2020年4月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

最近のトラックバック

どこからきたの?

  • なかのひと

Google Analytics

« 2008年1月 | トップページ | 2008年3月 »

2008年2月の記事

2008年2月29日 (金)

"Myths & Truths About Soy" 大豆についての神話と真実

ダイズ食品の健康機能性について調べ物をしていて、"大豆についての神話と真実"というこんな文書を見つけた。

西欧人の間に流布している健康食品としてのダイズについて過剰な期待を抱かせる多くの誤解があることから、 誤解を解くために書かれた文書らしい。それほど間違ってはいないのだが、中には東アジアの食文化に対する誤解に基づく記述もある。 「著作権者ウェストン・A・プライス基金」と書いてあるので、引用は最小限にとどめておく。

 

  神話: アジアでは大量の大豆食品を消費している。  

 

真実:日本と中国の平均大豆消費量は、10g/日(約大匙2杯)で、   アジア人の大豆食品の使用は調味料として少量使うのであって、動物性食品の変わりとしてではない。

私は昨日、油揚げ、納豆、味噌、醤油を摂取した。調味料は別としても、 筆者は豆腐や納豆を知らないのかも知れない。大豆油で揚げた油揚げ入りの味噌汁は、豆腐+大豆油+味噌で大豆尽くしだ。納豆は、 生のダイズよりも吸水して重くなっているだろうが、仮に2倍に重くなっていても1パックの納豆50gのダイズを25gと見積もると、 2日に1パック以下、しかも、あとは醤油も味噌もなしという食生活になる。いくら何でも、それはないだろう。

なお、日本の大豆の自給率は4-5%。輸入大豆の少なからぬ部分が家畜飼料や油の原料に使用される事もあり、 大量の大豆を消費してはいるが、それが即ち「大量の大豆食品を消費している」ということにはつながっていない点では一面の事実はあるが。

 

神話: 現代の大豆食品は、伝統的大豆食品と同等の健康的恩恵をもたらす。

 

真実:多くの現代大豆食品は、醗酵させて大豆の毒を中和しておらず、   加工法も大豆蛋白を変質させて発癌性が高くなっている。

健康上問題になるレベルの発がん性のある大豆食品が流通している事実があるとすれば、 食品衛生上の重大なリスクだ。仮に、「現代大豆食品」の発がん性が「伝統的大豆食品」よりも高かったとしても、 一生少なからぬ量を消費してもがんに罹病するリスクが高まらない水準であると考えて差し支えない。しかも、タンパク質を変性させても (焦がしてアミン類を発生させると話は違ってきますが)、ダイズ由来のペプチドに発がん性があるとは考えられない。

また、生のダイズの毒性はおもにトリプシン・インヒビターによるもので、消化不良や栄養の欠乏を引き起こす。 加熱処理で無毒化する。発酵させていない大豆食品は、例えば黒豆や五目豆、豆餅、枝豆、豆腐等々、沢山ある。だが、 どれも腐っていない限りは食中毒の原因にはなっていない。腐った豆腐・・・いや、発酵した豆腐である中国の臭豆腐(日本名、ちりとてちん) でさえ、食べてもあたらない。

 

神話:大豆食品は、完全な蛋白源である。

 

真実:全ての豆類がそうであるように、大豆には硫黄のあるアミノ酸、   メチオニンとシスティンがない。それに、近代加工によってもろいリジンが変質している。

ダイズ食品が「完全な蛋白源」であるかどうかは、「完全な蛋白源」が民主党の言う「情報の隠蔽」同様、 何を意味するか分からないので議論できない。しかし、ダイズの主要な貯蔵タンパク質である、11Sグロブリンには、 システインが含まれている。なお、豆腐は11Sグロブリンの”かたまり”といっても良い。

 

神話:大豆食品は、心臓病を予防する。

 

真実:大豆食品を食べてコレステロール値の下がる人もいる。 しかし、   コレステロールを下げると心臓病のリスクが減るという証拠は一つもない。

ダイズ食品が心臓病を予防するという疫学的な調査結果は無いが、 ダイズに含まれるβコングリシニンが血液中のコレステロールや中性脂肪を低減する効果があることは動物実験でも確認されている。 一方、近年ヒトで医薬品によってコレステロールをコントロールすると心疾患のリスクが低下することが示されつつある。 1999年の時点では「証拠は一つもない」という状況だったのだろうが、 証拠を集める努力が続けられている限りいつまでも証拠は無いものと思ってはいけない。

 

神話:大豆食品は、性生活に良い。

 

真実:大豆食品が動物に不妊を起こすという動物実験はたくさんある。    大豆食品の消費によって中年男性の髪の毛が伸びるのは、テストステロンの減少を示している。 日本の主婦は、   夫の性欲を減らしたい時は豆腐を頻繁に出す。

・・・そ、そうだったのか。近頃よく豆腐が出ると思ったら・・・。と言う冗談はさておき、 日本でだれがそんな事を言ってるのか。ひょっとして悪い冗談を真に受けてしまったのでは無いだろうか。豆腐が「性生活に良い」 というのは根拠はないが、「悪い」というのも根拠がない。

