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2008年12月の記事

2008年12月30日 (火)

リンク先が不適切ですので修正した方が宜しいかと。

こちら
http://blogs.yahoo.co.jp/tamariverearth/45734896.html
からリンクされているのですが、引用されているエントリーとは違う記事にリンクされています。

正しくは、
http://domon.air-nifty.com/dog_years_blues_/2008/07/post_e317.html
ですので、できれば修正した方が良いかと思います。

2008年12月26日 (金)

日本版ノーアクションレター: カルタヘナ法関連

今日は仕事納め。このblogは、仕事場からとおぼしきアクセスがほとんどなので、明日以降、どどんと閲覧数が減ることだろう。

# 以下のエントリーは、某省庁の方々にとってはセンシティブな問題を含んでいる可能性がある。正月休み明けまでに、これが最新のエントリーではない状態にしておくとしよう。

総務省の旗振りで導入された”日本版ノーアクションレター”(法令解釈に係る照会手続)という制度がある。目的は「行政処分を行う行政機関がその行政処分に関する法令解釈を迅速に明確化する手続を、我が国の法令体系に適合した形で導入を図ること」。

手続きとしては、その目的のために「民間企業等が、実現しようとする自己の事業活動に係る具体的行為に関して、当該行為が特定の法令の規定の適用対象となるかどうかを、あらかじめ当該規定を所管する行政機関に確認」できるようにするものだ。省庁に照会できるのは”民間企業等”となっているが、大学等の独立行政法人も規制を受ける立場でこの制度を利用できるのではないだろうか?

要は、政府による規制がある事業分野で、あらかじめ行おうとする事業が関係法令による規制を受けるかどうかを確認出るというもの。これまで照会できる法令の範囲が限られていたので使いにくかったのだが、平成19年6月22日の閣議決定で次の項目が改訂された(安倍内閣末期ですな)。

                                    
3) 当該条項が民間企業等に対して直接に義務を課し又はこれらの権利を制限するものであって、本手続の趣旨にかんがみて対象とすべきものと判断される場合

この改訂によって、政府が規制を行っており、従わない場合に行政処分(不利益処分)を受ける可能性のある分野については、この制度に則った照会手続きの対象となる。

実態として平成13年の導入以来あまり利用されていない制度だが、質問の受理から30日以内に回答することを政府に義務づけているので、質問が放って置かれることはない。役所の側から見ると、質問の前提条件や範囲が明示されていれば回答しやすいが、そうでない場合には受理するまでに質問者とやりとりしておかないと結構大変そうだ。そのため、情報公開請求と同様、照会内容を補正する制度がある。また、回答を行わない事案については次のように規定されている。

(3) 回答を行わない事案
 各府省は、照会者からの照会に対し回答を行うことができない場合又は回答を行うことが適当でない場合については、回答を行わないことができる。
 回答を行わない事案については、その要件等を細則であらかじめ定めておかなければならない。
 照会に対し回答を行わない場合は、照会者に対し、その理由を通知しなければならない。

回答を行わない要件、細則の公開無しに回答を拒否することはできない。また回答しない場合にはその理由を通知しなくてはならない。

さて、カルタヘナ法では所管する官庁が不利益処分を含む行政指導を行うことができるようになっている。所管している省庁は、環境省、農林水産省、経済産業省、厚生労働省、財務省、文部科学省だ。ノーアクションレター制度への対応状況は各省のホームページをまとめると次の通り。

4 6 7 9 10 11 13 14 15 16 17 18 19 20 21 24 26 27 28 29
    * 環境省 1 1 1 1,4 1,2 2 1 1,2 2 1,5 8 1-5 2
    * 経済産業省 1 3 2 1 1 1
    * 財務省 1,2 1 1 1-4 1,2 1,2 1 1,2 1,2 1,3,5 3,4,8 1-5 1,2
    * 文部科学省 1 1 1,4 1
    * 農林水産省 (明示されていない)
    * 厚生労働省

※ 最上段の数字は法律の「条」、以下のマスの数字は「項」を表す。

事業者の行う行為がカルタヘナ法に抵触する場合、農林水産省、厚生労働省の所管する部分に関する問題でも不利益処分をうけることはあり得る。従って、これらの省庁でも、個別の条項は明示していないものの他省庁と同様にノーアクションレター制度の適用対象になっていると考えられる。

カルタヘナ法第12条-第15条が主に研究開発に関わる第二種使用に関係する。このうち第14条に規定する、拡散防止措置を執らせるための措置命令は不利益処分にあたるため、原則に従えばノーアクションレターによる照会の対象となる。また、事故時の応急の措置が不十分と考えられる場合、第15条第2項に従って措置命令が出されることがあり得る。これらも、本来は各省共通でノーアクションレターの適用対象と考えるべきだろう。

なお、文部科学省二種省令の関連するカルタヘナ法第12条は主務省令による拡散防止措置、第13条は主務省令による拡散防止措置が定められていない場合の主務大臣の確認を規定している。第13条に関する違反は、措置命令(第14条)、50万円以下の罰金(第42条)。第12条に関する違反は、措置命令(第14条)。それに従わなかった場合の罰則は、一年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はその併科となっている。

文部科学省は第12条の主務省令による拡散防止措置を定めており、これが第14条に基づく措置命令を受けるか否かの判断基準となっていることから、第12条に関係した文部科学省二種省令についても照会手続きも受け付けることになるだろう。大学等で拡散防止措置の決め方に疑義が生じた場合は、この制度に則った照会をすることもできるだろう。

# ま、質問事項をきちんとまとめてさえ置けば、普通に電話やメールで照会しても、親切に回答してくれますけどね。

この他、輸出関連の第27,28,29条についても、輸入国で環境放出を行うことを意図したLMOの輸出に関わる規程なので、上記の表では対応を明示していない省庁もあるが、環境省や文科省についても関連している可能性が高い。

# 関係省庁の連絡会ですりあわせをしないのだろうか?

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2008年12月24日 (水)

ヒトは”超”雑食性

今宵はクリスマスイブ。クリスチャンばかりではないので、”Happy Holidays!”という挨拶が政治的には正しい(politically correctな)表現だそうです。

