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2008年3月30日 - 2008年4月5日の記事

2008年4月 3日 (木)

「諦める」にも勇気が要る

特定の中国産冷凍食品の餃子から、約20,000ppmのメタミドホスが検出された。県警の分析で明らかになったという。 ニュースはこちら。毎日新聞より。

中国製ギョーザ中毒:メタミドホス、基準値の6万倍検出--母子中毒、 未調理ギョーザ

 ◇千葉の母子中毒、未調理ギョーザから

 中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、千葉県警捜査1課は31日、 千葉市稲毛区の母子が食べて中毒症状を起こしたギョーザと同じ袋に入っていた未調理のギョーザから、 最高で基準値の6万4300倍の有機リン系殺虫剤「メタミドホス」を検出したと発表した。 5人が中毒症状を起こした同県市川市のギョーザの約6倍の濃度で、国内の成分分析では最高値。1課は「残留農薬のレベルではない」 とし、意図的な混入の可能性が更に高まったとみている。

 未調理3個と、母子が吐き出した1個を分析した結果分かった。 未調理ギョーザは皮1グラムから1490~1万7680ppm、具1グラムから410~1万9290ppm、 吐き出したギョーザは皮1グラムから1470ppm、具1グラムから1240ppmをそれぞれ検出した。 4個のうち3個で皮の方の濃度が高いことから、1課は成形から袋詰めの間に混入されたとみている。

 国が導入した原料野菜の残留メタミドホスの基準値は、ニラ0・3ppm、キャベツ1・0ppmで、 皮は4966~5万8933倍、具は1366~6万4300倍に相当する。ギョーザ1個(14グラム)当たり最大で263・ 62ミリグラムが混入していた計算で、女児は2個、母親は5個食べると致死量に達した可能性があるという。 母子は07年12月28日に「CO・OP手作り餃子(ギョーザ)」(07年10月20日製造)を食べ、女児が軽症、 母親がめまいなどを訴え、1日入院した。【斎藤有香】

 ◇昭和大学薬学部の吉田武美教授(毒物学)の話

 動物実験で半数が死ぬメタミドホスの「50%致死量」は体重1キロのラットで20ミリグラム弱。これを基準とすると、 体重50キロの場合1000ミリグラム、20キロの場合400ミリグラムが50%致死量になる。

毎日新聞 2008年4月1日 東京朝刊

エイプリルフールのジョークではないのが残念な限り。 日経FoodScienceでは松永和紀さんが何を間違ったか、「1億9290万ppm」と書いていらっしゃいます。 100万ppmで丁度100%になりますので、メタミドホス含有率1億9290万ppmの餃子ですと、 餃子成分の19,290%がメタミドホス・・・!?無理です。こちらの日付は4月2日なので、やはりジョークではないようです。

えー気を取り直して、今回の報道で欠けている要素の一つ。それはデータの整合性です。 餃子4個を分析したものの具と皮の濃度の対応が分かりません。

 

餃子 A B C D(食べさし)
410 19,290 ? 1,240
1,490 17,680 ? 1,470

 

と言う状況なのか、

 

餃子 A B C D(食べさし)
19,290 17,680より小 410 1,240
1,490 17,680 410より大 1,470

 

という状況なのか。あるいはその順列組合せ。まあ、どうだって良いんですけど千葉県警のホームページを見ても分かりませんでした。

また、この記事の基準値の6万4300倍という数字は19,290ppm/64,300=0.3ppmなので、 ニラの残留農薬基準をスタンダードにしているらしい。

残留農薬基準は食品ごとに決められており、 様々な食品を通じて摂取した場合にトータルで摂取される残留農薬がADIに達しないように設定されている。従って、 この基準値との比較でメタミドホスの影響をある程度推定する事が許されるのは、ニラがギョーザの構成成分の100%である場合に限られる。 構成成分の重量比からいえばキャベツの方が多いはずなので、書きぶりに悪意が感じられる。

高濃度を印象づけるためにこの数値引用したのだろうが、ちっとも分かりやすい記事になっていない。むしろ、 食品安全委員会で算定した4月4日までパブコメ中のARfDの0.003mg/kg体重/日や、 ラットの急性神経毒性の無毒性量0.3mg/kg体重/日との比較で考えた方が毒性の程度が分かりやすい。概ねこんな感じ。

