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2008年4月27日 - 2008年5月3日の記事

2008年5月 2日 (金)

遺伝子組換え実験教育訓練

今月、研究所内の講習会の講師を務めなくてはならない。今の職場に来て3年目になるが、 この講習会の講師は赴任した年以来なので3度目になる。

講習会のタイトルは「遺伝子組換え実験教育訓練」。

アイソトープの場合とは違って、「主任者」の資格試験がある訳ではない。教育訓練も、”基本的事項”の第二の2に、 配慮事項として定められているが強制力はない。もっとも、 初めての職場で遺伝子組換え実験を行う場合のルールを教えないという選択はあり得ない。ルールは知らなければ守りようがないのだから、 コンプライアンスの担保にはどうしても必要だ。

しかし、3年目で受講するメンバーもあまり変わらないとなると、教育訓練のテーマの選択が難しい。どうしたものか。

・・・と考えてみると、この1年間で色々、困った問題の相談が寄せられてきたので、 そのトラブルシュートと基本的な考え方を講義することにした。

  1. 困った問題その1: 植防を通らずに海外から組換え植物の種子が直送されてきた。どうする?
  2. 困った問題その2: コンピテントセルを買ったら、最初から遺伝子組換え生物だと書いてあった。実験計画にはまだ書いていない。 どうする?
  3. 困った問題その3: バキュロウイルス発現系でタンパクの調製を外注した。上清にバキュロウイルスが入っているかもしれない。 実験計画書にはまだ記載していない。どうする?
  4. 困った問題その4: Agrobacterium法で作成したPrimary transformantを譲渡したい。除菌はしているが、 Agrobacteriumが絶対に残存しないとは言い切れない。情報提供はどうする?

こうしてみると、対応が研究所内で共有されていない情報が結構あるものだ。

さて、どうしたらよいかわかりますか?

答えは教育訓練で。所外の方は、そのうちプレゼン資料を公開するつもりですので、どこかで答えを見ることができるかもしれません。

 

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2008年5月 1日 (木)

その輪は葉緑体ゲノムではなくて・・・

研究室にて。

植物用バイナリーベクターの複製開始点を文献で調べていて、Ri plasmidの全シーケンスを決めた論文を見つけた

PCのモニターでプラスミドのマップのFigureを見ていたら、後ろから来たTセンター長(リンク先はサイエンスポータル)
がちらっと見て、

T: 「なんだか見たことある図だなー」

と言って帰りかけた。

いや、そんなことはないだろう。Tさんは、Riプラスミドになじみのある研究者ではない。多分、 "あれ"と勘違いしているに違いないと思い、私は

D: 「葉緑体ゲノムじゃないですよ」

と言った。

T: 「インバーテッドリピートみたいなのもあるし、そうかと思った。」

二三歩帰りかけて

T: 「・・・よく分かったね」

 


 

・・・やっぱり、"あれ"と勘違いしていたのだった。っていうか、色分けされた輪を見て、 何を連想したかが分かってしまう自分が悲しい。そういう世代なのだよね。一頃は名古屋大学、杉浦研で作成した葉緑体ゲノムのマップがあちこちに貼られていたものだ。

ちょっと振り返ってみよう。

20年ほど前まで、日本の植物科学の研究者の間では、ゲノムシーケンスと言えば葉緑体かミトコンドリアと相場が決まっていた。 ながーいシーケンスゲルとRIで、ちまちまと、シーケンスをしていたものだ。ゲル板にアルミ放熱板を密着させて扇風機で冷却したりして、 700bpも読めたらもう大喜び。鉛筆を片手に、X線フィルムに写し出された”縦線のないあみだくじ” のようなGATGのシグナルの梯子段を、一つ一つ目で確認しながらマス目を書いた記録紙に写し取り、 パソコンに向かっては呪文のようにぶつぶつ言いながら4つのアルファベットが割り当てられたキーを押して入力するのがよくあるスタイルだった。

# 当時私は組織培養屋さんだったので、シーケンスはしていなかった。USBのSequenaseなんて使ったことはない。 就職してから、ビオチンラベルプライマーを使った化学発光系とdelta Tth polymeraseを使ってサイクルシーケンスをしたのが最初だった。

で、オルガネラゲノムの全遺伝子が分かって、結局、何が分かったのか?