さて、朝日新聞のニュースより。

人のごちそう、ペットには「毒」 パーティ残り物に注意

2008年12月24日

【ワ シントン=勝田敏彦】クリスマスパーティーや忘年会のシーズンを迎え、「残った食べ物を不用意にペットにやらないで」と全米動物愛護協会(ASPCA)が 呼びかけている。人間にはごちそうでも、ペットには「毒」になることも少なくないという。日本でも参考になりそうだ。

 まず注意すべきことは「残り物をやって、ペットが食べ過ぎにならないように」。食べ過ぎると消化不良になったり、下痢をしたりする。

 また酒類はペットが近づけない場所に置く。菓子も注意が必要で、犬がチョコレートを食べると吐き気を催したり不整脈になったりするし、甘味料のキシリトールも少量をとっただけで低血糖に陥り、最悪の場合は肝不全になる。

 このほか「ペットの毒」としてアボカド、コーヒー、マカダミアナッツ、タマネギ、干しブドウ、ニンニクなどをあげた。花束に入っているユリの花も、猫が食べると腎不全を起こすことがあり、注意が必要だとしている。

 ASPCAの獣医師スティーブン・ハンセン博士は「人間のこの時期の習慣が、ペットには脅威になることがある」と指摘した。

 
ヒトには無害な化学物質が他の生物には毒になることがある。この記事でもタマネギが挙げられているが、かつて科学技術庁の委託で行なわれた放射線照射タマネギの安全性試験の事例を思い出した。あらましは、放射線照射した乾燥タマネギをマウスやラットに食べさせて亜慢性毒性試験を行い安全性を確認するという試験で、タマネギ自体に毒性があるため、放射線照射を行っていない動物にも奇形やひ臓の肥大が見られたというものだ(*)。

タマネギに含まれる硫化物は、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジなど多くの動物に中毒を起こさせる。これは、赤血球が破壊されるためにおこる極度の貧血を伴うもので、場合によっては致死的だ。マウスやラットはある程度耐性があったので死ななかったのだが、それでも無事では済まなかったのだろう。

同様の理由で、スパイスやハーブなど、それ自体に生理活性のある食品では動物実験による安全性の確認が難しい。

どのような物質が毒になるかは、その物質がある生物の生体内でどのように振る舞うか、あるいはその物質に対して生物がどのように振る舞うかで決まってくる。 ある生物にとって毒性のある物質であっても、それを代謝して無毒化できるで動物にとっては毒ではない。コーヒーや緑茶に含まれるカフェインはヒトにとって はほぼ毒ではないが、大抵の動物にとっては毒だ。特に、ナメクジやカタツムリにとっては、カフェインはインスタントコーヒー程度の濃度でも致死的な毒だ(**)。

また、耐虫性遺伝子組換え作物に含まれている一方で、有機農業で使用できる数少ない殺虫剤であるBtトキシンも、特定の昆虫に対しては毒性を発揮する。しかし、ヒトを含むほとんどの生物に対しては無害である。

上記の記事とは逆にヒトに対しては毒性を示すアルカロイドに耐えられる生物もいる。カイコはクワの葉を食べるが、クワの葉には高濃度のアルカロイドが含まれていて、カイコ以外の生物はほとんど”安全に”食べることはできない。しかし、カイコの糖を加水分解する酵素はそのアルカロイドによる妨害を受けないため、クワはカイコにとって唯一の貴重な食糧になっている(出所はこちらのblog経由***)。

ヒトは様々な生物を食べることができる。究極の雑食動物と言えるかも知れない。それが、自然に備わった強力な解毒能力によって支えられていることを上の記事は示している。

しかし、ヒトの強力な解毒能力を以てしても、天然毒による食中毒は後を絶たない。産経ニュースより。

スイセン球根で5人食中毒 小学校の調理実習、タマネギと間違え

2008.12.6 00:50

  茨城県は5日、同県潮来市の徳島小学校で、調理実習で作ったみそ汁を食べた児童5人が吐き気や嘔吐(おうと)の症状を訴えたと発表した。全員軽症。みそ汁 に、校庭の菜園で栽培していたスイセンの球根をタマネギと間違えて入れたという。スイセンには中毒症状を起こす物質が含まれており、県は食中毒とみてい る。

 徳島小によると、5日午前、みそ汁に入れて3年生と4年生の児童11人と教諭1人が食べた。

スイセンのアルカロイドに関する情報はこちら。毒性の発現機構はアセチルコリンエステラーゼの阻害作用なので、メタミドホスなど有機リン系殺虫剤による中毒と症状が似ているのではないだろうか。スイセンの球根に毒性があることは古くから知られていたが、毒性を示す物質が同定されたのが以下の論文(2002年)であれば、かなり新しい情報だ。

López, S. et al. Acetylcholinesterase inhibitory activity of some Amaryllidaceae alkaloids and Narcissus extracts. Life Sci 71, 2521-9(2002).  

それにしても、菜園にスイセンを植えるというのはいかがなものか・・・。しかもスイセンの球根はタマネギより相当小さいと思うけれど、間違えるものなんだ。

ところで、神国日本には古より八百万の神々のうちの一柱として”基督”様がおわします。その縁日には、世界の平和を祈念するのが、我が国の習わしとなっております。この良き日に寂しくブログなんか見ているあなたに(あるいは書いてる私に!)、メリー・クリスマス!

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"説明しなさい"って言われても・・・ やなこったね。

検索エンジンからこのblogにたどり着いた際のキーワードがアクセスログに残っている。某日の検索キーワード。

”麦芽をアミラーゼ源に使うと、なぜ発酵期間がたかだか4日間にしかならないか説明しなさい”

”説明しなさい”っていう命令形で検索するのが何だか妙な感じ。まるで農芸化学系の試験問題のようだ。しかし、学生がWebで試験問題や宿題の答えを丸写しするようになるといけませんね。何より本人のためにならない。

・・・と言うわけで、この質問に対する回答は書いてあげない。ヒントはあげてもいいが、すぐに答えが知りたいのであれば、以下は読むだけ無駄だ。

# ちなみに、Googleは命令形で検索するといつもよりもまじめに検索する。・・・ということは多分無い。

” 麦芽”(オオムギの種子を浸漬し、若干乾燥させて発芽させ、芽が出る直前のタイミングでさらに加熱乾燥させると同時に、揉んで根を切り、発芽プロセスを止めたもの)を ”アミラーゼ源”(この言い回しが専門的。何らかの目的でアミラーゼが必要な場合に、アミラーゼを供給するために用いるもの、と言う意味だろうか)に使用して発酵させる、とくればビールを連想する。