ギョーザ1個が約14gなので、その2%がメタミドホスでできている場合、 ギョーザ1個を食べた場合に摂取されるメタミドホスは280mgになる。

体重60kgの人の場合、ARfDから算出される安全な1日摂取量は0.18mg。

従って、 ギョーザ1個で安全な摂取量の1556倍に相当するメタミドホスを摂取することになる。 この量はラットで毒性が表れる量を基準にした場合の約16倍に相当する。

毒性が表れないギリギリのラインの16倍の毒物を摂取した場合に中毒するのはまず間違いない。 数個を食べた場合には必ず何らかの症状が出るでしょう。しかし、マスコミ的には16倍ではインパクトが無いんでしょうね。 毒物の性質によって毒性が表れる量と、半数致死量の間が離れているものと、近いものがあるが、メタミドホスの場合は離れている方でしょう。

上記の新聞記事を読み直して気づいたのですが「メタミドホスの「50%致死量」 は体重1キロのラットで20ミリグラム弱。」・・・ラットの体重は、 Wisterラットの雄で450gくらい。大きなものでも800g位のはず。 体重1キロのラットは相当の大ネズミです。

多分、「メタミドホスの「50%致死量」はラットでは体重1kgあたり20ミリグラム弱。」 と専門家が言ったのを記者が勘違いしたのでしょう。たとえるにしても言い方ってものがあります。「体重250kgの人の場合、 5gのメタミドホスを摂取した場合、100人中50人が死亡します」と言われたら、どう思います?

残念ながらトータルではリスク情報が正しく伝わらないダメ記事です。

表題の”「諦める」にも勇気が要る”ですが、

結局、食品の原産国表示は毒物混入のリスクとは無関係。 意図的な毒物混入は原産国で発生頻度が異なると考えるべき根拠はないので、東京都が求めるように原産国を書いても安全性担保には役立たない。 また、食品メーカーは中国の食品工場に監視カメラを増設していると言う話も聞くけれども、 常時モニター画面を監視し続けて不審な動きがないかをチェックするのは、監視自体に相当のマンパワーを割かないと無理。 コンビニの防犯カメラが強盗の抑止に役立つかどうかを考えれば分かるように、毒物混入が分かった事後に犯人を絞り込むのに役立つ程度。 意図的な毒物混入を未然に防ぐ用は為さない。

食品原材料については残留農薬、重金属、ダイオキシンなどある程度ロットレベルでの安全確保はできるものの、 個別の汚染はどうやったってわからない。非破壊であらゆる毒物を検査する意外に避ける方法はないのだから。

また、加工後に腐る事もあるだろうから、食べ物に毒物が入っていない事を保障することはできないのだ。それは、 手作りにしてもおなじこと。いくら管理に気を配っても、できるだけの手を尽くしても、中毒のリスクは減りはしますがゼロにはならない。 中毒する時には中毒する他ないのです。

毒を喰らわば皿までと申します。さあ、腹をくくって美味しく頂きましょう。そして、勇気を持って諦めましょう。

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2008年4月 2日 (水)

体細胞クローン家畜の安全性評価を厚労大臣が諮問

畜産草地研究所(農業・食品産業技術総合研究機構)は平成16年からという農水省の「先端技術を活用した農林水産研究高度化事業」 という予算で安全性評価試験を実施してきた。 その成果と、内外の科学的安全性評価結果が出そろったところで、食品安全委員会に諮問する運びとなった。

朝日新聞より。

クローン牛、食べられる? 「一般牛と差異なし」報告

2008年04月01日

 農林水産省所管の畜産草地研究所は体細胞クローン技術で作った牛とその子の肉質や乳の成分が一般の牛と比べて 「生物学的な差異はない」との調査結果をまとめた。クローン技術では米国や欧州でも安全とする評価が相次いでおり、 厚生労働省は1日、クローン技術で作った牛や豚とその子について、内閣府の食品安全委員会に食品としての健康影響の評価を諮問した。

