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2008年6月22日 - 2008年6月28日の記事

2008年6月27日 (金)

[業務用覚書] 大腸菌 Invitrogen DB3.1株に関するEUの規制

以下の情報は日本の人口の99.99%の方には、まず役立ちません。

大腸菌 Invitrogen DB3.1株はGateway systemで利用されている致死遺伝子、 ccdBに耐性になるgyrA462遺伝子を持っていて、ccdB遺伝子を保有するプラスミドの増幅に使用される。 このgyrA462はもともと大腸菌のプラスミド由来であるが、 Invitrogenではプロモーターと構造遺伝子を繋いだ発現カセットを作製していて、DB3.1株では、 それを遺伝子工学的に大腸菌ゲノムに導入しているらしい。

作成過程は公開されていないので供与核酸が大腸菌のみなのかどうか確認のしようがない。

※ ccdBを誘導型プロモーターの下流に繋いでおけば、 gyrA462でないホストでも問題ないように思うのですが。ccdBはリーキーな発現でも致死的なんでしょうかね。

Invitrogen DB3.1株の製品添付文書には次のようにある。

Information for European Customers:
These cells are genetically modified and contain plasmid-derived DNA
sequences. As a condition of sale, this product must only be used in
accordance with all applicable local legislation and guidelines including EC
Directive 90/219/EEC on the contained use of genetically modified
organisms.

「DB3.1株の作成過程では遺伝子工学を用いており、プラスミド由来のDNAを保有する。販売の条件として、 この製品は遺伝子組換え生物の封じ込め使用に関するEC指令 90/219/EECを含む法令とガイドラインの下においてのみ使用されなければならない。」とのこと。

そこで、この"EC Directive 90/219/EEC(summary)"について調べてみた(本文はこちら)。

要は、EUではDB3.1株は原則としてLMOとして扱いなさいということ。EC指令 90/219/EECにSelf cloningの除外規定がなければ、そういうことになる(*)。調べてみた結論から言えば、 EUではLMOになっている可能性が高い。

なお、日本の国内法(カルタヘナ法)では、セルフクローニングの判断は、作成過程は関係なくて、 作製された生物の特性のみで考える。この場合、大腸菌の核酸(プラスミドを含む)のみを大腸菌に入れる操作で作られた組換え大腸菌は、 カルタヘナ法上はLMO扱いする必要はない。

Invitrogen社日本法人の判断もそうなのだろうが、「本当に大腸菌の核酸のみ」なのかどうか、 顧客の側で確認する方法がないのは著しく気持ちが悪い。さてどうしたものか。

 


 

表題は”Council Directive 90/219/EEC of 23 April 1990 on the contained use of genetically modified micro-organisms”とあり 「遺伝子組換え微生物の封じ込め利用」に関する指令。目的は、人の健康と環境に対するリスクの最小化。

Article (条文)本体は23条、このほかAnnexがI. -V.まである。Article 1に目的、 Article 2に用語の定義、となっており日本の法律と似た構成。

組換え生物の利用形態と組換え生物の種類によるカテゴリー分けがある。教育・研究関連については、Type A (Type B は産業利用)、ホスト・組換え生物の病原性等リスク分類についてはAnnex II でGroup I, II (I は日本で言う認定宿主ベクター系+病原性がないもの)というカテゴリーに分けられている。

上記の除外規定について調べてみると、Annex Iに次のようにあった。

B Techniques of genetic modification to be excluded from the Directive, on condition that they do not involve the use of genetically modified micro-organisms as recipient or parental organisms:

(1) mutagenesis;

(2) the construction and use of somatic animal hybridoma cells (e.g. for the production of monoclonal antibodies);

(3) cell fusion (including protoplast fusion) of cells from plants which can be produced by traditional breeding methods;

(4) self-cloning of non-pathogenic naturally occurring micro-organisms which fulfil the criteria of Group I for recipient micro-organisms.

(1) OJ No 213, 21. 7. 1982, p. 15.