彼らは西欧世界にとって比較的新参者のダイズの食品利用にはとりあえず反対、 というスタンスなんだろうがプラスミドを保有した状態のBacillus subtilis nattoの生えまくったダイズ(納豆のことです)を、殺菌しないでむしゃむしゃ食べてきた我々にとっては今ひとつピンと来ない。 ダイズは体に悪いから止めろなんて、肥満人口が日本の比ではない米国の方に言われてあまり説得力はない。 代わりに牛肉を食べる気にもならないし。

 

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

 

 

2008年2月28日 (木)

「毒性」と言う言葉は、毒性物質の量を意味しない。

朝日新聞より。

メタミドホス急性毒性基準、大人0.15ミリグラムに

2008年02月27日18時38分

 中国製冷凍ギョーザに混入した有機リン系農薬成分「メタミドホス」の毒性について、食品安全委員会の農薬専門調査会幹事会 (座長、鈴木勝士・日本獣医生命科学大学獣医学部教授)は27日、人が一度に摂取すると健康に被害が及ぶレベル(急性毒性)を、 大人で0.15ミリグラムになる数値に決めた。

 千葉市の母子が食べて中毒を起こしたギョーザには1個当たり約1.8ミリグラムのメタミドホスが入っていたとされ、 体重50キロの大人で12倍、15キロの幼児にとって40倍の毒性があった計算だ。

 幹事会は、農薬の専門家10人が議論。 国際機関などよりも人体への毒性作用を厳しくみている米国の環境保護庁の評価にならい、体重1キロ当たり0. 003ミリグラムが妥当とした。

 慢性毒性に対する1日摂取許容量についても、幹事会はこの日、国際機関よりも毒性を厳しくみて0. 0006ミリグラムと決めた。この評価への国民の意見を聴いたうえで、食品安全委から厚生労働省に通知。 同省は食材ごとの安全な残留農薬濃度を決める。

 食品安全委が農薬の「急性毒性」を評価するのはメタミドホスが初めて。これまでは約100の農薬の危険性について、 生涯摂取し続けると健康に問題が生じる「慢性毒性」を念頭に1日の摂取許容量を設定していた。

食品安全委員会からメタミドホスの評価が「農薬評価書」の形で出てくるかどうか知らないが、 もし農薬評価書として公表されるのであれば、記事にあるような「人が一度に摂取すると健康に被害が及ぶレベル(急性毒性)」 を決めることは無いはずだ。食品安全委員会で行う評価の目的は、 現在暫定基準で運用されている規制値に根拠を与えるための基準値作りなのだから。

「農薬評価書」では亜慢性毒性試験の無毒性量と安全係数、それで除した1日摂取許容量(ADI)、 それと急性毒性試験の無毒性量と安全係数、それで除した急性参照容量(ARfD)として公表されるはず。これらの規制値は、 「人が一度に摂取しても健康に被害が及ばないレベル」にあたる。記事で言うような、「人が一度に摂取すると健康に被害が及ぶレベル」 ではない。

ちょっとした違いのようにも見えるが、安全係数が100の場合は、 実験動物とヒトの種による毒性影響の違いではヒトが10倍敏感であるという仮定に、個人の遺伝的・ 生理的な差によっては10倍くらいの開きがあるという仮定を合わせて、10x10=100という見込になっている。従って、 実施に健康被害が出る量と、健康被害を出さないための規制値では、毒物の量に2桁くらいの違いがある。

「ヒトであれば誰にでも必ず健康に被害が及ぶ」という毒物の量と、 「ヒトによっては健康に被害が及ぶケースもある」という毒物の量と、「ヒトに何らかの生理的な影響が及ぶが健康被害というほどではない」 という毒物の量は違うのだ。

記事の中では、しばしば毒性(生物に対する作用)と毒物の量(物質の質量)を混同している。

  • 1パラ目:「1日摂取基準」(量)と「急性毒性」(毒性物質の作用の現れる性質)を混同している。
  • 2パラ目:「体重50キロの大人で12倍、15キロの幼児にとって40倍の毒性があった計算だ。」ここも、 毒性と毒物の量を混同している。

大丈夫か?朝日新聞。私も定期購読しているのだが、科学音痴な所を見せつけられると、 そのような理解力しかない企業にお金を払っていることが悲しくなる。

後で気づいたのだが、読売新聞も同じトピックの記事を書いている。

メタミドホスの摂取許容量を発表…内閣府食品安全委

 中国製冷凍ギョーザの中毒事件を受け、内閣府食品安全委員会の専門家による調査会は27日、被害を出した有機リン系殺虫剤 「メタミドホス」の毒性分析から、1日に摂取できる許容量を発表した。

 それによると一度に摂取しても健康に影響のない許容量は「体重1キロ・グラムあたり1日0・003ミリ・グラム」。 体重50キロの人の場合、0・15ミリ・グラムとなる。一生摂取し続けても健康に影響が出ない許容量は「同0・0006ミリ・グラム」 とした。

