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2008年2月26日 (火)

真面目なセレウス菌

毎日新聞の記事より。新生児の死亡は気の毒という他ないが、 今回の原因菌の殺菌は技術的に結構難しい問題ではある。

セレウス菌:院内感染、新生児死亡-- 浜松

 浜松市中区の聖隷(せいれい)浜松病院(堺常雄院長、744床)で07年7月、新生児が食中毒などを起こす「セレウス菌」 に感染し、死亡していたことが分かった。

 病院によると、新生児は体重1000グラム未満の「超未熟児」でNICU(新生児集中治療室)に入院させた。 3日後に敗血症で死亡。血液内にセレウス菌が入ったのが原因だった。同室の未熟児3人のシーツや皮膚からも菌が検出されており、 タオルやシーツなどから感染したらしい。

毎日新聞 2008年2月26日 東京朝刊

”新生児が食中毒などを起こす「セレウス菌」”と書いてあるので、 恐らくBacillus cereusのことだろう。発音は、”真面目、深刻” を意味する"serious"と一緒らしい。食中毒の原因菌としては古典的なものだが、 食中毒を起こすには多量の菌体の摂取が必要と言われている。病原性大腸菌O157等から見るとずっとマイルド(こちらが参考になる) 。

土壌中に普通に見られる嫌気性細菌(通性嫌気性)だが、 環境が悪くなると芽胞という熱に強い細胞を作る。芽胞細菌は調理などの普通の加熱ではなかなか死なない。というか、 調理の際の加熱で活動型になるというやっかいな性質がある。しかも、大抵の細菌が活動しない45℃位でも増殖するので、 パスタやピラフなどがこの細菌で汚染して集団食中毒を引き起こす事もある。この細菌は特に、デンプン質が好きらしい。 名前のcereusというのもローマ神話の穀物の女神ceresに由来するという説もあるので、 穀物とは縁が深いようだ。今回の事故でも、この細菌の殺菌の難しさが原因の一つではないかと考えられる。

ちなみに、 試薬として市販されているアミラーゼの中にはBacillus cereus由来の製品がある。耐熱性が良好で、 デンプンの分解能力にも優れているので重宝。また、 他の食中毒細菌ではないBacillus属細菌由来のアミラーゼには非常に耐熱性の高いもの(70℃くらいでも使える)もあって、 日本酒の仕込み(必ずしも一般的ではないが)や食器洗浄機用の洗剤に使われているものもある(商品名ではDurazymeなど)。

今回の報道は、私が食中毒細菌だと思っていたBacillus cereusが、実は感染症もおこすのだ、と言う点がニュースでした。

なお、Bacillus cereusを遺伝子組換え実験の宿主にする場合は、実験分類は「病原性あり」のクラス2なので、 大抵は拡散防止措置はP2レベルが要求されます。取扱には気をつけて。

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