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2008年6月1日 - 2008年6月7日の記事

2008年6月 5日 (木)

「第1種使用規程承認組換え作物栽培実験指針の改正案」のパブコメ開始

表題の栽培実験指針のパブコメが始まった。 締切は7月4日。

栽培実験指針見直しの背景は「交雑に関する新たな科学的な知見が得られた等」。

この、新たな科学的な知見の内容については、こちらの参考資料にある (そのうちリンク切れするだろうから今の内にダウンロードしておきましょう)。

一方、従来の科学的な知見についてはこちら

新たな科学的な知見のポイントを以下に要約する。

 
       
  1. イネの花粉は隔離距離600mでも受粉する事がある。
  2.    
  3. 1.の受粉の頻度は0.028%程度。
  4.    
  5. 1.の事象が起こった状況は次の通り。
  6.    
  7.       
             
    • 花粉源の面積は2.3 ha
    •        
    • 開花期の卓越風はほぼ西南西-南-南南東。平均風速は3.2-9.9 m。        
    •        
    • 開花2週間程度前に 12.7-14.3 度の低温にさらされている。
    •        
    • 不稔率37.3-47.5%。
    •       
       
  8.    
  9. 冷害による雄性不稔で自家受粉率が下がったことで、遠方から飛来した花粉が受粉したと考えられた。裏付けのために、     人為的に低温処理で雄性不稔にしたイネを用いて交雑率を調査した。
  10.    
  11.       
             
    • 12℃、4日間の低温処理で交雑率は大幅に高まった(0.02% →         5.55%)。
    •       
       
  12.    
  13. 以上から、交雑の主要因は低温による雄性不稔、     副要因は大規模な花粉源と強い卓越風、と要約。
  14.  
 

これらから言えることは、5.の3条件が揃うと遠距離での交雑が起こるし、どれか一つが欠けても、   交雑は起こりにくくなるといえるだろう。

 

このほか、農環研が実施した試験結果を示している。   こちらは通常の交雑モニタリングが10,000粒を目処に行っているのに対して、   100,000粒以上を観測して0.0020%(!)の感度で検出しており、   試験規模が大きい場合は交雑が起こりやすくなると結論している(花粉源の栽培面積は20 a、   距離は最大40 m)。

 

また、シミュレーションによる交雑予測モデルを示し、交雑率0%を実現するには距離は無限遠になることを示した。また、   距離17m以上では交雑率0%の漸近線に相当近づいており、隔離距離による交雑率低減の効果は小さいことが予測された。

 

イネ以外については省略。

以上の新たな科学的な知見をふまえた改正案は以下の通り。

 

(1)隔離距離による交雑防止措置

 

イ 過去のデータに基づき、開花期の平均風速が毎秒3mを超えない場所を選定して行うものとする。   その場合においても、台風等の特段の強風が想定される場合には、防風ネットによる抑風又は除雄を行うものとする。  

 

ウ イネ及びダイズについて、開花前の低温により交雑の可能性が想定される場合には、(2)   に定める交雑防止措置を講ずるか、又は開花前に栽培実験を中止するものとする。

ちょっとわかりにくいので、「新たな科学的な知見」と、それに対する「対策」を対照させてみよう。

 
       
  • 冷害が起こると交雑しやすくなる
  •    
  •       
             
    • (2)に定める交雑防止措置を講ずるか、又は開花前に栽培実験を中止する。
    •       
       
  •    
  • 卓越風が強いと交雑しやすくなる
  •    
  •       
             
    • 開花期の平均風速が毎秒3mを超えない場所を選定して行う。特段の強風が想定される場合には、         防風ネットによる抑風又は除雄を行う。
    •       
       
  •    
  • 試験規模が大きいと交雑しやすくなる
  •    
  •       
             
    • 対策なし。
    •       
       
  •  

ん?試験規模に対する考慮はなし?

一般に、花粉源は試験規模に比例するので、試験規模が1/10になれば等距離での交雑確率も1/10になる。 シミュレーションでは隔離距離17m以上であれば、交雑率はほぼ0%。実測値でも、花粉源20 aの場合は距離10 m以上で交雑を検出するには120,000粒以上観察する必要がある(これで、交雑率は0.001%)。

となると、現行規制の30 m以上隔離すると、受粉確率は0%近傍で、ほぼランダムに変化するため、 等比級数的にしか変化しない栽培面積の効果は無視できるということだろうか。交雑が確認された要因に試験規模を挙げているのだから、 何故対応する規制の必要がないのかも説明して頂きたいところ。

この点を指摘しておこうかな。

また、冷害で周辺のイネが不稔になるのであれば、一般に組換え体の方も不稔になりがち。耐冷性の組換え体か、 本州方面で北海道の品種をベースに開発した組換え体でもない限り、 東北以南の本州方面では冷害による雄性不稔の効果は考慮しなくても良いだろう。

なので、栽培実験指針も地域別の対応があって良いのではないだろうか。(まぁ、そう読める規制ではあるものの。)

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2008年6月 2日 (月)

お米を沢山食べれば食料自給率は上がるか?