 食品安全委員会ではこれまで、農薬を一度に摂取した場合の許容量を算出していなかったが、今回の事件を受け、 メタミドホスについて初めて設定した。

 慢性的に摂取した場合の許容量は、厚生労働省が見直しを急いでいる残留農薬基準の根拠になるもので、 同委員会は新年度早々にも厚労省に通知する。
(2008年2月27日22時03分  読売新聞)

こちらは、毒性に関する記事ではなく、”許容量”すなわち、悪影響が出ない量という扱いになっており、 正しい情報の扱いだ。この新聞社のオーナーが、”アレ”でなければ購読紙を替えたいくらいだ。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

 

2008年2月27日 (水)

Overlapping Fusion-PCR

慣れないベクターのコンストラクション中。

酵母の2μm ori とTEF1p-EM7p-ZeoR-CYC1TTのPCR産物をOverlapping Fusion-PCRで融合した。条件決めのために色々論文をあさってみたものの、” 私の条件では2つのフラグメントの重複はたかだか20bpなのでこの論文のは使えない”とか、” この実験のコンディションでこんなに大量のTemplateをぶち込んだらPCRの後で電気泳動したらバンドとして見えてしまうので、 ゲルから切り出さないといけないのでは?”という、イマイチなものばかりだったので、 結局Templateの希釈系列を作って条件決めをすることにした。

参考にした論文の条件の1/24-1/100位のテンプレート量でextra bandなしできれいに目的のPCR産物が取れることが分かった。やれやれ。

・・・というPCRの間に、職場の拡散防止措置の点検。第1弾は1時間半ほどかかった。もう、疲れました。

が、帰るまでに電気泳動でPCR産物の確認、形質転換と、PCRをもう1回。

明朝はPCR産物の電気泳動のゲルの準備、コロニーPCRの準備、deep well plateに培地を準備、 形質転換用の酵母の培養、etc.etc.

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

2008年2月26日 (火)

真面目なセレウス菌

毎日新聞の記事より。新生児の死亡は気の毒という他ないが、 今回の原因菌の殺菌は技術的に結構難しい問題ではある。

セレウス菌:院内感染、新生児死亡-- 浜松

 浜松市中区の聖隷(せいれい)浜松病院(堺常雄院長、744床)で07年7月、新生児が食中毒などを起こす「セレウス菌」 に感染し、死亡していたことが分かった。

 病院によると、新生児は体重1000グラム未満の「超未熟児」でNICU(新生児集中治療室)に入院させた。 3日後に敗血症で死亡。血液内にセレウス菌が入ったのが原因だった。同室の未熟児3人のシーツや皮膚からも菌が検出されており、 タオルやシーツなどから感染したらしい。

毎日新聞 2008年2月26日 東京朝刊

”新生児が食中毒などを起こす「セレウス菌」”と書いてあるので、 恐らくBacillus cereusのことだろう。発音は、”真面目、深刻” を意味する"serious"と一緒らしい。食中毒の原因菌としては古典的なものだが、 食中毒を起こすには多量の菌体の摂取が必要と言われている。病原性大腸菌O157等から見るとずっとマイルド(こちらが参考になる) 。

土壌中に普通に見られる嫌気性細菌(通性嫌気性)だが、 環境が悪くなると芽胞という熱に強い細胞を作る。芽胞細菌は調理などの普通の加熱ではなかなか死なない。というか、 調理の際の加熱で活動型になるというやっかいな性質がある。しかも、大抵の細菌が活動しない45℃位でも増殖するので、 パスタやピラフなどがこの細菌で汚染して集団食中毒を引き起こす事もある。この細菌は特に、デンプン質が好きらしい。 名前のcereusというのもローマ神話の穀物の女神ceresに由来するという説もあるので、 穀物とは縁が深いようだ。今回の事故でも、この細菌の殺菌の難しさが原因の一つではないかと考えられる。

ちなみに、 試薬として市販されているアミラーゼの中にはBacillus cereus由来の製品がある。耐熱性が良好で、 デンプンの分解能力にも優れているので重宝。また、 他の食中毒細菌ではないBacillus属細菌由来のアミラーゼには非常に耐熱性の高いもの(70℃くらいでも使える)もあって、 日本酒の仕込み(必ずしも一般的ではないが)や食器洗浄機用の洗剤に使われているものもある(商品名ではDurazymeなど)。

今回の報道は、私が食中毒細菌だと思っていたBacillus cereusが、実は感染症もおこすのだ、と言う点がニュースでした。

なお、Bacillus cereusを遺伝子組換え実験の宿主にする場合は、実験分類は「病原性あり」のクラス2なので、 大抵は拡散防止措置はP2レベルが要求されます。取扱には気をつけて。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

2008年2月25日 (月)

高速アガロースゲル電気泳動

実験の小ネタ紹介。いずれ書きたいと思っていたネタです。

以下に紹介する核酸のアガロースゲル電気泳動の方法は次の状況が当てはまる方にはお勧めしません

  • TAEやTBEで不自由していない方
  • 1kb以下のDNAフラグメントを頻繁に電気泳動するけれども、時間には不自由していない方
  • キャピラリータイプの全自動電気泳動装置が使えるリッチな方
  • ミューピッドしか使いたくない方