例外規則の適用範囲をa. ”宿主として利用される生物”に限定、b. 非病原性(Groupe I) に限定して、”self-cloning of non-pathogenic naturally occurring micro-organisms ”は除外するとある。 セルフクローニングの除外についても人の健康へのリスクベースの判断が入っている所はEU流。 科学的にセルフクローニングといえるならば何でも除外、という日本のスタンスとは明らかに違うので、 日本ではセルフクローニングと判断された生物でもEUでは組換え生物と扱う可能性が大 (WHOの新型インフルエンザウイルスのモックアップについては、日本ではセルフクローニングと判断されたのですが、 EU各国の規制当局では別の解決をしている可能性が高いことにります)。

よく見ると、”naturally occurring” という条件が満たせなければ、除外できないと言うことになるので、 人為的に遺伝子を組換えたことが明らかなDB3.1株についてはEUでは遺伝子組換え生物扱いになっている可能性があります。 除外規定で情報提供が免責されるかどうかは微妙です。・・・というか多分無理。

そうなると、EU加盟国内のLMOの流通の際に必要とされるであろう情報提供については、 EU加盟国の国内法で判断する必要があります。

ちょっと横道ですが、EUは隣国と地続きなので以下のような配慮が前提となっている。

”Whereas micro-organisms, if released in the environment in one Member State in the course of their contained use, may reproduce and spread, crossing national frontiers and thereby affecting other Member States;”

ヨーロッパは一蓮托生という感じがします。

 


 

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2008年6月26日 (木)

β-メルカプトエタノールが毒物になります。

表題の通り。7月1日から、β-メルカプトエタノールが法律上の毒物になります。

平成20年6月20日 政令第199号 毒物及び劇物指定令の一部を改正する政令

第一条第二十六号の九の次に次の一号を加える。
二十六の十 二― メルカプトエタノール及びこれを含有する製剤

http://www.kantei.go.jp/jp/kanpo/jun.3/ee0620t0003.html

β-メルカプトエタノールは粗タンパクの抽出や、タンパク質の電気泳動(SDS-PAGE) には欠かせない試薬なのですが、管理が厳しくなります(私の居る研究所では、施錠できる保管庫に置くことになる)。

毒物及び劇物指定令 ( 昭和四十年政令第二号)、第一条では、「毒物及び劇物取締法別表第一第二十八号の規定に基づき、次に掲げる物を毒物に指定する。 」 とあります。ここにリストアップされると毒劇法で言う「毒物」(特定毒物ではないただの毒物) にあたります。

毒物は「毒物及び劇物取締法」 (通称、毒劇法)に準拠した管理が求められますので、管理・使用にあたっては事業所の定める毒劇物危害防止規定に従う必要があります。

近頃、あらたに毒物に追加されたということは、判定基準の基準値以上の毒性があることが確認されたということでしょう。 厚労省の審議会情報などで経緯を確認してみましょう。

・・・ありました。平成20年2月29日、 薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会。議事録はこちら。 これによると、毒物劇物調査会の報告では「経口については劇物相当、経皮についてはウサギで毒物、モルモットで劇物、 吸入についてはラットにおいて毒物の下限、皮膚と眼の刺激性は共に刺激性ありとなっています。」とのこと。

議論の経緯は以下の通り。

○大野部会長 いかがでしょうか、ウサギの経皮毒性から毒物に相当するということです。 今の御説明にありましたように、生化学実験によく使っているものですが、特にございませんか。 では案のとおり毒物に指定するということでよろしいでしょうか。特によろしければ承認可、として報告とさせていただきます。

○大野部会長 次の「亜硝酸イソブチル」についてお願いします。

おいおい・・・(議論はなかったの?)。

物足りないので、パブコメについての情報をあたってみた。この手の規制の改定にはパブコメがつきものなので。

該当するパブコメはこちら (2008年5月23日募集開始、2008年6月13日終了、案件番号

)。規制影響分析書にはアバウトな経緯が書かれているが、 毒性の具体はちっとも分からない。β-メルカプトエタノールを使う身としては、どんな新しい事実があったのか知りたいところだが。ちなみに、 パブコメの結果のとりまとめは、まだ公表されていない(6/26現在)。

意見募集の際に規制ルール変更の根拠となった科学的な事実をはっきり示していないし、会議の資料も出てこない。 「ウサギの経皮毒性から毒物に相当するということ」だけではよく分からない。PubMedでもあたらないとだめか(とりあえず、 rabbit 2-mercaptoethanol toxicityでは27報あるが、それらしい最近の論文はない)。 情報源が科学論文かどうかも分からないと、これ以上さがす気にはなれない。

β-メルカプトエタノールにかわる還元剤で、毒性が低くて使い勝手が良く、 しかも安く入手できるものがあれば問題ないのだが、DTTは高いし、TBPは分極しないけど溶解度が低いし、どちらも普通、 SDS-PAGEには使わない。試薬を変えて実験の再現性が無くなると困るので、今後もβ-メルカプトエタノールを使うことになるのだろう。 経皮毒性ならこれまで通り手袋をしておけば十分だろうし。

