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2008年6月8日 - 2008年6月14日の記事

2008年6月14日 (土)

iPS細胞・人工万能細胞の遺伝子組換え実験の法規制

カルタヘナ法の規制とiPS細胞を使った実験の兼ね合いを論考したblogがあった。

http://plaza.rakuten.co.jp/sphigomonas/diary/200801260001/

トラックバック先のURLが見つからないのでとりあえずリンクしておく。

規制対象かそうでないかは具体的なケースを並べてみないと分からないので。以下に列挙する。

 

規制対象

 
       
  • レンチウイルスベクターの構築から培養細胞へのトランスフェクションまで。
  •    
  • キメラマウスの作成。
  •    
  • マウス成体へのiPS細胞、iPS細胞から分化させた細胞の移植。
  •    
  • ヒトへのiPS細胞、iPS細胞から分化させた細胞の移植。(治療プロセス)
  •  
 

規制対象外

 
       
  • 樹立させたiPS細胞の培養などin vitroでの実験。
  •    
  • iPS細胞、iPS細胞から分化させた細胞の移植されたヒトの日常生活。 (治療後)
  •  

トランスフェクションできるように外被を被せた組換えウイルスや、そのベクター構築のための大腸菌の組換え実験は当然、 カルタヘナ法の規制対象。

一方、遺伝子導入用のウイルスベクターの多くは(全てではない!)は、 ウイルスとして自立的に粒子を増幅する能力が無い様に欠損変異の導入などがしてあるので、 培養細胞に感染させた状態では、法律上は”遺伝子組換えウイルス”ではない。また、培養細胞も法律上の” 生物”ではないので規制対象にはならない(ただし、 HEK293細胞+アデノウイルスベクターのように明らかに遺伝子組換えウイルス粒子を放出する組合せの場合は規制対象になる)。

ただし、厄介なのは、ウイルスベクターの構造によっては複製可能なレトロウイルス(RCR)が生成する場合があるので、 これが残存する場合には規制対象となってしまう(増殖性のウイルスが生成する場合は他の種類のウイルスベクターでも同様)。

iPS細胞の場合、将来は細胞バンクのような形で医療用の細胞株を樹立しておいて、その時点でRCRの発生が無いことが確認できれば、 いずれは、それを使った移植に関してはカルタヘナ法の規制対象から除外できる可能性はある。・・・厚労省の対応如何ですが。

キメラマウス作成や、マウス成体へのiPS細胞・iPS細胞から分化させた細胞の移植は、 レンチウイルスベクターがマウスゲノムから見て異種生物の核酸であるため、 遺伝子組換え生物の作成に当たるので規制対象

・・・と言う具合に、規制対象になるケース、ならないケースがモザイク状になる。原則は規制対象だが、 培養細胞とヒトを規制対象から除外するルールだと理解すると分かりやすいかもしれない。

なお、遺伝子治療として先行事例のあるウイルスベクターについては、ここに11件の第一種使用の事例が登録されている。 個別の事例の「遺伝子組換え生物等の使用等の方法」の欄を見ていただくと分かるのだが、 いずれもウイルスベクターを導入した細胞を患者さんに投与して数日目以降は第一種使用等には含まれない。

そう。ヒトは”カルタヘナ法の規制対象となる生物”ではないので。

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宮城県南部でM6.7の地震

防災科学研究所の公表では以下の通り。

震源マップ

■ 震源情報
震源地 岩手県南部
震源時 2008/06/14 08:43:45.38
震源緯度 39.03N
震源経度 140.88E
震源深さ 8km
マグニチュード 6.7

2005年の「宮城県南部地震」(M7.2, 死者なし)よりも規模は小さい。 今回は震源が内陸だが山間部の人口密度の至って低い場所なので、直下型地震として被災した方は極少ないと考えられる。

今回は緊急地震速報は間に合った。

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2008年6月13日 (金)

細胞分化誘導へのアプローチ

6月12日、読売新聞より。

遺伝子3種類で「インスリン」細胞を作り出す

マウスで米大教授ら成功

  【フィラデルフィア(米ペンシルベニア州)=矢沢寛茂】膵臓(すいぞう)に3種類の遺伝子を入れるだけで、血糖値を下げるインスリンを分泌するベータ細胞を作り出すことに、米ハーバード大のダグラス・ メルトン教授らのグループがマウスの実験で成功した。  