細かいことを言えば、麦芽由来のアミラーゼでオオムギの胚乳のデンプンが糖化するプロセス自体は”発酵”ではない。コウジカビで麹を作るプロセスやクモノスカビでカンショのデンプンを糖化させるプロセスは、微生物による分解工程なので発酵と言えるが、オオムギの内生アミラーゼによるデンプンの分解には微生物は関与していない。そういう意味では、これが試験問題であれば、私なら「設問が間違っています。間違っている理由は・・・」と書いて潔く零点をもらう。

仮に、ビールの醸造工程の話であれば、酵母による発酵は1週間程度は続くので”たかだか4日間にしかならない”と言うことはない。そう考えると、糖化のことを発酵と間違えて言っていると考えるのが妥当だろう。

また仮に、麦芽由来のアミラーゼによる糖化が4日程度しか継続し得ないとすれば、次にその前提条件を明らかにしなくてはならない。つまり、「麦芽由来以外の他のアミラーゼでは4日以上糖化が継続する緩衝液、基質、温度等の諸条件が同一の場合」かどうかである。”たかだか”と言うからには、質問者は、同じ条件で糖化の期間がもっと長く持続できる酵素も知っているはずだ。

# 例えばBacillus cereus 由来のアミラーゼはかなり長持ちするはずだ。これは固定化酵素にも使われるので。

さらに言えば、オオムギの内生アミラーゼによる糖化作用の持続時間が4日なのか、麦芽由来(加熱処理後)のアミラーゼなのかでも異なる。簡単に質問してるけど前提条件が固まらないと適切な答えは引き出せないものだ。

なお、頭書の質問についてのヒントは、酵素の触媒反応が停止する、つまり失活することと関係している。”酵素の失活”と一般化することで問題は一気に分かりやすくなるはずだ。

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2008年12月19日 (金)

踊れる研究者!?

以前、ヴィジュアル系の科学雑誌の時代?というエントリーでヴィジュアル系研究者の時代が来るかも?と予想したのですが、米国では”踊れる研究者求む!”という状況になりつつあるのでしょうか。Technobahnのニュースで知ったのだが、AAASがダンスで研究内容をプレゼンするコンテストを開いたそうな。

まぁ、コンテストだから良いようなものの、研究資金のプロポーザルにダンスのビデオクリップを付けろと言われた日には困ってしまう。ポスドクの募集要項に「ダンスの得意な方」とでも書くのかな・・・。

以下のダンスは”血液中の分子の運動”を表したモノらしい。赤いシャツがなんとなくそれっぽい。

# NHKのためしてガッテンのプロデューサーに監修してもらうと良いかも知れないな。

なお、私、踊らされるのはもう沢山です。

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2008年12月18日 (木)

地方自治体に主要農産物の種子の品質を保証する意志はあるのか?

主要農作物種子法の改正に関わる問題。地方分権推進委員会 第二次答申には次のようにある。

○主要農作物(米、麦、大豆)種子に係る審査・交付業務都道府県は、栽培中の主要農作物の成熟状況等を審査する「ほ場審査」及び生産段階における主要農作物種子の発芽良否等を審査する「生産物審査」を行い、証明書を交付することが義務付けられているが、生 産後の種子の品質等の検査は民間事業者で行われており、園芸作物の種苗生産については都道府県の審査義務はなく民間事業者で適切な種苗生産が行われてることから、栽培中の主要農作物についてのみ都道府県の審査等を義務付ける必要性は低く、民間事業者で実施できるような仕組みとすべき。 (全国知事会・追加分)

答申で不要とされた法律第4条の4,5については次のようにある。

第四条  指定種子生産ほ場の経営者(以下「指定種子生産者」という。)は、その経営する指定種子生産ほ場についてほ場審査を受けなければならない。
(略)
 ほ場審査及び生産物審査(以下本条において「審査」という。)は、指定種子生産者の請求によつて行う。
 都道府県は、指定種子生産者から前項の請求があつたときは、当該職員に、審査をさせなければならない。
 審査の基準及び方法は、農林水産大臣が定める基準に準拠して都道府県が定める。
(略)

その一方で、第5条については、「地方自治体による事実証明(証明書、手帳交付)」は必要としている。法律第5条では

第五条  都道府県は、ほ場審査又は生産物審査の結果、当該主要農作物又はその種子が前条第五項の都道府県が定める基準に適合すると認めるときは、当該請求者に対し、農林水産省令で定めるほ場審査証明書又は生産物審査証明書を交付しなければならない。

・・・県職員による審査はしない。審査の基準や方法は県は定めない。しかし、ほ場審査証明書又は生産物審査証明書は交付する、ということらしい。全国知事会によれば「生産後の種子の品質等の検査は民間事業者で行われており」とのことだが、現状が第4条に照らして違法だと認めておいて、政府にはその現状に合わせろと言う要望なのだろうか?主要農作物種子法施行規則にも、ほ場審査の委託に関する項目はないので、例外なく法律第4条の4に照らして”都道府県は、指定種子生産者から前項の請求があつたときは、当該職員に、審査をさせなければならないことになる。

また、全国知事会によれば「園芸作物の種苗生産については都道府県の審査義務はなく民間事業者で適切な種苗生産が行われてることから」とある。しかし、この議論は国民のエネルギー源としての食糧確保の観点から主要農作物を他の作物とわざわざ区別して品質管理するために設けられた主要農作物種 子法の意味を理解していないのではないか。主要農作物の種子生産の仕組み自体が園芸作物と大きく異なること自体理解できていないように感じる。もしかした ら、証明書を発行する立場の都道府県は、種苗会社と同様に品質管理のために種子生産者と緊密におつきあいしたり指導したりする(それも独自の基準で)、と いうことなのだろうか。

主要農作物種子法の意味を理解していないのか、あるいは意味を理解していて挑戦しているのかについ ては、第5条に関わる証明書の交付の権限は留保したいという意図はあるので、種子の品質保証をするつもりはあって、挑戦する気ではなさそうだ。そうであると すればますます全国知事会の意図がますます分からない。

面倒なのはイヤという我儘?