そこから植物の進化に関する多くの知識が得られてきた事実はある。でも、 オルガネラの遺伝子だけで説明が付く生命現象なんてそれほど無いのだよね。今以て、オルガネラ遺伝子は核遺伝子ほど操作しやすくない。 生命現象というドラマに関わる役者(遺伝子)が全部明らかになっても、その演じる役割にはまだまだ分からないことが多い。 ドラマのストーリーを解説するという機能解析への道はまだ遠い。

# 逆を言えば、植物科学の研究者は、まだ食いっぱぐれないということでもある。

しかし、私は福岡伸一さんほど物事を悲観的に見ている訳ではない。いくつかの本で彼が言っていることは、 言い回しこそ紳士的ではあるが、結局、「ノックアウトなんかしてもどうせ何もワカンネーよ。」というだけのことだ。 それは研究者としては不誠実な態度だ。

野生型とノックアウトの違いが、顕微鏡で分からないならプロテオームがある。それでダメなら、マイクロアレイもMPSSもある。 なんならメタボロームもある。他の手だてを探して、何が起こっているのかを明らかにするのは研究者にしかできない仕事だ。

ノックアウトで遺伝子の機能を止めても、あるいは遺伝子を過剰発現させても、表現型が変わらないというのなら、 他の経路が動いて表現型を変えないようにしているはずだ。そこまでして生物が維持しなければならない表現型は、 きっと生きていく上で重要な役割を持っているに違いない。その生命現象は(あるいは、その研究テーマは)生き物にとって重要なものなのだと、 生き物自身がメッセージを発信しているのだ。そのことを喜んで、かつ謙虚に耳を傾けようではないか。 ふてくされて斜に構えている場合ではない。

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2008年4月30日 (水)

抗がん剤の「副作用減に道」?

研究者や患者を馬鹿にした本日のダメ見出し。朝日新聞より。

抗がん剤原料の猛毒もつ植物、なぜ平気? 副作用減に道

2008年04月30日01時42分

 大腸がんや肺がんなどに使われる抗がん剤イリノテカンの原料になる猛毒カンプトテシンをもつ植物が、 自らは中毒を起こさない仕組みを千葉大学の斉藤和季教授(植物細胞分子生物学)らが突き止めた。この仕組みを応用すれば、 薬を大量生産したり、副作用を抑えたりする方法が開発できる可能性がある。今週の米科学アカデミー紀要(電子版)に発表される。

 イリノテカンは、中国原産の落葉樹である喜樹(きじゅ) や南西諸島のクサミズキの葉からカンプトテシンを抽出、精製して製造している。これらの植物は、 動物に食べられないためや近くにほかの植物が生えないようにするためにカンプトテシンをつくるよう進化したと考えられる。

 薬の大量生産には酵母や大腸菌の遺伝子に原料の遺伝子を組み込んでつくらせる方法がある。しかし、 カンプトテシンができるとその毒で、酵母や大腸菌が死んでしまう。

 斉藤教授らは、カンプトテシンをつくるチャボイナモリという植物では、酵素の遺伝子に、 特殊な変異があることを見つけた。喜樹の酵素にも同じ変異があった。同じ変異を酵母の酵素に人為的に起こすと、 カンプトテシンがあっても酵母は増え続けた。そこで、この方法を応用すれば、イリノテカンを短期間に大量生産できる可能性があるという。 (鍛治信太郎)