逆に、次の状況が当てはまる方にはお勧めします

  • とにかく速く泳動したい方
  • マイクロサテライトの泳動など、TBEバッファーでは高温でゲルが溶けちゃいそうな方
  • お金が無くてトリスが買えない方
  • 電気泳動槽に緩衝液が常に入れっぱなしでちょっとくらい蒸発してもどうって事無いぞ、という豪傑な方

方法は簡単です。TAEの代わりに、酢酸リチウム(LA)、ホウ酸リチウム(LB)、ホウ酸ナトリウム(SB)など、 トリスを含まない電極液で核酸の高速電気泳動ができます。(カチオン濃度がキモなので作るときにはNaOH, LiOHの濃度を固定しておきます。)

Sodium boric acid: a Tris-free, cooler conductive medium for DNA electrophoresis
Jonathan R. Brody and Scott E. Kern
BioTechniques Vol. 36, No. 2: pp 214-216 (Feb 2004)

Ultra-fast high-resolution agarose electrophoresis of DNA and RNA using low-molarity conductive media
Jonathan R. Brody, Eric S. Calhoun, Eike Gallmeier, Talisa D. Creavalle, and Scott E. Kern
BioTechniques Vol. 37, No. 4: pp 598-602 (Oct 2004)

できあいの状態の濃縮緩衝液も市販されています。国内代理店はフナコシ。

特に、1-10mM ホウ酸ナトリウム緩衝液は、TBE用にホウ酸を買い込んでるラボの方にはお勧め。 1Nの水酸化ナトリウム液にホウ酸を入れてpH8.0にあわせてできあがり(標準的レシピでは泳動時のfinal 5mM NaOH, ストックは20xで1N NaOH)。特別な試薬は要りません。ミニゲルを250-300Vくらいで泳動しても温度がほとんどあがりません。 速い、安い、分解能よし(大抵の場合は)、で文句なしです。また、泳動時のカチオン濃度を1mMで調整しておけば、 ちょっとくらいバッファーが干上がっても、それほど大きな影響はないはずです (ゲルと泳動バッファーの濃度差が大きいと何か妙なことが起きないとも限りませんが・・・)。

ただし、塩濃度の高い緩衝液で制限酵素処理した場合は、泳動像がゆがんだり、 マーカーと比べてサンプルの泳動が遅くなるかも知れません。泳動用の緩衝液の塩濃度が非常に薄いので、 試料の塩濃度の影響を受け易くなっています。ほぼPCR産物の泳動しかしないと言うのであれば、問題はありませんが。

緩衝液の塩濃度や電気泳動のコンディションは原著論文で確かめて下さいね。

なお、私はSYBR GreenなどEtBr以外の高級なダイやMupid-Stain eyeなどで染色したことはありませんので、 関心がある方は自分で試してみてください。TAEより塩濃度が低い分、 緩衝液と核酸の電荷の違いが大きいので染まり方は相当違のでは無いかと想像します。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

2008年2月22日 (金)

2010年の超高速シーケンス

PRISM 3100が子供の玩具に見える。454 life scienceのシーケンサーや、solexa までもが既に旧式のDNAシーケンサーになる。

そんなシーケンサーをアメリカのPacific bio社が2010年発売を目指して開発中とのこと

1時間で1,000億塩基(100Gbp)、しかも1分子由来のシグナルが数キロベースから25キロベースに渡って出力される (論文はこちら)。 速度も長さも現在あるシーケンサーの能力を遙かに凌駕している。SolexaやSOLiDは25bp程度、 454でも100bp程度の能力なので、長さでも桁違いだ。

CAGEやSAGEと組み合わせると、Microarrayが要らなくなる日はそう遠くないかもしれない。

しかし、データの保存はどうするんだろう?理研に入る予定のHelicosでさえ、1回の運転で2Gbp /day、14TB(!)ものデータ量になるが、1時間でその50倍(700TB !!)ものデータが出ることになる。

もう、研究所にstorage farmを併設しないと埒があかない事態だ。こうなると、 光ファイバーなんかでとろとろデータを送ってる場合ではない。Googleに大量のデータを送る際には、 専用のトランク型のハードディスクにデータを詰めてFedexかDHLで送るらしいが、700TBのデータって・・・ 市販のハードディスクドライブ1個の容量が漸く1TBに達したところなのだが。

CCDの電圧出力としての生データが出る端から圧縮するか、それとも結局はATGCとNの3ビットで1塩基を表せるのだから、 生データをリアルタイムで処理して塩基情報に変換するか、何らかの方法でデータを圧縮しないと大変な有様になりそうです。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

2008年2月21日 (木)

Ark of the Arctic

AFP BB Newsで面白い記事を見つけた。

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2352890/2656103

「既知の全植物種の種子保存庫、写真を公開」という見出しで、

 「食料農業植物遺伝資源条約(International Treaty on Plant Genetic Resources for Food and AgricultureITPGR) 」に基づき建設中の同施設は、別名「ノルウェー種子バンク(Norwegian Seed Bank)」とも呼ばれている。