 11日、当地で始まった国際幹細胞研究学会で発表した。様々な組織の細胞に変化する胚(はい)性幹細胞(ES細胞)   や新型万能細胞(iPS細胞)を使わずに簡単につくることができ、ベータ細胞が破壊され、インスリンを作れない1型糖尿病の治療への応用が期待される。

 メルトン教授らは、遺伝子操作でベータ細胞を作れないようにしたマウスの膵臓に、ウイルスを運び役にして膵臓に関連した遺伝子を注入。1100種類を試し、受精卵から膵臓ができる過程で働いている3遺伝子がベータ細胞を効率よく作るのに欠かせないことを突き止めた。

 この3遺伝子を入れた2割のマウスで、膵臓の95%を占める外分泌細胞の一部が、ベータ細胞と極めて似た細胞に変わった。インスリンが分泌され、血糖値が下がるのも確認された。直接、ベータ細胞の状態に変わったとみられる。

 1型糖尿病患者は、インスリンを注射するしか血糖値を調節できないため、ベータ細胞をES細胞やiPS細胞などから作製する研究が世界中で行われている。メルトン教授は、「狙った細胞を体内の狙った場所に作れることが分かった。とてもミラクル。神経や肝臓細胞などにも応用できるのでは」と話している。  
  (2008年6月12日  読売新聞)

 論文が出るまで詳細は分かりませんが、「ウイルスを運び役にして膵臓に関連した遺伝子を注入。 1100種類を試し、受精卵から膵臓ができる過程で働いている3遺伝子がベータ細胞を効率よく作るのに欠かせないことを突き止めた。」 という記述からは、iPS細胞の誘導の際に行ったように、遺伝子導入の試行錯誤で辿り着いた成果のようだ。

 この種の切り口がもう少しスマートにやれるようになると色々応用範囲も広がるのだが、 絨毯爆撃方式はお金がかかるしマンパワーもいるしで、社会的なインパクトが大きな成果が見込める場合以外は、 普通はなかなかやれるものではない。

 ちょっと考えてみても、 レトロウイルスに1100種類のcDNAを組み込んでCMVプロモータなどで過剰発現させるとして、コンストラクトを1100種類用意して、 いつでも使える状態にしておくのは結構大変だ。技術的には、Gateway systemのおかげで、 完全長cDNAのライブラリーがEntry vectorに載った物がフルセットあれば過剰発現用のレトロウイルスベクターもシリーズで作るのが比較的簡単なってきてはいる。

 これまでは、例えばiPS細胞の誘導のように、 未分化状態の誘導のためにウイルスベクターでcDNAを過剰発現させるアプローチがとられてきた。今回のニュースでは、 分化誘導のために同様の手法が使われている。考えてみると、未分化状態の細胞というのは遺伝子発現の様相から言えば、おそらく一種類 (あるいは数種類)の状態しかない。逆に、分化した状態の細胞はもの凄く多様だ。上のニュースで上手くいったのは、 ランゲルハンス島β細胞様の細胞だが、これは神経や肝臓細胞どころか、 あらゆる細胞の分化誘導が同じような手法でできる可能性があることを示している。

 となると・・・ レンチウイルスベクターにヒトやマウスの完全長cDNAをのせた過剰発現用ライブラリーをリソースとして網羅的に整備すれば世界的に引く手あまたではないか? ゲノムネットワークもH20で終わるようだし、 FL-cDNAのリソース整備の次はトランスフェクション可能なFL-cDNAライブラリの整備に向かっては。 iPS細胞からの分化制御のキーテクノロジーになりそうです。

 shRNAでは各種遺伝子のノックダウン用のセットが販売されているが過剰発現用のレンチウイルスベクターのセットはまだ見たことがない。 個別の研究者が、ちまちまと完全長cDNAをレンチウイルスに載せ換えている時代でもないだろう。

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2008年6月12日 (木)

Attack of the killer tomatoes

6月11日、朝日新聞の記事より。

殺人トマト? 米で食中毒騒動、マックなど使用自粛

2008年6月11日19時28分

 【ニューヨーク=真鍋弘樹】米国各地で4月中旬以降、サルモネラ菌に汚染されたトマトによる食中毒が167件確認され、 ハンバーガー店などの外食産業が生のトマトの使用を控える動きが広がっている。

