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2008年6月29日 - 2008年7月5日の記事

2008年7月 3日 (木)

ウナギから検出されたマラカイトグリーンに安全上の問題はあるか?

ウナギの産地偽装事件で、今度はマラカイトグリーンと代謝産物であるロイコマラカイトグリーンが検出されたと報道されている。 NHKではアナウンサーが発がん性が云々、安全性を犠牲にした金儲けがどうの、と言っている。

しかし、本当にウナギから検出された微量濃度のマラカイトグリーンに発がん性があるのか?詳しくは食品安全情報blogを見ていただきたい。 変異原性があるか?といえばある。発がん性があるか?と言えばそうとも言い切れない。確実性の高い試験が行なわれていないためだ。正しくは、 「発がんの疑いがある物質」と言うべきだろう。

発がん性の疑われるマラカイトグリーンについては、 発がんメカニズムが明らかでは無いことから日許容量を想定することは適当でないので、法律上は食品から検出されてはならないとされている

つまり、これまで発がん性が明らかにされてきた様々な物質と比較すると、危険性は低いのだ。

今回、ウナギからマラカイトグリーンが検出されたことの問題点は、その違法性にあるのであって、 直ちに安全性に問題があると言う問題ではなく、食べてしまったのだがどうしたらよいか?と不安になるような問題でもない。

現状の報道では、マラカイトグリーンを含む可能性のあるウナギを食べてしまった方の不安を解消することはできない。 もっと報道の仕方を考えていただきたいものだ。

漠然とした不安の方が健康には良くない。

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2008年7月 2日 (水)

EUの遺伝子組換え作物に対する規制

ニュース・ソースは日経Food Science。EUでは遺伝子組換え作物の利用拡大に向けた動きがあるらしい。

  • 欧州委員会委員長 急騰する食糧価格を切り下げるために、各国政府はGMOの可能性を認めるべきだと強く要請。
  • 欧州委員会 保健・消費者保護総局 長官 未承認GMOの微量混入に閾値を設ける提案へ?
  • EU承認済みのGMトウモロコシの輸入・利用を拒否してきたオーストリアの禁止令が08年5月27日に撤廃。
  • Nestle社会長は、ヨーロッパの政策当局に対し、GMOに対する反対姿勢の再考を促す。

そして、記事の文章中に次のような記述がある。

この論拠であるヨーロッパのGMO忌避がアフリカ諸国に影響を与え、 輸出への懸念からそのGMO栽培を遅らせているという理屈は、 心あるヨーロッパ人たちにとって、おそらく最も痛いところを突いている。 欧州委員会Peter Mandelson通商委員長は、 直ちにアフリカいじめを否定し、欧州委員会に責任はなく、 しばしば見られる欧州各国政府のGMO拒否の姿勢に落胆しているとコメントを出している。

私はアフリカ諸国が国際市場を通じてどの国の農産物を購入しているかは知らない。しかし、 EUのGM作物に対する解禁は、域内での栽培と、輸入の許可がペアでなければならないだろう。もしそうでなければ、 国際的な穀物市場に大きな混乱を引き起こすのではないかと懸念する。

なぜならば、現在、GM作物の輸出能力が高い合衆国および南米産のGM大豆やトウモロコシは、 輸入規制をしているEUへはあまり回らずに、日本、中国、アフリカ等に輸出されている。そこに、 EUという新たな大口の取引先が突然生まれたらどうなるか?ただでさえ高騰している穀物がさらに高くなることは間違いないだろう。 EUには域内での栽培規制を緩和していただいて、穀物の生産力を向上してもらわないと、短期間で受給バランスが崩れてしまうおそれがある。

日本向けの飼料の国際価格を考えるならば、むしろEUには輸入規制を続けていただいた方がありがたいのだ。

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2008年7月 1日 (火)

「第1種使用規程承認組換え作物栽培実験指針の改正案」について

表題の案件のパブコメ締切(7/4)が迫っています。

この「第1種使用規程承認組換え作物栽培実験指針」(以下、指針という)の範囲には、 農水省の監督下にある独立行政法人で遺伝子組換え作物の野外栽培を行う場合が全て含まれます (農林水産省や独立行政法人の委託で民間事業者が栽培を行う場合はこの限りではないはず)。

