カモノハシ・ゲノム
今日のトピックはこれ。
(エンカルタより)
http://www.natureasia.com/japan/nature/updates/index.php?i=66196
Nature vol.453 (7192), (8 May 2008)
Cover Story: カモノハシのゲノム解読: 塩基配列の解析から得られる初期哺乳類の進化の手がかり
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2388402/2908952
カモノハシのゲノム解読、 ほ乳類誕生の経緯解明に期待
【5月8日 AFP】自然界に存在する多種多様な生物の中でも、 恐らく最も奇妙な生物といえるカモノハシのゲノム(全遺伝情報)解読結果が7日、発表された。
さまざまな動物の特徴をあわせ持ったかのようなカモノハシだが、今回の研究結果によれば、遺伝子上は鳥、は虫類、泌乳(ひつにゅう) 動物などの寄せ集めだという。
研究チームは数年かけて、カモノハシの1万8500個の遺伝子に含まれる22億塩基対のゲノムを解読した。その結果、 生物学者にとって「十分に満足のいく」結果が得られたとしている。
英オックスフォード大学(Oxford University)のクリス・ポンティング(Chris Ponting)教授は「カモノハシは、ヒトなどのほ乳類がどのように誕生したかを解明する課程での『ミッシング・ リンク(失われた環)』だ」と説明。「ほ乳類が卵から生まれ、母乳を飲んで育っていた時代へわれわれを導くチケットなのだ」 と述べ、カモノハシのゲノム解読の重要性を強調した。
■卵を産みクチバシや水かきを持つ、ほ乳類
カモノハシはオーストラリア東部からタスマニア(Tasmania) に生息する。厚い体毛に覆われた半水生の動物で、およそ1億7000万年前に、ヒトとの共通祖先から分かれたと考えられている。
母乳を出すことからほ乳類に分類されるが、卵を産む卵生動物では虫類の性質も持ち合わせる。乳首がないため、 雌は授乳の際に腹部の皮膚から母乳を分泌する。また雄には後肢にはへびの牙のような蹴爪があり、ここからは毒が分泌される。
一方、ラテン語の学名「Ornithorhynchus anatinus」が示すように、 足の水かきやアヒルのようなくちばしといった鳥類の性質も持つ。そのほか、 ヒトには2つしかない性別を決定する染色体がカモノハシには10個もあるという。
カモノハシは目や耳、鼻の穴を閉じることができ、さらに水中ではくちばしの中にある器官を使って、 獲物の筋肉の収縮で発生する磁場を感知することもできるという。
研究チームの1人、米ワシントン大学(University of Washington)のリチャード・ウィルソン(Richard Wilson)教授は「カモノハシのゲノムと他のほ乳類のゲノムを比較すれば、 進化の過程でも変わることなく保存されてきた遺伝子の研究が可能になるだろう」と話している。
この研究で使用されたゲノムは、豪ニューサウスウェールズ(New South Wales)州の「グレニー(Glennie) 」と名付けられた雌のカモノハシのもので、www.ncbi.nih.gov/Genbankで閲覧することができる。 (c)AFP/Marlowe Hood
えー、”遺伝子上は鳥、は虫類、泌乳(ひつにゅう)動物などの寄せ集め”という見方は、 時系列で見たら全く逆ですね。実態はおそらく、”鳥、は虫類、泌乳動物”に分岐する前の”プロトタイプ” から直接派生してきたものの生き残りではないかと思う。なので、身無理矢理”名誉”ほ乳類にするのはカモノハシに失礼では?
”卵を産む卵生動物では虫類の性質も持ち合わせる。”と言いますが、卵を産む脊椎動物は (卵胎生というバリエーションも含めると)、一部の有袋類と胎盤を形成できる一般的な哺乳動物以外全部なのでこの言い方は正しくない (ハリモグラも卵生だったっけ)。脊椎動物の祖先型の卵生という特徴を残しながら、 母乳を分泌する能力も獲得していると言う方が適切でしょう。
しかし、ニッチな研究だな。ファンドを提供した組織は偉い(次は、ハリモグラ・ゲノムか?)。
どなたか、鯨ゲノム研究やらないかな。ゲノムサイズは巨体に似合わず大きくはないと思いますが。
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