 米食品医薬品局(FDA)によると、被害が出ているのは大型の品種で、小型のチェリートマトなどは安全が確認されている。 FDAがサルモネラ菌による食中毒の恐れを警告したのがきっかけで、 マクドナルドなどの大手外食チェーンが次々と該当するトマトの使用を自粛。 最大手のウォルマートなど小売りチェーンも販売を控え始めている。

 サンドイッチなどに欠かせない食材だけに消費者の間では動揺が広がり、タブロイド紙のニューヨーク・ポストは1面で 「殺人トマトの攻撃」という見出しで報じた。

その昔、突然変異で凶暴化したトマトが人類を襲う、というB級映画がありました。タイトルはまさに”Attack of the killer tomatoes”。Wikipediaによれば1978年の作品だとか。 今から、30年前のことです。ニューヨーク・ポストの見出しを付けた方は、 1978年当時かそれ以降にこの作品を見たことがあるのかも知れません。

食中毒情報からは思いっきり横道にそれますが、1978年の時代背景から言えば、 突然変異育種法の研究が華やかな時代でした。ムギの突然変異育種の研究に関する牧野さんのまとめがこちらにありますが、 文献リストを見ると1960年代中頃から1970年代後半にかけての時期に集中しています。イネでは一足早く、 日本では1966年にガンマー線による突然変異育種(一種の放射線育種)でレイメイという半矮性の品種が育成されています。

”Attack of the killer tomatoes”というB級映画の背景には、こうした放射線の利用、 放射線異育種という技術革新で生まれた新しい作物の登場あったのかもしれません。丁度、今日のメディアに対する遺伝子組換え技術のように。 たとえば、ジュラシック・ パーク(1993)バイオハザード(2002)の着想には遺伝子組換え技術の影響が見られますが、 これらに前後する現実の技術革新には、日持ち性の良い遺伝子組換えトマト"FLAVR SAVR"(1994年市販化)があります。

ちなみに、ゴジラ(1954)は突然変異+巨大化という組み合わせで作り上げられたイメージですが米国が1954年にビキニ環礁で行った水爆実験によって日本の漁船員が死の灰等で被爆した、 いわゆる第5福竜丸事件の影響で、放射能の影響を発想したのだと言われています。時期的には放射線育種の隆盛よりも早いので、 放射線育種の影響では無かったと考えられます(逆に、研究者がゴジラから放射線育種を発想することは・・・まぁ、無いでしょう)。一方、 巨大化については、放射線育種に先行して行われていた倍数性育種の影響はあるのかも知れません。

なお、原子力の平和利用のためにIAEAが設置されたのが1957年、 その後FAOの協賛で各国で放射線育種が推奨されてきたことから、時系列で見ると”第5福竜丸事件→(ゴジラ)→ 放射線育種 → (殺人トマト)”という弱い因果関係が見て取れます。

放射線育種の隆盛期からは30年。今日では「放射線育種で育成した品種は体に悪い」という社会運動はありません。 遺伝子組換え作物の市販かからは10年ほどなので、 遺伝子組換え作物もあと20年以内には特段騒がれるような物ではなくなっていることでしょう。

# まあ、今時、F1品種を悪者にして顧客を囲い込もうという悪辣な商売もあるようで。 何かを貶めることでしか自らの優位性を示すことができないというのは実に気の毒です。

 


 

さて、真面目なお話。CDCの公表した最近発生したサルモネラ菌による食中毒の情報の調査結果はこちら。

http://www.cdc.gov/salmonella/saintpaul/

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2008年6月11日 (水)

植物用 binary vectorについての覚え書き-1

アグロバクテリウム法による植物の形質転換用バイナリーベクターについてのレビューがある。

Lee, L.Y and Gelvin, S.B. (2008) T-DNA Binary Vectors and Systems,  Pant Physiology 146:325-332

http://www.plantphysiol.org/cgi/content/full/146/2/325

Table 1.に多数のベクターが一覧されており、Ori、 ベクターの特徴、Gateway systemへの対応、 Bacteria用選抜マーカー、植物用選抜マーカー、論文の出典が記載されている。所内の実験計画の申請者には是非見ておいてほしい。 どこかで紹介しておこう。

レビューは別として、一般的なT-DNAベクターの主要な構成要素は以下の通り。

     
  • 複製開始点
  •  
  • 抗生物質耐性等選抜マーカー
  •  
  • T-DNA

複製開始点

バイナリーベクターと言うからには二種類以上のバクテリアが宿主になる。 それぞれの宿主でプラスミドが複製される際に使われる複製開始点は、いくつかのオリジナルなプラスミドに由来しており、 それによってベクターを分類することができる。