指針の目的は、カルタヘナ法に基づき承認を受けた組換え作物を用いて、 自ら又は委託を受けて行う栽培実験の実施に当たり遵守すべき事項を定める、とあり、遺伝子組換え作物の野外栽培を行う場合に、 研究所等が栽培実験計画を策定し公表すること、栽培管理体制(遺伝子組換え作物の混入防止、交雑防止のための措置等) を整備することを求めています。

今ひとつ、「栽培実験の実施に当たり遵守すべき事項を定める」目的は何なのか釈然としない指針ですが、 2006年の改訂の際のパブコメに対する回答を見ると、一応の目的がわかります。そこには次のようにあります(ボールドは土門による)。

  • 本指針は、農林水産省所管の独立行政法人が行う遺伝子組換え作物の栽培実験上の留意点等を取りまとめたものであり、安全性の面で問題のない栽培実験であっても、国民の理解の下で円滑に実施する観点から、周辺の同種栽培作物等との交雑防止等について指導していく必要があると考えています。
  •    
  • 本指針は、農林水産省所管の独立行政法人の行う遺伝子組換え作物の栽培実験を国民理解の下で円滑に実施する観点から策定したものです。本指針の策定に当たっては、検討会を設け、科学的知見をもとに検討を行っています。
  •    
  • 今後とも、国民の懸念に対し安心いただけるよう科学的知見の集積に努めます。

要約すると、「安全性の問題ではなくとも、科学的な知見をもとに検討し、 国民の理解の下で栽培実験を円滑に実施するため」ということを目的としているようです(科学的知見の集積で、 国民の懸念に対し安心いただけるかどうかは、わからないですが・・・)。

組換え作物と「組換えでない作物」との交雑があった場合に、直ちに安全上の問題が生じるかといえば、 それは議論の前提によるとしか言いようがありません。

いずれかの国において、科学的に妥当な方法で安全性が確認された組換え作物については、 交雑や混入が起こったとしても直ちに安全上の問題が生じることはありません。ただし、 私たちのような研究独法で開発中の組換え作物については、全く同じ議論が一般的には成り立つとまでは言えません。 この場合に安全性を担保するものは、組換え作物の開発者が設計時点で行う、 急性毒性や発ガンリスクのあるタンパク質を含ませないと言う考慮のみです。食品・ 医薬品としての実用化を前提に研究開発を行う場合には当然の配慮ではありますが、安全性を担保する最終的な責任は我々にあります。

逆に言えば、消費者の健康に対する懸念が生じ得る事態とは、

  1. 仮に急性毒性や発ガンリスクのあるタンパク質を含ませた遺伝子組換え作物が存在したとして、      
  2. それが毒性を発揮するに十分な量のタンパク質を収穫部位に集積しており、    
  3. その作物が毒性を発揮するのに十分な量、一般の作物に混入する    
     

という特異的な事態でしょう。そのような場合にのみ、消費者の健康に対する懸念が生じるはずです。発がん物質を除いて、 いかなる毒素にも無影響量という生物学的な影響を発揮する為に必要な最小量が存在し、 それ以下では毒性は発揮しないというのが毒物学の一般的な知識です。

一方、交雑や混入が起こった場合には、安全性の議論とは別に、 食品衛生法や飼料安全法上のリスクや風評被害によるリスクがあります。この場合の賠償責任については、指針の考慮する範囲ではないとされており、 個別の裁判を通じて解決する事になるでしょう。 それは、不可逆的な健康被害とは次元の違う話です。

なお、この指針の方向性・考え方は2006年の改訂の際も、現在も変わっていないと思います。そこで、 今回の改定案の基礎になった資料と改定案について、私なりに検討を加えてみたいと思います。


資料を読み解く

まず、パブコメのページはこちら。 検討会の議事次第、資料一覧、参加者はこちら。 会議に提示された事務局資料はこちら (議論の対象になったデータはこの資料にあります)。改正案はこちら

検討会は公開だったのにの議事録は?というのがちょっと不満。どなたがどんな発言をされたのか、 見当の経緯が分からないので検討会の委員と同じ視点で資料を見ることができないのは残念です。・・・と思ったら、こちらにありましたのでリンクしておきます。