とある。いわゆるジーンバンクですな。場所は極北のスバールバル諸島! 私の推測ですが、政治的安定と、冷蔵保存のコストが低いのと、地殻が安定してる、 それから地中だと宇宙線の影響を受けにくいというのが立地条件でしょうか。

えーと、ITPGRの対象は、条約の名前の通り食料遺伝資源です。従って記事の見出しの「全植物種」ってのは、明らかに間違い。 種子保存の対象は作物(とその近縁種くらい?)です。

エントリーの表題の”Ark of the Arktic ”(極地の方舟)というのは、私の命名ではなく"Svalbard Global Seed Vault,  ark"でググったときに出てくるイギリスの新聞社テレグラフの見出しから頂きました。 施設の入り口が方舟のような印象、しかも、施設のミッションも種の保存なのでまさに”Ark”だなー、とおもって調べてみたら、 同じ感想を持った人がいたんですね。しかも極地の”the Arctic”をかけている。英国版親父ギャグのセンスに脱帽です。

でもこちらの記事を読むと、 曰く人口と同じくらいのホッキョクグマが居住地の外をうろついてるのでライフルを持たずに出て行っちゃいけない、とか”Shoot to kill”とか、恐ろしげなことが書いてあります。

遺伝資源関係の職場としてはあまり魅力的な場所じゃないですね。Dr. Cary Fowlerにとってはそうではないようですが。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

 

2008年2月19日 (火)

最果タヒと言う詩人

本日のニュースによれば、中原中也賞に輝く、だそうな。女性では最年少で受賞。おめでとう御座います。

ご本人のホームページはこちら

文字の使い方なんか見ていると、 コンピュータで綴った詩なのかもと思う。

でも、詩と言う表現形態に縛られてるのか、それが表現の様式(としての約束事?)なのかは分からないけれど、テキストの使い方が何か中途半端な感じ。 そこに凝っても仕方ないけど。

ネットで展開されるようなHTMLで綴る詩は、言葉からリンクアウトする表現があっても良いかも。しかも、 単語の境界と無関係なリンクだって技術的には何の問題もなくできてしまう。 丁度こんな具合に。

私もいつの日か、グラフやテーブルやムービーを散りばめた華麗な詩論文を書いてみたいものだ。

科学もアートと結構似ている。エレガントな実験であったり、緻密な論理構成であったり。時にユーモラスであったり、悲劇的であったり。 結局、科学と言う人間の活動は、その仕事に時間を費やしてきた研究者の人生そのものなのだよね。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

2008年2月15日 (金)

”西部のしみの議定書”あるいは直訳分子生物学

たまたま、ファージ抗体について調べていて「西部のしみの議定書」というコトバに出くわした。

こちらのホームページだ。

素直に”ウエスタンブロットのプロトコル”と書けば良いものを・・・。何が何でも直訳しないと気が済まないらしいので、 珍妙な表現であふれている。

  • 緩衝媒体および解決(多分、buffer solution and medium だと思う)
  • 植物ティッシュ文化(多分、植物組織培養、plant tissue culture)
  • DNAの仕事のための緩衝調理法(調理法って・・・?)
  • 実質の時間PCR(realtime PCRなんだろうな)

とにかく、Protocolを全部「議定書」(条約の具体的な中身を決める文書)と訳しているので、妙な議定書であふれかえっている。 もともとはまじめなホームページであるだけに、 悲喜劇というべき有様だ。

今時の自動翻訳の水準ってこんなものなのかな。

 

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

 

2008年2月13日 (水)

消費者行政って何だ?

消費者行政推進会議の初会合が開かれた。

会議の目的は、消費者行政を一元化する組織を作ること、だそうだ。究極的には、「消費者や生活者の視点に立った行政」 の実現が目的であるとも言えるだろう。

だが、”消費者行政”と言う言葉が指し示す”消費者”とは、あるいは”生活者”とは一体何だろう?首相が所信表明演説でわざわざ 「消費者や生活者」と区別しているからには、それぞれ違う意味を持っているに違いない。

その「消費者や生活者の視点に立った行政」というのは、つまるところ何をしたいのだろうか?例として「BSE問題、年金、住宅偽装」 を取り上げているが、それぞれに問題の所在が異なっており、処方箋も違う。単一の行政府がどうにかできる問題でも無いだろう。

# 年金問題は消費者とは関係ないので「生活者」なのかな。

たとえば”消費者庁”に食品表示の問題で電話で照会したら・・・

「はい消費者庁で御座います。ご用件を承ります。」

「食品表示の件でお電話を差し上げたのですが、現在の輸入食品の表示は原産国が全部表示されてる訳じゃないって言うじゃないですか。 原産国を全部表示するようにしていただけないと、私、不安で不安で・・・。」

「ご用件、確かに承りました。では、食品表示はJAS法に規定されておりますので所管している農林水産省につなぎます。(あるいは、 「勧告します。」)」

・・・なんていう役所を作ろうというのではないよね。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

2008年2月12日 (火)

PCR song!