     
  • 全ての宿主で同じ複製開始点を使用できるベクター(代表例はRK2由来のoriVの様なタイプ)
  •  
  • 宿主ごとに異なる複製開始点が使用できるように設計されたベクター   (代表例はpVS1由来のoriVとpMB1由来のColE1やその変異型をもつタイプ)がある。

前者のRK2由来のタイプのベクターは、宿主としてRhizobium rediobacter (別名、 Agrobacterium tumefaciens)を組み合わせると認定宿主ベクター系に該当するが、 後者のpVS1系のベクターは、RK2系とは由来が異なるので(緑膿菌、Pseudomonas aeruginosa 由来)、認定宿主ベクター系に該当しない。

このほかにplasmidの不和合性(incompatibility)に着目した分類法もある。

どの複製開始点を使うかは、ベクターのコピー数や安定性に関わる問題なので用途によって使いやすいものを選べばよい。例えば、 BAC由来の巨大DNAで形質転換したい場合は低コピーで安定なものが良いだろうし、 そうでなければ高コピー数のpVS1+ColE1の方が良いだろう。

変わり種は、酵母の2 micrometer originを持つタイプ。佐賀大学の永野先生の開発したシリーズで、 高コピー型のpSU7(ntpII, ColE1)、低コピー型のpSU23(ntpII, pBR322)がある。 これらは酵母の相同組換え系が利用できるので、Gateway systemのようにLR反応、 BP反応のような特定のサイトを介さずにベクターのコンストラクションができる。

このベクターは、宿主がRhizobium、大腸菌、酵母と3種類にまたがっているので、もはやbinary vectorという呼び方は正しくないかも知れない(shuttle vectorという言い方でも正確ではないかも)。

Clonaseが要らないのでランニングコストが安い、制限サイトを無視して”切れない”   コンストラクトが作れる、大腸菌のコンピテントセルの形質転換効率はそこそこで良い、エントリーベクター、デスティネーションベクターの抗生物質耐性の組合せに配慮が要らない、相同組換えでシームレスなコンストラクトが作れるので余計なDNA断片を含まないため製品向けを意識した組換え作物の場合は説明しやすい、などメリットは多い。

反面、multi site Gatewayでのベクターコンストラクションと比べると、形質転換酵母の増殖に2日程度かかり、酵母から抽出したplasmidで再度大腸菌を形質転換するので、大腸菌で最終的なコンストラクトの確認ができるようになるまでに1-2日余計にかかる。・・・なので、プロモーターを数種類入れ替えたコンストラクトのシリーズが短時間にほしいと言うような場合には向かない。

pSU7もpSU23もバクテリア用の抗生物質耐性遺伝子がKmRなので、pCAMBIA1105やpPZP200系のようにSp/Smのベクターには使えないので要注意。

抗生物質耐性等選抜マーカー

Bacteria用

組換え大腸菌と組換えRhizobium を選抜するためのマーカー遺伝子。KmR(KanR)が圧倒的に多いが、 Sp/Sr、Gentもある。sh_bleは見たことがないがおそらくアグロバクテリウムでも使えるだろう。 最終的に形質転換植物には導入されないか、導入されても発現はしない(ベクターバックボーンの宿主植物への組込については別の機会に書く)。

植物用

抗生物質耐性遺伝子ではnptII(KmR), HPT(hyg, HPH) が圧倒的。イネでは主にHPT。 このほか抗生物質耐性遺伝子ではないが、EPSPSやBarが使われることもある。

最近は、OECDの推奨もあって、ALSやPMIなど、抗生物質耐性ではない選抜マーカーも普及し始めている。

(ALS= アセト乳酸合成酵素、PMI= phosphomannose isomerase)

補足

PMIについては近く耐熱性アミラーゼを持った実用品種の第一種使用が始まる見込(OECD IU: SYN-E3272-5)。

ベクターに組み込まれた抗生物質耐性遺伝子をゲノム中から切り出して除去するシステムも実用化されている。 Monsantoの高リシントウモロコシ(OECD UI: REN-OOO38-3)では、 ファージのcre-loxシステムでnptIIを除去している。