さて、こちらの資料を読み解くことにします。 私の関心はイネだけなので、他の作物については見ません。なかなか興味深いデータなのですが、 議事録と併せてみると肝心のところが紹介されていないように思います。以下にデータを紹介します。

     
  1. 長距離交雑事例とその要因の考察、1)イネ
  2.  
  3. 交雑予測モデル

まず、1.-1)については、北海道岩見沢市で距離300 mで交雑率0.024%、距離600 mで0.028%、 つくばみらい市で距離40 mで0.002%の交雑がありました。なお、つくばみらい市の交雑に関する詳細データでは、距離10 m, 20 m, 30 m, 40 mの間で、それぞれ種子10万粒以上を観察しており、 10m以上の距離では交雑程度は距離に応じたものではなく離散的に発生しているデータが示されています。

北海道ではその試験を行った地域では冷害があったので、冷害によって交雑率が上がるかどうか、 別途試験を行って低温障害時の交雑率の上昇を確認しています。

データを見ていただけると明らかなように、それぞれ花粉源の大きさが2.4ha、 20aとこれまでにない大規模栽培である事が分かります(ちなみに、生物研の隔離ほ場は4aです)。

また、北海道では岩見沢市のアメダスデータを示しており、 試験を行った水田ではなくアメダスの測定点では開花期に日平均で1.7-5.6m卓越風が吹いていたことが示されています。

1.の考察では、北海道では開花期前の低温で雄性不稔が生じたこと、大規模な花粉源、強い卓越風が原因、 つくばみらい市では試料点数の増加により検出感度が向上したこと、とまとめています。

2.については、花粉の拡散に対する風の影響を考慮した川島・芝池モデル (農環研の米村さんが出所?)による花粉源からの距離17mまでのシミュレーションとモデル式を示しています。考察では、 「隔離距離を延ばせば交雑割合は低下していくが、モデル上では交雑率を完全にゼロにするためには無限大の距離が必要」とまとめています。

さて、状況証拠は以上の通り。

資料から言えることを考えてみる

まず、つくばみらい市のデータを見てみると、10 mから40 mの間では、 交雑が100,000-150,000粒あたり1あるいは2粒で、交雑率にして0.002%です。北海道では距離600 mと離れているにもかかわらず交雑率は0.028%。3,500粒に1粒くらいの交雑で、つくばみらい市の試験の10倍以上です。

このことから、北海道での交雑率が異常に高かったことが分かります。その要因として、 岩見沢市のほ場では不稔率が37.3-47.5%と異常に高かったことも示されており、意図的に低温処理をした試験では距離5 mでの交雑率が2.96%に上る事も示されています。

これまでの状況証拠から、低温による障害型冷害が発生した場合は、そうでない場合よりも遠距離交雑はより起きやすくなる、といえます。

次に、卓越風の影響ですが、北海道の試験はあくまでアメダスポイントの風速データが示されて居るのみで、 花粉源の水田での実測データではありません。また、シミュレーションモデルについては、距離10 mを超えると交雑率はほぼ0になることは示せていますが、つくばみらい市で検出された0.002%の交雑率に近づく距離の外挿や、 北海道での試験の距離600 m付近での交雑率の予測は特に示されていませんので、議事録にあるように、 このモデル式で風と距離の影響を議論するには、データの示し方が不適切です。

なお、モデル式(ブルーム式・長期平均式)をよく見ると、測定点の距離以外のパラメーターを定数にした場合、 水平距離Rの逆数に定数を掛けたものであることが分かりますので、Rを無限大にしても当然、交雑率は0にはなりません。 この事を持って、「隔離距離を延ばせば交雑割合は低下していくが、モデル上では交雑率を完全にゼロにするためには無限大の距離が必要」 と言う議論をする姿勢には、私はどうしても同調できません。モデルの選択の妥当性は、近距離の交雑程度に対するフィッティングでしか示されておらず、長距離での極低い交雑率に対するモデルとして妥当かどうかは示された資料からは分からないためです。