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2008年12月16日 (火)

文献リスト管理にFreewareを使う

ZOTERO & Windows live sync (Foldershare 改め) またはDropbox

ZOTEROはFirefox(2.0, 3.0)のプラグインとして動作する文献管理ソフトウエア。論文執筆に欠かせない文献リストの作成、管理、出力フォーマットまでやってくれる。

業界標準でEndnoteと 言うのもあるが、高いしあまり融通が利かないというので仕事を持ち帰って家で作業するには向かない。以前、XoopsというContents Management System (CMS)上で動くPubmedPDFと言うものも使っていた。PDFファイルの管理ができるのが良かったのだが、名前の通り基本的にPubmedにしか対応していないしXoopsの上でしか動かない。CMSのセキュリティー管理が趣味、と言う人ならともかく、私はパッチあてだのバージョンアップだのに頻 繁におつきあいするのが苦痛なので、そういう作業は極力避けたかったのだ。

# blogも最初はレンタルサーバーにMovable Typeをインストールして使っていたけど、管理が面倒なので結局cocologに引っ越したし。

一般のユーザーは喜んでフリーウエアのメンテナンスをしたがるものではないのだ。市販のソフトウエアだって、できれば新しいバージョンが出るたびに高いお金を払ってアップデートしたり、インストールし直したりするのも避けたいと願っている。 

その点、Firefoxのプラグインはアップデートが出れば自動的に更新される。しかも、基本的に無料だ。機能が少々劣ったって日常のメンテナンスの負担が小さいソフトの方が良い。これは自分が管理しなくてはいけないPCの台数が増えるほどに痛切に感じる。

PubmedPDF はCMSで動作するのでレンタルサーバー上にインストールしておけば、ネットがつながる環境であればどこからでも同じように使える点が優れている。一方、 ZOTEROはFirefoxのプラグインなので、デフォルトでは作成した文献データベースをローカルディスクのユーザーのフォルダーに作成してしまう (例えばC:\ユーザー\username\AppData\Roaming\Mozilla\Firefox\Profiles\foobaa.default)。・・・こうなるとデータベースの持ち運びが不便なので、ZOTEROの設定を変更してUSBドライブに保存先を設定す る等工夫が必要になる。

ZOTEROのバージョン1.5からは、複数のPCの間での同期が可能になるらしいが、 とりあえず現行のバージョンで何とかしたいので、MicrosoftのWindows live sync(ちょっと前までFoldershareと言った)で共有フォルダを設定して、そこにZOTEROのデータベースを置いてみよう。少し使ってみな いことには何とも言えないが、作業を始める前にまずフォルダーの同期の状態を確認しておかないと、せっかくデータベースを更新したのに問答無用で古いデー タで上書きされると言う悲劇が起こらないとも限らない(しかもoff lineのPC上のデータは同期されない)。

Windows live syncはクロスプラットホームではないのがアレだな、と思っていたらDropBoxと言うものがあるらしい。もう少し調べてみると、DropBox+ZOTEROで同期している方も あるようだ。これならプラットフォームが何でも問題ない!やってみようか。ファイル容量が50GBという有料サービスもあるらしいが、文献データベースで あればそんなにはいらない。しかも、こちらはWindows live syncとは違って、off lineのPCでも接続時自動的ににファイルが同期されるようにようになっているようだ。これは理想的だ。

# あとは不況のあおりで運営会社が止めてしまわないことを願う。

この他、PubmedPDFだとPMIDを打ち込むとタイトル、著者名など必要な情報を自動的にデータベースに登録する機能がある。ZOTEROではそこまでできないのかと、ちょっと思ってしまったのだが、ブラウザーのロケーションバーのアイコンをクリックするだけで登録できてしまう!こっちの方が簡単だ。年末年始の休暇中に切り換えてしまおう。

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コネタマ参加中: Firefoxのアドオンでオススメは?

2008年12月15日 (月)

断食で寿命が延びると言われても・・・

読売新聞より。

断食は長生きのもと?線虫の寿命1・5倍に、京大が実験

 断食で長生き――。土の中に住む線虫は、断食を繰り返すと最大1・5倍寿命が延びることを、京都大生命科学研究科の西田栄介教授らが突き止めた。

 人間にそのまま当てはまる訳ではないが、断食を繰り返し、食べる時は好きなだけ食べた方が、食事の量を減らすよりも長生きできるかもしれない。英科学誌ネイチャー電子版に15日、発表した。

 西田教授らは線虫に2日間、十分に餌を与えた後、2日間断食させる、というサイクルを繰り返し、餌をずっと与え続けた場合と比較した。その結果、平均24日だった寿命は36~40日と、50%以上延びた。

 モデル動物の線虫の寿命には、人間にもあるレブという遺伝子が関係しており、この遺伝子の働きを止めると、断食を繰り返したり餌を制限したりしても、寿命は延びなくなった。
(2008年12月15日15時51分  読売新聞)

カロリー摂取を控えると寿命が延びると言う研究は前にもあったのですが、これは極端。

オリジナルの論文はこちら。記事で”レブ”と呼んでいる遺伝子は"RHEB-1"。

学名や遺伝子の名称はアルファベットか仮名書きかで失われる情報がある。カタカナで”レブ”と書かれると恐らく専門家で何を言っているのかとまどうことになるだろう。

ちなみに人間の場合は、”断食を繰り返し、食べる時は好きなだけ食べた方が、食事の量を減らすよりも太るかもしれない”のでご用心。

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2008年12月13日 (土)

美味しいお米は気象変動に弱いのかも知れない。

まず、美味しくなさそうなお米のニュース。
http://narc.naro.affrc.go.jp/inada/press/2008/press081210.html

  • 製麺用に”越のかおり”と言う品種を育成した
  • インディカの遺伝資源を利用してアミロース含有率33%
  • 収量水準はコシヒカリの90%程度
  • タンパク質は6%台でコシヒカリ並み

実は、”美味しくなさそう”というのは炊いて食べる場合の話。麺で利用する場合はその限りではない。

デンプンには枝分かれ構造の異なる二種類の分子が含まれており、枝分かれが極少ないものをアミロース、枝分かれが多いものをアミロペクチンと呼んでいる。穀類のアミロース含有率は分光光度計を使って、ヨードデンプン反応を比色法で計測する場合が多い。この測定方法では、アミロースとアミロペクチンの比率が同 じ場合でも、アミロペクチンの枝分かれの程度や脂質の混入程度によっても測定値が変動し、推計に誤差が生じることが知られており、ヨードデンプン反応によ るアミロースの測定値は科学的には”見かけのアミロース含有率”(apparent amylose content)と呼ばれている。