 同委員会が安全と評価すれば、国内で流通する可能性もある。ただ、消費者の不安もあり、厚労省によると、 世界的にも流通実績はない。

 体細胞クローンは、 核を取り除いた未受精卵にコピー元となる動物の皮膚などの体細胞から核を移植して代理母の子宮に戻して出産させる技術。 畜産草地研究所の調査では、体細胞クローン牛から生まれたクローン牛を調べ、栄養成分の分析やアレルギー試験などを実施。その結果、 一般の牛から得た乳や肉との差はないと結論付けた。

 米食品医薬品局(FDA)は今年1月、クローン技術で作った牛や豚、ヤギやその子から作られる肉・ 乳製品の安全性を従来の家畜と同等と評価。欧州食品安全機関(EFSA)も、 クローン技術で作った牛と豚とその子から作られる食品を安全とする方向で意見集約を進めている。

 日本では99年に農水省がクローン牛の国内出荷の自粛を要請。03年に厚労省の研究班は安全性を認める一方で、 食品の安全性には「慎重な配慮が必要」としていた。今回、クローン牛の子についても安全性が確認され、「科学的な知見が出そろった」 (厚労省の担当者)としている。

さて、FDAの評価ではたしかヤギが入っていたが日本ではなし。クローンヤギ肉が輸入されたら・・・ と言う懸念は無いのだろう。まあ、クローン牛そのものは相当高価なものと思った方がよいでしょうから「食べられる?」と言う質問には 「いずれ食べられる。当分はお金持ちに限って。」と答えておこうか。

もう一つ。毎日新聞より。

クローン肉:牛・豚、安全評価へ 厚労省が諮問

 体細胞クローン牛や豚と、その子孫の肉や乳などの安全性について、厚生労働省は1日、 国の食品安全委員会に対し健康影響評価を諮問した。農林水産省が3月、「体細胞クローン家畜は通常の家畜と同様に安全」 との報告書をまとめ、米食品医薬品局も同様の評価を公表したことを受けた。今後、米国などで市場に出る可能性もあるとして、 厚労省は評価の依頼を決めた。

 クローン技術を使えば、肉質が優れた牛や豚、乳量の多い牛のコピーをつくり出せる。国内でも研究が進み、昨年9月末現在、 体細胞クローン牛535頭、豚256頭が誕生している。

 しかし、牛については農水省が出荷自粛を要請しているため、市場には流通しておらず、豚も市場に出た実績はない。

 体細胞クローン動物は、流産や死産が多いことが指摘されている。農業・食品産業技術総合研究機構は体細胞クローン牛や、 その子孫計220頭のデータを分析。3月にまとめた国内調査で「生後200日以上生存した牛は、一般牛と同等に生育し、 生理機能も差はなかった」と結論づけた。

 厚労省は「評価結果がまとまり次第、必要な対応をとる。米国は出荷を自粛しており、市場には出ていない。現時点で、 輸入などの規制措置をとる必要はないと考えている。評価結果は説明会などを開き、国民に情報提供したい」と話している。 【下桐実雅子】

こちらの記事では、牛と豚と書かれている。 具体的なクローン動物の作出頭数や研究の経過についても言及されており情報量も多い。「ただ、消費者の不安もあり、厚労省によると、 世界的にも流通実績はない。」のような無意味な表現や、ふざけた見出しがない分好感が持てる。

解説記事も一つ。毎日新聞より。

解説:クローン肉・安全評価へ 不安に応える審議を 消費者団体は「時期尚早」

 体細胞クローンで作った牛や豚の安全性を認める動きは世界的な流れだ。しかし、 各国とも消費者団体は慎重な姿勢を示しており、国の食品安全委員会には、「解禁ありき」ではなく、 国民の疑問や不安に応える丁寧な審議が求められる。

 これまでに豪州、ニュージーランドが安全性を承認。今年1月には欧州連合(EU)と米食品医薬品局が「危険とは考えにくい」 「安全性の点で普通の牛と変わらない」との報告書などを公表した。

