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2008年5月27日 (火)

[業務用覚書] Sz.pombe用発現ベクター

実験に関する覚え書きなので、素人さんにはきわめて不親切な書きぶりです。読み手のことはちっとも考えてませんので、 分裂酵母にも出芽酵母にも興味のない方はスルーしてください。

 


 

Saccharomyces cerevisiaeSchizosaccharomyces pombe では材料にしている研究者があまり重ならないのだろうか。ベクターも結構種類が違っていて、S. cereviseae 用のバイナリー・ベクターがとS. pombe でも使えるかどうか分からなかった。

そこで、NBRP酵母のデータベースでS. pombe用発現ベクターを調べてみると、 pYES2をバックボーンにしたものがあった(たとえばこんなの) 。で、論文を調べてみるとS. cereviseaeSEC14Spo20で相補するという実験で、 ホストはS. cereviseae だった。がっかり。

結局、Gal1pや2μm oriはS. pombe では働くかないのかな。Siam et al. (2004)によれば、2μm oriはS. pombe では不安定とのこと。

# このレビューは、 分裂酵母で使えるベクターの複製開始点、選抜マーカー、プロモーターについて一覧的にまとめてあるので便利。

ならば、手持ちのS. cereviseae 用のバイナリー・ベクターではなく、最初からS. pombe専用の発現ベクターを使った方が早い。NBRPのプロモーターのバリエーションは、

  • nmt41(73) : nmt1*, nmt1+の変異型、中庸の発現程度。
  • nmt1 (33): nmt1+, "No message in thiamine"の略。強発現、 チアミン15 μMで抑制(誘導型)。発現誘導にはチアミンの除去後16-20時間かかる。最少培地が必要。
  • nmt81 (26) : nmt1**, nmt1+の変異型、弱い。
  • ADH1 (23)
  • CMV ( 1) :  human cytomegalovirusのプロモーター。 核酸供与体の実験分類はクラス2。
  • GAP1 ( 1), GAL1(3) : これは出芽酵母用だろう。

となっている。

理研のpDUALのシリーズもが便利そうだ。 これはnmt1, 41, 81をシリーズで揃えていて、5'側あるいは3'側のGFPと、ゲートウエイのattR1,R2を持っている。 しかもエピゾーム型でも染色体組込型でも使える。選抜マーカーはura4。 +NBRPで配布しているベクターよりもかなり洗練されている。(市販のベクターより安いですが、分譲の際のお値段もそれなりです。 )

とりあえず、ura4-S. pombeの菌株が必要なので、 お試し用の発現ベクターと一緒に、課金される前にNBRPから入手しておこう。

ここまで書いて日本語のサイトを探したら、もっときちんとまとめた先達がいらっしゃいましたのでとりあえずリンク。 こういう情報を先に見ておけば良かった。

さて、S. pombe では相同組換えの効率、 相同組換えに必要な領域の長さなどについての論文があるのだろうか。調べてみよう。kanMXカセットによるS. pombe の形質転換は普通に使われるようなので、それほど長い領域は必要なさそうですが。

これS. pombe のPCR mediated gene disruptionの論文。Sh bleも使っています。サイズが小さくて(375 bp)良いのですが、 いかんせん耐性が現れるまでに時間がかかるのと高塩濃度の培地、低pHの培地(pHが7を切る)ようだと、 pheleomycinの効きが悪くなるので、大腸菌でAmpを使う場合よりもちょっとだけ面倒です。ちなみに、 pTEFでドライブしてます。

蘊蓄を一つ。 pheleomycinは細胞のDNAを二重鎖切断して殺すタイプの抗生物質。Sh ble の産生するタンパク質は、抗生物質と1対1結合して失活させることで耐性を発現させるタイプ。従って、 十分量のタンパク質が細胞内に蓄積していないと、組換え体が死んでしまいます。

これに対して、アンピシリン、 G418などβラクタム系の抗生物質は細胞壁の合成阻害なので、直接的に菌を殺す作用はありません。 βラクタマーゼは酵素ですから、 分裂阻害がかかって細胞が分裂しない間に、じんわり発現して酵素活性を発揮します。 酵素なので1分子のタンパク質が相当数の基質のアンピシリンやG418を分解できます。なので、 大腸菌のヒートショック直後にAmpプレートに撒いてもコロニーは生えてきます。

ちなみに、Sh bleを使ったベクターでS. cereviseae の形質転換をする場合、形質転換操作の後、最低でも30度で2時間、横着する場合は4-15度で一晩放置(S. cereviseae はこの状態であまり分裂はしませんが、タンパク質はそこそこ作ります) してから選抜した方が効率は良いですね。

さて肝心の相同組換えに必要なDNA断片の長さですが、この論文では肝心の所はgene spesific primerとしか書いていないので、Bahler et al (1998)を見ないと分かりません。これによると、"The PCR primers included 60 to 80 bp of flanking sequences homologous to target sequences in the genome."だそうで、S. cereviseae の40 bpよりかなり長い。 プライマーの合成も時間がかかるし高い。多少の手間を惜しまなければ、fusion PCRかS. cereviseae の相同組換えの方がましですね。

もっと最近の論文を見てみると、2006年の論文でこういうのもある。 便利そう。だが、デフォルトのtarget sequenceは80 bpもある!となると、 相同組換えでベクターのコンストラクションをするにはS. cereviseae の方が向いていることになる。

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