イ ネのアミロース含有率は通常0-32%とされている(Nakagahra et al., 1986)。なかでも粳米では、インディカタイプの方がジャポニカタイプよりもアミロース含有率が多いことが知られている。典型的なジャポニカタイプの粳 米のアミロース含量は13-17%程度(要出典)だが、インディカタイプでは20%以上のものも珍しくない。

多くの穀類でアミロース含有率は20%台であることを考えると、それと比べても”越のかおり”アミロース含有率33%というのはかなり高い。デンプン合成系の遺伝子に何らかの突然変異を持っていると考えるのが自然だ。

ちなみに、イネは登熟期に高温にさらされるとアミロース含有率が低下することが知られており、その原因はアミロースの伸長反応を行うGBSSI遺伝子の転写産物が減少することが関係していると考えられている(Yamakawa et al., 2007)。

インディカタイプとジャポニカタイプの粳米では、GBSSI遺伝子に由来するWaxyタンパク質の蓄積量が異なっており、その原因はジャポニカタイプの GBSSI構造遺伝子のスプライシング・サイトに生じた点突然変異に由来するmRNAのスプライシング効率の違いであることが確かめられている (Wnag et al., 1995; Cai et al., 1998; Hirano et al., 1998; Isshiki et al., 1998)。

一方、ジャポニカタイプのGBSSI遺伝子では低温によってスプライシングの効率が向上してGBSSI転写産物の蓄積量が増えることと(Larkin and Park 1999)、 上記の高温登熟によるGBSSI遺伝子の転写産物の減少と併せて考えると、少なくともジャポニカタイプのGBSSI遺伝子を持つイネは登熟期間の温度に よって、低温であればアミロース含有率が増加し、高温であれば逆に低下するため、結果として食味が不安定になりがちであると言える。
---
結局、小難しい理屈を並べてきたが、そこから見えることは、日本のお米が”美味しい”のは、ジャポニカタイプのイネの気象に影響されがちなGBSSI遺伝子 の微妙な遺伝子発現調節と、そこそこの効率でスプライシングが起きる日本の秋の気温との絶妙なバランスに支えられて成り立っているのだ、ということなの だ。

将来も”美味しい”お米を食べたければ、地球温暖化に耐えられるように、GBSSIの発現を登熟温度に左右されないように低水準に保つように制御する技術が必要ということだろう。遺伝子産物の量を微妙にコントロールする技術は今のところ確立していない。

もっとも、ヒトの感覚で”美味しい”という、あてにならないスタンダードを変えるという選択もあるのだが。
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コメの成分についてのOECDコンセンサスドキュメント(日本語版)
http://www.oecd.org/dataoecd/25/45/34643764.pdf

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2008年12月11日 (木)

何が見えているのか?

脳の視覚野に伝わった刺激を間接的に可視化できるようになったとか。平たく言うと、ヒトが見た映像を脳から取り出すことに成功した、ということだ。

http://www.atr.co.jp/html/topics/press_081211_j.html

電波系の盗聴妄想が現実のものになる可能性を秘めた技術。ますます「意識を盗聴されている」と騒ぐ輩が出てきそうで、その波及効果が心配だが、今のところはfMRIで計測する必要があるしMRIの装置自体も巨大なものなので遠隔的にヒトの脳を計測することはでない。

も しMRIを使わずにそんなことができれば、ALSや脊髄損傷で体が動かせなくなっても健常者とコミュニケーションがとれるようになるだろう(ブレイン・マ シンインタフェースというらしい)。ひょっとしたら、インターフェース次第では体が動かせなくても、自分でロボットを操作して背中をかいたり、インター ネットをブラウジングしたりできるかもしれない。

マスコミの報道では今ひとつピンと来なかったのだが、ATRのプレスリリースを見ると画像の再構成に使われたアルゴリズムと、データの分解能(時間 x 空間)が凄いらしい。これまでも測定データはとれたのだが、そのデータから画像をうまく再構成することができなかった。測定データから被験者が見た画像を 推定する技術が新しいと言うことだ。プレスリリースの計算手法の解説図をみると一種のニューラルネットワークのようにも見える。

研究の目的が、ブレイン・マシンインタフェースの開発であるのなら、さらに高精度化、高速化していくことになるのだろう。朝のニュースで見た限り、ほぼリアルタイムで読み取れていたので高速化はかなりのところまで来ているのだろう。

またプレスリリースにはこうある。

”またデザインや芸術創作活動において、言語化するのが困難な映像表現を脳信号からそのまま映像として取り出すなど、新たな創造的活動の手段を提供することができるかもしれない。”

究 極的には、たとえば映画監督の脳内映像を直接画像化するということを言ってるのだろうか。かつて、映画バットマンの撮影の際にハリウッドの俳優組合が監督に対して、俳優が演じることができるシーンにCGを使わないでほしいと要求したことがあった様に思う。これは、その遙か先を行くことになるかもしれない。

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2008年12月 9日 (火)

ダイズ・ゲノムのドラフトシ-ケンス公表

アメリカエネルギー省(DOE)の研究グループがダイズ・ゲノムのドラフトシ-ケンスを公表(2008/12/08)。年内発表が目標だったということなので、ほぼ予定通りの進捗なのでしょう。

データは、以下のURLから
http://www.phytozome.net/soybean

プレスリリースはこちら。
http://www.jgi.doe.gov/News/news_12_08_08.html

ダイズはwhole genome shotgunで配列を決めた生物種の中では最大級のゲノムサイズだろう。USDAのファンドではなく、DOEが主導したプロジェクトであるところに、アメリカに於けるダイズの地位が透けて見える様に思う。以下は、プレスリリースより。

”Soybean not only accounts for 70 percent of the world’s edible protein, but also is an emerging feedstock for biodiesel production. Soybean is second only to corn as an agricultural commodity and is the leading U.S. agricultural export.”

"According to 2007 U.S. Census data, soybean is estimated to be responsible for more than 80 percent of biodiesel production."

