« β-メルカプトエタノールが毒物になりました -試薬メーカーの対応- | トップページ | Pullout of the killer tomatoes ! »

2008/07/16

食品安全委員会の独立性は残ったか

消費者行政推進会議では、消費者庁と食品安全委員会の位置づけの論議がまとまった模様。

食品安全委は全面移管せず 消費者庁巡り政府

 政府は15日、 2009年度に新設する消費者庁に関して、内閣府の食品安全委員会の全面移管を見送る方針を固めた。 食品事故が発生したときの緊急対応などを同庁に移す。23日にも開く政府の消費者行政推進会議(座長・佐々木毅学習院大教授) で正式に決める見通しだ。

 食品や添加物などの健康への影響を評価する機能は同委に残す。食品業界などに、 消費者庁に評価機能を移せばバランスを欠くとの声があることなどに配慮したようだ。 食品事故や食中毒が発生した際の公表や情報提供などの緊急対応は事故情報を一元的に集約する消費者庁が担う。 (07:03)

消費者庁がリスク管理の機能を担うのであれば、 リスク評価を行う食品安全委員会をその指揮下に置かないと言う判断は賢明だ。もし、全面移管をしてしまっていれば、 仕組みとしては厚生労働省の審議会で食品安全性の審査をやっていた頃と、そう変わらないことになってしまう所だった。

科学的なリスク評価を、規制行政を行う所管の官庁から切り離す仕組みは、EU(EFSA)でも採用されている。 米国は、FDAとしては評価も規制も行っているが、規制部局(Office of Rgulatory Affairs, ORA)はリスク評価を行う各センターとは独立した組織になっており、 相互に指揮命令関係はない模様。

ところで、リスク評価と規制行政を分けるという考え方を、 毒劇物や危険物を含めた化学物質全般に拡大できないものだろうか。現在は、毒劇法は厚労省、 化学物質やそれを含む製品の製造・流通は厚生労働省、経済産業省、環境省(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、 化審法)と、それぞれリスク評価から管理まで縦割りになっているが、 リスク評価の部分は各省共通の行政委員会において、リスク情報の共有がスムーズになると良いのだが。百歩譲って、 各種法律の規制対象となる物質とCAS番号の対応を横断的に関連づけた統一データベースがあるだけでも良いのだが。

・・・と思ったらありますね。商用版のデータベースが。 規制がビジネスを生む好例です。年間3.6万円位なので、研究所全体で一単位契約しておけば便利かもしれません。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

 

|

« β-メルカプトエタノールが毒物になりました -試薬メーカーの対応- | トップページ | Pullout of the killer tomatoes ! »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 食品安全委員会の独立性は残ったか:

« β-メルカプトエタノールが毒物になりました -試薬メーカーの対応- | トップページ | Pullout of the killer tomatoes ! »