 農林水産省によると昨年9月末現在、体細胞クローン牛を出生させた研究機関は全国に42機関あり誕生・ 飼育技術は広がっている。

 近畿大の入谷明・先端技術総合研究所長は「新しい食品の安全性を確認する手法は確立している。その手法で、 国内の体細胞クローン牛を調べたところ、問題ないとの結果が出た。公聴会や消費者団体への説明会で説明を重ねるべきだ」と話す。

 一方、安全宣言が出た米国でも、実際の流通までは数年かかる見通し。日本でも消費者団体などが 「クローン家畜には流産や死産が多く、原因がはっきりしないうちに流通を目指すのは時期尚早」と、「食の安全」 確保の立場からの検討を訴える。【永山悦子、江口一】

毎日新聞 2008年4月2日 東京朝刊

消費者団体のコメントが珍妙。流産や死産した家畜は肉にならないので流通しない。 あるいは死産や流産した体細胞クローンの親動物の方に何らかの安全上の疑念があると言うのだろうか。「食の安全」 と言う観点では議論の対象にならないのはあきらか。これを食品安全委員会に向かって言うのは、専門家に対して失礼だ。

ただ、今回のように、特段の危険性を示すデータがない場合は丁寧な審議といっても議論の争点が定まらない。 科学的には、危険性を示すことは何かの事象が観察されればよいので比較的たやすいのだが、安全性を示すことは容易ではない。 何も起こらない場合は従来の食品と違わないとは言えるが、それはどのくらい安全であるかと言うこととは別の議論だ。

ちなみに、体重60kgの成人が霜降り牛肉を毎日300g摂取すると、摂取しない場合と比較して、 内臓脂肪の蓄積量の増大が見られる事が多く、脂肪肝になるリスクが高まることが知られている。 また血中中性脂肪やコレステロール値も高くなり、冠リスクのバイオマーカーにも悪影響を与える可能性が高い。 これらの悪影響は日常生活における運動量が少ないほど著しいとされている。

# 要するに良いものばかり食べてると太るよ、と言うだけのことだが。

さて、安全性がきちんと評価されれば、今後流通するのはまず間違いないだろう。その段になれば、 今度は表示の問題が出てくるかもしれない。国産和牛のクロ-ンについては堂々と表示すればよいのだ。 その方が最先端技術で作られた高級牛肉として中国にも高値で売れるかも知れない(松坂牛、米沢牛、神戸牛、 近江牛に次ぐ地位とされる佐賀牛などは、割安感からか中国向けに出荷されているという)。飼料価格も高騰しているのだから、 付加価値を付けるには良いチャンスだ。

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2008年4月 1日 (火)

Internatuinal Whale Genome Research Program launched

2008年04月01日 23:59 発信地:東京/日本 【APF通信】

日本ゲイ(=魚偏に京)類研究所が中核機関となり、日本政府、韓国政府、ノルウエー政府、アイスランド政府の協力を得て、 国際クジラゲノム研究プログラムが発足した。

研究プログラムの初期の目的はミンククジラのゲノム(全遺伝子)を解読することで、ミンククジラの繁殖集団の遺伝的構成の解明や、 非侵襲的個体識別技術の確立に役立てたいとしている。

ミンククジラのゲノムサイズは、ボノボとほぼ同じ。研究は東京都で進め、今後半年間でのゲノム解読を目指す。

ミンククジラの生態に詳しいシー・ハウンド・ジャパンの田所博士は、「鯨類は全体として絶滅の危機にあると言われているが、 実際はその生態がよく分かっていないだけ。日本の調査捕鯨によって個体数の増加が明らかになったミンククジラについて、 各国の研究者が情報を持ち寄って遺伝情報解明のために活動するのは、初めての試みだ。クジラは自然保護の世界的な象徴でもあるので、 このような研究を行う価値はある」と述べた。

中国科学院の王博士は、「ゲノム解読プロジェクトにより、 ミンククジラがどのように進化して今日の生態やキリスト教国における神の使いとしての地位を獲得してきたのか遺伝子レベルで理解するゲノム倫理学への道が開けるだろう」 と話している。

一方、シー・シェパー代表ポール・ワットソン氏は「神聖なクジラのゲノムを解読はクジラの神聖を汚す行為。 残虐な捕鯨に科学的根拠をこじつけようとするもので許されない。断固粉砕する」とコメントしている。

