識が薄かった。     研究所全体として体制整備の必要性を認識するのが遅れていた」と言っている。

   

 医科研の内部調査担当者によると、研究倫理にかかわる手続きは、事実上、研究者個人の「倫理」に任され、     組織としてはノーチェックだった。こうした環境が、今回発覚した東條有伸教授(52)     の研究室による論文への虚偽記載につながったとの見方が研究所内では強いという。

   

 医科研幹部の一人は取材に対し、「東條教授は、共同研究者から『倫理審査委員会に出しましょう』と言われるなど、     せっぱ詰まって出さなければいけなくなった時しか、(倫理委に)申請していなかったようだ」と話す。

   

 11日に記者会見した清木所長は再発防止策について、毎年、各研究室が行うプロジェクトを報告してもらい、     それぞれがきちんと倫理申請されているかどうかを定期的に点検する考えを示した。

   

 同じ東大でも、医学部(東京都文京区)は対照的だ。     ヒトから採取した検体を研究に使用する際の同意の取り方や個人情報保護の扱いについて統一的な手順を詳細に定めている。     さらに03年からは臨床研究を行う医師や研究者に研究倫理セミナーの受講も義務付けた。     研究計画について倫理審査委員会に申請する際には、原則としてこの受講証が必要という。

   

 世界医師会の「ヘルシンキ宣言」や厚生労働省の倫理指針が、     個別の医学研究に倫理委の承認や患者からの文書による同意の取り付けを求めているのは、かつての「人体実験」     が明らかになった経緯などを踏まえて、患者や検体提供者の意思に反して研究が行われたり、     本人の知らないうちに自分の体にかかわる情報が出回ったりするのを防ぐためだ。

   

 医療倫理に詳しい東大関係者は「『患者のために』ということならすべて許されると考えるのは、研究者のおごりだ。     身体の一部という究極の個人情報を扱う以上、十分な説明と意思確認は欠かせない。透明性確保のため文書で同意を得るのも当然だ」     と指摘する。また、医療倫理にかかわる厚労省の担当者は     「国内最高レベルの研究機関で研究倫理について虚偽記載がまかり通っていたとは信じられない。明らかに一線を越えており、     研究所全体としても『意識が低かった』では済まない話だ」と話している。(西川圭介、小倉直樹)

 

同じ東大でも医科研はダメで医学部はOKだという論調は頂けない。 そりゃぁ研究倫理の担保が万全なセクションもあるだろう。しかし、 これは一部で不祥事があれば全部をまとめてバッシングするのを常とする新聞らしくも無い。

# 東大医学部を持ち上げるのなら、居酒屋タクシーを利用していない大部分の公務員も、ほめておくれ、 というのは冗談だが。

そもそも、この事案について、医科研の倫理審査委員会がなぜ機能していなかったのかについて、 その背後にある構造的な問題にも目を向けるべきだ。研究者個人の問題に帰結していては、再発を防ぐことはできない。

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