PCRの歌、っていうのがあるんですね。ポスドク日記 in Swedenで知りました。

Bio-Radのサイト (クリックすると音楽を再生しちゃいます)にビデオクリップあるんですが、受けてしまいました。いやー面白い。We are the worldみたいな感じの歌ですが、PCRを担いで歌ってます。

Bio-Radのサーマルサイクラーはその昔はMJ-researchという会社が作っていました。小型軽量で、 96穴プレートタイプは、同時期に売られていたパーキンエルマーの製品の半分以下の設置面積でした。 初期の製品からペルチェ素子で冷却するタイプだったので、 重量もパーキンエルマー製のコンプレッサー内蔵型の1/3くらいだったのではないでしょうか。一人で持ち運べましたから。

その後、MJ-researchはBio-Radに吸収されてしまいました。

MJ-researchの初期型の製品は、PCR本体の隙間から中を見ると、円形のトランス(トロイダルトランスというんですが) が見えていました。そのタイプのトランスは、オーディオアンプにも使われているんですが、効率は良い反面、単価が高いというのが欠点で、 程なくMJ-researchの製品には使われなくなったようです。

# PCR装置についてのマニアックな昔語りでした。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

2008年2月 8日 (金)

道具へのコダワリ

先日、NHKの”プロフェッショナル 仕事の流儀”と言う番組を見ていたら、フランス料理の若手天才シェフの仕事道具として、弓鋸や剪定ばさみが紹介されていた。意外な道具を使うものだなと思った。

翻って私の仕事道具はどんなものだろうと改めて考えてみると、あまり個性的なものは使っていない。大抵使っているものは、消耗品を除くと以下の通りだ。

マイクロピペット(P10,P20,P200,P1000,8ch等)、ディスペンサー(ディストリマン)、キッチンタイマー、電気泳動槽(サブマリン、スラブ)、安定化電源、ハンディーUVランプ、PCR、トランスイルミネーター、CCDカメラ、インキュベーター、クリーンベンチ、オートクレーブ、遠心機(低速、高速、微量)、振とう機、真空ポンプ、精密電子天秤、pHメーター、マグネチックスターラー、チューブミキサー、電子レンジ、ヒートブロック、恒温水槽、製氷機、冷蔵庫、冷凍庫(-20℃、-80℃)、分光光度計、蛍光光度計、DNAシーケンサー、etc.

一昔前は、シーケンスゲルのガラス板を引っぺがすのに画材店で買ってきたパレットナイフを使ったりしていたが、もうそんな必要はない。

あとはパソコンとポケコン。だいたいは研究所の備品なので、自分の道具という感覚は無い。私物を持ち込んで使っているのは、アガロースゲルを掬うのに使っているプラスチック製のフライ返し(\105)と、お気に入りのキッチンタイマーくらい。それ以外は、一生懸命実験室をセットアップしても、転勤する時にはそっくり置いていく事になる。

これらの道具の中で、唯一、20年以上使い続けているものがある。

ポケコンだ。正確には”ポータブルコンピューター”と称して売られていたので、”ポタコン”と呼ぶべきかも知れないが、シャープ製のPC-1450という製品でBASICのプログラムが動く。 学生時代(1985年頃)に買ったもので、今や緩衝液や培地の濃度計算に使うだけの、ただの関数電卓なのだが、20年以上、平日はほぼ毎日使い続けている。PC-1450はポケコンではあるが、電源投入時にはデフォルトで関数電卓として機能する。その点については賛否両論あるのだが、私は”電卓時々プログラム”という使い方をしてきたので、このスタイルが性に合っている。だからこそ使い続けて居られるのかもしれない。

このポケコンも実験台から落として金属製の本体上面の角がつぶれたり、クロロフォルムの飛沫がかかってカバーが一部溶けたりと、長年使っている内にかなりの災難に見舞われているが、いままで故障したことは一度もなく、今日もこともなげに動いていた。あと20年ほどもってくれるとありがたい。特段お気に入りというわけでも無いが、これだけ長く使い続ける仕事道具に出会うことはもう無い気がする。

私は道具に対するコダワリや愛着は余りないと思っている。しかし、もし壊れてしまっても、このポケコンだけは、なかなか捨てられないような気がする。

使えなくなったときに、何となくイライラしてしまう、というのが手になじんだ道具の証なのかもしない。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

2008年2月 5日 (火)

今度はジクロルボス

COOPで販売していたギョーザの皮から、ジクロルボスが最大100ppm検出されたらしい。

今回も残留農薬というレベルの濃度ではない。燻蒸剤にも使われる比較的揮発性の高い薬剤とのことなので、 皮からこれだけの高濃度の薬剤が検出されたとなると、パッケージを封印するまでの間、しかも低温の状態で混入したのではないだろうか。

また、同じ工場の同様の製品から検出されたとなると、同じ製造工程を経ていることから、前回同様の混入ルートが疑われる。

悪意の臭いがする。

もはや販売者が安全を管理できると言う話では無いだろう。続報を待とう。

 