食料というよりは、戦略物資なのだ。なお、日本のNEDO (経産省系の独立行政法人)の文書でも次のように紹介されている。

"DOE JGI が大豆ゲノム配列の解析に関心を抱いているのは、大豆が、再生可能な代替燃料の中でも最もエネルギー含有量の多いバイオディーゼルの主要な原料となるからである。"

http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/1017/1017-07.pdf

なお、農水省・農業生物資源研究所関係者による米国ダイズ・ゲノム研究の調査報告と、この分野に於ける日本の研究方針等については以下の文書が公表されている。
http://www.s.affrc.go.jp/docs/kankoubutu/foreign/no46.pdf

我が国のダイズの自給率は5%程度。食用に限っても20%程度。いくら国内でダイズ・ゲノム研究に力を入れても、そして、それが育種に利用され、研究成果が国内生産に還元されたとしても、国内消費されるダイズの最大でも5-20%程度の消費量に対する幾ばくかの生産性の向上にしか反映されないことを考えると、大規模な投資を必要とする全ゲノム の解析は経済的な波及効果から見て、非常に説明し難い。それよりは、全ゲノム情報はアメリカで決定されたものを利用し、日本にとって特に重要な形質に焦点を絞って研究を進めた方が効率的。

第二次世界大戦でも実証されたように、米国に物量作戦で対抗するのは無駄ですから。

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アメリカがダイズをエネルギー作物でもある戦略物資と位置づけるのであれば、当然、バイオエタノール原料であるトウモロコシも戦略物資と言うことになる。

エネルギー作物の普及は石油への依存を軽減することにより、アメリカの中東への発言力の強化につながる。ロシアやアメリカ以外の産油国は概ねイスラム教国なので、ロシアもイスラム教国も嫌いなアメリカ大統領らしい施策ではある。

ただ、その施策の結果はといえば、現状でも、これらの作物に食料を依存することで、特に途上国では食料価格の高騰に由来する政情不安が起きている。政情不安が広がって政府が弱体化した国では得てして治安が悪くなる。

・・・これではかえって、テロの温床になっている気がするのだが。軍事産業に対する補助金投入の口実がほしかった訳ではないと思いたいのだけれど。

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[業務用覚書]

おかしいな。 deletion mutantのはずなのにPCRで遺伝子のサイズを確認したら野生型の方がサイズが小さい?

野生型とリファレンス系統の増幅産物のシーケンスをしておかないと、PCRで何が増えてるのか今ひとつ信用できないではないか。困った困った。しかも明日は出張だ。

2008年12月 8日 (月)

マウスの脂肪細胞(白色脂肪細胞及び褐色脂肪細胞)からプリオン病が感染することがわかった。

ニュースソースはEurekAlert!

オリジナルの論文はPLoS Pathogensに掲載された。

これまで、BSE等のプリオン病は神経系や胸腺などの”特定危険部位”(政府で使われているこの訳語は不適切であると思う)を介して家畜から人に感染すると考えられてきた。この論文で著者は以下のように示唆している。

Our results suggest that fat tissues of domestic or wild animals infected with prions may pose an unappreciated hazard for spread of infection to humans or domestic animals.

我々の結果は、次のことを示唆している。プリオンに感染した家畜や野生動物は、ヒトや家畜へのこれまで認められなかった感染の危険性を引き起こすかもしれない。

もし、表題どおりの現象が通常のウシでも起きるのであれば、全頭検査は言うに及ばず、”特定危険部位”という括りでリスク管理をしてきたことが、ほぼ無意味であったことになる。なにしろ、大量にある皮下脂肪でもプリオンが感染するということなのだから。ただし、そのプリオンの量と感染力がどの程度かによってとるべき対応は大きく違ってくるはずなのだが。

この論文を読むにあたり、留意するべき事項

要するに、ウシに適用しうる結果か?

     
  1. 使用されたマウスはプリオンに対する感受性が高いものが使用されていないか?(通常の動物では問題にならない水準ではないのか?)  
         
    • 組織へのプリオンの分布の調査は野生型のマウスだった(TGマウスも比較に用いている)。    
    • 脳の感染力価は野生型もTGも同等。(感染力価は8.9 vs. 9.8)    
    • 脂肪組織(皮下)の感染力価は、野生型ではTGの約1/2-1/3(4.7 vs. 8.6)    
    • しかし、この値は特定危険部位にあたる脳の1/2であり、舌(野生型では、4.7)と同等。安全と考えられている血清(野生型では1.8)の2倍以上にあたる。  
     
  2. 使用されたマウスは高齢ではないか?(例えばウシでは20ヶ月例以下では問題にならないレベルのものではないか?)  
         
    • 6-12ヶ月齢の若いマウス  
     
  3. プリオンの接種の方法は特別か?(近年、リスクとなりうる原発性のBSEを模している状況と言えるか、あるいは脳内接種?)  
         
    • 脳内に組織磨砕物の希釈系列を50uL投与  
     
  4. 脂肪細胞に蓄積していたプリオンの量は、神経細胞と比べて多いか少ないか?(仮にウシの脂肪で同等量が蓄積していた場合、ヒトが摂取する可能性のある見積量はどの程度か?)  
         
    • 感染力価で表現しているので分からない  
     
  5. 22Lスクレイピーに感染したマウスの組織は、感染力価は確認されているのだが、WTではImmunoblottでは脳以外の組織にプリオンが検出されていない。これは謎

など。

immunoblotと感染力価が対応していない、野生型個体については組織免疫染色でも脂肪組織そのものにはプリオンが確認されていない、など若干データに不整合があるように感じる。

論文の表題でも、”Detection of Prion Infectivity in Fat Tissues of Scrapie-Infected Mice”とあるとおり、プリオンそのものが脂肪細胞から検出された、と言うわけではない。感染性の基礎となる現物のプリオンが検出されないのは???