(原液のボトルを開けるときは、横着しないで、できるだけドラフトを使ってね。臭いから。)

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2008年6月25日 (水)

ウイロイドはカルタヘナ法では生物です。

本日頂いたご相談関連。情報共有のために公開いたします(守秘義務違反にならない範囲で)。

Q1. プラスミドに逆転写した植物ウイロイドをクローニング、点突然変異を入れてin vitroで転写させる。 これを植物に接種して機能解析をしたいが、カルタヘナ法上の扱いはどうなる?

A1. カルタヘナ法第2条の定義で、ウイロイドは生物にあたります。しかも、”ウイルス及びウイロイドをいう”として、 ウイルスとウイロイドを区別しています。研究二種省令では、 別表第1第一号へで自立増殖性のウイルス又はウイロイドの使用を原則として大臣確認に指定しています。ただし、除外規定があって、 二種告示別表第3では”4 Plant viruses”と組換え植物ウイルスについては大臣確認は不要としています。

カルタヘナ法第二条でも二種省令別表第1第一号へでもウイルスとウイロイドを区別していますので、二種告示の除外リスト、別表第3の” Plant viruses”にウイロイドが含まれると言う解釈は、常識的にはできません。従って、 自立増殖性の見込まれる組換え植物ウイロイドを使用する実験はあらかじめ大臣確認が必要だと考えられます。

なお、単一の点変異はナチュラルオカレンスなので遺伝子組換え生物ではないと言う解釈もあり得ますが、解釈権は文科省にありますので、 文書で照会するか大臣確認申請をして確認不要の回答をとるか、をしてから実験をすることになるでしょう。 いずれにしても機関の判断ですぐに実験するのは危険です。

Q2. pVS1系のバイナリーベクターはプラスミドの伝達性が高いので、「哺乳動物等に対する病原性及び伝達性に関係しない」 という二種省令第5条第1号ハの適用はできないのではありませんか?その場合、 pVS1プラスミドは実験分類クラス2の緑膿菌由来なので拡散防止措置は二種省令第5条第1号イの適用でP2レベルになるのでは?

A2. 二種省令第5条第1号ハの「伝達性」の解釈については文部科学省からポジションペーパーが示されております。 それによりますと、二種省令第5条第1号ハの「伝達性」とは、”微生物から動植物等への感染により、微生物ごと伝達する性質又はその程度” であって、”微生物から微生物への接合や遺伝子の水平伝達等により、核酸の状態で(染色体若しくはプラスミドとして) 伝達する性質又はその程度”ではないとのことですので、プラスミドとしての伝達性があっても、 二種省令第5条第1号ハにより宿主の実験分類に従った拡散防止措置で実験できます。

ただし、これは供与核酸が全て同定済み核酸の場合に限ります。

毎日こんな案配と言うわけではありませんが、今日は特にカルタヘナ日和でした。

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2008年6月24日 (火)

ブログは木のうろではない

「王様の耳はロバの耳」という床屋の叫びを彷彿させます。朝日新聞より。

司法修習生、取り調べや刑務所の様子ブログに 長崎

2008年6月19日11時40分

 長崎市で実務修習をしている20代男性の司法修習生が、自身の日記をつづったブログに取り調べや刑務所見学、 司法解剖の立ち会いの様子や感想など、修習の内容を書き込んでいたことがわかった。修習生を受け入れている長崎地裁は「書き込みが、 司法修習生に関する規則が定める守秘義務違反にあたる可能性があり、調査したい」としている。

 地裁などによると、この修習生は07年から長崎市の裁判所や法律事務所、検察庁で実務修習を受けている。 実習の感想や出会った法律家の人柄、周辺雑記などをブログに書き込んでいた。

 書き込みの中には、取り調べの実習の様子を記したものがあった。「はじめて取調べやりました。相手はばあちゃん。 途中から説教しまくり。おばあちゃん泣きまくり」「なんで若造がばあちゃんを説教してるのか。なんとなく、権力というか、 自分の力じゃない力を背後に感じた」などと被疑者の性別や年齢が明かされていた。