紙媒体の新聞の方でもこの見出しでした。 「副作用を抑えたりする方法が開発できる可能性がある」というのは、明らかに言い過ぎです。

論文はこちら。

Mutations in topoisomerase I as a self-resistance mechanism coevolved with the production of the anticancer alkaloid camptothecin in plants
PNAS published April 28, 2008, 10.1073/pnas.0801038105 (Plant Biology) [Abstract] [PDF] [Supporting Information]

論文のタイトルからも明らかなように、抗腫瘍アルカロイド、 カンプトテンシンを産生する植物のトポイソメラーゼIには変異があって、それとアルカロイド産生とは共進化を遂げてきたのだ、 というのが論文の眼目です。論文の扱っている範囲は、植物の(遺伝子の)進化に限られており、 医療における応用についてはほとんど何も言っていません(考察の最後で、 抗がん剤に対する腫瘍の側の耐性の克服に役立つかも知れないとされていますが)。

もし仮に、副作用の際のカンプトテンシンの作用サイトが、 腫瘍以外の組織のトポイソメラーゼIであるとするならば、 植物と同じ機構でアルカロイドに対する耐性を付けて副作用を減らすにはどうしたらよいでしょうか?

それには、全身のトポイソメラーゼI遺伝子を変異型に変えるか、 ウイルスベクターなど何らかの方法で変異型トポイソメラーゼIを全身で発現させるほかありません。そんなことができるくらいなら、 がんの遺伝子治療ができてしまいます。抗がん剤の副作用を抑える方法としてはとても正気の沙汰ではありません。

オリジナルの論文なんか誰も読まないと思っていい加減な記事を書いてはいけません。 自分が理解できていないことを人に説明しようとしてはいけません。そんなことはできないんですから。

私が論文を読んで理解できる分野で、こんな誤った情報の垂れ流しがあると、 恐らく、それ以外の研究分野でも似たり寄ったりの事実の歪曲や誇大な報道があるのだろうと思ってしまいます。 朝日新聞には記者の科学技術リテラシーをもっと研鑽していただかないといけません。「伝えるスキル」は確かに重要ですが、伝える前に、 伝えるべき事実を自分が正しく理解しておくことはもっと重要です。それができないのであれば、 どのような事実も正確に伝えることはできないのですから。

私が比較的正確な記事だな、と思ったのはこちら。読売新聞。

植物から抽出効率的な生産期待

 千葉大薬学部(千葉市稲毛区)の斉藤和季教授を代表とする研究チームが、植物から抽出した抗がん物質「カンプトテシン」に関し、 その植物自体の細胞増殖には作用しないメカニズムを解明。併せて、 これらの植物では細胞増殖を促進する酵素のアミノ酸に変異部分があることを突き止めた。この研究論文は、 米科学アカデミー紀要の電子版に28日付(現地時間)で公開。より有効な抗がん剤の開発や、その効率的な生産が期待される。

がん治療のための抗がん物質は、アカネ科のチャボイナモリなどの植物から抽出されるカンプトテシンが広く使われている。 カンプトテシンは、細胞の増殖に深くかかわる酵素「DNAトポイソメラーゼ1」の働きを阻害することで、 がん細胞の増殖を抑える抗がん作用がある。

 同チームは、カンプトテシンを含む植物が、酵素の働きを阻害するにもかかわらず、自らは細胞分裂して成長する点に着目。 カンプトテシンを含む植物と、含まない植物の酵素を比較した結果、「含む植物」にはアミノ酸の変異があることが分かった。 すでに抗がん剤が効きにくくなったがん細胞内の酵素のアミノ酸には変異があることが分かっているが、「含む植物」 ではこれとは異なる場所にも変異が見つかった。検証実験を行った結果、いずれの場所の変異もカンプトテシンの効果を無効化していた。

 同チームの山崎真巳准教授は「将来的にがん細胞にさらなる耐性が備わった場合、酵素のアミノ酸には新たな変異ができるはず。 今回の研究により、その場所が推定できるようになった。また、 バイオテクノロジー技術を用いて成長の速い異種生物にカンプトテシンを作らせる場合、人工的に変異させることで、 効率的に生産することが可能になる」と話している。