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2008年12月 3日 (水)

地方分権改革推進委員会二次勧告骨子

朝日新聞では朝刊のトップ記事だった。8日に取りまとめ、公表なのでその後内閣府のホームページで確認するとよいのだが、主要農作物種子法の改正に関わる勧告が含まれているようだ。

記事には、地方分権委が見直し(この場合は廃止)を求める主な義務づけの一つに、次のようにあった。

[主要農作物の種子]
都道府県は、種子生産者が栽培中の米、麦、大豆の出穂状態や発芽の良否を審査し、証明書を交付

ちなみに主要農作物種子法には次のようにある。

(定義)

第二条
 この法律で「主要農作物」とは、稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆をいう。
2 この法律で「ほ場審査」とは、都道府県が、種子生産ほ場において栽培中の主要農作物の出穂、穂ぞろい、成熟状況等について審査することをいい、「生産 物審査」とは、都道府県が、種子生産ほ場において生産された主要農作物の種子の発芽の良否、不良な種子及び異物の混入状況等について審査することをいう。
(略)
(ほ場審査証明書等の交付)

第五条
 都道府県は、ほ場審査又は生産物審査の結果、当該主要農作物又はその種子が前条第五項の都道府県が定める基準に適合すると認めるときは、当該請求者に対し、農林水産省令で定めるほ場審査証明書又は生産物審査証明書を交付しなければならない。

この優良な採取ほ場の審査制度は、思うに、自治体の指定する奨励品種等の制度とセットになって生産資材としての種子の品質を保証するのに一役買っているのではないか。性能の良い品種であっても、適正な生産プロセスで生産されて初めて、生産資材としての種子の能力を発揮する。証明書の交付は、それを保証するための一つの手段であろう。

この種子の生産プロセスに対する自治体の保証がなくなった場合、どうやって種子が品種としての性能を発揮できるようにしていくか?国による義務付けが外れれば、それに代替する仕組みが無い場合には、自治体が自らの責任と権限において同様の保証をするか、農協など集荷にあたる団体にその仕組みを肩代わりさせるか、何らかの方策が必要になるだろう。

あるいは、制度自体を廃止して外資による種子の独占を許すのか。

この制限の撤廃は、小さな出来事に見えるかもしれないが、やがてかなり大きな波及効果を持つかもしれない。

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2008年12月 2日 (火)

”葉緑体を飼うウミウシ”の続報

昨年7月のエントリーでウミウシの一種”Elysia chlorotica”が餌にしている緑藻”Vaucheria litorea (C. Agardh)”の葉緑体を細胞内で共生させている話題を紹介した。その続編とも言うべき研究を、University of MaineのDr. RumphoらがPNASで発表している。

要するに、この特異なウミウシは餌の緑藻の核遺伝子の(少なくとも)一つを自分のゲノムに取り込んでおり、しかもその遺伝子から翻訳したタンパク質を細胞内に取り込んだ藻類の葉緑体に供給することで、長期間にわたって取り込んだ葉緑体を長持ちさせているのだ。

ちなみに、ウミウシは英語では"Sea slug"、直訳すると「海ナメクジ」という優雅ならざる呼び名を頂戴している。

遺伝子の水平移動と言う現象は微生物では良くあることなのだが、軟体動物で、しかも植物と動物の間で遺伝子が移動したという事例はこれが初めての発見では無いだろうか。

[植物の遺伝子についての知識があまりない方のための解説]

一般に植物の葉緑体には、葉緑体ゲノムと呼ばれる環状のDNA分子が存在しており、葉緑体を形作るタンパク質の遺伝情報は葉緑体ゲノムに保存されている。しかし、葉緑体の機能全体をまかなうのに必要なタンパク質全部の遺伝情報が葉緑体ゲノムに保存されている訳ではなく、遺伝情報が植物の核ゲノムに保存されて いるものもあり、それらは核で合成されるmRNAの情報に基づいて細胞質でタンパク質に合成され、葉緑体へと運ばれて行きそこで機能する。

[で、PNASに掲載された論文についてのメモ]

ウミウシの一種Elysia chloroticaは、餌としている緑藻Vaucheria litorea の葉緑体を消化管上皮に共生させている。そこには緑藻の核ゲノムはないので、それらの葉緑体が数ヶ月に亘って機能を維持し続けている事実と、それに必要なタンパク質がどのように供給されているのかは謎である。

可能性としては、
1.緑藻の葉緑体が自律的に機能できるのか、あるいは
2.ウミウシから葉緑体機能の維持に必要なタンパク質を供給してもらっているか・・・の両方、あるいはそのどちらかが考えられる。

そこで、遺伝子の水平移動によってウミウシが緑藻の遺伝子を獲得してタンパク質を葉緑体に供給していると言う仮説に基づき検証を行った。まず、緑藻の葉緑体 ゲノムを調べたが、その結果光合成に必要な遺伝子が一部欠けていることを確認した。次に、ウミウシの遺伝子発現を調べたところ、葉緑体の有酸素光合成に必 要な緑藻の核遺伝子psbOがウミウシの細胞で発現していることと、この遺伝子がウミウシの生殖系列の細胞のゲノムに含まれていることを示した。

ウミウシ由来のpsbOの塩基配列は緑藻Vaucheria litoreapsbOのものと同一であったことから、餌であるVaucheria litorea由来である。この緑藻のpsbO遺伝子の3’側近傍の塩基配列とウミウシの相同な遺伝子の間では高度に多様であり、ウミウシのミトコンドリアの遺伝子は含まれていなかった。[註:コンタミの可能性の排除という意味でのチェック]

  • supporting informationとして動画が2本付いています!なんだか科学論文も凄いことになってきています。軟体動物が苦手な人は見ない方がよいでしょう。S1, S2
  • かつては、特定の植物種の葉緑体ゲノムやミトコンドリアゲノム構造を決めること自体を目的として、論文になったものですが、この論文では葉緑体の細胞内共生 の機構解明を目的に、緑藻の葉緑体ゲノムとミトコンドリアゲノムのシーケンスをやっちゃってます。なんだかすごい時代になったものです。
  • ところで、核ゲノムコードで葉緑体に供給されているタンパク質は恐らくpsbOだけではないので、全体像としてはどうなっているのだろうか?
  • このウミウシは進化の途上でVaucheria litoreaしか食べてこなかったのか?次はウミウシの全ゲノムの決定か?なんだか、マッドサイエンスな香りがします。
  • このElysia chloroticaとは近縁で無いウミウシでも藻類の葉緑体を保有するものがいるようなので、そっちはどうなのだろう?
  • 取り込んだ葉緑体で光合成をするのはわかった。で、どうやってこのウミウシは葉緑体の光合成産物を頂戴しているのだろう?葉緑体から糖を取り出すのもそう簡単では無いと思うのだが。こっちも謎だ。

