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2008年4月18日 (金)

新型インフルエンザ対策

日本では通常のインフルエンザの流行期をほぼ過ぎた。

一方、亜熱帯-熱帯アジアではこれから夏場がインフルエンザの流行期に入る。インフルエンザウイルスは乾燥に対しては耐性が強いため、 野外での寿命が長くなる乾燥した時期が流行期になるのだろう。

18日付のScienceには世界各地で単離されたA型インフルエンザウイルス(H3N2型)の分化から起源地を特定 (推定と言うべきか)した論文が掲載された(論文ニュース) 。現在まで行われてきたインフルエンザの流行予測に関して科学的な補強材料を与える研究と言えるだろう。

この論文の価値は、新聞で言われているように、これまで言われてきた起源地が分かったと言うことだけではない。その他に、 伝播経路が明らかになったことと、伝播中に蓄積する突然変異のパターンが網羅的に明らかにされたという重要な点にもある。

ちょっとぞっとするのは、東-東南アジアでのインフルエンザウイルス流行の起源から、 南米に見られるもっとも遅い流行までの期間が6-9ヶ月と短いことだ。これは日本での標準的なインフルエンザワクチンの製造に要する期間 (6ヶ月)ととんとん。南米で6-9ヶ月ということは、日本ではもっと早く流行が始まるので東- 東南アジアでの流行前にウイルス株の予測をしてワクチン製造することが求められるということだ。それができないのなら、 培養細胞で短期間でワクチン製造をする技術が必要になるだろう。

また、起源地から離れるほど、同時に時間が経過するほどに抗原型が分化していくことが示されている。つまり、 流行起源地に近い程ウイルスの抗原型が変異していないので、起源地に近い地域では、起源地で単離したウイルス株由来 (あるいは変異を入れて弱毒化したりすることもあると聞く)のワクチンが効く可能性が高いということだ。逆を言えば、 起源地から遠い地域では、 できるだけ近くで流行したウイルス株からワクチンを作らなければウイルスの変異に追いつけないために効かないかも知れないということでもある。

起源地に近い日本では、もし、東-東南アジアで流行し始めたウイルス株を早急に捕まえて、 迅速にワクチンが作れれば流行を防ぐことができるかも知れない。

一方、ワクチンについては抗体価がが上がりにくい集団(つまり、ワクチンが予防効果を発揮しにくい集団)が居る。乳幼児と高齢者だ。 高齢化が進む日本では、免疫機能の働きの弱い高齢者が多くなるため、ワクチンが感染予防に対して効果を持ちにくくなっていくはずだ。 感染予防をワクチンだけに頼る施策を続けると危ないかも知れない。

タミフルやザナビルなど、ウイルス側の構造をターゲットにした医薬品の場合は、耐性ウイルスが出てくることは明らかで、 いつまでも有効とは限らない。これも、ワクチンの代用にはなりにくい。

他の方法も必要だ。長期的には徳島大学の木戸先生達の研究のように、 ヒトの体の感染を成立させている機構をターゲットにした医薬品が必要かも知れない。・・・とはいえ、 気道の分泌型プロテアーゼを阻害するとウイルスの活性化はブロックできるかも知れないが、 細菌感染が起こるのではないかと若干心配ではあります。その時は、抗生物質を同時に投与しておくと良いのかも知れませんが。

 


 

今日のツッコミどころ。読売新聞の社説

 これに加え、「新型」は、鶏の有精卵を使う今の製造法がうまく適用できるか定かではない。 鳥インフルエンザのように、鶏が大量死するタイプなら、製造に使う卵が先に傷んでしまう。大量生産に用いることができるだろうか。

鶏が大量死するタイプの強毒型ウイルスをそのままワクチン製造に使うことを想像しているのですね。 この筆者は想像力が足りません。そういう場合は、遺伝子組換えや人為突然変異で増殖能を抑えた変異株を作って卵が傷まないようにするんです (若干時間がかかるのが難点ですが)。実際、WHOの配布しているモックアップワクチン用の株は弱毒化してあります。

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