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

 

2008年2月 4日 (月)

CO・OPのギョーザから規制値以下のメタミドホスが検出された事案

ギョ-ザがらみの事案が後を絶たない。

ところで、オルトランという商品名の殺虫剤はベストセラーになっており、日本でもキャベツやハクサイにも使用されている。 有効成分はアセフェート。

このアセフェートは植物体内で代謝(分解)されると、今話題のメタミドホスが生成される。 メタミドホス事態は残留農薬としては比較的高い頻度で検出されるものであり、この事実は広く知られている。従って、 メタミドホスそのものを散布していない農場の農産物から、メタミドホスが検出される事態はこれまでもあったことだし(参考)、 今後とも十分に起こりうる。

下で引用した記事では、生協幹部が早々に謝罪会見を開いたようだが、 オルトランの代謝産物としてメタミドホスが生成されることを知っていたのだろうか?知っていたのであれば、 今後とも食品衛生上問題のないレベルのメタミドホスが検出された場合もずっと謝罪会見を開くつもりなのだろうか。また、 知らなかったのであれば、残留農薬問題を扱うプロとして専門知識が欠如していることになる。 事実関係を明らかにしないで謝罪するのは早すぎる。それとも、とりあえず頭を下げておけというふざけた態度なのだろうか?しかも、 誰に対する謝罪?

なお、下の記事では「事件の発覚後に千葉県内で回収した「CO・OP 手作り餃子(ギョーザ)」 のうち2袋のギョーザから有機リン系農薬成分のメタミドホスが検出された。ごく微量で健康に影響のないレベル」と書いてあるが、 測定値が公表されていない。検出されたメタミドホスの水準と法令上の規制値との関係も書いていない。さらに、 測定条件とデータを開示していないので、私の基準ではこの記事は失格。無意味に生協を貶めているところも頂けない。

以前のエントリーの繰り返しになるが、農薬の残留と毒物の混入ではとるべき対策は全く違う。 毒物の混入は抜き取り検査では防ぎようがないし、販売者が責任を負えるような事態でもない。ロット単位でおこる農薬の残留とは訳が違うのだ。 今回の謝罪会見は、仮に法令上も問題のないレベルの農薬の残留であったのなら全く意味がない。 下の記事を読んでもなぜ謝罪したのかは分からない。


「品質の生協」苦悩 地域コープ、独自に検査も

2008年02月04日15時04分

 中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、販売元の日本生活協同組合連合会(日本生協連)が苦悩を深めている。「品質の確かさ」 を売りにしながら、3日には新たに同種商品2袋のギョーザから薬物が検出された。昨年の偽装牛ミンチ事件に続くトラブルに、 「ノックアウト状態」との声も漏れる。危機的状況の中、一部の地域生協は独自の改善策に取り組み始めた。

 「皆様に大変な心配をおかけし、販売者として改めておわびさせていただく」。日本生協連の飯村彰常務理事は3日夜、 東京都内で開いた緊急会見の冒頭、沈痛な面持ちで謝罪した。

 その約2時間半前。事件の発覚後に千葉県内で回収した「CO・OP 手作り餃子(ギョーザ)」 のうち2袋のギョーザから有機リン系農薬成分のメタミドホスが検出された。ごく微量で健康に影響のないレベルとはいえ、 中国で使用が禁じられた薬物。「経過の説明を求め、改善を指導する」と、製造元の天洋食品廠公司に徹底した原因解明を求める考えを示した。

 この商品は、日本生協連が手がけたプライベートブランド(PB)。それが、 昨年12月と今年1月に同県内で2件の中毒事件を起こした。

 品質管理を怠っていたわけではない。職員らはこれまでに約10回、天洋食品の工場を視察。 02~07年に埼玉県蕨市の商品検査センターで、原料、試作品、初回の製品段階で各3~8回、発売後も複数回、安全性のチェックをしていた。

 ただ、製品の検査は微生物や添加物などに比重が移り、原料の段階で実施していた残留農薬の検査はやっていなかった。日本生協連は 「生鮮品のPBが約600ある中でできる限りのことをしてきたが、今後、製品の農薬検査の制度化を検討したい」と認める。

 昨年の「ミートホープ」(北海道)による偽装牛ミンチ事件では、同社製造の商品を扱っていたことから、 組合員から最高で1日700件の苦情などが殺到した。中国製品の安全性への問い合わせも多い中で理解を求めていただけに、 今月1日には8万5000件の苦情が来た。職員の一人は「もうノックアウト状態だ」と力なく話した。

     ◇

 富山など北陸3県の商品の企画、仕入れを担う「コープ北陸事業連合」(本部・金沢市)は2日、 ギョーザや冷凍食品など計518の加工品について、加工場所や主な原料の産地を記した一覧表をホームページで公開。また、 早ければ今週中にも、中国製や中国産の原材料が含まれた加工品約60品目について、 メタミドホスが含まれていないかどうかの独自の緊急検査に取りかかる。