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2008年12月 1日 (月)

ヘビ毒から鎮痛ペプチド

11/30の朝日新聞より。

ガラガラヘビ毒から「強力」鎮痛物質 富山大

 南米産のガラガラヘビの毒から、モルヒネの数百倍の鎮痛作用がある物質を抽出して合成することに、富山大和漢医薬学総合研究所の紺野勝弘准教授らが成功 した。ラットの実験では効果が3日以上持続し、飲み薬の麻酔に使える可能性があるという。共同研究する製薬会社を探し、新薬の開発をめざす。

 ブラジルに生息するガラガラヘビは、運動神経をまひさせる猛毒で知られるが、かまれても激しい痛みを感じないという。ブラジルでは30年代に、毒を薄めて痛み止め薬として市販されていたという。

 紺野さんは、世界的な毒蛇の研究機関として知られるブラジルのブタンタン研究所や富山大で、ガラガラヘビの毒を分析。チームで、アミノ酸が14個つながった化合物が鎮痛物質と突き止めた。

 さらに、鎮痛効果を確かめるため、ラットの脚に重さをかけ、どれぐらい我慢できるか調べた。この物質を飲んだ群は飲まない群に比べ、ほぼ倍の重さ の痛みに耐えることができた。その効果は、1回、飲ませただけで3~5日続いた。モルヒネで同じ効果を出すには、その数百倍の量が必要なことも分かった。

 モルヒネは、使う量を増やさないと効き目が悪くなることがある。一方、このヘビの毒は量を増やさなくても同じ効果が続いたという。

 紺野さんは「飲み薬として使えれば、普及する可能性がある。痛みを抑える仕組みを解明して、薬作りにつなげたい」と話している。(佐藤久恵)

ペプチド医薬品は単価が高くなりがちなところが泣き所ですが、これは次の点で画期的な発見です(いずれ安く製造できるようになると良いのですが)。

  • ”アミノ酸が14個つながった単純な構造の化合物”であること。
  • 経口投与できること。注射しなくても良いので、ガン患者等のペインクリニックには向いているかもしれません。
  • 持続時間が長いこと。3-5日間効果が継続するということは、なかなか代謝されないということ。主成分がペプチドであれば、モルヒネなどのアルカロイドのように代謝する器官に負荷がかかることもないはず。

カルタヘナ法関係では、ガラガラヘビは実験分類クラス1ですので、認定宿主ベクター系であれば、拡散防止措置はP1レベルで十分です。毒素の毒性の強さによっては大臣確認が要りますが、後述の論文では、この毒素を使ってラットの経口投与試験をしているので、LD50が「体重一キログラム当たり百ナノグラムを超える」ことから大臣確認実験には該当しません(最大で25 μg/kg投与しています)。

もっとも、「毒を薄めて痛み止め薬として市販されていた」とありますので、鎮痛成分自体はもともとそう強い致死性の毒素ではないはずです。

ペプチドが経口投与で生理活性を発揮するというのは実は結構大変なことで、消化管で全く分解されないか、あまり分解されない、小腸の壁から吸収されて血流に乗る、しかも生理活性(この場合は鎮痛作用)を発揮する様な血中濃度が維持できること、など様々な関門があります。鎮痛作用といっても、局部麻酔のように局所的に末梢神経の刺激の伝達をブロックする場合と、中枢神経を抑制する場合があります。脳で作用する物質の場合は血液脳関門を透過しないといけな いので、文字通りもう一つ関門があることになります。通常、opioid peptideはなかなか脳関門を通らないとされているので、脳に届いて作用するのであればそこも画期的です(・・・天然物なのに!)。

論文が出ているはずと思って調べてみたらこちら。鎮痛物質はcrotalphineと言うそうです。鎮痛ペプチド(-phine)らしい名前ですね。Abstractによると、
"This 14-amino-acid residue sequence is identical to the gamma-chain sequence of crotapotin, a non-toxic component of this snake venom."
とのことですので、毒性の心配は要らない様です。

一方、
"The amino acid sequence of this peptide, designated crotalphine, was determined by mass spectrometry and corroborated by solid-phase synthesis to be <EFSPENCQGESQPC, where <E is pyroglutamic acid and the two cysteine residues forming a disulfide bond."
とのことで、N末端側がピログルタミン酸になっているので、もし組換え生物に作らせるとしたら、相当の工夫が必要かも知れません(ピログルタミン酸はそのま まではエドマン分解できないそうなので、構造決定の際にも厄介だったのではないでしょうか)。また、7番目と14番目のCystein残基がS-S結合し ているようなので、そのあたりをきちんと分子内で結合させる制御が難しそうです。

なお、新聞記事の見出しでは”「強力」鎮痛物質”とありますが、強さで言えばイモガイの産生するコノトキシンの方が強いかも知れません。しかし、あまり作用が強いものはコントロールが難しくなってしまいます。また、コノトキシンは経口投与できないそうなので、その点でもcrotalphineの方が使い道によっては有利でしょう。

ちなみに、鎮痛作用はあまり強くはありませんが、ホウレンソウ由来のRubiscolin-6というものもあります。こちらも経口投与で作用が現れるのですが、鎮痛作用だけでなく記憶力改善にも効果があり、さらに抗不安効果もあるとのこと。構造は単純で、6アミノ酸残基(Tyr-Pro-Leu-Asp-Leu-Phe)で、修飾や分子内結合はありません。

ただし、こちらの論文で は経口投与の場合の投与量が0.1g/kg体重なので、体重60kgのヒトであれば、このペプチドだけ6gも摂取しなければいけません。ご飯(白米)のタ ンパク質含有率は約2.5%ほど。粗タンパク量としては、ご飯を240g食べれば6gのタンパク質を摂取できますが、お米のタンパク質全量を組換えタンパ ク質に置き換えられる訳ではないので、技術的にはかなり難しいところです。

※ ですが、抗不安薬の成分を含んだ組換えイネというのは、社会的なコンセンサスを得るのは難しいように思います。モルヒネの受容体に作用するようなので、も し習慣性があると困るし・・・。でも、お米ってほぼ毎日食べてるような・・・いやいや、他の品種のお米だと食べた気がしない、というのではやはりいけない。

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