 また、刑務所を見学した際には「工場で作業をしている受刑者たちは、なんだかロボットのよう。何を考え生きているんだろうか」 「いま自分が取り調べ中の被疑者は、刑務所出所後5日目に、また犯罪行為に出た人で、 この人は刑務所でしかうまく生きていけないんじゃないかと感じた」などと、受刑者や被疑者について触れている。

 裁判所法に基づく司法修習生に関する規則は「修習にあたって知った秘密を漏らしてはならない」と定めており、 地裁では修習生の行為が規則に抵触している可能性があるとして調べる。

ブログは木のうろではありません。多くの人が目にする機会もあります。 ブログに書いた内容がフィクションなら守秘義務違反にはならないんですが、 被疑者個人や容疑を特定できる書きぶりであれば守秘義務違反に問われるおそれれはあります。メーリングリストも然り。

「なんで若造がばあちゃんを説教してるのか。なんとなく、権力というか、 自分の力じゃない力を背後に感じた」

というのは、微妙な線。老女の調書をとった、と言うだけのとのことであれば容疑者には当然、 老若男女が居るわけで守秘義務違反とまでは言えないはずです。むしろ、上記のような感想をもらすことが、 法曹の信頼を損ねるような書きぶりであれば信用失墜行為にあたる可能性がありますが、筆者個人の身分を特定できないブログ (たとえばペンネームで書いていて、筆者を特定できない)であればそれも難しいでしょう。文書で注意くらいで済ますほかないのでは?

私のブログは実名で書いていますので、 喩えフィクションでも内容によっては信用失墜行為に当たる可能性は常にあります。あまり馬鹿なことを書くと、「ふーん、 某独法の主任研究員は、あんな阿呆でも務まるのだ」と組織の信用を穢した信用失墜行為および守秘義務違反に問われる恐れがあるので、 このへんでよしておきましょう。

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2008年6月23日 (月)

アジサイには毒があります

2010/6/16 情報が古くなってきたので、こちらで更新しました。

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つくば発、天然毒による集団食中毒。朝日新聞より。

アジサイの葉を食べ食中毒

2008年06月23日

 県保健福祉部は22日、つくば市の男性1人、女性7人が、同市の飲食店でアジサイの葉を食べ、食中毒になったと発表した。 県は料理を出した「遊食伊太利庵藤右エ門栄(ゆうしょくいたりあんとうえもんさかえ)」を同日、営業禁止処分にした。
     同部によると、アジサイの葉やつぼみ、根には青酸配糖体と呼ばれる有毒成分が含まれる。かんだり胃の消化酵素と反応すると、吐き気やめまい、けいれんなどを起こし、死に至ることもあるという。
     13日夜、客の1グループ19人の料理の添え物にアジサイの葉を出したところ、10人が食べ8人が吐き気やめまいなどを訴えた。2人が医療機関を受診したが、いずれも軽症という。
     同部は「季節料理の彩りのために出したようだが、決して出さないでほしいし、客も食べないでほしい」と呼びかけている。

 梅雨時らしい季節の話題ですね。季語のアジサイと食中毒。すばらし・・・くもないか。保健福祉部の 「客も食べないでほしい」という呼びかけも何だか笑えます。 アジサイの葉の形はエゴマにちょっと似ているので、黙って出されたら私でも食べてしまうかも知れません。

 アジサイに毒性があるとは知りませんでした。調べてみると種としては同一のHydrangea macrophylla var. thunbergii の方は、甘茶の原料で、甘味物質を生成するらしい。ただし、 若い葉青酸配糖体が含まれており、葉の成長とともに減少し痕跡程度になるするとある。 レストランでは、様子の良い若い葉を出したのでしょう。親切のつもりが仇になった模様。

 青酸配当体は胃酸と反応するのかと思ったら、 Wikipediaによると腸内細菌のβ-グルコシダーゼで糖鎖が分解されてシアン化水素が生成するとある。・・・だとすると、 上の記事とは作用機序が違います。また食後30分くらいは無症状ですね。

 使いようでは口に甘い甘味料ですが、そのまま食べると有毒植物。ですが、 青酸配糖体はウメやジャガイモの芽など植物毒素としてはポピュラーですのでアジサイが特に危険というわけではありません。 眺めるだけにしておけばいいんですから。

 それはさておき、アジサイの学名はHydrangea macrophyllaです。 Hydrangea otakusa Siebold et Zuccariniというシーボルトの命名は二番目だったため無効らしいとのこと。

 ついでに、関連する面白いお話。伊豆半島、 天城の地名の由来は甘茶にあるとか

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