2008年4月29日   読売新聞)

第1パラグラフで、論文の公開がいつかもちゃんと分かる。 科学的な事実の要約も1パラ目でほぼわかる。

残念なのは、 抗腫瘍剤として使用されているのはカンプトテシンの誘導体である塩酸イリノテカンの方。 従って2パラ目でカンプトテシンが広く使われているというのは誤解。

3パラ目、「同チームは、カンプトテシンを含む植物が、 酵素の働きを阻害するにもかかわらず、自らは細胞分裂して成長する点に着目。」と言う文は意味不明です。 変異型のトポイソメラーゼIは、カンプトテシンで阻害されないので、正しくは”同チームは、 カンプトテシンは通常は酵素の働きを阻害するにもかかわらず、これを含む植物では酵素の働きが阻害されない点に着目。”です。

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2008年4月28日 (月)

なんだかなぁ。

要約すると、go.jpなドメインから勤務時間中に2チャンネルなんか見てちゃいけません・・・というお話です。

 


 

私のblogは、アクセスログから見ても職場から見ている人が多い。しかも、プロバイダ越しにアクセスしている個人を除けば、大学、 研究所など理系の職場からのアクセスが大半だ。そのせいで、土日になるとアクセスが減る。動態を以下の図に示す。

グラフ

Figue 1. 曜日別アクセス集計。緑のバーは訪問者数。黄色はアクセス数。

オメガ・ブロガーなんで、アクセス数自体たいして多くない。しかし、今週日曜(24日)は特異日だったと考えられる。 具体的データはこんな具合。

グラフ2

Figure 2. 4/21-4/27の1週間のアクセス集計。 緑のバーは訪問者数。黄色はアクセス数。

訪問者数は平日並み。アクセス数が平日の2倍近くある。土日にアクセス数が減っているFigure 1.の傾向からは外れている (論文じゃないので検定は省略)。

この日は、普通の理系職業人の興味を引くような記事も書いてないので、なんでかなと思って、さらにアクセスログを見ると、 2チャンネルから飛んでくる人が多かった。

http://ime.nu/domon.air-nifty.com/dog_years_blues_/2008/04/post_6308.html  (リンク元はこれ)

このリンク元は、「2チャンネルからとばすけど良いか?」という確認の為のものなので元の記事はわからない。そこで、googleで、 "domon.air-nifty.com/dog_years_blues_/2008/04/post_6308.html"を検索すると、 とある産総研関係の掲示板に、このblogのURLと記事の引用が貼り付けられていた。

 


 

これで、blogのアクセスが増えるという一定の効果があるのはわかりますが、 2チャンネルにその書き込みをしたのは私ではありません。匿名でものを言う趣味はないので、これまで2チャンネルに書き込んだことはないし、 今後も書き込むことはないと思います。

日曜日のことなので、それ自体はどうでも良いのですが、今日(月曜日)のログはどうもいただけません。go.jpのサイトから、 同じ引用でこのblogに飛んできています。問題は、その時刻です。平日の日中、 2チャンネルを見るのはよしましょうや。このblog自体は、私が遺伝子組換え関連、 食品安全関連およびリスク報道関連の備忘録を主な使途として書いているものなので、分野によっては仕事上有益な情報も(多少は) あろうかと思います(ま、多分に趣味も入ってますが)。

ですが、リンク元が2チャンネルとなると、どう見ても仕事中に2チャンネルを見てるように思えるのですよ。

というか、 勤務時間中に2チャンネル見てるでしょ!

ま、業務なら仕方ありませんが。

・・・どんな業務ですか。

繰り返しますが、それ、よしましょうや。(特に150で始まるIPアドレスのパソコンの前に座っている、そこのあなた!)

 

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