むしろ、「つくばみらい市の交雑データからは、10mを超える距離での交雑は、距離のパラメータにあまり影響されない離散的な過程 (おそらくはポアソン過程)であるので、距離を伸ばすことによる交雑率の低減は期待できない。従って、他の交雑防止措置の方が有効である。」 と言っていただいた方が遙かによく分かります(・・・って、誰にでも分かる言い方に工夫するのは大変ですが、 犬伏先生は提示されたデータから直感的に正しく理解されています)。

以上より、示された試料から得た私の結論としては

     
  1. 遠距離交雑は低頻度でも確率的には必ず起こる。
  2.  
  3. 低温によって、遠距離交雑の頻度は高まる。
  4.  
  5. 卓越風の影響は示されたデータからは、評価できない。
  6.  
  7. 従って、花粉源が大規模で、しかも低温による不稔が懸念される2つの条件が揃った場合には、   従来とは異なる距離によらない交雑防止措置が必要。

というものです。

 


 

考えてみると、低温によるイネの障害型冷害については北海道農業試験場の佐竹さんを始め、東北農業試験場のチームなど、 かつて農林水産省として実施してきた研究による膨大な科学的知見があるはずなので、 どのくらいの低温がどの生育時期にどのくらいの期間続くと、どの程度の不稔歩合になるか定式化されているはずです。・・・ 学生時代に習ったような気がします。

また、障害型冷害が起こりやすい警戒地域も設定されているし、早期警戒ネットワークも行政レベルで動いています。

・・・なのに、この改訂案は何でしょうか?「開花前の低温により交雑の可能性が想定される場合には」 というのは。独法の隔離ほ場の設置場所などわかりきっているのに、わざとぼかしたのでしょうか。

つくばみらい市のデータからも、交雑が起こること自体は仕方ないし、 改訂案でも大規模栽培に対する対策は盛り込まれていない訳ですから、問題の所在は「遠距離交雑が起こること」ではなく 「遠距離交雑が高頻度で起こること」にあるはずです

今般の試験結果の事務局のまとめ通り、障害型冷害、卓越風、試験規模の3点が揃った場合に始めて、 対策が必要な水準の交雑率になると言うのであれば、栽培試験の前提条件として「開花期の平均風速が3 mを超えない場所を選定」というのはおかしいでしょう。卓越風は、 交雑そのものの主要因ではないと事務局の資料にも書いているのだから、「障害型冷害、卓越風、 試験規模の3点が揃った場合には栽培試験を中止すること」と、3条件の論理積で実験中止を決める方が適切なはずです。

しかも、改訂案ではこれらの対策を「距離による交雑防止措置」というカテゴリーに入れています。改訂内容は、どう見ても 「距離によらない交雑防止措置」ですし、隔離距離の拡大による交雑防止の効果は小さいという議論をふまえた改訂なのですか、 改訂のポイントがずれています。

# あんまり書くと身内から造反されたと言われるかも知れませんが、所詮はごまめの歯ぎしりです。

 

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2008年6月30日 (月)

神戸大学・カルタヘナ法違反は厳重注意

この記事は2008年のカルタヘナ法違反に関するエントリーです。2012年の事案についてはこちらから

神戸大学のカルタヘナ法違反の厳重注意については、6/20 に文科省からプレスリリースがありました。

経緯と再発防止策はこちら。 3/17の通報以来、これで、この件についての一連の対応は行政的には一応の区切りが付いたことになります。(生命倫理・ 安全対策室の皆様、おつかれ様でした。)

一方、大学の信頼回復はこれからの取組にかかっています。神戸大学のスタッフの皆様におかれては、道程は長いですが、 今後ともたゆまぬ努力が求められます。文科省から拡散防止措置についての定期報告が求められている様ですので、 今後も定期的な点検は欠かせないでしょう(報告義務が無くても普通はやっているはずですが)。

同じプレスリリースに、東北大学の件も出ていますが、こちらは報道されたのかどうか?記憶にありません。 相当前の事例を含めてまとめて申告している様な感じですので、神戸大の一件の後で内部調査をおこなったのかも知れません。なお、 東北大学からのプレスリリースは無い模様。ウイルスの種類を見ると、こちらも医学部関連のようです。

 

 

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