なんだか胡散臭いお話です。

 

お米たくさん食べる→減反不必要→自給率上昇 首相語る

2008年06月02日00時15分

 福田首相は1日、首相公邸前で記者団に米の減反政策について問われ、「たくさんお米を食べて、減反をしないで済むようになれば自給率は自動的に上がる。まずはそれをやりましょう。できることからやりたい」と述べた。町村官房長官は5月31日に「減反政策を見直していく必要がある」と語ったが、首相は政策見直しには言及しなかった。    

 一方、5月30日に発足した自民党食料戦略本部の本部長を務める加藤紘一元幹事長は1日のフジテレビの番組で「お米は余っている。それよりも大豆や小麦を作らないといけない。『農業は米だ』というこびりついた発想だ」と町村氏の見直し発言を批判し、自給率の低い大豆や小麦などの安定確保のため、国内生産のあり方や輸入ルート確保策の検討が必要だと指摘した。

まず現在、自給率向上の足かせになってるのは何か?農林水産省のホームページで公表されているデータを見てみよう。 ここでリンクしておいたのは結果の概要版なので、データの導出過程はあえて問題にしない。

これによると、昭和35年から平成18年の間に、食事からとるカロリーは上位4項目(1,667 kcal/2,548 kcal)では次のように変化している。

     
  • 米        :1,106 kcal → 585 kcal (-52l kcal)      
  • 畜産物     :    85 kcal → 394 kcal (+309 kcal)    
  • 油脂類     :  105 kcal → 368 kcal (+263 kcal)
  • 小麦       :  251 kcal → 320 kcal ( +69 kcal)    
     

なるほど米の消費が半減して、それを上回る熱量が主に畜産物、油脂類、小麦でまかなわれていることが分かる。

この変化は、一言で言えば「欧米化」と言えるだろう。・・・つまり、首相は、おかずを減らせと言ってるのですね(個人的には、 大きなお世話、だと思う)。たしかに、脂肪の摂りすぎは体に良くない。だが、 お米中心の食事でおかずの量を減らすと塩辛いものが食べたくなるのではないか?高血圧患者が増えなければよいが。

このあたりの関係は、厚労省の持っている死亡原因のデータと、 農水省の持っている食生活の変化のデータをつきあわせると相関が出るかもしれない。

しかし、落ち着いて考えてみると、現状では米以外の農産物はほとんど輸入依存なので、 米だけ消費を増やしても他の国産農産物の消費が減って輸入の比率はそのまま、 と言うことではパイが小さくなるだけで生産者にはメリットがない。何のための自給率向上なのか、 と言う議論の前提を整えないと何をやっているのか分からなくなる。とりあえず、 コメだけ食べていれば食料自給率が上がることは間違いないのだが。

最後に、かつて日本人がどのくらいコメを食べていたか、宮沢賢治に証言してもらおう。

  雨ニモマケズ
  風ニモマケズ
  雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
  丈夫ナカラダヲモチ
  慾ハナク
  決シテ瞋ラズ
  イツモシヅカニワラツテイル
  一日ニ玄米四合ト
  味噌ト少シノ野菜ヲタベ
  アラユルコトヲ
  ジブンヲカンジョウニ入レズニ
  ヨクミキキシワカリ
  ソシテワスレズ・・・・

1日に玄米4合というのは、当時、つましい食事の部類だったのでしょうかね。

ちなみに炊飯玄米の含水率は60%、乾物率は40%。炊飯前の玄米の含水率はだいたい13%、乾物率は87%。 玄米1合の重量は150 gなので4合の乾物重は、600 g x 0.87=522g、 飯としては炊飯すると2.5倍の重量になるので、1,350 g。カロリーで言えば、2,228 kcal。 昭和35年の総摂取カロリーが2,291 kcalなのでほぼ匹敵する。

ちなみに白米の場合、1,350 gで2,268 kcal。糠の繊維質が無い分若干、高カロリー。


賢治さんも、「欲ハナク」といいつつも、3食450 gずつご飯を食べるというのは、実は相当な食欲ではないですか? 茶碗1杯が160 g程度なので、毎食3杯。

朝から茶碗飯を3杯食えと言われても、私にはきついものがあります。ちなみに、450 gのごはんというと、 このくらいの分量になります。ちなみに我が家は麦13%位の麦飯です。試しに食べてみます。頂きます・・・

CIMG1042

・・・ごちそうさまでした。かなり満腹です。ほとんどおかずが食べられませんでした。告白しますが、これを毎日というか、 毎食続けるだけの根性が私にはありません。稲作農家の皆様、ごめんなさい。私はおかずも食べたいのです。 日本中がこんな食生活になると、畜産物や水産物の消費量全体が激減するので、 畜産業や水産業に従事している方々が間違いなく干上がってしまいます。結局、長期的には肉や魚の輸入比率が上がるのではないでしょうか。

おかずをほとんど食べないと言う前提だと、こんな風になるんですね。減反を緩和するために皆さんご飯を食べましょう・・・なんて、 総理や官房長官がどう言おうと、私にはとても言えません。

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