生存頭数の増加していると考えられる南氷洋のミンククジラは1990年以降は76万頭程度、 個体数の少ないナガスクジラは1千頭前後と見られている。

APril Fool news agency】

 


 

 オリジナル記事、パンダ・ ゲノム・プロジェクトにインスパイアされました。中国がパンダ・ゲノムをやるのなら、日本がクジラ・ ゲノムの解読をしても良いのでは・・・と思ってしまいます。

 産業としての捕鯨の是非は、クジラが再生可能な資源であるかどうかと言う尺度で見るならば、 種によって対応を変えるのが妥当なところ。歯クジラも髭クジラも、大型も小型も一緒くた、生存している個体数の考慮もせずに、 産業ベースでの捕鯨が全面禁止という対応が国際的に認められているのは合理的ではないと思います(まあ、 合理的なら何でも良いとも思わないのですが)。

 我が国には捕鯨の伝統がとか言い出すと、南氷洋まで出張る意義が見いだせない。 クジラは知能が高いから捕殺するのは野蛮だと言う議論は、生物の持つ生命の重みを知能で計ることを絶対視している。 動物の生存権を謳う動物愛護と同根で、新手の動物に偏ったアニミズムだ(アニミズムのくせに、 クジラに食べられるオキアミや植物はどうだって良いらしい)。キリスト教国ではこのようなアニミズムは異端かと思っていたのだが (異端だからと言って火あぶりにしろとも言いません)。

 いずれにせよ、国際的な資源管理の問題は、倫理観や文化、 宗教とは切り離して科学ベースで論じるべきだと思います。また、産業としての捕鯨は、一つの産業として成り立ちうるのか、 経済的な視点でよく考えるべきでしょう。元捕鯨国の連中から止めろと言われて止めるのは業腹ですが、それはそれとして、 我が国における捕鯨とクジラに依存した産業は、石炭産業や養蚕がそうであったように役割を終えつつある様に感じます。 クジラを食べたことがない世代、あるいはクジラを特に食べたいと思わない世代がマーケットの主流になってしまえば、 特にクジラを食べなくてはいけない事情が無い限り、もはやクジラ肉が市場を獲得する事は無いのですから。

 一方、科学的な見地からクジラの生物学を追究する自由はあって然るべきだと思います。多分、 宇宙科学よりは安上がりです。ファンドが付くかどうかは知りませんけどね。

 また、組換え技術が張り込む余地は残念ながらなさそうです(遺伝子組換えクジラにクローンクジラ、 ノックアウト・クジラに病態モデル・クジラetc.)。まあ、組換えクジラが国境を越えて自由に泳ぎ回る事態は、 カルタヘナ議定書でも想定していません。

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2008年3月31日 (月)

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスによる分子生物学の資料

日本でも数年前から大学の先生の講義用のプレゼン資料がインターネット上で公開される様になってきている。たとえば、 こんなのや、 こんなの (阪大の福井先生の講義資料です)。

オリジナルあるいは専門分野の教科書から引用した図やデータが随所に使われているが、 インターネットで公開すると著作権の侵害にあたる可能性が高いと判断されたものについては、たとえば特定の図を”Deleted based on copyright concern.”として、白紙のページにしている場合がある。

このような資料の取扱方には2つほど問題がある。

1.オリジナルの資料に設定された著作権で許諾されている使用方法を使用者が知らない場合、ネット上での公開のみならず、 資料をコピーしたプリントを講義で使用すること(即ち、私的使用ではなく、業としての使用にあたる)自体、 著作権を侵害している可能性がある。

2.オリジナルの資料に設定された著作権で許諾されている使用方法を知らずに、 違法な使用を避けるためにネット上での公開を制限するあまり、最終的に公開された資料が情報に乏しくなって、 講義資料としての価値を失ってしまう可能性が高い。

