2014年12月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

最近のトラックバック

どこからきたの?

  • なかのひと

Google Analytics

« 最初の一頭、あるいは原発性BSE | トップページ | ハチ毒のアナフィラキシーショックには気をつけましょう。 »

2008年9月15日 (月)

リスクに見合った手続きが必要

Blogのaccess logを見ていたら、こちらから来られる方が増えています。

"よろしい、ならば増税だ!

という刺激的なタイトルが付いていますが、私はそうは思っていないので、トラックバックさせていただきます。私は、法律家でも官僚でもありません。専門分野以外の問題について書く際には、間違った考えを持って書いているかも知れませんので、読む際にはその可能性を割り引いておいてください。

今回の三笠フーズの偽装は消費者に対するものではなく、事業者同士の商取引の間で発生しています。商品の偽装の防止に関する法律・・・というか

  1. 適正な表示に関わる法律
  2. 食品安全に関わる法律

には各種あって、それぞれ目的も所管する官庁も違います。厚生労働省のホームページに一覧表があって参考になります。この一覧表には、今回問題になった”お米”に関する主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律は含まれていません。需給と価格安定に関する法律なので目的からいっても、食品衛生や表示には関係ありませんので。

今回の一件では、農産物であるお米が、最初は食品であったはずが、品質に問題があったので工業用原料になった、それを再度食用に転用した、という経緯があったようです。

となると、その過程で、取り締まる法律も、

  1. 食用のお米の流通: 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(所管:農水省)
  2. 食用のお米の品質: JAS法(所管:農水省。ただし、過去においては事業者間の流通は規制対象に含まない)
  3. 食用でないお米を食用に転用しての流通: 景品表示法(所管:公正取引委員会)、食品衛生法(所管:厚生労働省) 、不正競争防止法(所管:経済産業省)

と変わってきます。

同じ事業者が”モノ”でも、用途によって規制のルールも所管する官庁も違うので、どこで違法な扱いが発生し、その結果誰に対して(消費者?事業者?)、どのような被害が想定されるか(金銭的損失?健康被害?)によっても、適用される法律が違います。

法律の制定された歴史的な経緯や、目的を考えると致し方ない部分はありますが、その結果、事故に対して即応しにくい状況ができあがっています。

マンパワーを割いて検査を厳しくして事故の発生を抑えるという対応は今の小さな政府を指向する国民(あるいは産業界)の要望には合致しませんし、実際の所、あまりコストパフォーマンスの良い施策とも思えません。ですので、私は”よろしい、ならば増税だ”という方向性が正しいとは思いません。

ではどうするか?というと、ここでもう一度さきほどの一覧表を見ていただきたいのです。罰則については、北海道新聞のホームページの方が良いかも知れません。

  • JAS法: 改善の指示に従わなければ業者名を公表、さらに改善命令にも応じなければ50万円以下の罰金
  • 食品衛生法: 営業許可の取り消し、営業の禁止または停止。処分に違反して営業すると6カ月以下の懲役または3万円以下の罰金
  • 景品表示法: 排除命令を行い、業者名を公表。命令に従わなければ2年以下の懲役または300万円以下の罰金
  • 不正競争防止法: 3年以下の懲役または300万円以下の罰金

どれも、基本的にあえて犯罪を犯す事業者はいない、という発想なので、不正競争防止法以外は”直罰”にはなっていません。まずは行政指導、それでもダメなら罰則、というやり方です。いちいち告発しなくても良いので規制官庁のフリーハンドが大きくなり、機動的に対応できるのがメリットです(当然、デメリットもあります)。

で、何が言いたいかというと、違法行為によって数千万円から数億円の利益が上げられる場合には、たかだか3万円から300万円の罰金で犯罪は防げないと言うことです。しかも、行政指導を食う前に数億円の利益を上げて会社をたたんでしまえば、事業者名を公表されても痛くもかゆくもないし、経営者は一生食うには困らないのですから。

なので、必要なのは、厳罰化でも、直罰化でも良いでしょう。ともかく、不正な手段で利益を上げる行為が事業として割に合わないようにすることです。まず、お金のかからない罰則強化から、が良いでしょう。
# 飲酒運転も罰則強化で、行政コストをあまりかけずに効果を上げています。

それから、各種の規制法が入り組んでいる状況は、規制に関わる人員・部局の重複で行政コストもかかりますし、官庁の縦割りの影響で連携があまり宜しくないという問題があるようです。今回の三笠フーズの一件も、農林水産省には関連した事業者名を公表するための法的な権限がありませんでしたし。・・・ということで、これが整理できれば、議員の先生の大きな腕の見せ所ではないかと思います。

なお、自民党総裁選で石原先生が、検査の権限を自治体に渡せと仰っています。機動力という意味では、それで良いかも知れませんが三笠フーズのように事業所が全国に散らばっている場合、地域横断的な対応ができないと全容解明は望めません。地域横断的な事件に対応するためのコントロールタワーをどうするのか?というのが課題になります。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

« 最初の一頭、あるいは原発性BSE | トップページ | ハチ毒のアナフィラキシーショックには気をつけましょう。 »

コメント

domon様、遅くなりましたがトラックバックさせていただきました。ohira-yです。いつも参考にさせていただいております。

私も、現行の行政指導中心の機動性を維持しつつ、悪質な故意犯に対してはそれ相応の処罰ができるような法改正という方針が正しいと思います。(タイトルについては…スルーしといてください)
政策については今回の総裁候補にしろ民主党にしろその場その場での各論に終始しているようで、不満が募ります。目指す大枠を示して、その中である程度整合性のあるマニフェストを出してくれないものでしょうか。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/139010/42484237

この記事へのトラックバック一覧です: リスクに見合った手続きが必要:

» よろしい、ならば増税だ! [食の安全情報blog]
今回の事故米穀の件で、農林水産省が96回も検査を行っていながら、不正を見抜けなかったことが問題となっています。 (リンク先はちょっとアレですが) で、気になっていたのはどういう法的根拠に基づいた何に対する検査なのだろうか?ということです。調べていたら、ちょう... [続きを読む]

« 最初の一頭、あるいは原発性BSE | トップページ | ハチ毒のアナフィラキシーショックには気をつけましょう。 »

twitter

  • Bernard_Domon

Ranking

  • にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ
    日本ブログ村
無料ブログはココログ