 1都8県の生協でつくる「パルシステム生活協同組合連合会」(本部・東京都文京区)では、回収対象商品は取り扱っていないが、 中国製のギョーザ製品について、メタミドホスやほかの残留農薬の有無を調べる独自の検査をし、「検出せず」との結果を公表した。広報室は 「中国産の加工品についての問い合わせが組合員の方から多く寄せられ、不安を少しでもふっしょくするために実施した」と説明する。

 国内最大規模の約135万人の組合員がいる「コープこうべ」(本部・神戸市)は、メーカーなどの回収対象となっている商品について、 独自の商品検査センターで、メタミドホス含有の有無を調べる緊急検査を実施。1日以降、検査が終わった商品から順次、「検出されなかった」 との検査結果をホームページで紹介している。

 


 

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

2008年2月 1日 (金)

ダメな議論―論理思考で見抜く (ちくま新書)

世情を鑑みず好き勝手を書くつもりが昨日は時事ネタを書いてしまった。いかんいかん。で、今日はまたマイペースに戻す。

 


 

ダメな議論―論理思考で見抜く (ちくま新書)

経済学者、飯田泰之氏の著書。実りある議論をするために、まず論理的でない議論を篩い落とすための機械的分析の方法論を提案する本。

機械的方法論とは、以下の5点から、議論の主張・内容ではなく、まず”議論の様式”を検討する方法のこと。

  1. 単純なデータ観察で否定されないか
  2. 定義の誤解・失敗はないか
  3. 無内容または反証不可能な言説
  4. 比喩と例話に支えられた主張
  5. 難解な理論の不安定な結論

全体としては、ちょっと冗長に感じる部分(第5章)もあるが、全体としては良い本です。

# ちなみに、この本によればここで言った「良い本」をきちんと定義しておかないと、それは「ダメな議論」ということになる。 ここでは、”「良い本」の客観的な基準はないが、前書きを見て納得して買うなら、買って損はしない本”と言っておこう。

職場のU君が貸してくれた本なので、折角だからと読んでみたのだが、 少なくとも私はこの本の著者が想定する読者層には入っていないように思う。自然科学分野の研究を商売にしている人々は、 通常の科学論文を読む際には上記の1.-5.よりももっと厳しい基準を立てて論文を読むので、何を今さら・・・という感があるのだ。

しかし、論理的に議論を構築するトレーニングを積んでいない人々にとっては、この本でも「ダメな議論」 を見抜くには十分役に立つのではないかと思うので、「良い本」だと言っておく。

科学者でも、日常の議論ではもっと甘い基準で暮らしているが(そうでないと日常会話が成立しない)、 真面目に議論をする場合は1.-5.以上に厳しくい基準で検討しながら考えている(少なくとも私はそうです)。

例えば、

  • 単純なデータ観察」と言う前に、そのデータ(あるいは観察)は
    • どのような目的で採られたデータ(あるいは行われた観察)か?
    • 目的に照らして、データの取り方(あるいは観察の仕方)は妥当か?
    • データを取った際(あるいは観察を行った際)の前提条件が示されているか?

を検討する。最初からバイアスのかかった測定データ、偏った観察結果かもしれないし、 今議論している際の前提条件とは噛み合わない前提条件で採られたデータの場合は、無条件で議論の素材にはできないと考えた方がよい。

定義については、自然科学でも人文系の科学でも何時、誰が行った定義かが示される場合が多い。 曲解している場合にはすぐに分かる様になっている。従って、きちんと定義されていなと多くの場合議論が成立しないと見て良い。

無内容または反証不可能な言説」については、 科学論文では滅多にお目にかからないがたまにはある。多くの場合、他の研究者から反論されるか、 無視されるので有害な言説になることは少ない(これは例外) 。

比喩と例話に支えられた主張」は、相手にされない。というか議論にならないので、 こういう基準は無い。

難解な理論の不安定な結論」については、理論がきちんと理解できていない場合、 そもそも話題にしてはいけない。その場合、いかなる結論も保留するしかない。それでも議論しなければならない場合は、いかに難解な理論でも、 まず理解する所から始めなければならない。その上で結論が不安定な場合は、前提条件の確実性を疑うか、結論を導き出すプロセスを疑うか、 それらを検証して問題がない場合には、理論そのものを疑わなければならない。

この他、「その議論の前提となる事実はこれまで言われてきた事実とどう違うのか?」とか、 「その議論の結論はこれまで行われてきた議論の結論とどう違うのか?」(つまり、新規性はあるのか) とか・・・要するに、科学者ってのはお笑いでいうツッコミのスタンスを徹頭徹尾、堅持する商売なのだ。

ちなみにこのblogは、私にとっては茶飲み話のような位置づけなので、上記の議論の前提はあてはめていません。そう、相当緩い定義、 そして、いい加減な議論を宗として書いてます。検証作業というのは相当に神経をすり減らすので、 そうでもなきゃ毎日のようには書いてられません。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!

 

« 2008年1月 | トップページ | 2008年3月 »

twitter

  • Bernard_Domon

Ranking

  • にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ
    日本ブログ村
無料ブログはココログ