私も、教科書と板書だけで講義が成立していたのどかな時代のことは知らない。その場合は二次的な複写物でなく、 教科書そのものを使用した講義なので著作権法上の問題は特に起こらない。しかし、 私が大学で講義を受けていた20年前(大学院生の頃は、講義と呼べるものは受けていなかったので学部生の頃) でさえ、教科書以外に教官が講義用の資料集をプリントしたものを配布していた。そこに印刷されていたものは、 本や論文の図表のコピーだった。仮に、著作権者の許諾を得ていない使用であった場合には、 それは著作権法違反であったことになる可能性が高い。

今日、Webで公開されている講義資料に、例えば”Deleted based on copyright concern.” とある図の場合には(多分、講義資料として机上配布していないとは思うが)もし著作権者の許可を得ずにコピーをしてしまうと、 私的使用の範囲を超えた違法な複写になる。

最近、身近なケースでは、若手研究者が大先生のアバウトな依頼で教科書的なプレゼン資料を作らなくてはならないことがあった。近頃は、 助教(かつての助手)が講義を受け持つケースも増えてきて居ると聞く。いずれにしても、 研究のための貴重な時間を割いて講義資料も準備しなくてはいけない。

助教や若手研究者は自分で教科書を執筆しているケースは殆どないし、まあ、 若手でなくても教科書的な基本事項を教えるために自分の専門分野そのものではない分野の講義をしなくてはならないこともままある。 そうなると、資料のもとになる画像は何らかの形で他の方が作成したものを二次的に使用する事が多くなる。しかし、 安直に教科書をスキャナーで取り込んだり、Web上の画像をコピペしたパワーポイントファイルを使う訳にはいかない。

となると、著作権者の許諾をいちいち求めなくても利用できる便利な教科書的な図が無いものかと思う。

クリエイティブ・コモンズという考え方がある。著作権の利用範囲(利用許諾条項)に関する意思表示のあり方で、クリエイティブ・ コモンズ・パブリック・ライセンス(Creative Commons Public Licence)という形態の許諾方法(ライセンス) が提唱されている。詳しくはこちら

実際に、クリエイティブ・コモンズ・パブリック・ライセンスという「著作権の利用範囲(利用許諾条項)に関する意思表示のあり方」 のみを決めても、各国の著作権法(あるいはそれに相当する法律)との整合性がなければ、有効に機能しないので、 このようなNPOの存在自体は望ましいものだ。

しかし、 NPO法人がライセンスを提供するかの如きホームページであるが、本来の意味でのCreative Commons Public Licenceは、「著作物の利用を許諾する際の基本的な考え方」と「著作物の定義と、具体的な許諾の範囲・方法」なので、 このホームページの” クリエイティブ・コモンズは, 創造的な作品に柔軟な著作権を定義するライセンスを提供するNPO法人です. ” という、一見、特定のNPOがクリエイティブ・コモンズ・パブリック・ライセンスを提供しているかのような言い回しは、 いささか不適切であろう。

自然科学は人類共有の普遍的な資産である。時間の淘汰をにさらされた科学的な知識は、いずれは常識に昇華する。 ・・・かもしれない。そういう意味では、 自然科学の教育の場や科学的知識の市民への普及の場で用いられる教材には、著作権や所有権という考え方はなじまないように思う。むしろ、 教科書的に知識を伝える書物や資料にはオープンソースやクリエイティブ・コモンズ・パブリック・ライセンスの考え方がふさわしいように思う。

さて、実際にクリエイティブ・コモンズ・パブリック・ライセンスに準拠した数学の教科書を公開しているボランティア団体がある。 ” フリー教材開発コミュニティ エフテキスト”がそれだ。高校数学の教科書なので、 これを高校の授業に採用するのはちょっと教科書検定制度への挑戦の香りがするが、どうなんだろう(ちなみに、 大学の講義でつかう教科書については、学校教育法の定める教科書検定の対象ではない)。

明日から新年度。農林団地の桜も満開だ。

教官でもないのに、遺伝子組換え技術の基礎を講義しなくてはならない場面がまたやってくるのだろう。 こういうものが生物学分野でもできれば資料作成に便利なのになぁ、と思う今日この頃。

同じような立場の生物学分野の研究者がネット上で寄り集まって、生物学分野のクリエイティブ・コモンズ・パブリック・ ライセンスに準拠した教材が作れないものだろうか。・・・こういう企画、科研費でどう?

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