T-DNA

植物ゲノムに組み込まれる領域。末端の境界部分にLB (Left Border)、RB(Right Border)と呼ばれる、 不完全な25 bpsの反復配列がある。たとえばこちら(pGWB1)。 このアクセションではT-DNAのfeaturesは詳細に書かれています(逆にバックボーンの情報はありません)。

※ 最低なのはこちら (pPZP200)のアクセション。おいっ!と言いたいくらいfeaturesに何にも書いてない。

その他

植物用のバイナリーベクターはバックボーンだけで10 kbを超えるものも普通。 シーケンスのコストが高かった時代に作られた古い世代のベクターでは、最近までバックボーンの塩基配列情報が無かったものも少なくない。 例えばpBI121のシーケンスが登録されたのが2003年。 長く使われてきた割に、中身は余りよく知られていなかったのだ。まあ、 比較的最近までT-DNA以外の領域は偶発的にしか植物ゲノムに組み込まれないと考えられてきたので、それで問題なかったのだが、 ケーススタディーが積み重なると実はそうでもないことが分かってきた。

また、アグロバクテリウムの形質転換もelectroporationが普通になってきているので、 bomなどtriparental mating (接合)に必要な構成要素がベクターになくても良くなってきている。

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2008年6月10日 (火)

ジャガイモの起源地論争

ジャガイモの起源地を巡ってペルーvsチリの論争が勃発。 そこにボリビアが参戦して混迷を深めている模様。

ジャガイモの伝搬についての地図はこちら

「イモの起源」はどっち?一歩もゆずらぬペルーとチリ

【6月5日 AFP】アイルランドではイモ飢饉(ききん)が起こり、ダン・クエール(Dan Quayle) はイモのつづりを間違え、ロシアの料理人はイモに誓いをたて、中国はイモの最大の生産国――そして現在、イモはその「出自」 をめぐりアンデス山脈で繰り広げられる舌戦の最前線に位置している。

 イモの起源が南米であり、 16世紀スペインの植民地開拓者によって欧州に伝えられたことについては専門家の意見が一致しているが、 ペルーとチリは長年その起源が自分の国にあると論争を繰り広げてきた。

 国連(UN)が2008年を「国際ポテト年(International Year of the Potato)」 と定めたことにより、「パタタ(patata)」(アンデス山脈のケチュア語では「パパ(papa)」) の起源を持つ国としての名誉をかけ論争がヒートアップしている。

 国連サイトにも掲載された「イモは7000年前にペルー南部のチチカカ湖(Lake Titicaca) 周辺で最初に栽培された」という科学的証拠にチリが反論し論争に火がついた。同国のマリヘン・ホンコール(Marigen Hornkohl)農相はオランダの7000種のイモのほとんどがチリ産のジャガイモと遺伝子的なつながりを持っている、 とDNAテストを引き合いに出し、チリ起源説を主張した。

 ペルーの反応はもちろん激しいものになった。日刊紙La PrimeraのCesar Hildebrandt論説委員は 「農作物に関する7000年の著作権」を自分のものにしたいのだ、とチリを非難。他の日刊紙も、「ペルーのイモを盗もうとしている」 とチリを非難し、ブドウから作られるアルコール飲料「ピスコ(Pisco)」やカスタードを使ったデザートなど、 チリとの食べ物の起源をめぐる論争をとりあげ、イモ論争に加わった。

 ペルー農業省傘下の研究所長は、チリのイモがペルーに起源を持つものであることは疑う余地がないと話し、チリ原産の種は、 チチカカ湖北の地域で栽培が始まったペルーのイモの「子孫にすぎない」という。

 ペルーとチリとの論争が煮詰まる中、ボリビアが両国のものよりも起源の古いイモを確認したと主張、第3の「シェフ」が現れ、 煮えたぎる論争の鍋をかきまわす可能性もでてきている。(c)AFP/Gilles Bertin

作物の栽培化の起源地については、大抵の場合、決定的なことは言えない。 考古学的な資料が見つかるたびにどこかに移る。上の記事のように、 「オランダの7000種のイモのほとんどがチリ産のジャガイモと遺伝子的なつながりを持っている」としても、調べてみれば 「オランダの7000種のイモのほとんどはペルー産のジャガイモと遺伝子的なつながりを持っている」ということも分かるだろう。

イネやオオムギの栽培化の過程を見れば分かるように、野生のジャガイモの祖先から栽培化されてきた過程も、 もしかすると一元的ではないことも考えておかなければならない。考古学的な資料から最古の栽培化起源地であることが分かっても、 それが今日のジャガイモへと直結するとは限らない。せっかく栽培化されても、一度は滅びてしまうということさえありうるのだから。

これは研究者に任せておくべきテーマであって、 政治家やマスコミ関係者の発言で真相が変わるというものではないのだ。ま、 皆さん激しくジャガイモを偏愛しているということは良く伝わってくるが。

さて、7,000年前ですか・・・ペルーという国も、チリという国もなかったように思うのですが、 なぜそんなに起源地にこだわるんでしょうかね。起源地がどこかということよりも、今日の両国の国民へと繋がる先人達が、 作物をよりよいものに改良してきた歴史的な事実を共にたたえ合う事の方が大切だろうに。 栽培化当初のジャガイモなんてどうせろくなものではなっかたと思うのだが。

ご先祖様は子孫達のつまらない対立を草葉の陰から見て、きっとあきれているに違いない。

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2008年6月 9日 (月)

第二石炭紀の到来?

えー、今月は環境月間でございます。

環境月間、つまり今月は環境保全のことを考えようということで、 週末ともなると民放では環境保全をおもしろおかしくアピールするおばか番組で喧しいありさま。

そんなテレビ番組を見るのにテレビをつけておくくらいなら、1秒でも早くOFFにした方がよほど環境に優しいであろうにとおもいます。 だいたいなんだって発電床の上でよさこいソーランを踊らなきゃいけないのか、意味不明です。発電する電力と、 それを視聴者に届ける電力を比べれば、なーんにもしない方がましでしょう。

NHKも馬鹿な世論調査をやっていて「環境税の導入に賛成か反対か」だって。税率や用途という大前提の設定なしに聞くものだから、 「わからない」と言う回答がたしか38%。そりゃそうでしょう。判断の材料もなくぶしつけな質問をされたら誰だって「わからない」 と言いたくなります(でも6割の方は、前提の説明なしで賛否を表明している。これはこれで、短絡的で恐ろしい)。

さて、現状で地球上の植物たちが固定できるCO2の量は年間何トンくらいなんでしょう。それに対して、 人類が排出するCO2とCO2の自然増を加えた量はどのくらいあるんでしょう。つまり、CO2の収支を(とりあえず)ゼロにするには、 どのくらい排出量を削減しなければならないのでしょうかね。そのあたりの事情はマスコミ報道を聞いてもさっぱり分からない。 だいたいマスコミは定量的な議論をする能力が低いので、期待してはいけないのですが。

で、CO2の収支がゼロになったところで、産業革命以降のこれまでの温暖化の流れから言えば、地球温暖化は止まらない訳です。もし、 気温を下げる方向に持って行きたいのであれば、CO2の収支をマイナスにするか、 火山の大噴火並のエアロゾルを成層圏にばらまいて地表や大気に吸収されて熱に変換される太陽光を遮断するくらいしかできません。でもなきゃ、 温暖化は止まらない。

政府の言ってる施策を実施すると、あるいは国際的な温暖化防止のフレームワークが機能すると、温暖化は止まるんでしょうか。それとも、 どのみち止まりはしないのだが、温暖化の進行が少しゆっくりになるのでしょうか。数値目標を掲げて、 産業界や家庭でのCO2排出量を減らせというのなら、その結果どの程度の効果が見込めるのかも政府には説明していただきたい。

実は、CO2排出量を減らしても、もう手遅れです・・・という事態もあり得るし、効果のほどは分からないけど、 産業革命以降増えた分はとりあえず減らしましょう・・・というあまり科学的根拠のない精神論かもしれない。

とりあえずIPCCのホームページでも見ておきましょうかね。 気象庁による第4次評価報告書の抄訳はこちら

結局、「人類の活動が気候変動に影響を及ぼしている可能性がかなり高い」という結論。ま、気候変動に関する政府間パネルなので、 専門は気候変動。CO2の収支ではないのだよね。

ともあれ、最悪のシナリオの最悪のケースでは2099年には平均気温が6.4℃上昇、最善のシナリオでも、最もありがちな予測値では、 0.6℃の上昇とある。努力次第では温暖化がゆっくりになるんですね。

・・・でも結局、最善のケースでも地球温暖化は止まらない。・・・なんだ。

このまま行くと、再び石炭紀が訪れるのではなかろうかね。

 

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